事業報告(2018年4月1日から2019年3月31日まで)

企業集団の現況

当事業年度の事業の状況

事業の経過および成果

 当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の改善が進み、雇用・所得環境は緩やかな回復基調にあるものの、米中間の貿易摩擦の拡大や海外経済の不確実性もあり、依然として先行きは不透明な状況で推移しました。
 当社グループが属する情報サービス業界におきましては、企業における効率化や生産性向上を目的とした投資需要に加え、AI、IoT、Fintech、クラウド型ITサービス等の分野に大きな注目が集まり、市場は拡大傾向となりました。しかしながらソフトウェア開発においては、企業や官公庁のシステム大型投資によりプラスの基調となるものの、人件費・外注費の高騰や、保守・運用コストの削減ニーズ等から、収益環境は楽観視し難い状況が続いております。
 このような状況の中で、当社グループにおきましては、建設機械メーカー向けシステム構築案件や食品製造会社向けシステム構築案件を中心に受注拡大に努めた結果、売上高は堅調に推移いたしました。
 その結果、当社グループの売上高は14,325百万円(前期比5.6%増)となりました。また、営業利益は921百万円(同7.8%増)、経常利益は959百万円(同7.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は596百万円(同5.1%増)となりました。

連結業績

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事業区分別の概況

事業の品目別の業績を示すと次のとおりであります。

システムインテグレーション・
サービス

流通業におけるスーパー向け案件、並びに金融業における銀行向け案件、また、生保向け案件が縮小したものの、製造業における食品製造会社向け案件や建設機械メーカー向け案件が拡大した結果、売上高は前期比3.0%増、売上総利益は前期比3.0%減となりました。

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システムアウトソーシング・
サービス

流通業におけるスーパー向け案件の受注が拡大した結果、売上高は前期比13.1%増、売上総利益は前期比31.9%増となりました。

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プロフェッショナル・サービス

クラウドコンサルティング案件の順調な拡大ならびに、金融業におけるクレジットカード会社向け案件において受注が拡大したことにより、売上高は前期比10.6%増、売上総利益は前期比12.9%増と順調に推移いたしました。

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 所在地別のセグメントの業績については、CUBE SYSTEM VIETNAM CO.,LTD.、上海求歩信息系統有限公司を連結の範囲に含めておりますが、当連結会計年度において本邦の売上高が、全セグメントの売上高の合計に占める割合の90%超であるため、所在地別セグメント情報の記載を省略しております。

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対処すべき課題

 持続的な事業成長を遂げていくためには、システムソリューション・サービス事業における当社の強みを最大限に発揮出来る領域の拡大と強みを活用した新たな成長領域への展開が重要であります。また、既存事業に対する収益構造改革を進めるとともに、積極的な技術開発や技術投資による新たな事業を創出していくことも欠かせない事業活動です。また、事業成長を支え、促進する仕組みの構築やガバナンス機能の強化による意思決定のスピード化等を図り、持続的な成長と企業価値の向上を進めることも重要であります。一方で、当業界では、人的リソース不足への対応が事業成長の重要な要素となるため、人材の確保、中核人材育成、一人当たりの生産性の向上、並びにパートナー企業との連携によるサービス体制の充実を進め、事業の拡大を図ってまいります。

① 事業拡大に向けた取り組み

1)既存領域の拡大

 主要顧客に対して、関係性や信頼性の強化に努め、当社担当範囲の拡大や新規顧客開拓、当社の技術と業務での強みを活かした提案活動に注力し、新たな大規模案件の獲得、新規顧客の開拓を進め、競争優位性を発揮していくことで事業拡大を図ってまいります。

2)新たな成長領域への展開

 流通・通信・金融業を中心とした当社グループの得意領域でのサービス提供をもとに新領域への展開と新規サービス創出の両面で、事業拡大を図ってまいります。
 新領域としては、国内にて成長している新たなマーケット、チャネル、エリアへの展開を進めてまいります。特にモビリティ関連やエネルギー関連事業をはじめ、幅広く「デジタルトランスフォーメーション」関連での拡大を進めてまいります。
 新規サービスにおいては、「デジタルトランスフォーメーション」関連のシステム投資が、新たなマーケットの成長の原動力になると言われており、こうした中で、当社グループが競争優位性を確保するために、既存のビジネスモデルからの転換を図り、得意分野であるブロックチェーン技術を活用したビジネス展開や、アジャイル開発を取り入れたソリューション・サービス、クラウドコンサルティングサービスの提供、またAI事業を得意分野とする企業と共創型ビジネス等を進めることで、新規事業展開を進めてまいります。
 また、海外事業でも、ソリューションビジネスの更なる拡充や共創型ビジネスの創出を図り、アジアを軸としたグローバルな事業展開に注力してまいります。

3)収益性の改善

 当社の属する業界においては、予期せぬ不採算案件の発生に加え、サービスの品質および価格の両面に対するお客さまからの強い要請や競合他社との価格競争の激化による収益性の低下が懸念されます。そうした中、収益の大部分を担う既存ビジネスにおいて、業務の高度化や契約形態改善等の付加価値向上活動に加え、新たな開発手法による開発スピードの高速化、高付加価値サービスの提供、ならびに海外パートナーを活用したサービスモデルでの提供等の収益力向上に向けた取り組みに注力してまいります。

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② 研究開発投資・技術力強化

1)技術投資・研究開発投資

 当社グループは、インキュベーションを促進する当社独自のプログラムによる新規事業化推進のための研究開発投資を2016年度より積極的に進め、先進的な技術への取り組みを活性化し、AI、ブロックチェーン等の技術を強みに転化してまいりました。今後は、コーポレートベンチャーキャピタル機能の強化による協業・共創への事業投資や、新たなデジタル技術に係るR&D推進とパートナー企業との業務提携等によりサービスメニューの充実化や事業化に向けた取り組みに注力してまいります。

2)技術教育強化

 エンジニアリングのスキルは当社グループの競争力、差別化に直結するためシステムエンジニアの継続的なスキルアップは重要な経営課題と捉えております。
 技術力強化に向けた研修プログラムの充実に加え、先進的な技術を取り入れたPJの推進等による成長機会の創出や、研究開発によるエンジニアリング力の向上に努めてまいります。

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③ 経営基盤の強化

1)人的リソースの確保

 当社グループのビジョンを共有し、社員と会社がともに成長し、喜びや豊かさを分かち合える優秀な人材を確保することを前提とし、新卒採用につきましては、採用プロセスの継続的な改善や大学との関係性の強化を進める一方、グローバルでの人材採用も併せて進めてまいります。また、中途採用につきましては、高度な技術力やプロジェクトマネージメント能力を備えた人材の採用のため、新卒同様に採用プロセス改善を進めるとともに未経験者の採用についても積極的に進め、採用数の拡大とレベルアップを図ってまいります。
 人材育成に関しましては、お客さまの事業成長に直結するIT投資に対応する人材の育成や事業展開を推し進める中核人材の育成に加え、女性社員の活躍推進やグローバルで活躍できる人材の育成のため、社員が果敢にチャレンジできる機会を創出すると同時にフォローサポートのサイクルを継続的に実施してまいります。 

2)ガバナンスの強化

 お客様に満足いただけるソリューション・サービスを提供し続けるために、公正かつ効率的な経営に取り組むべく、コーポレートガバナンスの充実を重要課題と考え、的確・明確な経営の意思決定、迅速な業務執行、適切・適正な監督・モニタリングが機能する経営体制の構築に努めるとともに、役員・従業員の法令遵守を徹底いたします。
 経営管理体制の強化では、取締役会のモニタリング機能の強化を図り取締役会の実効性を高めていくことで、透明かつ適正な意思決定を進めてまいります。また、中長期的な業績の向上と企業価値の増大への貢献意識を高めることを目的とした株式報酬制度の内容改善や従業員に対するインセンティブプランの検討等、ステークホルダーとの価値共有を進めることで持続的な成長と企業価値の向上を図っていきます。

3)働く環境の質的向上

 企業としての安全配慮義務をより着実に実行し、労務管理・健康管理の徹底と社員、役員の意識改革を進めることはもちろんのこと、オフィス環境の改善や、働き方改革を推進し、魅力的な職場環境を構築してまいります。

4)ESGへの対応

 当社グループは、持続的な社会の実現に向けてESG視点でITが豊かな社会生活を支えるとの信念のもと、ITを活用したビジネスの展開や経営の諸活動を行うことで、連結企業価値の最大化を進めてまいります。
 また、サステナビリティ推進委員会を発足させ、当社グループの諸活動を総合的に把握し、SDGsなど社会課題解決への取り組みを加速させてまいります。

 これら3つの課題に対する取り組みを実施し、信頼されるキューブシステムグループとなるべく、≪VISION2020≫の実現に向けて進めてまいります。

  • ※デジタルトランスフォーメーション:企業が第3のプラットフォーム技術を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創造し、競争上の優位性を確立すること
  • ※SDGs:2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標のこと
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連結計算書類

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