第5号議案 取締役に対する長期インセンティブ型報酬の決定の件

当社は、社外取締役以外の取締役(以下「対象取締役」といいます)に対する長期的な企業価値の創造に向けた動機づけと、株主のみなさまとの利益意識の共有を目的として、業績連動型株式報酬の一種であるパフォーマンス・シェア・ユニットを用いた長期インセンティブ型報酬制度(以下「本制度」といいます)を導入しています。

本制度では、1事業年度を支給対象年度として年度ごとに各対象取締役に基準となる株式ユニットを付与し、支給対象年度を含む3事業年度を評価対象期間として予め複数の評価指標を定めたうえで、評価対象期間終了後に各評価指標の達成率に応じて支給率を算出し、この支給率に応じて株式ユニット数を増減させたうえで、当該株式ユニット数に応じた数の当社普通株式交付のための金銭報酬債権と金銭を各対象取締役に支給いたします。各対象取締役は、当該金銭報酬債権の全部を現物出資の方法で給付することにより、当社普通株式の交付を受けるものとし、この場合の払込金額は、当該株式の発行または処分に係る当社取締役会決議の日の前営業日における東京証券取引所における当社普通株式の終値(同日に取引が成立していない場合は、それに先立つ直近取引日の終値)(以下「交付時株価」といいます)を基礎として、当社普通株式を引き受ける各対象取締役に特に有利な金額とならない範囲で当社取締役会において決定した額とします。対象取締役に対する当社普通株式交付のための金銭報酬債権および金銭を支給する条件の概要については、下記<本制度をご理解いただくためのご参考情報>に記載のとおりです。

本制度に係る報酬等の各対象取締役への具体的な支給時期および配分については、社外取締役を委員長とする指名・報酬諮問委員会の審議を経て、当社の取締役会において決定することといたします。本制度における2022年度に係る報酬等として、2022年度から連続した3事業年度終了時における会社業績等の目標達成率等に応じて対象取締役に支給する当社普通株式交付のための金銭報酬債権および金銭の総額については、当社普通株式86,000株に交付時株価(ただし、組織再編等により対象取締役全員が評価対象期間中に当社または当社子会社の取締役およびエグゼクティブオフィサーの地位を喪失したことに伴い、評価対象期間の終了前に本制度に基づく報酬等を支給する場合は、当該支給に係る当社取締役会決議の日の前営業日における東京証券取引所における当社普通株式の終値(同日に取引が成立していない場合は、それに先立つ直近取引日の終値)とします)を乗じた額(以下「支給上限額」といいます)を上限とし、また、本制度に基づき対象取締役に交付する当社普通株式の総数について43,000株(以下「交付上限株式数」といいます)を上限とし、この範囲内で、各対象取締役に対し、原則として、本制度に基づく報酬等の50%分を当社普通株式交付のための金銭報酬債権で、残りを金銭で支給することといたします。上記報酬の支給について、ご承認をお願いいたします。

なお、本議案の内容は、事業報告に記載の取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針に沿うものであり、その内容は相当であると考えております。

現在の当社の取締役の員数は7名(うち社外取締役3名)であり、第3号議案が原案どおり承認された場合、取締役は8名(うち社外取締役4名)となります。対象取締役は、この8名の取締役のうちの社外取締役以外の取締役4名となります。

<本制度をご理解いただくためのご参考情報>
当社の役員報酬制度の全体像

当社の役員報酬制度は、社外取締役を委員長とする指名・報酬諮問委員会で設計されており、客観的な視点を取り入れた透明性の高い報酬制度となっています。当社の役員報酬は、基本報酬と、業績目標の達成度や株価に連動した業績連動報酬で構成され、報酬額の水準については、国内外の同業または同規模の他企業との比較および当社の財務状況を踏まえて設定しています。

なお、業務執行から独立した立場にある社外取締役および監査役には、業績連動報酬等の変動報酬は相応しくないため、基本報酬のみの支給としています。また、役員退職慰労金制度については、2004年6月29日開催の第104回定時株主総会の日をもって廃止しました。

当社の役員報酬制度ならびに2021年度に支払った取締役の基本報酬および同年度の業績評価を踏まえて支払う予定の年次賞与等については、82ページから88ページに記載のとおりです。

本制度の概要

本制度は、毎年、支給対象年度を含む3事業年度を評価対象期間として予め複数の評価指標を定め、評価対象期間の終了後に、当該評価指標の達成率等に応じた数の当社普通株式を交付するための金銭報酬債権および金銭を、報酬等として支給する制度です。

2022年度を支給対象年度とする分の評価対象期間は、2022年1月1日から2024年12月31日までの3事業年度であり、対象取締役に対する当社普通株式交付のための金銭報酬債権および金銭の額の確定および支給は、原則として評価対象期間の終了後に行います。なお、本制度は、評価指標の達成率等に応じて当社普通株式交付のための金銭報酬債権および金銭を支給するものであることから、株式ユニットの付与時点では、各対象取締役に対してこれらの報酬等を交付または支給するか否か、ならびに交付する当社普通株式の株式数、当社普通株式交付のための金銭報酬債権および金銭の額はいずれも確定しておりません。

また、本議案の決議の日以降、当社普通株式の株式分割(当社株式の株式無償割当てを含む)または株式併合が行われた場合には、当該分割または併合の比率に応じて、上記の支給上限額の計算の基礎となる当社普通株式の数(86,000株)および交付上限株式数(43,000株)ならびに各対象取締役に交付する当社普通株式の数を調整するものとします。

本制度の具体的な仕組み

本制度の具体的な仕組みは、以下のとおりです。

① 本制度では、業績連動部分と固定部分が設定されています。

② 本制度において使用する評価指標および業績連動係数等、各対象取締役に交付する株式数等の具体的な算定にあたって必要となる評価指標および各評価指標の達成率等に応じた支給率等は、当社取締役会において決定します。当社は、新型コロナウイルスの依然とした感染拡大により市場回復時期および成長予測が困難であることから、財務指標を維持し、中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」で目標とする、営業利益率15%を評価対象期間の最終事業年度における必達目標とします。また、営業利益率の達成を最重視する上で、売上高の成長が不可欠であることから、売上高成長率も目標を維持し経済価値に関する評価指標とします。加えて、当社は、サステナブルな成長を実現するために社会価値を意識した事業活動が重要であると考え、2022年度よりこの社会価値に関する指標の評価ウエイトを高めます。

③ 本制度の評価指標とそのウエイトの全体像は下表のとおりであり、経済価値に関する指標である評価対象期間の最終事業年度における連結営業利益率については15%を目標値とし、これらを達成した場合にこの指標における支給率上限を適用する設計としています。また、評価下限値を10%としており、これらに満たない実績となった場合はこの指標について業績連動部分を支給しないこととしています。連結売上高の評価対象期間における年平均成長率(CAGR)については7%を達成した場合にこの指標における支給率上限を適用し、4%に満たない実績となった場合はこの指標について業績連動部分を支給しないこととしています。なお、連結売上高の年平均成長率指標は、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける前の2019年度実績から売却事業・ブランドの売上高を差し引き、これを起点に算出することとしています。社会価値に関する指標については、下表のように環境・社会・企業統治(ESG)に関する社内外の複数の指標で目標値を設定し、それらの達成率に応じて支給率が変動する仕組みになっています。なかでも、本年からは、当社のサステナビリティ戦略の中で重要な取り組みとなるCO2削減を環境指標として新たに設定し、環境への取り組みを促進していきます。これにより、社会価値に関する指標の評価ウエイトを10%から20%に高めています。また、連結ROE(自己資本当期純利益率)については、未来の成長に向けた投資や長期的成長のための課題解決などを積極的に行うことに対する過度な足かせにならないよう配慮する観点から、指名・報酬諮問委員会の審議を経て予め一定水準(閾値(しきいち))を定め、当該閾値を下回った場合に指名・報酬諮問委員会において業績連動部分の支給率の引き下げを検討する仕組みとしています。

④ 評価対象期間満了後、各評価指標の達成率等に応じて決定される支給率に基づき、次項に記載する「対象取締役に交付する当社普通株式の数および支給する金銭の額の算定方法」に従い、各対象取締役に割当てる当社普通株式の数および支給する金銭の額を、指名・報酬諮問委員会での審議を経て、取締役会において決定します。

⑤ 当社は、上記④で決定された各対象取締役に割当てる当社普通株式の数に応じて、当社取締役会決議に基づき、各対象取締役に対し、当社普通株式交付のための金銭報酬債権を支給し、各対象取締役は、当該金銭報酬債権の全部を現物出資の方法で給付することにより、当社普通株式の交付を受けます。なお、当社普通株式の払込金額は、交付時株価を基礎として、当社普通株式を引き受ける各対象取締役に特に有利とならない範囲内で当社取締役会において決定します。

⑥ 上記⑤の当社株式の交付に伴い、各対象取締役に納税費用が発生することから、この納税費用の資金確保のため、当社は、上記⑤の金銭報酬債権に加えて、上記④で決定された額の金銭を各対象取締役に支給します。

⑦ 各対象取締役に対する株式交付の要件その他詳細は、当社取締役会で定めるものとします。

対象取締役に交付する当社普通株式の数および支給する金銭の額の算定方法

当社は、以下の①の計算式に基づき、各対象取締役に交付する当社株式の数を算定し、以下の②の計算式に基づき、各対象取締役に納税資金として支給する金銭の額を算定します。

① 各対象取締役に交付する当社普通株式の数(※3)
基準株式ユニット数(※1)×支給率(※2)×50%

② 各対象取締役に支給する金銭の額(※3)(※4)

{(基準株式ユニット数(※1)×支給率(※2))-上記①の計算式に基づき各対象取締役に交付する当社普通株式の数}×交付時株価

※1 評価対象期間中の事業年度ごとに、当社取締役会において各対象取締役の役割等級に応じて定められた基準額を、株式ユニットの付与に係る当社取締役会決議の前営業日の東京証券取引所における当社普通株式の終値(同日に取引が成立していない場合は、直前取引日の終値)を基礎として各対象取締役に特に有利な金額とならない範囲で当社取締役会において決定する額で除して得た数の株式ユニット(ただし、1ユニット未満の端数が生じた場合はこれを切り捨てます。)を、基準株式ユニットとして各対象取締役に付与します。

※2 上記「本制度の具体的な仕組み」に記載の各評価指標の達成率に応じ、当社取締役会において定める方法により、50%~150%の範囲内で変動します。

※3 上記計算式で算定した数および額の当社普通株式の交付および金銭の支給を行うことにより、交付上限株式数(43,000株)または支給上限額を超える場合には、これらの上限以内に収まるよう、按分比例等の当社取締役会において定める合理的な方法により、各対象取締役に交付または支給する株式の数および金銭の額を減少させるものとします。

※4 上記計算の結果、1円未満の端数が生じた場合はこれを切り捨てます。

本制度に基づく報酬等の支給要件

当社は、以下の要件を満たす対象取締役に対して、本制度に基づく報酬等を支給します。当社が当社普通株式を交付する際は、当社による株式発行または自己株式の処分により行われ、当社普通株式を交付する対象取締役および当該株式発行または自己株式の処分に係る募集事項は、以下の①ないし③の要件および上記に記載した算定方法に従い、評価対象期間終了後に当社取締役会において決定します。

① 在任期間要件を満たすこと(支給対象年度中継続して当社もしくは当社子会社の取締役またはエグゼクティブオフィサーのいずれかの地位にあったこと等を要する)

② 権利確定前に退任する場合は、懲戒処分等による退任ではないこと

③ その他本制度の趣旨を達成するために必要なものとして当社取締役会が定める要件を充足すること

なお、本制度においては、マルス・クローバック条項を導入しており、対象取締役に重大な不正行為があった場合等一定の場合には、取締役会はその決定により、株式ユニットの数を減少させ、または返還を受けることができます。

対象取締役の退任時の取り扱い

対象取締役が評価対象期間中に当社または当社子会社の取締役およびエグゼクティブオフィサーの地位を喪失した場合であっても、上記支給要件を満たす場合は、当該地位の喪失事由の性質に応じ、支給上限額および交付上限株式数の範囲内で当社取締役会において定める合理的な方法に基づき算定した数の当社普通株式もしくは金銭またはその双方を、当社取締役会が定める時期に交付または支給することがあります。なお、対象取締役の退任に伴い評価対象期間の終了前に本制度に基づく報酬等を支給する場合は、当該対象取締役に交付する株式の数または支給する金銭の額の算定には、当該支給に係る当社取締役会決議の日の前営業日における東京証券取引所における当社普通株式の終値(同日に取引が成立していない場合は、それに先立つ直近取引日の終値)を用います。

(注)
  • 会社法第361条においては、取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益を「報酬等」と呼んでおり、本議案における「報酬等」もこれと同義です。
  • 当社は、当社グループの連結財務諸表および連結計算書類について、2022年12月期より従来の日本基準に替えて、国際財務報告基準(IFRS)を任意適用することを決定しており、本制度における経済価値指標の評価にあたっては、当該会計基準の変更を踏まえて、評価対象期間の財務指標を調整します。