• 国内酒類事業

     国内におけるビール類総需要は、RTD(※1)への流出及び業務用市場の落ち込みが大きく、前期比98%弱になったと推定されます。
     このような中で、国内酒類事業は、経営ビジョンとして「オンリーワンを積み重ね、No.1へ」を掲げ、サッポログループならではの価値の提供を積み重ねるとともに、当期を「ビール強化元年」と位置付け、ビールに積極的な投資をすることで、更なる成長を目指しました。
     ビールでは、「サッポロ生ビール黒ラベル」「ヱビスビール」の缶製品が好調で、ビール合計の売上数量は前期比104%となり、2年連続で前期を上回りました。
     発泡酒では、「極ZERO(ゴクゼロ)」の売上数量が前期を下回りましたが、新ジャンルでは、「麦とホップ The gold」が好調を維持しており、ビール類合計の売上数量は前期比99%となり、総需要を上回りました。
     RTDでは、高付加価値のコラボ商品である「サッポロ 男梅サワー」や「ネクターサワー」「キレートレモンサワー」などが順調に推移し、売上高は前期を上回りました。
     ワインでは、販売の強化を進めている「トレジャリー・ワイン・エステーツ社」の輸入ワイン「ペンフォールズ」、シャンパーニュの「テタンジェ」、日本ワインの「グランポレール」シリーズなどのファインワイン(※2)の売上高が伸長しました。
     洋酒では、「バカルディ」「デュワーズ」等の主力ブランドが好調に推移したことで、売上高は前期を上回りました。
     和酒では、甲乙混和芋焼酎売上No.1(※3)の「こくいも」が好調に推移し、売上高は前期を上回りました。
     以上の結果、国内酒類事業の売上高は2,794億円(前期比58億円、2%増)となり、営業利益は117億円(前期比31億円、36%増)となりました。

    • ※1 RTD:Ready To Drinkの略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料
    • ※2 ファインワイン:中高級価格(1本1,500円以上)ワイン
    • ※3 インテージSRI甲乙混和芋焼酎市場2015年1月〜2016年12月累計販売金額
      全国SM/CVS/酒DSの合計
  • 国際事業

    ※国際事業、食品・飲料事業及び外食事業の海外売上高を合わせたグループの売上高海外比率は、20.5%(酒税抜き)です。

     北米におけるビール市場の総需要は、アメリカ、カナダともに前期並みであったと推定されます。アジアでは、中国での成長に陰りが見えたものの、その他のアジア諸国では人口増加及び底堅い経済成長を背景に引き続き成長しているものと見込まれます。
     このような中で、国際事業は、重点エリアである北米及び東南アジアにおけるプレミアムビール市場に対して積極的な販売活動を、また、アメリカでは果汁飲料の販路拡大を行いました。
     北米では、カナダにおいて、「スリーマン社」が主力のプレミアムブランドへのマーケティング投資を継続した結果、「スリーマン社」のビール売上数量(「サッポロ」ブランドを除く)は前期比102%となりました。アメリカのビール市場においては、「サッポロUSA社」が従来からの日系市場への取り組みに加えて、アメリカ一般市場やアジア系市場への展開を進めた結果、同社の「サッポロ」ブランドのビール売上数量は前期比101%となりました。
     アメリカの飲料市場においては、「カントリーピュアフーズ社」が5月に買収した果汁シャーベット事業が好調に推移しており、売上高が前期を上回りました。「シルバースプリングスシトラス社」は新たな販路を獲得した結果、売上高が前期を上回りました(決算取込期間調整後)。
     東南アジアでは、ベトナムにおいて、平成27年11月にリニューアルをした「Sapporo Premium Beer」の缶製品が好調に推移しており、売上数量は前期を上回りました。 また、7月には「Sapporo Bluecap」を発売し、お客様からの好評を得ています。シンガポールでは、グループ内の子会社と協働して同国内の家庭用及び業務用市場への販路を拡大しており、ビール売上数量が前期を上回りました。
     その他のエリアでは、韓国において、業務提携先の販売網を通して同国内の家庭用及び業務用市場のビール販売強化の取り組みを続け、「Sapporo Premium Beer」の取り扱い店が増えた結果、ビール売上数量が前期を上回りました。オセアニアでは、現地でのライセンス生産を核として同市場での販売強化に取り組んでおり、ビール売上数量は前期を上回りました。
     これらの取り組みを通じて、国際事業全体の「サッポロ」ブランドのビール売上数量は前期比106%となりました。
     以上の結果、国際事業の売上高は円高の影響もあり、654億円(前期比51億円、7%減)となり、営業利益は9億円(前期比7億円、488%増)となりました。

    サッポロベトナム社商品
    サッポロベトナム社商品
    サッポロUSA社商品
    サッポロUSA社商品
    スリーマン社商品
    スリーマン社商品
    シルバー スプリングス シトラス社商品
    シルバー スプリングス シトラス社商品
    カントリー ピュア フーズ社商品
    カントリー ピュア フーズ社商品
    スリーマン社 ゲルフ工場
    スリーマン社 ゲルフ工場
    サッポロベトナム社 ロンアン工場
    サッポロベトナム社 ロンアン工場
  • 食品・飲料事業

     国内における飲料の総需要は前期比102%と推定されます。
     このような中で、食品・飲料事業は、レモン、スープを中心とした主力ブランドへの投資を集中し、ブランドの強化と育成を図りました。
     国内飲料では、お客様の嗜好に合わせた様々な商品の発売により、飲料における独自のポジションを確立することを目指しました。その結果、国産茶葉を使用した「にっぽん烏龍」や、北海道富良野産ラベンダーを使用した「富良野ラベンダーティー」など、国産素材にこだわった商品の販売が好調に推移しました。また、レモン飲料においては主力の「キレートレモン(PET・瓶)」に加え、機能性表示食品として「キレートレモンMoisture(モイスチャー)」を発売するなど、新たな市場を創造することでキレートレモンブランドとして大きく売上を伸ばしました。
     国内食品では、スープの「じっくりコトコト」ブランドが当期で20周年を迎え、電子レンジ対応パウチの「じっくりコトコト ご褒美Dining(ダイニング)」など、様々な新商品を投入しブランド強化を図りました。レモン食品においては、「ポッカレモン100」の売上が堅調に推移し、レモン食品の売上金額は前期比105%となりました。また、新規事業として、「トーラク社」から豆乳飲料・豆乳ヨーグルトの営業権を譲受して豆乳事業へ本格参入し、「ソヤファーム」ブランドの豆乳飲料・豆乳ヨーグルトの販売強化、及びブランド認知度の拡大を図りました。
     国内外食では、カフェチェーン「カフェ・ド・クリエ」が、書店や病院内への積極的な店舗展開を行いました。また、「自然とのつながりを感じられる、ゆったりとしたくつろぎの時間」というコンセプトの「メゾン・ド・ヴェール」ブランドの確立を図りました。このような取り組みの結果、直営店の売上が堅調に推移し、売上高が前期を上回りました。
     海外飲料では、シンガポール国内でのお茶カテゴリーでNo.1ポジション(※1)を維持しており、特に緑茶では約70%のシェアを占めています。また、お客様と良好な関係を築き、ブランドの価値を提供し続けている企業に贈られる「Influential Brands Awards 2016」において、「POKKA」ブランドが非炭酸飲料カテゴリーでTOP1ブランドに輝きました。
     以上の結果、食品・飲料事業の売上高は1,379億円(前期比22億円、2%増)となり、営業利益は13億円(前期比8億円、203%増)となりました。

    ※1 データ出典:Nielsen Singapore Market Track March 2016
    (Copyright c 2016, The Nielsen Company)
    国内食品飲料の主要商品
    国内食品飲料の主要商品
    海外飲料の主要商品
    海外飲料の主要商品
    カフェチェーン「カフェ・ド・クリエ」
    カフェチェーン「カフェ・ド・クリエ」
  • 外食事業

     国内外食市場は、業界全体としては回復傾向にあるものの、採用コストや食材の仕入価格は引き続き上昇基調にあり、依然として厳しい経営環境にありました。
     このような中で、外食事業は、企業理念である「JOY OF LIVING〜生きている喜び〜」のもと、安全・安心な商品の提供を心がけ「お客様へ100%満足の提供」を目指す店舗づくりを進めてきました。
     国内では、新規出店については、動物園内初出店となる「ガーデンテラス ライオン」を旭川・旭山動物園に、クラフトビールをメインとする新業態「CRAFT BEER KOYOEN」を名古屋に出店するなど、新たな地域や業態にチャレンジしました。また、コアブランド「銀座ライオン」業態についても、施設の建替えに伴い長期間休業していた大型基幹店を、複合商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」と新橋駅前にて再開しました。これにより当期は計12店舗の新規出店を行うとともに、2店舗の改装を実施しました。
     また、6月より札幌を中心に「くし路」や「札幌銀鱗」などの飲食店ブランドを展開する「マルシンカワムラ社」と、水産品の加工及び販売を行う「銀鱗水産社」を新規連結に加えました。一方で、不採算であった8店舗を閉鎖したことにより、当期末の国内店舗数は200店舗となりました。
     シンガポールにおいては、当期末の店舗数は14店舗となっており、平成27年11月に立ち上げた新たなブランド「とん吉銀座食堂」とともに、「銀座ライオン」ブランドを世界に発信すべく地域に愛される店舗づくりを進めています。
     以上の結果、外食事業の売上高は281億円(前期比11億円、4%増)となり、営業利益は6億円(前期比1億円、27%増)となりました。

    銀座ライオン GINZA PLACE店
    銀座ライオン GINZA PLACE店
    ヱビスバー 川崎アゼリア店
    ヱビスバー 川崎アゼリア店
    CRAFT BEER KOYOEN KITTE名古屋店
    CRAFT BEER KOYOEN KITTE名古屋店
    くし路 KITTE丸の内店(マルシンカワムラ社)
    くし路 KITTE丸の内店(マルシンカワムラ社)
  • 不動産事業

     国内不動産業界は、首都圏オフィス賃貸市場において、好調な企業業績を背景にオフィス需要が堅調なことから引き続き空室率は低い水準で推移しており、賃料水準も緩やかな上昇傾向が継続しています。
     このような中で、不動産賃貸では、収益の柱となっている「恵比寿ガーデンプレイスタワー」をはじめ、首都圏を中心に保有する各物件で高稼働率を維持しています。また、既存テナントの賃料水準引き上げについても積極的に取り組みを進めています。
     複合商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」においては、恵比寿のランドマークとして「大人の街」となるべく、ブランド力強化と利便性向上を図るためのバリューアップを推進しています。商業エリアでは、10月に展望レストラン街38階を、「Grand&Casual 〜本物を気軽に愉しむ贅沢」のコンセプトのもと、展望スペース「SKY LOUNGE」を新設したほか、モダンに和食が愉しめるフロアへと全面リニューアルするとともに、JR山手線沿いに位置するシティウォール区画を、「大人の社交場(Bar)」をコンセプトにした飲食エリア「BRICKEND(ブリックエンド)」として新たにオープンしました。街を訪れるお客様に様々なシーンに合わせて集い、愉しんでいただけるよう、食体験のバリエーションを充実させることで、街の活性化と賑わいの創出に取り組みました。また、平成26年10月に開業した「恵比寿ファーストスクエア」は、高度な安全性・快適性・環境性能を備えた競争力のあるオフィスビルとしてお客様より高い評価をいただき、開業以来、満室稼働を維持しており、当期は更なる収益拡大に貢献しました。
     不動産開発では、銀座四丁目交差点の一角に、「発信と交流の拠点」をコンセプトにした複合商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」が9月に開業しました。銀座の新たなランドマークとして、また日本の伝統や文化、先端技術など様々な情報発信を行う施設として、国内外のお客様から注目を集め、12月には早くも累計来館者100万人を達成し、街の賑わい創出に貢献しています。また、札幌市が都心まちづくり重点地区と位置付けて進める「創成川以東地区」の再整備計画に合わせ、複合商業施設「サッポロファクトリー」の改装を進めるとともに、隣地駐車場跡地の再開発に着手し、新たな商業施設の建設を進めています。
     一方、長期的な視点から引き続き物件ポートフォリオの見直しを行っており、12月には旧ポッカ社創業の地であり、サッポログループとゆかりが深い名古屋の商業の中心地、中区栄にある商業ビルの信託受益権を取得しました。
     以上の結果、不動産事業の売上高は229億円(前期比20億円、10%増)、営業利益は103億円(前期比20億円、25%増)となりました。

    恵比寿ガーデンプレイス(東京都渋谷区・目黒区)
    恵比寿ガーデンプレイス(東京都渋谷区・目黒区)
    サッポロファクトリー アトリウム(札幌市中央区)
    サッポロファクトリー アトリウム(札幌市中央区)
    恵比寿ガーデンプレイス クリスマスの模様
    恵比寿ガーデンプレイス クリスマスの模様
    GINZA PLACE(銀座プレイス)(東京都中央区)
    GINZA PLACE(銀座プレイス)(東京都中央区)