事業報告(2023年 3 月 1 日から2024年 2 月29日まで)
当連結会計年度の事業の状況
事業の経過及びその成果
(経営成績に関する説明)
当連結会計年度(2023年3月1日~2024年2月29日)の業績は、売上高が3,248億20百万円(対前年比106.9%)、営業利益152億35百万円(同96.3%)、経常利益154億82百万円(同96.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益107億7百万円(同105.5%)となりました。
売上高は、イオングループ内外における顧客内シェア拡大や新規受託物件の増加により増収となり、期初に掲げた計画を上回りました。とりわけ、営業強化及び実績やノウハウを評価いただいたことによりイオングループ外の企業や団体からの受託が増加しました。セグメント別では全7事業で増収となり、中でも、省エネ関連工事や改装・修繕工事の受託を拡大した建設施工事業、並びに各種資材の受注を拡大した資材関連事業で2ケタ成長となりました。
一方、営業利益は、販売管理費の増加分をセグメント利益の成長で補うことができず、減益となりました。
[当連結会計年度の主な取り組み]
当期は、中期経営計画(2021年度-2023年度)で掲げる「お客さま起点の経営」、「DXの推進」、「グループ経営」の3つの基本方針に則った取り組みを推進しました。
〈お客さま起点の経営〉
・営業強化によるマーケットシェアの拡大
アカウント営業や各支社・支店の地域営業により顧客への提供サービス拡大や多拠点物件の受託を推進することで顧客内シェアを拡大しました。同時に、省エネや防疫対策を含め、これまでに蓄積してきた実績やノウハウを活かしたお客さま起点の提案活動により、多種多様な施設においてサービスの提供を開始しました。
・現場主体の小規模修繕提案を積極化
管理運営を受託する施設の「安全・安心」や「機能性」、「美観」の維持向上を図るため、国内全8支社にて現場主体による小規模修繕の提案を積極化し、売上高、及び利益の拡大に繋げました。
・エネルギーコスト上昇への対応
エネルギーコストの上昇が企業・団体の大きな課題となる中、当社は、電力の大規模需要家である顧客を中心に、照明のLED化や空調・熱源機器の更新といった省エネ提案を積極化しました。これにより、省エネ関連工事の受託を大幅に拡大するとともに施設の省エネ化に貢献しました。
〈DXの推進〉
・データ連携基盤「イオンディライトプラットフォーム」のアップデート
当社では、全てのお客さまに対して、それぞれの課題に最適なソリューションを提案し、効率的に提供していくためのデータ連携基盤「イオンディライトプラットフォーム※」を構築し、その利活用とアップデートを進めています。
当期は、新たに業種・物件用途別の取引分析ツールや計画修繕工事における進捗状況の可視化ツールなどの機能を追加実装することで、営業活動の効率化や機会損失の防止、工事の適切な進行管理を通じた品質向上に繋げました。
※イオンディライトプラットフォーム…施設内外から得られる各種情報を収集・分析、価値ある情報へと加工し、当社グループ各社やパートナー企業を含めたサービスネットワーク全体に共有する仕組み。
・「エリア管理」の展開
当社では、持続可能な事業モデル構築を目的に、IoTなどの技術を活用し、複数の施設を効率的に管理する「エリア管理」の導入を推進しています。遠隔監視機能を備えたカスタマーサポートセンター※への一部業務の集約やデジタルデバイスを活用した現場業務の効率化を通じて、エリア管理化を加速しました。
当期は、新たに計47施設(累計320施設)にて省人化・無人化を実現し、常駐設備管理員約52名分(累計約219名分)のリソースを創出しました。また、これに伴い、施設管理の現場で培われた専門性を更なる収益機会の拡大に繋げるため、新規受託物件や営業部門、工事部門などへと専門人材の再配置を実施しました。
※カスタマーサポートセンター(CSC)…2021年度期初より国内全国8支社配下で稼働を開始。各種システムやセンサーの活用により、複数の施設を遠隔制御するとともに、各地域でお客さまの施設情報やリクエストを集約する機能を担う。
〈グループ経営〉
(国内グループ会社)
旅行関連事業を展開するイオンコンパス株式会社では、人流回復に伴い出張管理サービスや法人向け旅行事業が好調に推移し、業績を大幅に回復しました。また、2023年4月に完全子会社化した、九州一円で清掃を中心としたサービスを展開する株式会社アスクメンテナンスの寄与により国内グループ会社全体で増収となりました。
一方、利益面につきましては、人件費及び外注費をはじめとした原価上昇の影響により、ビルメンテナンス事業を展開する複数のグループ会社において収益性が低下し、減益となりました。
こうした中、環境整備株式会社や株式会社アスクメンテナンスでは、それぞれが拠点とする北関東、九州の各エリアにおいて、地域の協力会社を含めたサービスネットワークの整備に取り組み、イオンディライトグループとしての経営効率化を推進しました。
(中国事業)
アジア最大の成長エリアと位置付ける中国では、中核事業会社による顧客内シェア拡大や中・高級施設をターゲットとした新規受託拡大、都市開発プロジェクトへの参画を通じたファシリティマネジメント業務の集中受託などにより堅調に事業を拡大しましたが、販売管理費が増加したこと等により増収減益となりました。
こうした中、中国におけるグループ経営の更なる推進を目的に、中核事業会社のひとつである永旺永楽(江蘇)物業服務有限公司を事業統括会社として再定義し、商号を永旺永楽服務管理集団有限公司へと変更しました。
(アセアン事業)
アセアンでは、事業を展開する各国で増収となりました。しかしながら、インドネシアや2023年1月より改正雇用法が施行されたマレーシアにおける人件費上昇の影響などにより、アセアン事業全体では増収減益となりました。
当連結会計年度における主要事業の概況
[セグメント別業績]
(単位:)
設備管理事業は、売上高695億9百万円(対前年比107.3%)、セグメント利益59億13百万円(同101.8%)となりました。同事業では、契約業務の新規受託や各種整備業務の受注拡大により増収増益となりました。また、競争力強化を目的に、施設管理業務の省力化を推進しました。
(単位:)
警備事業は、売上高509億19百万円(対前年比102.9%)、セグメント利益31億8百万円(同94.8%)となりました。同事業では、施設警備の新規受託などにより、増収となりましたが、人件費や外注費の上昇が影響し、減益となりました。こうした中、収益性の改善を目的に、入退店管理、並びに閉店業務のシステム化を推進しました。
(単位:)
清掃事業は、売上高704億28百万円(対前年比103.1%)、セグメント利益52億77百万円(同75.2%)となりました。同事業では、継続契約の新規受託や2023年4月に完全子会社化した株式会社アスクメンテナンスの寄与などにより増収となりました。一方、人件費の上昇などにより収益性が低下し、減益となりました。こうした中、収益性改善に向けて、お客さまとの交渉を通じた作業シフトの柔軟化や来期以降の単価見直しに向けた取り組みを推進しました。
(単位:)
建設施工事業は、売上高592億19百万円(対前年比113.7%)、セグメント利益53億22百万円(同130.4%)となりました。同事業では、設備管理事業における「エリア管理」による省力化を通じた体制強化により、省エネ関連工事をはじめとした各種工事の受託を拡大するとともに、各工事における仕様や工程の最適化を通じた収益性の改善により大幅な増収増益となりました。
(単位:)
資材関連事業は、売上高463億15百万円(対前年比111.5%)、セグメント利益23億22百万円(同116.2%)となりました。同事業では、イオングループ内外で受注拡大を推進するとともに、原材料や物流費が上昇傾向にある中、各種資材における原価上昇分の売価への適正な反映に取り組み、増収増益となりました。
(単位:)
自動販売機事業は、売上高96億16百万円(対前年比101.6%)、セグメント利益12億90百万円(同119.1%)となりました。同事業では、商品単価の見直しや営業強化による新たな設置先の開拓などにより増収増益となりました。また、商機の拡大を目的に、冷凍自動販売機をはじめとした新たな自動販売機の展開を推進しました。
(単位:)
サポート事業は、売上高188億10百万円(対前年比104.1%)、セグメント利益5億45百万円(同117.8%)となりました。同事業では、お客さまの施設とその周辺の管理運営に関するアウトソーシングニーズに応える様々なサービスの提供拡大に取り組みました。また、旅行関連事業の寄与などにより増収増益となりました。
直前3事業年度の財産及び損益の状況
企業集団の営業成績及び財産の状況の推移(連結)
対処すべき課題
①経営の基本方針
当社は、経営理念「私たちは、お客さま、地域社会の『環境価値』を創造し続けます。」のもと、アジアを主たる活動領域にファシリティマネジメント(以下、「FM」)事業を展開しています。当社が掲げる「環境価値創造」とは、人々が平和と豊かさを享受できる環境を創出していくということです。当社は、事業を通じて環境価値を創造し続け、社会の持続的発展に貢献していくことで、お客さま、地域社会から必要とされ続ける企業でありたいと考えています。
②イオンディライト ビジョン2025
当社は、更なる持続的成長を目的に2018年10月にイオンディライト ビジョン2025を策定し、「アジアにおいて『安全・安心』、『人手不足』、『環境』の3つを成長戦略の柱に社会課題を解決する環境価値創造企業を目指す」ことを宣言しました。また、これを実現するため、FMの専門家集団としての企業ブランドを確立するとともに、事業を展開する各エリアにおいて地域経済圏の形成に取り組んでいます。