事業報告(平成29年4月1日から平成30年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

(1)当連結会計年度の事業の状況

① 事業の経過及びその成果

 当期における国内経済は、堅調な雇用・所得を背景に、設備投資や輸出が増加し、緩やかな景気回復が続きました。
 海外においては、米国、欧州、中国やアジア諸国の景気が比較的堅調で、米国の保護主義、金融市場の不安定化や地政学的なリスク等はあるものの、総じて拡大基調にあります。
 自動車業界においては、日本では、軽自動車の販売は回復し、輸出増もあって、生産台数が増加しました。海外では、北米は乗用車販売の減少傾向が続く一方、中国及びインドは拡大基調で推移しており、欧州でも、SUVに対する高い需要により、好調な販売となりました。
 このような経営環境の中、当社グループは、EV化や自動車業界の大きな転換期を好機と捉え、持続的な成長と進化を遂げるべく、中長期的な成長戦略として「売上高3,000億円」、「営業利益200億円」の達成を掲げ、「技術」、「販売」、「人事」の3つ領域でのイノベーションによる目標達成に取り組んでまいりました。
 技術イノベーションにおいては、得意先完成車メーカーに対する、車一台開発提案のコア技術として、ボディの性能解析技術を極め、新機種の受注原単位の飛躍的な拡大に注力しています。
 また、欧州、中国で加速する自動車の電動化も視野に入れて、先進的な軽量・高剛性ボディの進化を進めています。この取り組みを推進する日本、米国、ドイツ、中国のグローバルな研究開発の中核拠点として、「ジーテクト東京ラボ」の建設を進め、この4月に開設しました。
 販売イノベーションにおいては、欧州高級車メーカーを主なターゲットとした営業活動を展開し、スロバキアにおいて、英国で取引のある欧州高級車メーカーからアルミ部品を新規受注しました。これに対応するため、同国にアルミボディ量産拠点(G-TEKT Slovakia, s.r.o.)を設立し、2019年6月の稼働に向けた準備を進めています。また、英国拠点(G-TEKT Europe Manufacturing Ltd.)では、アルミ加工に対応した第4工場の建設に着手し、2019年1月の稼働を予定しています。今後欧州では、英国拠点をマザーとしてアルミボディ量産化を推し進めるとともに、欧州高級車メーカーの高い品質基準に応えていくことで、当社のブランドイメージを高めてまいります。
 一方、中国では、上海市に新たに開設したリサーチオフィス(G-TEKT Shanghai Representative Office)が業務を開始しました。また、日系自動車メーカーからの受注拡大に伴い、能力拡大を目的として湖南省長沙市に新工場を建設しました。今後中国では、上海リサーチオフィスが収集した現地ニーズ及び市場の調査結果等の情報を活用し、当社の先進的な軽量・高剛性ボディとブランドイメージを活用して、市場の開拓を推進してまいります。
 人事イノベーションにおいては、国内従業員を対象とした新人材育成制度の構築に重点を置き、クラウドを活用した育成支援ツールを新たに導入するなどの取り組みを通じて人材育成を加速させました。
 当期業績は、新機種立ち上げが減少しましたが、中国・アジアの増産等による量産売上の増加により、売上高は219,849百万円(前年同期比6.7%増)となりました。利益につきましては、北米における製造費用の一時的な増加の影響がありましたが、他地域での利益改善を進め、営業利益は14,272百万円(前年同期比0.9%減)となりました。経常利益は、持分利益及び為替差損の縮小等により、14,606百万円(前年同期比1.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、政策投資株式の売却益や税効果会計などにより、11,532百万円(前年同期比18.8%増)となりました。

ア.報告セグメントごとの外部顧客に対する売上状況

イ.製品別売上高

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(2)対処すべき課題

 当社は、車体部品とトランスミッション部品の専門メーカーとして世界TOPを目指してまいりました。
 昨年の4月より第3次中期がスタートしましたが、この3ヵ年は売上高3,000億円・営業利益200億円を目指すための土台となる重要な時期と認識しております。
 この経営目標達成を確かなものとするため、『技術イノベーション』、『販売イノベーション』、『人事イノベーション』を着実に実行し、以下の課題に取り組んでまいります。

① 品質管理体制の強化

 品質は、顧客との信頼関係の基礎となる最重要課題であるとの認識の下、図面や金型の作成段階から徹底的に見直し、全社を挙げて品質の確保を進めてまいります。

② 生産体質改善

 量産で売上を確保できる生産体制を構築するべく、生産ライン構想や作業方法、生産アロケーションの見直し等、それぞれの地域の状況に合わせた地域最適となる取り組みを行ってまいります。

③ 海外拠点の持続的な成長と進化

 各海外拠点の自立化を促しつつ、日本と現地とでグローバル戦略を共有し、持続的な成長と進化を図ってまいります。

④ 現地開発機能の強化

 日本の研究開発機能を中心に、ドイツ・中国の調査拠点及び米国開発拠点と連携しながら、各地域のニーズを迅速・的確に入手し、新技術提案力を飛躍的に高めてまいります。

⑤ 軽量化技術への取り組み

 自動車の低燃費化・電動化ニーズにボディの軽量・高剛性化で応えるため、鉄の可能性を引き出すウルトラハイテン加工技術、ホットスタンプ技術及び部分軟化技術にさらに磨きをかけると共に、非鉄材料であるアルミやCFRPの成形技術及びそれら非鉄材料と鉄を接合する異材接合技術等の商品化を進めてまいります。

⑥ 他社販売の強化

 新規顧客獲得に向けて、日本で販売戦略を立案し、各地域本部が緊密に連携することにより、地域と地域をつなぐグローバル規模の新しい販売体制を構築し、営業活動を強化してまいります。

⑦ 人材育成

 公平で実力が反映される新人事制度と従業員が依って立つべきキャリアモデルを示した新人材育成制度に加え、それらを支援するツールである「HUMAN CAPITAL MANAGEMENT SYSTEM」を活用することにより、「グローバル経営人財」を創出していくと共に、「次世代経営陣」の育成にも力を入れてまいります。

⑧ グローバルCSR活動の強化

 あらゆるステークホルダーの皆様から存在を期待される企業になるため、CSR活動をグローバルに展開し、(1)コーポレートガバナンス、(2)情報管理、(3)安全衛生、(4)品質、(5)人権・労働、(6)環境、(7)社会貢献をテーマとした課題への対応を図り、持続的な成長と進化を目指してまいります。

 また、国内では、今期から3年の年限を設け、生産・技術・管理の3事業部門で、業務プロセスの改善、AI、IoTの導入による省人化、工数の低減などを通じた各部門の生産性改善を実施し、会社全体の付加価値を高める「生産性向上プロジェクト」を推進してまいります。

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