第8号議案 取締役に対する株式報酬等の額および内容決定の件

1.提案の理由および当該報酬制度を相当とする理由

当社の取締役の報酬は、「基本報酬」、「年次賞与」および「譲渡制限付株式報酬」で構成されていますが、今般、当社の取締役(社外取締役を除きます。以下も同様です。)を対象に、新たに株式報酬制度(以下、「本制度」といいます。)を導入することにいたしたいと存じます。なお、その詳細につきましては、下記の範囲内で取締役会にご一任いただきたく存じます。

本制度は、取締役の報酬と当社の業績および株式価値との連動性をより明確にし、取締役が株価の変動による利益・リスクを株主の皆様と共有することにより中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献する意識を高めること、および、取締役に交付する株式に退任までの間の譲渡制限を付することにより、株式交付後においても企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えることを目的としており、本制度は相当であると考えています。

本議案は、第6号議案に記載した取締役に支給する金銭報酬の上限額を改定する理由と同様の理由により、取締役に支給する金銭報酬の上限額(基本報酬につき年額9億円(うち社外取締役については年額1億6,000万円)以内、取締役賞与につき年額10億6,000万円以内。ただし、使用人兼務取締役の使用人分給与は含みません。)とは別枠で、本制度による報酬枠を、取締役に対する報酬等として設けるものです。

なお、当社は、今般の株式報酬制度の見直しにあたって、2022年2月14日開催の取締役会において、社外取締役が過半数を占める報酬諮問委員会での審議を経た答申を受けて、本株主総会で第6号議案「取締役に対する金銭報酬の額改定の件」および本議案が原案どおり承認可決されることを条件として、第133期(2022年度)における当社の取締役の個人別の報酬等の決定方針の内容(参考情報として34頁から37頁に記載)を決定しており、本議案は当該方針に沿った取締役の報酬の付与のために必要かつ合理的な内容であることから、本議案の内容は相当であるものと判断しています。

なお、当社は、第127回定時株主総会において、当社の取締役に対する譲渡制限付株式報酬制度の導入につきご承認いただきましたが、本議案が原案どおり承認可決されることを条件として、譲渡制限付株式報酬制度に係る報酬枠を廃止し、今後は当該制度に基づく新たな譲渡制限付株式の付与は行わないものといたします。

また、本株主総会において第2号議案「取締役10名選任の件」が原案どおり承認可決されますと、取締役(社外取締役を含みます。)の員数は10名(うち、社外取締役は4名)となり、本制度の対象となる取締役は6名となります。

※本議案が原案どおり承認可決された場合、当社と委任契約を締結している執行役員(以下、「委任型執行役員」といいます。)に対しても同様の株式報酬制度を導入する予定です。

2.本制度における報酬等の額・内容等

(1)本制度の概要

本制度は、当社が設定し金銭を拠出する信託(以下、「本信託」といいます。)が当社の普通株式(以下、「当社株式」といいます。)を取得し、当社が各取締役に付与するポイントの数に相当する数の当社株式が本信託を通じて各取締役に対して交付される(ただし、下記3.のとおり、当該株式については、当社と各取締役との間で譲渡制限契約を締結することにより退任までの譲渡制限を付すものといたします。)という株式報酬制度です。なお、本議案において、「退任」とは、当社の取締役又は執行役員のいずれでもなくなることをいうものといたします。

本制度に基づき付与するポイントは固定ポイント(36頁記載の譲渡制限付株式ユニットに相当するもの)および業績連動ポイント(36頁記載のパフォーマンス・シェア・ユニットに相当するもの)の2種類です。

固定ポイントは、2022年以降の各年の当社の定時株主総会日の翌日を開始日、その翌年の当社の定時株主総会日を終了日とする1年間の各期間(ただし、初回については2022年3月19日から2023年の当社の定時株主総会日までの期間。以下、「固定ポイント期間」といいます。)を対象として、当該期間における役位や在任期間等に応じて付与されるポイントであり、原則として、各固定ポイント期間終了の都度、付与され、それに相当する数の当社株式が本信託から各取締役に交付されます。

業績連動ポイントは、2022年以降の各年の当社の定時株主総会日の翌日を開始日、その3年後の当社の定時株主総会日を終了日とする3年間の各期間(ただし、初回については2022年3月19日から2025年の当社の定時株主総会日までの期間。以下、「業績連動ポイント期間」といいます。)を対象として、当該期間における役位、在任期間、当該期間開始日の直前に開始する事業年度から当該期間終了日の直前に終了する事業年度までの連続する3事業年度の業績等に応じて付与されるポイントであり、原則として、各業績連動ポイント期間終了の都度、付与され、それに相当する数の当社株式が本信託から各取締役に交付されます。

ただし、固定ポイント期間又は業績連動ポイント期間中に(ⅰ)退任する場合や(ⅱ)日本国の居住者でなくなることが見込まれることとなった場合には、当該固定ポイント期間又は業績連動ポイント期間終了時点より前に、各期間中の役位、在任期間等に応じて各ポイントを付与することがあります。

(2)当社が拠出する金銭の上限

本信託の当初の信託期間は約5年間とし、当社は、本制度に基づき取締役に交付するために必要な当社株式の取得資金として、上記(1)③の上限金額の範囲内の金額の金銭を取締役に対する報酬として拠出し、一定の要件を満たす取締役を受益者として本信託を設定いたします。なお、当初は、三の固定ポイント期間および三の業績連動ポイント期間を設定し、これらの期間に対して付与が見込まれる各ポイントの総数に相当する当社株式の取得資金を信託する予定です。本信託は、当社が信託した金銭を原資として、当社株式を当社の自己株式の処分を受ける方法又は取引所市場(立会外取引を含みます。)から取得する方法により、取得いたします。

注:
当社が実際に本信託に信託する金銭は、上記の当社株式の取得資金のほか、信託報酬、信託管理人報酬等の必要費用の見込み額を合わせた金額となります。また、上記のとおり委任型執行役員に対しても本制度と同様の株式報酬制度を導入した場合には、当該制度に基づき委任型執行役員に交付するために必要な当社株式の取得資金もあわせて信託いたします。

なお、当社の取締役会の決定により、本信託の信託期間を延長し(当社が設定する本信託と同一の目的の信託に本信託の信託財産を移転することにより、実質的に信託期間を延長することを含みます。以下も同様です。)、本制度を継続することがあります。この場合、当社は、本制度により取締役に交付するために必要な当社株式の追加取得資金として、上記(1)③の上限金額の範囲内の金額の金銭を本信託に追加拠出し、下記(3)のポイント付与および当社株式の交付を継続いたします。

(3)取締役に交付される当社株式の数の算定方法および上限

取締役に対するポイントの付与方法等

当社は、当社取締役会で定める株式交付規程に基づき、各取締役に対し、信託期間中の株式交付規程に定めるポイント付与日において、役位や在任期間等に応じた固定ポイント、並びに役位、在任期間および業績連動ポイント期間開始日の直前に開始する事業年度から業績連動ポイント期間終了日の直前に終了する事業年度までの連続する3事業年度における業績目標の達成度等に応じた業績連動ポイントを付与いたします。

ただし、当社が取締役に対して付与するポイントの総数は、一の固定ポイント期間に対して140,000ポイント、一の業績連動ポイント評価期間に対して630,000ポイントを上限といたします。

付与されたポイントの数に応じた当社株式の交付

取締役は、上記①で付与されたポイントの数に応じて、下記③の手続に従い、当社株式の交付を受けます。1ポイントは当社株式1株といたします。ただし、当社株式について、株式分割・株式併合等、1ポイント当たりの当社株式数の調整を行うことが合理的であると認められる事象が生じた場合には、1ポイント当たりの当社株式数はかかる分割比率・併合比率等に応じて調整されるものといたします。

取締役に対する当社株式の交付

各取締役は、原則として信託期間中の各固定ポイント期間および各業績連動ポイント期間の終了後、各ポイント付与の都度、下記3.の譲渡制限契約を当社と締結することその他所定の手続を経ることを条件として、本信託の受益権を取得し、本信託から上記②の数の当社株式の交付を受けます。

ただし、本信託内の当社株式について公開買付けに応募して決済された場合等、本信託内の当社株式が換金された場合には、当社株式に代わり金銭(当該換金額)を交付することがあります。

(4)議決権行使

本信託内の当社株式に係る議決権は、当社および当社役員から独立した信託管理人の指図に基づき、一律に行使しないことといたします。かかる方法によることで、本信託内の当社株式に係る議決権の行使について、当社経営への中立性を確保することを企図しています。

(5)配当の取扱い

本信託内の当社株式に係る配当は、本信託が受領し、当社株式の取得代金や本信託に係る受託者の信託報酬等に充てられます。

3.取締役に交付される当社株式に係る譲渡制限契約

上記2.(3)③の当社株式の交付に当たっては、当社と取締役との間で、概要、以下の内容を含む譲渡制限契約(以下、「本譲渡制限契約」といいます。)を締結するものとします(各取締役は、本譲渡制限契約を締結することを条件として、当社株式の交付を受けるものとします)。

ただし、株式交付時点において取締役が既に退任している場合や日本国の居住者でなくなることが見込まれる場合には、本譲渡制限契約を締結せずに、譲渡制限を付さない当社株式を交付することがあります。また、この場合には、上記2.(3)②の当社株式のうち一定の割合の当社株式については、源泉所得税等の納税資金を当社が源泉徴収する目的で本信託において売却換金したうえで、当社株式に代わり金銭で交付することがあります。

取締役は、当社株式の交付を受けた日から退任する日までの間、交付を受けた当社株式について譲渡、担保権の設定その他の処分をしてはならないこと
一定の非違行為等があった場合や下記③の(ⅰ)又は(ⅱ)以外の事由により退任した場合には、当社が当該株式を無償で取得すること
その退任が(ⅰ)正当な理由による退任又は当社がやむを得ないと認めた事由による辞任によるもの、又は(ⅱ)死亡による退任、のいずれかであることを条件として、退任時に譲渡制限を解除すること
上記①および③にかかわらず、退任前に日本国の居住者でなくなることが見込まれる場合、又は(ⅱ)当社が消滅会社となる合併契約その他の組織再編等に関する事項が当社の株主総会等で承認されて効力を生じることとなる場合には、本譲渡制限契約の定めに従い、その時点で譲渡制限を解除することがあること

なお、本譲渡制限契約による譲渡制限の対象とする当社株式は、譲渡制限期間中の譲渡、担保権の設定その他の処分をすることができないよう、譲渡制限期間中は、大和証券株式会社に対象となる取締役が開設する専用口座で管理される予定です。

また、上記のほか、本譲渡制限契約における意思表示および通知の方法、本譲渡制限契約の改定の方法、その他取締役会で定める事項を本譲渡制限契約の内容といたします。

ご参考第133期(2022年度)における当社の取締役の報酬等の決定方針

第133期(2022年度)における当社の取締役の個人別の報酬等の決定方針の内容の概要は以下(①~⑥)のとおりです。

① 取締役の報酬等の決定方針

当社はこれまで、社外取締役以外の取締役の報酬については、短期および長期の視点から経営に取り組む立場であることを踏まえ、企業価値の最大化を目的として、固定報酬である基本報酬、並びに、変動報酬である短期インセンティブ報酬としての年次賞与、長期インセンティブ報酬としての譲渡制限付株式報酬の3つの報酬により構成し、また、社外取締役の報酬については、当該役員が主に担う経営の監督機能を十分に機能させるため、基本報酬のみとしてまいりました。現在、当社は長期ビジョン「GMB2030」のもとESGを経営の中核に据えた事業運営への転換を図っており、そのもとで取締役会の監督機能のさらなる強化(コーポレートガバナンス強化)をめざしています。これらの状況のもと、取締役の責務や期待される役割が今後ますます増大すること等を勘案し、取締役の報酬制度を見直し、第132回定時株主総会において取締役の報酬等に関する議案が原案のとおり承認可決されることを条件として、取締役の報酬等に関する基本原則を以下のとおり定めました。

(基本原則)

  • 社外取締役以外の取締役の報酬の目的は、社外取締役以外の取締役に対し、グローバル・メジャー・ブランド(以下「GMB」という)をめざす企業としての社会的責任を果たしながら持続的成長を主導することを促すこととする。

    ・財務業績指標による定量的かつ客観的な評価を報酬に反映し、業績目標の達成を動機付ける

    ・クボタグループ独自のESG施策(以下「K-ESG」という)の推進に対する評価を報酬に反映し、K-ESG経営の取り組みを加速させる

    ・株主価値との連動を強く持たせた報酬体系としつつ、在任中の継続的な株式保有を促し、企業価値の持続的な向上を強く意識付ける

    ・当社がめざす業績目標やK-ESGの達成、企業価値の向上の実現に伴い、当社が定めるGMB企業における標準的水準と同等以上の報酬が得られるよう、報酬水準と業績連動性を設定する

  • 報酬の目的を達するうえで、報酬制度の運営にあたっては透明性と客観性を確保する

    ・報酬の方針の策定・運用に関する決定は、社外取締役が過半数を占める報酬諮問委員会による審議を経て取締役会決議によるものとする

    ・株主への説明責任を的確に果たすため、法令上求められる範囲に留まらず、株主の理解、および、株主との対話を促進する開示を行う

② 報酬体系
(a)
社外取締役以外の取締役

社外取締役以外の取締役の報酬は、固定報酬である基本報酬と業績連動報酬で構成されています。

その構成割合は、競争力のある報酬水準に相応しい高い業績連動性を確保するため、社外取締役以外の取締役のうち、代表取締役社長については、基本報酬と業績連動報酬の比率が概ね1:2となるよう設定いたします。また、代表取締役社長以外の取締役については、各役位の職責等の大きさに鑑み、役位が上位であるほど業績連動報酬の割合が大きくなるよう設定いたします。また、業績連動報酬は、各事業年度における事業規模と収益性の目標達成を促すことを目的とした年次賞与、および、株主価値の共有と中長期的な企業価値の最大化を促すことを目的とした株式報酬(譲渡制限付株式ユニットおよびパフォーマンス・シェア・ユニット)で構成されており、年次賞与と株式報酬の比率は概ね1:1となるよう設定しています。

・報酬構成並びに各報酬構成要素の概要は以下のとおりです。

(b)
社外取締役

社外取締役は、業務執行から独立した立場で取締役会における監督機能や経営に対する客観的助言を行う役割を果たすという立場であることから、その報酬は、固定報酬である基本報酬のみとしています。

③ 報酬水準

・社外取締役以外の取締役の報酬水準は、GMB企業に相応しい報酬上の競争力を適切に確保できるよう、外部専門機関が運営する客観的な役員報酬調査データ(WTW(ウイリス・タワーズワトソン)の「経営者報酬データベース」)等を活用して、規模や収益性、業種、海外展開等が当社に類似する企業を比較対象企業群としてベンチマークし、役位と職責に応じて適切に設定しています。

④ 株式保有ガイドライン

・当社は、株主の皆様との価値共有レベルの深化を目的とし、社外取締役以外の取締役に対して、原則として以下のとおり当社株式を保有することを推奨しています。
代表取締役社長:就任から5年後までに基本報酬の3.0倍に相当する株式
その他の取締役:就任から5年後までに基本報酬の2.4~2.7倍に相当する株式

⑤ 報酬の返還等(マルス・クローバック条項)

・当社は、取締役に対して付与される譲渡制限付株式ユニットおよびパフォーマンス・シェア・ユニットを対象に、報酬の返還条項(マルス・クローバック条項)を設ける予定です。当社の取締役(退任した者を含む)について不正な行為等が生じ、またはその事実が明らかになった場合には、株式交付前のポイント、交付済みの譲渡制限付株式および譲渡制限解除後の株式の一部または全部について、返還請求等を行うことができます。返還請求等の決定およびその内容は、報酬諮問委員会での審議を経て、取締役会決議により決定されるものといたします。

⑥ 報酬決定プロセス

・当社の取締役の報酬等の内容の決定に関する方針および個人別の報酬等の内容は、社外取締役が過半数を占める報酬諮問委員会における客観的な審議を経てその内容を踏まえて取締役会決議により決定されるものといたします。

・報酬諮問委員会の審議においては、客観的視点および報酬制度に関する専門的な知見や情報の提供を目的として、必要に応じて外部専門機関であるWTW(ウイリス・タワーズワトソン)の報酬アドバイザーが陪席しています。