第2号議案 当社株式の大量取得行為に関わる対応方針の承認の件
当社は、2021年5月26日開催の第96期定時株主総会において、「当社株式の大量取得行為に関わる対応方針」(現方針)について、株主の皆さまのご承認をいただき導入しました。現方針の有効期間は、2024年5月29日に開催予定の当社定時株主総会(以下、「本定時株主総会」といいます。)終結時までであることから、当社では、経営方針の変更に伴う地域社会への影響、社会・経済情勢の変化、現方針をめぐる種々の議論等を踏まえ、現方針継続の是非を含めその在り方について検討を進めてまいりました。その結果、2024年4月10日開催の当社取締役会において、本定時株主総会において株主の皆さまのご承認が得られることを条件に、現方針を継続することを決議しました。(以下、継続後の対応方針を「本件方針」といいます。) 当該取締役会には社外取締役4名を含む当社取締役7名全員が出席し、本件方針の内容および本定時株主総会への付議につき全員一致により決定しました。
今般、本定時株主総会に提案させていただく本件方針は、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株式等の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株式等の買付行為(以下、このような買付行為を「大量株式取得」といい、大量株式取得を行いまたは行おうとする者を「大量株式取得者」といいます。)に関する対応方針であります。なお、現時点において、当社は、大量株式取得行為に関わる提案を受けておりませんが、今後、大量株式取得行為に関わる提案があった際に、株主の皆さまが、十分かつ正確な情報と十分な時間のもとにご判断いただけるよう、本件方針を定めています。
なお、本件方針の内容は下記のとおりであります。
記
1.会社の支配に関する基本方針
- ⑴
- 基本理念に基づく経営の実践
イオンの基本理念
お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。
イオンは、小売業が平和産業であり、人間産業であり、地域産業であると信じ、その使命を果たす企業集団として永続するために、お客さまを原点に絶えず革新し続けてゆきます。
※定款第2条に定めています。なお全文はイオンの基本理念でご確認いただけます。
当社およびグループ各社(以下、「イオン」といいます。)は、お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献するという不変の理念を堅持しながら、「お客さま第一」の実践を通じて企業価値の向上を実現してまいりました。
当社は、この基本理念に基づく経営の実践をゆるぎないものにするため、2006年より基本理念を定款に定めており、昨年の株主総会では、更に全てのステークホルダーに共感いただけるよう企業集団としての行動姿勢、思いを追加するための変更を提案し、株主の皆さまにご承認いただきました。
イオンは、お客さまや地域社会が企業に対して抱く期待や企業が果たすべき責任の重要性の高まりに応えるために、利益の追求のみならず、長期的、持続的な視点に立ち、社会全体の豊かさや幸福感の実現に貢献することを使命に経営を実践してきました。
企業による環境活動や社会貢献活動が日本において未だ本格化していないなか、時代の変化を見据え、1990年に、お客さまからいただいた利益を地域社会の発展にお役立てする公益財団法人イオンワンパーセントクラブ、地球環境を守るため公益財団法人イオン環境財団を設立し、お客さまや地域の皆さまとともに社会貢献活動に取り組んでまいりました。また、日本各地の自治体と協働し、特産品の拡販や防災・健康・福祉・環境保全の推進、イオンのインフラを活用した商業・観光の振興などの包括連携協定を現在141の自治体(1道、2府、42県、その他96市区町村)と締結しています。
さらに、各地域で災害が発生した場合に地域の生活インフラとしての機能を果たせるように、防災協定を全国818の自治体と締結しており、本年1月の能登半島地震においては、発災直後より店舗の避難所としての開放や早期の営業再開、支援物資の供給、支援募金の実施など、被災地域の一日も早い復旧・復興に向けグループをあげて取り組んでいます。
このように地域の皆さまと密接な関係を築き多くの地域の皆さまに支えられながら事業を展開した結果、営業収益は9兆円を超え、過去最高を更新しました。また、国内外の上場子会社21社を含む335社のグループに成長し、グループの事業は小売業の他、金融、商業専業ディベロッパー、サービス等の多様な事業を、アジアを中心に14カ国、約1万7千店舗で展開しています。
本年、当社は、株式上場50周年を迎えますが、基本理念に基づく経営の着実な実践により、当社の株価は50年前との比較で約40倍(※注)に上昇し、株式時価総額は約3兆円(2024年2月29日現在)に達しました。お客さまでもある株主の皆さまにイオンの基本理念・経営方針をご理解いただきながら、地域に住む皆さまの声をお店やサービス、そして経営に生かすことができるからこそ、お客さまのより良い暮らしの実現につながり、当社の企業価値を向上させることができるものと強く確信しております。
このようにイオンは、基本理念に基づく長期的な視点での地域や社会と共生する経営、広範かつ複合的な事業展開が、グループ全体の企業価値向上に資するとの考え方を基本としており、基本理念に賛同し、その具現化に向けた経営を志向する真摯な提案であれば、歓迎します。一方で、基本理念にそぐわない経営方針への変更は、グループへ与える影響が大きく、同時に地域社会への影響も懸念され慎重な対応が求められます。
経営方針の変更に関しては、国内最大規模となる90万人を超える株主の皆さまに適切なご判断がいただけるよう、十分かつ正確な情報と時間の確保が必要であると考えます。加えて、地域のインフラ機能の役割を果たすための責任があります。
グループの経営にあたっては、多くのステークホルダーとの間に築かれた関係、財務資本のみならず、人的資本、社会関係資本、自然資本などの価値を十分にご理解いただきたいと考えております。
現在も金融商品取引法によって、濫用的な買収を規制する一定の対応はなされていますが、株主の皆さまへの十分な情報提供や検討期間の確保等の視点で有効に機能しないことも考えられ、短期的な利益追求や企業価値を毀損しかねない大量株式取得行為に対して必要かつ相当な手段として本件方針を継続すべきであると考えております。
上場以来の株価指数推移(日経平均比較)
(1974年9月時点の株価を100として指数化したものです)
当社株主数の推移
※注:当社の株価指数は、株式分割の影響を考慮した遡及修正後の数値になります。
① 成長戦略
2025年度に向けたグループの中期経営計画においては、持続可能な成長に資する事業基盤の構築に向け、グループ共通戦略として「5つの変革」(デジタルシフトの加速と進化、サプライチェーン発想での独自価値の創造、新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化、イオン生活圏の創造、アジアシフトの更なる加速)に加え急速に重要性が高まる「環境・グリーン」の取り組みを加速することで、グループの事業構造を大きく変え、高い収益性を実現する企業グループへと変革を図ってまいります。
② サステナブル経営
企業市民としての社会的責任を果たし、企業価値を継続的に高めるために、「持続可能な社会の実現」と「グループの成長」を両立するサステナブル経営を推進しています。「イオン サステナビリティ基本方針」のもと、環境課題である「脱炭素社会の実現」「生物多様性の保全」「資源循環の促進」や、社会課題である「社会の期待に応える商品・店舗づくり」「人権を尊重した公正な事業活動の実践」「コミュニティとの協働」を優先課題と位置付け、様々な取り組みを進めています。
また、人間尊重の経営を志向し、成長する人材が長期にわたり働き続けることができるよう労使一体となり取り組んでおり、従業員の8割を占めるパートタイマーの賃金の引き上げを2年連続で発表するなど、継続的な成長に向けた人的資本への投資も積極的に行っています。
③ コーポレートガバナンス体制
当社は、世界水準の開かれた経営を目指し国内企業ではいち早く指名委員会等設置会社へ移行し、経営の監督と執行の機能を各々取締役と執行役に明確に分離するガバナンス体制を構築しました。当社取締役会においては、各界から広く社外取締役を招聘し、メンバー7名のうち過半数の4名を社外取締役とするとともに、指名・報酬・監査の各委員会の議長を全て社外取締役とすることで、より一層の透明性・公正性の維持・向上と株主利益向上に努めています。また、2008年には、純粋持株会社へ移行するなど、継続的に企業価値向上を図る基盤づくりに努めています。加えて2016年には、「コーポレートガバナンス基本方針」、2023年には「イオングループ未来ビジョン」を定め、イオンの基本理念や革新のDNAを基盤とし、長期的な視野に立った経営を、時代を超えて実践しています。
取締役会&3委員会の構成
※社外取締役4名全員は、東京証券取引所の定める独立役員の要件を満たしており、独立役員として同取引所に届け出ています。
◆コーポレート・ガバナンス ハイライト
※注:社外取締役は、2003年の商法改正に伴い導入された制度です。当社では、それ以前より外部から役員を招聘しています。
- ⑵
- 大量株式取得に際して守るべきルールと当社による対抗措置の発動
当社取締役会としては、大量株式取得に関わる提案に対し、当社株主の皆さまが判断に必要とされる十分な情報と時間を確保できるよう、以下の内容による大量株式取得者による情報提供に関するルール(以下、「本件ルール」といいます。)および当社による対抗措置の発動をその内容とする本件方針を引き続き設定することとしました。
◆本件方針の概要(手続きの流れ 簡易版)
2.本件ルールの内容
当社取締役会が設定する本件ルールとは、①大量株式取得者は当社取締役会に対して大量株式取得に先立ち必要かつ十分な情報を提供しなければならず、②当社取締役会が当該情報を検討するために必要である一定の評価期間が経過した後にのみ、大量株式取得者は大量株式取得を開始することができるというものです。
- ⑴
- 意向表明書の提出
大量株式取得者が大量株式取得を行おうとする場合には、事前に、当社に、本件ルールに従う旨の意向表明書を日本語の書面により提出していただきます。当該意向表明書には、大量株式取得者の名称、住所、設立準拠法、代表者の氏名、国内連絡先、および提案する大量株式取得の概要(大量株式取得者が現に保有する株式数、取得予定の株式数を含みます。)を示していただきます。
- ⑵
- 情報提供の要請
当社取締役会は、株主の皆さまの判断および当社取締役会としての意見形成のために必要かつ十分な情報(以下、「本必要情報」といいます。)を大量株式取得者から提供していただくため、上記⑴の意向表明書を受領した後5営業日(初日不算入)以内に、回答期限を定めて、当初提供いただくべき情報のリストを大量株式取得者に交付します。本必要情報の具体的内容は、大量株式取得者の属性または大量株式取得の内容によって異なりますが、原則として次の項目を含むものとします。
- ① 大量株式取得者に関する詳細な情報(大量株式取得者の全メンバーの資本構成、財務内容、事業内容、役員の氏名および略歴・他の会社役員兼務状況、当社の事業と同種の事業についての経験、他の会社の経営権もしくは事業の取得時に実施した営業上、経営上、労務上の施策等に関する情報を含みます。)
- ② 大量株式取得に至る経緯
- ③ 大量株式取得の目的および内容(取得対価の価額・種類、関連する取引の仕組み、取得方法の適法性等を含みます。)
- ④ 当社株式の取得対価の算定根拠(算定の前提となる事実・仮定条件、予想されるシナジーの額およびその算定根拠等を含みます。)
- ⑤ 当社株式の取得資金の詳細な説明(資金の調達方法、関連する取引の仕組み、資金を直接または間接に提供する者もしくは提供する予定の者の名称または氏名を含みます。)
- ⑥ 大量株式取得後において、当社および当社のグループ会社に期待し、または大量株式取得者において計画する経営方針(イオンの基本理念に対する態度表明を含みます。)、ガバナンス、経営戦略、事業計画、財務計画、資本政策、配当政策、資産活用策、サステナビリティ、人的資本への取り組み方針等
- ⑦ 当社およびグループ各社のお客さま、取引先、従業員、地域関係者およびその他のステークホルダーへの対応方針
- ⑧ その他、当社取締役会および独立委員会が合理的に必要と判断する情報
当社取締役会は、当初提供していただいた情報を精査した結果、それだけでは不十分と認める場合には、合理的な範囲で、期限を定めて追加的に情報提供を求めます(ただし、最終回答期限は必要かつ十分な情報が提出されない場合においても、意向表明書を受領した日から起算して60日を超えないものとします。)。
当社取締役会は、大量株式取得の提案があった事実については速やかに開示します。また、当社取締役会に提出された本必要情報について当社株主の皆さまの判断のために必要であると認める場合には、適切と判断する時点で、その全部または一部を開示します。
当社取締役会は、本件ルールの透明・公平な運用のために、上記⑴の意向表明書を受領し次第、独立委員会を設置します。独立委員会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している、当社社外取締役全員とその推薦に基づき当社取締役会が都度選任する専門家委員1名以上(原則として弁護士1名および大学教授等の社外の学識経験者1名)によって構成され、かつ、その意見の形成にあたってはさらに適宜の専門家の意見を当社の費用により聴取することができることとしています。
次項⑶に規定される取締役会評価期間が開始する前の独立委員会の主なミッションは、①大量株式取得者から受領した資料が本必要情報として十分なものであるかどうか、および②大量株式取得者に対して追加提出を要請すべき資料の有無・項目および提出期限につき、その意見および理由を当社取締役会に対して提出することです。
- ⑶
- 取締役会による検討期間
当社は、取締役会評価期間の開始について速やかに開示します。大量株式取得者は、上記⑵に従った大量株式取得者による当社取締役会に対する本必要情報の提出の完了後、大量株式取得の提案が以下のものに該当する場合には90日間、それ以外の場合には60日間(初日不算入。以下、「取締役会評価期間」といいます。)は、大量株式取得を開始することはできません。
- ① 大量株式取得の対価に株式など、金員以外のものが含まれる場合。
- ② 大量株式取得の対価の支払いが日本円以外の金員により行われる場合。
- ③ 大量株式取得後において、大量株式取得者において計画する経営方針にグループ会社構成・事業構成に関する大幅な変更が含まれている場合。
独立委員会は、本必要情報の提出を受け、①当該大量株式取得が当社株主全体の利益を損なうかどうかの評価、②大量株式取得者に対して追加提出を求める情報の有無、項目および提出期限、③大量株式取得者が提出資料の追加提出要請に応じないなどの理由から、「大量株式取得者が本件ルールを遵守しない場合」に該当するかどうか、④新株予約権無償割当て等の対抗措置の内容・要否、その中止の要否、⑤その他当社取締役会から意見を求められた事項につき、本必要情報をはじめとする資料等に基づき総合的に評価・判断し、その意見および理由を当社取締役会に対して提出することとします。
当社取締役会は、独立委員会の意見を最大限尊重して、当社取締役会としての評価、判断および意見等を慎重にとりまとめ、公表します。当社取締役会は、この意見とりまとめにあたっては、さらに弁護士、公認会計士を含む外部専門家等の助言を受けるものとします。また、必要に応じ、大量株式取得者との間で大量株式取得に関する条件改善について交渉し、当社取締役会として当社株主の皆さまに対し代替案を提示することもあります。当社株主の皆さまの判断のために必要であると認める場合には、適切と判断する時点で、その間の状況、決定の内容および理由等の全部または一部を開示します。
3.大量株式取得が行われた場合の対応方針
- ⑴
- 大量株式取得者が本件ルールを遵守した場合
大量株式取得者が本件ルールを遵守した場合には、原則として当該大量株式取得に対する対抗措置はとりません。この場合には、大量株式取得者の買付提案に応じるか否かは、当社株主の皆さまにおいて、当該買付提案および当社が提示する当該買付提案に対する意見、代替案等をご考慮の上、ご判断いただくことになります。
ただし、当社取締役会が、当該大量株式取得が「当社株主全体の利益を著しく損なうもの」(注6)に該当すると評価した場合、または独立委員会において、当該大量株式取得が「当社株主全体の利益を著しく損なうもの」(注6)に該当すると評価された場合には当該評価を最大限尊重した上で、当社取締役会は、取締役としての善管注意義務に従い、当社株主の皆さまの利益を守るために適切と考える方策をとることがあります。
なお、この場合の対抗措置については、次項「⑵大量株式取得者が本件ルールを遵守しない場合」に準じます。
- ⑵
- 大量株式取得者が本件ルールを遵守しない場合
大量株式取得者が本件ルールを遵守しない場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、当社取締役会は、当社および当社株主全体の利益を守ることを目的として、新株予約権の無償割当て、またはその他法律および当社定款により認められる対抗措置により、当該大量株式取得に対抗する場合があります。具体的にいかなる手段を講じるかについては、その時点で最も適切と当社取締役会が判断したものを選択することとします。なお、当社が、本件方針の定めに従い、新株予約権の無償割当てをする場合には、議決権割合が一定割合以上の特定株主グループに属さないこと、または外国法令の適用により新株予約権の行使時に所定の手続きを要する外国居住者ではないことを新株予約権の行使条件とするなど、対抗措置としての効果を勘案した行使条件および行使期間を設けることがあります。
株主共同の利益が害されるおそれが大きいと判断される場合には、大量株式取得者の権利行使が制限される行使条件差別型新株予約権を発行します。この場合の新株予約権は、会社による取得条項付とさせていただきます。会社による取得条項が付されていない新株予約権の行使に際しては、新株予約権者となった株主の皆さまに行使価額の払込み等の手続をとっていただく必要があり、90万人を超える株主の皆さまに、大変お手数をおかけすることになります。そのため株主の皆さまに行使価額の払込み等の手続をとっていただかなくても済むように、当社取締役会決議により大量株式取得者以外の株主の皆さまの新株予約権を当社が取得しその対価として当社株式を大量株式取得者以外の株主の皆さまに交付できるようにするものであります。
また、当社は、機動的に新株予約権の無償割当てを行うことができるように、引き続き新株予約権の発行登録を行います。
- ⑶
- 新株予約権の無償割当て決議後の中止等
当社取締役会が新株予約権の無償割当ての決議を行った後に、大量株式取得者が大量株式取得の撤回または変更を行った場合等、当社取締役会において対抗措置の発動が適切でないと判断するに至った場合には、当社取締役会は、新株予約権の無償割当ての中止を行い、または市場への影響が懸念される等の事情により中止を行わない場合には中止と同様の効果を持たせるために、原則として大量株式取得者を含む全株主の新株予約権を当社が当社株式と交換に取得するものとします。
4.株主・投資家に与える影響等
本件ルールは、当社株主の皆さまが大量株式取得に応じるか否かを判断するために必要な情報や、当社取締役会の意見を当社株主の皆さまに開示し、さらには、当社株主の皆さまが代替案の提示を受ける機会を確保することを目的としています。これにより、当社株主の皆さまは、適切な情報のもとで大量株式取得に応じるか否かについての適切な判断をすることが可能となります。
大量株式取得者が本件ルールを遵守しなかった場合やその提案について株主共同の利益が害されるおそれが大きいと判断される場合には、当社取締役会は、当社および当社株主全体の利益を守ることを目的として、会社法その他の法律および当社定款により認められる対抗措置をとることがあります。この場合には、法令および規則に従って適時適切に当社取締役会の評価、判断、意見等の開示を行います。
なお、対抗措置として発行される取得条項付新株予約権については、大量株式取得者だけが行使を制限される行使条件差別型を原則として想定しており、これ以外の対抗措置を採用する場合にも、大量株式取得者以外の株主・投資家に不測の損害を与えないものを選択します。
5.本件方針の適用開始と有効期限
本件ルールを含む本件方針は、本定時株主総会における本件方針の承認を求める議案の決議時点で適用が開始されます。定期的に対応方針の見直しをするために、本件方針の有効期間を3年間(本年3月1日から起算して3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに係る定時株主総会の終結時まで)としています。
今後につきましては、法令改正等を踏まえ、当社取締役会が、本件方針の形式的な変更または廃止が相当と判断する場合には、取締役会決議によって変更または廃止し、その旨および理由を速やかにお知らせします。なお、本件方針の廃止について特段の制約は設けていません。当社取締役会が、本件方針の内容について当社株主の皆さまに実質的に影響を与えるような変更を行う場合には、改めて当社株主総会に付議し株主の皆さまのご判断を仰ぐこととします。
注1:特定株主グループとは、
- (ⅰ)当社の株式等(金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等をいいます。)の保有者(同法第27条の23第3項に基づき保有者に含まれる者を含みます。以下同じとします。)およびその共同保有者(同法第27条の23第5項に規定する共同保有者をいい、同条第6項に基づき共同保有者とみなされる者を含みます。以下同じとします。)または、
- (ⅱ)当社の株式等(同法第27条の2第1項に規定する株券等をいいます。)の買付け等(同法第27条の2第1項に規定する買付け等をいい、取引所金融商品市場において行われるものを含みます。)を行う者およびその特別関係者(同法第27条の2第7項に規定する特別関係者をいいます。)を意味します。
注2:議決権割合とは、
- (ⅰ)特定株主グループが、注1の(ⅰ)記載の場合は、当該保有者の株式等保有割合(金融商品取引法第27条の23第4項に規定する株券等保有割合をいいます。この場合においては、当該保有者の共同保有者の保有株式等の数(同項に規定する保有株券等の数をいいます。)も加算するものとします。)または、
-
(ⅱ)特定株主グループが、注1の(ⅱ)記載の場合は、当該大量株式取得者および当該特別関係者の株式等保有割合(同法第27条の2第8項に規定する株券等所有割合をいいます。)の合計をいいます。
各株式等保有割合の算出にあたっては、総議決権(同法第27条の2第8項に規定するものをいいます。)および発行済株式の総数(同法第27条の23第4項に規定するものをいいます。)は、有価証券報告書、半期報告書、四半期報告書および自己株券買付状況報告書のうち直近に提出されたものを参照することができるものとします。
注3:「当社株式等」とは、金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等を意味します。
「大量株式取得者」とは、あらかじめ当社取締役会が同意したものを除き、また市場取引、公開買付け等の具体的な買付方法の如何を問いません。
注4:当社は日本の金融商品取引市場に株式を上場しており、日本人である株主・投資家に適時開示をする義務を負っておりますので、当社が交付するリスト、大量株式取得者が作成する本必要情報を記載した書面、当社のこれに対する意見・追加資料提出要請等のいずれについても、日本語の一般人をして判読可能な書面によるものとします。書面とは、紙に印刷された文書だけでなく、電子メールもしくはファクシミリにより送信された文書を含むものとします。
注5:「意向表明書」に記載された日本国内連絡先を、当社の本件ルールに基づく書面送付先・連絡先とします。
注6:「当社株主全体の利益を著しく損なうもの」とは、大量株式取得者が、①真に会社経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて高値で株式を会社関係者に引き取らせる目的で当社株式の買収を行っている場合、②会社経営を一時的に支配して当社の事業経営上必要な知的財産権、ノウハウ、企業秘密情報、主要取引先や顧客等を当該大量株式取得者等に移譲させるなど、いわゆる焦土化経営を行う目的で当社株式の買収を行っている場合、③会社経営を支配した後に、当社の資産を当該大量株式取得者等の債務の担保や弁済原資として流用する予定で当社株式の買収を行っている場合、④会社経営を一時的に支配して当社の事業に当面関係していない不動産、有価証券など高額資産等を売却等処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるかあるいは一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って株式の高価売り抜けをする目的で当社株式の買収を行っている場合、⑤大量株式取得者の提示する当社株式買取方法が、2段階目の株式買取条件を1段階目よりも不利に設定する態様の2段階買取方式である場合、その他、株主の判断の機会または自由を制約し、事実上、株主に当社株式等の不利な売却を強要するおそれがあると判断される場合、⑥大量株式取得者の提示する対価が株主にとって著しく不利益またはハイリスクとなりうるオプション権であるなど、当社株式買付に関連する取引の仕組み、取得方法が株主共同の利益の観点から著しく不当である場合、⑦大量株式取得者の経営陣または主要株主に「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」第2条の定める暴力団、暴力団員等の反社会的勢力と関係を有する者が含まれている場合等、大量株式取得者が公序良俗の観点から当社の支配株主として不適切であると客観的かつ合理的な根拠をもって判断される場合を想定しています。
注7:当社取締役会が決定し公告する新株予約権の割当対象となる株主の確定基準日(以下、「割当基準日」といいます。)の3営業日前の日の翌日以降に対抗措置を中止するべき事情が発生した場合に流通市場に与える影響は次のとおりです。金融商品市場は、権利落ち(その後に売買される株式には新株予約権が付されません。)を前提とし、新株予約権の株式への転換を先取した理論株価は、直前株価の例えば5~6割程度に下がると予想されます。にもかかわらず、その後に新株予約権を当社が無償取得して対抗措置発動全体を中止することになりますと、株式数はこれにより権利落日当日の数に復帰することになり、一旦下落した株価が理論的には直前株価まで戻ることになってしまいます。このような結果は、いたずらに市場に混乱を生じかねないことになるのではないかと考えられますので、権利落日以後は原則としてそれらの新株予約権に対して株式を割り当てることとするものであります。
注8:「公益財団法人イオンワンパーセントクラブ」は現在の名称で、設立時の名称は、「イオングループ1%クラブ」になります。また「公益財団法人イオン環境財団」は現在の名称で、設立時の名称は、「財団法人イオングループ環境財団」になります。
注9:当社の株式・大株主の状況(2024年2月29日現在)は、事業報告に記載のとおりです。