<株主提案>

第6号議案 定款一部変更(共同保有の開示)の件

1.議案の要領

当社の定款に以下の章及び条文を新設する。なお、本定時株主総会における他の議案(会社提案にかかる議案を含む。)の可決により、本議案として記載した章及び条文に形式的な調整(条文番号のずれの修正を含むが、これらに限られない。)が必要となる場合は、本議案に係る条文を、必要な調整を行った後の条文に読み替えるものとする。

2.提案の理由

当社のグループ会社である空港施設が2023年6月に開催した第54回定時株主総会においては、同開催日前日午後のほぼ同じ時間帯に当社とANAが議決権を行使した形跡があるが、空港施設の当時の代表取締役社長執行役員を再任する取締役選任議案に両社が反対票を投じたことがマスコミ報道などから明らかになっている。

実際のところ、空港施設の第54回定時株主総会開催の2日前である2023年6月27日、空港施設の総務部職員がANA担当者と通話し、その後に、「日本航空が翌28日午後に電子投票し、その後に、ANAも電子投票する」との趣旨の発言がANA担当者からあった旨を空港施設総務部職員が同社幹部に報告したことが関係者の証言などから明らかになっている。このため、空港施設側は、当時の代表取締役社長執行役員を再任する取締役選任議案に当社とANAが同じ反対票を投じることだけでなく、両社の電子投票のタイミングまで事前に察知していた。上記の通話により、空港施設の総務部職員は両社が議決権行使について合意があったか否かを知る立場にあったと推定される。

仮に、当社とANAが共同して空港施設の株主としての議決権を行使することを合意していた場合には、両社は共同保有者として大量保有報告書を提出する義務を負うこととなるが(金融商品取引法第27条の23第5項)、金融商品取引法の遵守を確実なものとするために、当社は自らの責務で必要な開示を行う必要がある。

第75期有価証券報告書によると、当社は2024年3月31日時点で、10銘柄、時価にして約559億円の政策保有株式を保有する。株式を政策保有する上場企業の経営に関わる事項について他の株主と何らかの合意を行っているのであれば、その合意が議決権行使についての合意であれば当然のこと、その他の合意であっても、当該上場企業の経営に重大な影響を与え、結果的に政策保有株式の価値及び投資元である当社の企業・株主価値にも大きな影響を与えるのであるから、当社が当該合意を交わしたのであれば、当社の少数株主保護の観点から、当該上場企業名、当該合意の相手方、当該合意の内容、当該合意の内容は当然に開示するべきである。

<第6号議案に対する当社取締役会の意見>

以下の1および2の観点を踏まえ、本議案に反対いたします

【反対の理由】

  • 1.当社は、適切な体制を整備した上で、法令ならびに東京証券取引所の規定に加え、社会にとって有用な情報を正確かつ公正に開示しています。
    当社は、コンプライアンスについては、遵守すべき行動指針としてJALグループ行動規範「社会への約束」を定め、「公正な事業行動」を担保すべく、社会から真に信頼される企業の一員として、法令その他のルールを遵守し、誠実さをもって行動することを規定しています。また、コンプライアンス統括部門を設置しコンプライアンス推進体制を構築しています。
    情報開示についても、「ディスクロージャー・ポリシー」に基づき、会社法、金融商品取引法その他諸法令ならびに東京証券取引所が定める会社情報の適時開示に関する規定に従って適切に実施するとともに、JALグループ行動規範に基づき、「ステークホルダーからの信頼」を確保すべく、社会にとって有用な情報を正確かつ公正に都度開示しています。
    なお、2023年6月の空港施設株式会社(以下、同社と言います。)第54回定時株主総会における取締役選任議案につき、当社と同社の他の株主が、議決権行使に関して事前に合意していた事実はありません。このため、他の株主と共同保有者であるとして大量保有報告書を提出すべき事由が存在していないことから、特段の開示を行っておりません。
  • 2.また、会社の組織・運営の根本原則である定款のあり方からして、定款に業務執行に属する個別具体的な内容を、将来にわたり固定的に規定する条文を定めることは、適切ではないと考えます。