事業報告(2018年4月1日から2019年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

1.当連結会計年度の事業の状況

・事業の経過及び成果

 当連結会計年度における日本の株式市場は、期初から夏にかけて、米中貿易摩擦に対する警戒感などから一進一退を繰り返しました。堅調な米国株式市場を背景に、10月にはTOPIXが1,824.03ポイントまで上昇したものの、その後、米国長期金利の上昇や中国の景気減速への警戒感から下げに転じ、米中対立の激化などから、12月には、1,415.55ポイントまで下落しました。年明け以降、米国金融政策に柔軟な姿勢が見られたことなどから反発し、その後も、米中協議の進展に対する期待や米国の良好な雇用環境も背景に、欧州情勢や中国の景気減速懸念など相場の不透明要因も見られるものの、概ね堅調な展開が続きました。その結果、2019年3月末時点におけるTOPIXは1,591.64ポイント(2018年3月末比-124.66ポイント)となりました。

 このような状況のもと、当社グループ(本事業報告において、当社及びその子会社からなる企業集団を指しております。)では、日本株市況に過度に依存しないバランスがとれたビジネスポートフォリオの実現を中長期的な将来像として目指し、第二次中期経営計画(2016年度-2018年度)の3年目として、4つの重点課題である① 投資家の多様なニーズの充足と中長期的な資産形成の活性化、② コーポレート・ガバナンスの実効性向上などを通じた上場会社の価値向上支援、③ BCPの強化や国債決済期間の短縮などによる市場基盤の強化、④ フィンテックの活用推進などによる新たな地平の開拓について、精力的な取組みを行いました。

 当社グループの当連結会計年度の連結業績は、営業収益は1,211億34百万円(前連結会計年度比0.4%増)、営業費用は541億11百万円(同6.3%増)、営業利益は695億35百万円(同3.1%減)となり、税引前利益は707億86百万円(同3.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は490億57百万円(同2.8%減)となりました。

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事業区分別の概況

①取引関連収益

営業収益48,660百万円

 取引関連収益は、現物の売買代金及びデリバティブの取引高等に応じた「取引料」、取引参加者の取引資格に応じた「基本料」、注文件数に応じた「アクセス料」、利用する売買システム施設の種類に応じた「売買システム施設利用料」等から構成されます。

 当連結会計年度の現物市場における1日平均売買代金は3兆3,068億円(注)、デリバティブ市場の取引高合計は、3億6,444万単位となりました。

 この結果、当連結会計年度の取引関連収益は、基本料が10億17百万円(前連結会計年度比2.5%減)、現物取引料が280億84百万円(同8.4%減)、デリバティブ取引料が111億63百万円(同5.2%減)、その他アクセス料・売買システム施設利用料等が83億94百万円(同1.2%増)となり、合計で486億60百万円(同6.0%減)となりました。

 (注) 東証市場第一部、第二部、マザーズ、JASDAQ及びTOKYO PRO Marketにおける立会内、立会外の株券売買代金並びにETF・ETN、REIT・インフラファンド及びその他有価証券等の立会内、立会外の売買代金の合計を記載しております。

主な取組み内容

  • ● 総合取引所の実現に向けた(株)東京商品取引所との基本合意(2019年3月)
  • ● 個人投資家層の拡大を目指し、若年層・投資未経験層向けに金融リテラシー向上プログラムを提供
  • ● より一層の流動性向上を目指した、ETFのマーケットメイク制度Ver.2の導入の決定(2019年2月)
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②清算関連収益

営業収益24,788百万円

 清算関連収益は、(株)日本証券クリアリング機構が行う金融商品債務引受業に関する清算手数料等から構成されます。

 当連結会計年度の清算関連収益は、247億88百万円(前連結会計年度比5.6%増)となりました。

主な取組み内容

  • ● 国債取引の決済期間の短縮(T+1)化の実現(2018年5月)
  • ● 金利スワップ清算サービスにおける債務残高圧縮機能(コンプレッション機能)の一層の拡充(2018年9月)
  • ● 円建て金利スワップの清算対象範囲の拡大(2018年9月)
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③上場関連収益

営業収益14,025百万円

 上場関連収益は、上場会社等から時価総額に応じて受領する「年間上場料」、新規上場や上場後の新株券の追加上場などの際に受領する「新規・追加上場料」から構成されます。

 当連結会計年度の上場関連収益は、新株発行が減少したことなどから、140億25百万円(前連結会計年度比3.6%減)となりました。

主な取組み内容

  • ● 企業と投資家との対話を通じ、コーポレート・ガバナンス改革をより実質的なものへと深化させていくためのコーポレートガバナンス・コードの改訂(2018年6月)
  • ● 現物市場の市場構造について、上場会社の企業価値の維持向上をより積極的に動機付け、国内外の多様な投資家からのより高い支持を得られるものとなるよう在り方等を検討
  • ● 資本市場活用に向けた地域金融機関との連携の推進
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④情報関連収益

営業収益21,029百万円

 情報関連収益は、情報ベンダー等への相場情報の提供に係る収益(相場情報料)のほか、指数ビジネスに係る収益及びコーポレートアクション情報等の各種情報の提供に係る収益から構成されます。

 当連結会計年度の情報関連収益は、相場情報料が増加したことに加え、指数ビジネスに係る収益が増加したことなどから、210億29百万円(前連結会計年度比5.8%増)となりました。

主な取組み内容

  • ● ESG関連指数の開発(年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のグローバル環境株式指数に、JPX・S&Pダウジョーンズ・インデックス共同指数(S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数)が採用)(2018年9月)
  • ● 新たな情報配信サービスの提供の推進及び拡大の検討
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⑤営業費用

営業費用54,111百万円

 当連結会計年度の営業費用は、人件費が165億84百万円、システム維持・運営費が118億98百万円、減価償却費及び償却費が116億99百万円となったこと等から541億11百万円(前連結会計年度比6.3%増)となりました。

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2.直前3連結会計年度の財産及び損益の状況

連結計算書類

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