第5号議案 取締役に対する譲渡制限付株式の付与のための報酬改定の件

1.取締役に対する譲渡制限付株式の付与のための報酬改定の件

当社は、取締役に対する当社の中長期的な企業価値の持続的な向上を図るインセンティブ付けおよび株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的として、付与株式数を目標業績の達成度合いに連動させる変動報酬型(PSU※1)を用いた譲渡制限付株式報酬制度(以下「株式報酬制度」という。)を導入しています。

今般、役員報酬制度の改定の一環として株式報酬の報酬構成比率を拡大させることを機に、報酬ガバナンスの向上を目的としてクローバック条項を導入するとともに、1株当たりの払込金額の基礎となる額を変更する、株式報酬制度の内容の一部改定を行いたく、ご承認をお願いしたく存じます。改定後の株式報酬制度における報酬等の額および内容等は、後記2.および3.に記載の通りであり、後記2.⑶の変更、同⑹の追記および3.⑷の変更を行う点を除き、2022年6月22日開催の第91期定時株主総会においてご承認いただいた内容から実質的な変更はありません。

当社は、今般の株式報酬制度の見直しにあたって、2024年5月15日開催の取締役会において、役員報酬会議において審議・決定した内容を踏まえ、本総会で本議案が原案通り承認可決されることを条件として、第94期(2024年度)における当社の取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針(参考情報として26~27ページに掲載)を決定しており、本議案は当該方針に沿った取締役の報酬の付与のために必要かつ合理的な内容であることから、本議案の内容は相当であるものと判断しております。

また、本総会において第2号議案「取締役8名選任の件」が原案通り承認可決されますと、株式報酬制度による報酬の支給対象となる取締役は5名となります。

※1: Performance Share Unit

2.株式報酬制度における報酬等の内容等

※2: Restricted Stock

3.取締役に交付される当社株式に係る譲渡制限契約

株式報酬制度による当社普通株式の発行または処分に当たっては、当社と取締役との間で、概ね以下の内容を含む譲渡制限付株式割当契約(以下「本割当契約」という。)を締結します。

  • ⑴ 取締役は、本割当契約により割当てを受けた当社普通株式(以下「本割当株式」という。)について、当社取締役を退任するまでの期間(以下「譲渡制限期間」という。)において、譲渡、担保権の設定その他の処分をしてはならない(以下「譲渡制限」という。)。
  • ⑵ 原則として、職務執行期間(株式の交付またはユニットの付与を受けた日から当該日の属する事業年度にかかる定時株主総会終結の時まで)において継続して取締役の地位にあることを条件として、譲渡制限期間満了時点で譲渡制限を解除する。
  • ⑶ 職務執行期間満了前に取締役を退任したときは、死亡による退任の場合および取締役会の決議によって正当と認めた場合を除き、当社が本割当株式を当然に無償で取得する。
  • ⑷ 譲渡制限期間中または譲渡制限の解除後3年以内に、当該役員に非違行為があった場合および株式付与の前提とした業績に重大な誤りがあることが判明した場合は、当社は、役員報酬会議において審議・決定した内容を踏まえ、取締役会の決議により、当該役員に対し、本割当株式の全部もしくは一部の無償取得、または当該株式の時価相当額の金銭の支払いを請求することができる。
  • ⑸ 上記⑴の定めにかかわらず、当社は、職務執行期間中に、当社が消滅会社となる合併契約、当社が完全子会社となる株式交換契約または株式移転計画その他の組織再編などに関する事項が当社の株主総会などで承認された場合には、当社の取締役会の決議により、職務執行期間の開始日から当該組織再編などの承認の日までの期間を踏まえて合理的に定める数の本割当株式について、当該組織再編などの効力発生日に先立ち、譲渡制限を解除する。
  • ⑹ 上記⑸に規定する場合においては、当社は、上記⑸の定めに基づき譲渡制限が解除された直後の時点においてなお譲渡制限が解除されていない本割当株式を当然に無償で取得する。

※ 本議案が原案通り承認可決された場合、当社執行役員に対しても同様の株式報酬制度を導入する予定です。

(ご参考)役員報酬制度改定の概要

1.株式報酬の構成比率拡大

当社は、取締役等を対象に、当社の中長期的な企業価値の向上を図るインセンティブ付けおよび株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的として、2017年度より役員報酬に定額報酬型(以下「RS」という。)の譲渡制限付株式報酬を導入し、2022年度には変動報酬型(以下「PSU」という。)の譲渡制限付株式報酬を加え、段階的に株式報酬のウェイトを高めてきました。

今回の改定では、株式報酬の構成比率をさらに増やし、企業価値の向上と報酬の連動性をより高めました。この改定により、代表取締役社長CEOの報酬について、基本報酬、年次業績連動賞与、譲渡制限付株式報酬の各報酬の基本的な構成比率が1:0.5:0.7(内、PSU 0.5+RS 0.2)となるように設計しました。

なお、社外取締役の報酬は、従前の通り、基本報酬のみとします。

2.PSUにおける業績指標(KPI)の追加

本制度におけるPSUの業績指標(以下「KPI」という。)は、当社グループの中長期戦略における重点取り組みの達成を目指し、2022年度より、定量(財務)評価に連結ROEを、定性(非財務)評価に従業員エンゲージメントを採用しました。

今回の改定では、企業価値の改善に関する指標である相対TSR(対 配当込みTOPIX成長率)を定量(財務)評価におけるKPIに加えました。

3.クローバック条項の導入

報酬ガバナンスの向上を目的とし、株式報酬割合の増加を機に、本制度にクローバック条項を導入します。譲渡制限期間中または譲渡制限の解除後3年以内に、当該役員に非違行為があった場合および株式付与の前提とした業績に重大な誤りがあることが判明した場合は、当社は役員報酬会議において審議・決定した内容を踏まえ、取締役会の決議により、当該役員に対し、本割当株式の全部もしくは一部の無償取得、または当該株式の時価相当額の金銭の支払いを請求することができるものとします。

改定後の取締役報酬制度のイメージ(代表取締役社長CEOの場合)

※年次業績連動賞与、譲渡制限付株式報酬(変動報酬型/定額報酬型)の構成比は基本報酬を1とした際の比率

(ご参考)第94期(2024年度)における当社取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針

1.基本方針

当社の取締役の報酬は、以下に掲げる項目の観点から決定することを基本方針とする。

  • ⑴ その役割と責務に相応しい水準とし、適切、公正かつバランスの取れたものとする。
  • ⑵ 企業業績と企業価値の持続的な向上に対する動機付けや優秀な人材確保に配慮した体系とする。
    具体的には、社外取締役を除く取締役については、基本報酬、年次業績連動賞与、譲渡制限付株式報酬(国内非居住者については譲渡制限付株式に代わりファントムストック)により構成する。社外取締役については、独立した立場から経営の監視・監督機能を担う職務に鑑み、基本報酬のみを支払うこととする。なお、個人別の報酬の総額及び各項目の水準は、外部専門機関等の調査データを活用し、職責や社内社外の別に応じて設定する。
2.業績連動報酬を除く金銭報酬(以下「固定金銭報酬」という)、業績連動報酬及び非金銭報酬の額等の決定に関する方針 (報酬を与える時期または条件の決定に関する方針を含む。)
  • ⑴ 固定金銭報酬に関する方針
    基本報酬として、月例の固定報酬を支給する。個人別の支給額は、役位を基礎とし経営環境等を勘案して具体的な金額を決定するものとする。
  • ⑵ 業績連動報酬に関する方針
    社外取締役を除く取締役に対する年次業績連動賞与として、業績指標(以下「KPI」という)として当事業年度の連結税引前利益実績を基礎とする役位に応じた報酬テーブルを設定し、毎年一定の時期に、現金報酬として支給する。
    また、当社グループの中長期戦略の目標達成を後押しするため、非金銭報酬として付与する譲渡制限付株式報酬(後記⑶)の一部について、付与株式数を目標業績の達成度合いに連動させるパフォーマンス・シェア・ユニット(以下「PSU」という)とする。PSUのKPIは、財務指標として中期戦略において重視する連結株主資本利益率、中長期的な企業価値の向上に資する株主総利回りを、非財務指標として従業員エンゲージメントを採用する。
    なお、年次業績連動賞与及びPSUのKPI及び各KPIの構成割合は、環境の変化に応じて適宜に、役員報酬会議にて承認された提案内容を踏まえ、取締役会で見直しを審議・決定するものとする。
  • ⑶ 非金銭報酬に関する方針
    企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを強化するとともに、株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的として、社外取締役を除く取締役を対象に譲渡制限付株式報酬を交付する。
    譲渡制限付株式報酬は、その一部を定額報酬型、残りを変動報酬型とし、いずれについても在任中の譲渡を禁止し、退任時に譲渡制限を解除するものとする。
    定額報酬型の譲渡制限付株式報酬(RS)は、毎年一定の時期に、当社の業績、各取締役の職責の範囲及び諸般の事情を勘案して決定した基準額に相当する数の当社普通株式を交付する。
    変動報酬型の譲渡制限付株式報酬(PSU)は、毎年一定の時期に、当社の業績、各取締役の職責の範囲及び諸般の事情を勘案して決定した基準額に相当する数のユニット(1ユニット=1株換算)を付与し、評価期間後、ユニット数に各業績指標の目標達成度合いに連動して定められる支給率を乗じて算定された数の当社普通株式を交付する。
    なお、譲渡制限付株式報酬として取締役に割り当てる当社の普通株式は、RSとPSUを合わせて、年15万株以内とする。また、当社と取締役との間で、概要、①当社の役員に在任する間は一定期間、割当てを受けた当社の普通株式について、譲渡、担保権の設定その他の処分をしてはならないこと、②一定の事由が生じた場合には当社が当該普通株式を無償で取得すること等を含む内容とする譲渡制限付株式割当契約を締結する。なお、譲渡制限期間の満了後3年を経過する日までの間に一定の非違行為を行いその他の一定の事由が生じた場合に、役員報酬会議において審議・決定した内容を踏まえ、取締役会の決議により、当該普通株式の全部又は一部の返還、もしくは当該株式の時価相当額の金銭の支払いを請求することができるものとする(クローバック)。
    取締役が株式の交付時において国内非居住者である場合には、譲渡制限付株式報酬の交付に代わり、当該株式報酬と相当分のファントムストックを付与し、その取り扱いは譲渡制限付株式割当契約に準じるものとする。
3.固定金銭報酬の額、業績連動報酬の額及び非金銭報酬の額の取締役の個人別の報酬等の額に対する割合の決定に関する方針

社外取締役を除く取締役の種類別の報酬割合については、外部専門機関を利用して調査した同輩企業ならびに同業他社の報酬水準及び報酬ミックスを参考に、また、当社従業員給与の水準、社会情勢等を考慮し、概ね次の割合を目安とする(業績連動報酬については基準額の割合)。

報酬水準及びミックスは、当社の経営環境、及び同輩企業、同業他社の状況その他の事情を勘案し、適宜、役員報酬会議にて承認された提案内容を踏まえ、見直しを行うものとする。

4.取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する事項

取締役会は、役員の報酬等に関する決定プロセスの公平性や透明性を確保するため、任意の委員会として、過半数が独立社外取締役で構成される役員報酬会議を設置する。なお、役員報酬会議の議長は、取締役会の決議によって選任する。

役員報酬会議は株主総会決議及び取締役会決議に基づき、取締役の基本報酬、年次業績連動賞与及び譲渡制限付株式報酬等の具体的な額並びにそれらの支給時期等の決定権限について委任を受けるものとし、独立社外取締役も含めた委員による十分な審議の上で決定する。なお、譲渡制限付株式報酬にかかる個人別の割当株式数は、役員報酬会議の決定した基準額を踏まえ、取締役会の決議によって定める。

役員報酬制度の改定等、全体に関わる事項については、役員報酬会議にて承認された提案内容を踏まえ、取締役会にて審議・決定する。

以上

(附則)
本方針の効力発生は、第93期定時株主総会において株式報酬議案が承認可決されることを条件に、第93期定時株主総会終結の時とする。なお、本附則は効力発生日をもってこれを削除する。