第3号議案 取締役に対する事後交付型株式報酬制度の一部改定の件
1.提案の理由
当社の取締役の報酬は、基本報酬、業績連動賞与及び事後交付型株式報酬により構成されております。このうち、当社の取締役(社外取締役を除く、以下「対象取締役」)に対する事後交付型株式報酬につきましては、継続勤務発行型株式報酬としてのリストリクテッド・ストック・ユニット(以下「RSU」)と、業績連動発行型株式報酬としてのパフォーマンス・シェア・ユニット(以下「PSU」)の、2つの類型の株式報酬を付与しております。当社は、2020年6月23日開催の第124回定時株主総会において、事後交付型株式報酬制度(以下「本制度」)の導入につき株主の皆様にご承認いただき、本制度を運用してまいりました。
本議案は、本制度に基づく金銭報酬債権等の総額及び株式総数の上限の変更、PSUにおける業績目標達成度等の評価指標の変更及び本制度の継続に伴う所要の変更を行うことについてご承認をお願いするものであります。
本制度は、株価変動のメリットとリスクを株主の皆様と共有し、中期業績向上及び企業価値向上への貢献意欲を高めることを目的として導入したものであります。本制度の改定は、変化が激しく予測困難なグローバルの経営環境において、かかる意欲をより一層高め、人材市場において競争力のある報酬水準を確保するために、固定報酬である基本報酬は現行水準を維持しつつ、業績等に連動する株式報酬の割合を拡大するものであります。また、PSUにおける評価指標においては、持続可能な社会の実現に向けた貢献意欲を向上させるために環境・社会に関する指標を導入するとともに、資本コストや株価を意識した経営の実践をさらに動機づけることを企図し、株価指標を導入することといたしました。以上のことから、当社の取締役は、持続的な成長と企業価値向上に向けた動機づけをさらに強めるとともに、株主の皆様との一層の価値共有を進めてまいります。
《ご参考》報酬構成割合の変更イメージ(代表取締役社長執行役員CEOが業績目標等を100%達成した場合)

2.本制度の改定を相当とする理由
当社は、取締役の報酬の妥当性と決定プロセスの透明性を確保するため、取締役会の諮問機関として、報酬諮問委員会を設置しており、同委員会の委員長及び委員の過半数は、独立社外取締役が務めております。
本制度の改定に際しては、同委員会へ諮問し、その答申を受けた取締役会において、取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針を決議しております。変更後の決定方針の内容の概要は、24ページに記載のとおりであります。本議案の内容は、当該変更後の決定方針に沿った合理的な内容であり、相当であると判断しております。
3.改定後の本制度における報酬等の額及び具体的な内容
(1) 概要
① RSU
中期経営計画の初年度から最終年度の末日までの3年間(または3年以上で当社取締役会が定める期間、以下「対象期間」)の継続勤務を条件に、事前に定める当社普通株式と引換えにする払込みに充てるための金銭報酬債権(以下「金銭報酬債権」)及び当該株式の交付に伴い生じる納税資金確保のための金銭(以下「納税目的金銭」といい、金銭報酬債権と合わせて「金銭報酬債権等の総額」)を、対象期間終了後に報酬として支給する継続勤務発行型株式報酬です。各対象取締役は、金銭報酬債権を現物出資の方法で給付することにより当社普通株式の交付を受けるものとし、この場合の払込金額は、当該株式の発行または処分に係る当社取締役会決議日の前営業日の東京証券取引所における当社普通株式の終値(同日に取引が成立していない場合は、それに先立つ直近取引日の終値)(以下「交付時株価」)を基礎として、当社普通株式を引き受ける各対象取締役に特に有利な金額とならない範囲で当該取締役会において決定した額といたします。
② PSU
中期経営計画の業績目標達成度等に応じて算定される金銭報酬債権及び納税目的金銭を、対象期間終了後に報酬として支給する業績連動発行型株式報酬です。各対象取締役は、金銭報酬債権を現物出資の方法で給付することにより当社普通株式の交付を受けるものとし、この場合の払込金額は、交付時株価を基礎として、当社普通株式を引き受ける各対象取締役に特に有利な金額とならない範囲で当該取締役会において決定した額といたします。
(2) 交付対象者
① RSU
社外取締役を除く取締役とし、その員数は、第2号議案が原案どおり承認可決されますと3名となります。
② PSU
執行役員を兼ねる取締役のみ(執行役員を兼ねない取締役及び社外取締役は交付対象外)とし、その員数は、第2号議案が原案どおり承認可決されますと3名となります。
(3) 金銭報酬債権等の総額及び株式総数の上限並びに交付株式数、支給金額及び金銭報酬債権等の総額の算定方法
事後交付型株式報酬の上限については、2020年6月23日開催の第124回定時株主総会において、RSU及びPSUに係る金銭報酬債権等の総額は、年額4億57百万円以内、対象取締役が発行または処分を受ける当社普通株式の総数は、年39,000株以内(※1)とご承認いただき今日に至っております。「1.提案の理由」に記載のとおり、中期業績向上及び企業価値向上への貢献意欲をより一層高めるため、今般、RSUとPSUの報酬枠を別立てにし、RSUに係る金銭報酬債権等の総額(年額)を「基準株式ユニット数(※2)の上限(40,000株)に交付時株価を乗じた額以内」、対象取締役に交付する株式数を年20,000株以内に、PSUに係る金銭報酬債権等の総額(年額)を「基準株式ユニット数(※2)の上限に支給割合(※3)を乗じた数(上限200,000株)に交付時株価を乗じた額以内」、対象取締役に交付する株式数を年100,000株以内に、それぞれ改定させていただきたく存じます。なお、本議案の決議の日以降、当社普通株式の株式分割(当社株式の株式無償割当てを含む)または株式併合が行われた場合には、上記の株式数の調整を行い、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てることといたします。
【金銭報酬債権等の総額及び株式総数の上限 改定前後比較表】

各対象取締役に交付する当社普通株式の数及び支給する納税目的金銭の額は、以下の計算式に基づき算定いたします。
① RSU
(i)各対象取締役に交付する当社普通株式の数
基準株式ユニット数(※2)×50%
計算の結果生じる100株未満の端数は、100株単位に切り上げます。
(ii)各対象取締役に支給する納税目的金銭の額
(基準株式ユニット数(※2)-上記(i)で算定された当社普通株式の数)×交付時株価
計算の結果生じる1円未満の端数は、1円単位に切り上げます。
② PSU
(i)各対象取締役に交付する当社普通株式の数
基準株式ユニット数(※2)×支給割合(※3)×50%
計算の結果生じる100株未満の端数は、100株単位に切り上げます。
(ii) 各対象取締役に支給する納税目的金銭の額
(基準株式ユニット数(※2)×支給割合(※3)-上記(i)で算定された当社普通株式の数)×交付時株価
計算の結果生じる1円未満の端数は、1円単位に切り上げます。
各対象取締役に支給する金銭報酬債権等の総額は、以下の計算式に基づき算定いたします。
<RSU、PSU共通>
金銭報酬債権等の総額=上記(i)×交付時株価+上記(ii)
※1:当社は、2021年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行いました。これにより、事後交付型株式報酬に係る株式数の総数は、年117,000株以内に調整されております。
※2:基準株式ユニット数=基準金額(各対象取締役の職責等に応じて、当社取締役会において決定)÷付与時株価(付与日の前日を起算日とする前1か月間の東京証券取引所における当社普通株式の終値の平均額)
※3:支給割合は、PSUの評価指標毎に次のとおり定めております。今後、中期経営計画が策定される度に、評価指標(評価指標の見直しを含む)、支給割合等を取締役会で決議する予定です。
【PSUの評価指標】

《ご参考》PSUのユニット付与から株式交付までのイメージ

(4) 交付要件
本制度においては、対象期間が終了し、以下の要件を満たした場合には、各対象取締役に対して当社普通株式の交付及び納税目的金銭の支給を行います。当社普通株式の交付は、当社による株式発行または自己株式処分の方法により行われ、対象取締役のうち実際の交付対象者及び当該株式発行または自己株式処分に係る募集事項は、対象期間経過後の当社取締役会において決定いたします。
① 対象期間中に対象取締役が継続して当社もしくは当社子会社の取締役または執行役員のいずれかの地位にあったこと
② 当社取締役会で定める一定の非違行為がなかったこと
③ その他本制度の趣旨を達成するために必要なものとして当社取締役会が定める要件
なお、本制度においては、クローバック・マルス条項を導入しており、対象取締役に不法行為があった場合等一定の場合には、取締役会はその決定により、本制度に基づく報酬を没収または減少や返還を求めることができます。
本議案が承認可決された場合には、当社の執行役員を対象に運用している株式報酬制度についても同様の変更を行う予定です。交付株式総数の当社発行済株式総数に対する比率は、1年当たり0.1%以内となる見込みであります。
《ご参考》取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針
当社は、2024年4月26日開催の取締役会において、本議案が承認可決されることを条件に取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針を変更することを決議しており、変更後の当該決定方針の内容の概要は、次のとおりです。

《ご参考》当社のコーポレート・ガバナンス
(1)基本方針
当社は、当社グループの持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上に資することを目的として、「TDK コーポレート・ガバナンス基本方針」を制定しております。取締役会を構成する取締役及び監査役並びに執行役員等の執行側は、それぞれの職責に基づき、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上という共通の目的に向けて取り組んでおります。この目的の達成のために取締役会が共有する考えや文化(ボード・カルチャー)を次のとおり当該基本方針において定めております。
<TDKのボード・カルチャー>
・相互が深い信頼関係と健全な緊張関係を構築し維持する。
・迅速かつ自律的な意思決定を促す権限委譲と業務執行における透明性の確保の両立を図る
(Empowerment & Transparency)。
・取締役会における議論は企業価値に資する本質的な議論であるべきとの前提に立ち、社内・社外、取締役・監査役の区別に関わらず、それぞれの立場から、大局的な観点で積極的かつ多様な発言・議論を行う。
・執行側は取締役会の意見を経営の向上の契機と真摯に捉え、必要な施策を行い、取締役及び監査役は客観的な立場から監督・監査を通して、さらなる企業価値の向上を目指す。
(2) 取締役会の構成
■基本方針
・経営の迅速な意思決定を図るために取締役会を少人数構成とする。
・取締役の半数以上を独立社外取締役とする。
・取締役会議長は、監督と執行の一層の分離を図る観点から、原則として独立社外取締役が務める。
■第2号議案が原案どおり承認可決された場合の取締役会の構成

(3)体制図(2024年3月末現在)

■取締役会諮問機関の概要

(4)取締役会の実効性評価
当社は、取締役会に期待されている機能が適切に果たされているかを検証し、その向上を図っていくために、毎期、取締役会の実効性評価を実施しております。また、その実効性を中立的・客観的に検証するため、一定期間毎(3年に一度を目途)に第三者評価機関に評価を依頼しております。
2024年3月期の取締役会評価においては、2022年3月期に第三者評価機関による調査を実施したことから、取締役会の諮問機関であるコーポレート・ガバナンス委員会(委員長:取締役会長 石黒成直)が中立的な立場で一次評価を実施し、取締役会によるディスカッションを経て、最終的な評価を行いました。また、前期の評価で抽出された課題に対しては、改善施策を実施し、その結果を検証することで、継続的にガバナンスの改善を図るサイクルを回しております。
評価の結果、取締役会及びその諮問委員会(指名諮問委員会、報酬諮問委員会及びコーポレート・ガバナンス委員会)は、規模や構成、議案や審議内容、議論の状況、経営への反映等の点から、実効性が十分に確保されていると判断されました。詳細については、当社ウェブサイトに掲載しております。
<取締役会評価プロセスとガバナンス改善サイクル>

当社のコーポレート・ガバナンスに関する情報は、以下の当社ウェブサイトからご覧いただけます。
https://www.tdk.com/ja/ir/tdk_management_policy/governance/index.html
