<株主提案(第5号議案から第6号議案まで)>
第5号議案および第6号議案までは、株主様1名(議決権数300個)(以下、「本提案株主」といいます。)から提案された議案(以下、「本株主提案」といいます。)であります。

※以下、本株主提案の「議案の件名」「議案の要領」および「提案の理由」は、本提案株主から提出された書面の該当箇所を原文のまま掲載しているものです。

<株主提案>

第5号議案
定款一部変更(上場子会社又は上場関連会社への天下りの禁止)の件

1.議案の要領

当社の定款に以下の章及び条文を新設する。なお、本定時株主総会における他の議案(会社提案にかかる議案を含む。)の可決により、本議案として記載した条文に形式的な調整(条文番号のずれの修正を含むが、これらに限られない。)が必要となる場合は、本議案に係る条文を、必要な調整を行った後の条文に読み替えるものとする。

2.提案の理由

当社においては、エージーピーと空港施設の2社が東京証券取引所に上場する持分法適用会社である。空港施設に関しては、ANAホールディングス(ANA)とともに副社長を送り込む慣行が続いており、合計で約42%を保有する当社と ANAが空港施設を「両親」として実効支配しているものの、空港施設の株価純資産倍率(PBR)は2013年以来、解散価値である1倍を下回り、直近で約0.5倍に過ぎず、当社の企業・株主価値向上の足かせとなっている。

しかし、空港施設に代表取締役副社長執行役員として送り込んだ当社元幹部の西尾忠男氏は空港施設株式のバリュエーション改善に不可欠なキャピタル・アロケーションの専門家ではなく、空港施設が資本コストを上回る投資をしているかが疑問視されている不動産投資業の知見を持っているかも甚だ疑わしい。

このように、上場子会社又は上場関連会社が展開する事業の専門家でない当社出身者による「天下り」は、投資先の企業・株主価値を高めるという観点から、適切な人選とは言えない。だからこそ、当社が保有する空港施設株式の価値がPBRなどの株価・財務指標面で大幅にディスカウントされる状態が長期化しており、結果的に空港施設の大株主である当社の企業・株主価値が毀損されている。エージーピーに関しても、過去における当社からの「天下り」についてマスコミが報道している。

そもそも、上場するグループ会社への「天下り」は、経済学でいう「デッドウェイト・ロス」(死重損失)を生む可能性が高い。グループ内の経営資源の配分を誤れば、独自の資本コストや人材配置が求められる上場グループ会社の少数株主の利益はもちろん、「天下り」となる経営幹部を送り込んだ企業の企業・株主価値が毀損されることで、「親子」ともに経済的効率性が害される。

よって、当社又はその子会社若しくは関連会社において5年以上役員又は従業員としての勤務経験のある者が空港施設など上場するグループ会社の取締役に選任されるのを防ぐための定款規定を設けることを提案する。

<第5号議案に対する当社取締役会の意見>

以下の1および2の観点を踏まえ、本議案に反対いたします

【反対の理由】

  • 1.当社は、上場関連会社の取締役選任議案について、さらなる企業価値の向上に資する人材であるか判断し議決権を行使しています。
    当社は、上場関連会社の取締役選任議案について、少数株主の利益も考慮した上で、取締役会の構成等にも配慮しつつ、豊富な経験と高い知見・スキルを有し、上場関連会社のさらなる企業価値の向上に資する人材であるか判断し、議決権を行使することとしています。議決権行使の内容を制限する規定を設け、当社出身であることのみを理由として適任者の選任を妨げることは、上場関連会社、ひいては当社の企業価値の向上を阻害するおそれがあるものと考えます。
  • 2.また、会社の組織・運営の根本原則である定款のあり方からして、定款に業務執行に属する個別具体的な内容を将来にわたり固定的に規定する条文を定めることは、適切な経営判断を迅速に行う上での制約となるものであり適切ではないと考えます。

なお、提案者の記載事項に関する当社の見解を以下のとおり補足します。

  • ・空港施設株式会社(以下、「同社」)における取締役候補者の指名プロセスは、同社の指名委員会において、面談を実施した上でスキルマトリックスに基づいて審議を行い、取締役会に答申され、取締役会で少数株主の利益を害さないことを確認の上、取締役候補者として株主総会に付議されています。なお、同社の指名委員会は、独立社外取締役が委員長を務め、独立社外取締役および独立社外監査役で過半数が構成されており、高い独立性が確保されています。このため、同社における取締役候補は、当社から独立した立場で適切かつ透明性の高い強固なガバナンス体制のもと、同社の株主共同の利益の確保と共に企業価値向上に資する人材が、適切なプロセスを経て選任されていると認識しています。
  • ・同社からの企業価値向上に資する人材確保を目的とした、航空業界において広く的確な知見や経験を有する経営人材の推薦要請に応じ、当社は役員候補者として適任者の推薦を行っています。なお、今後の推薦の必要性も含め、同社と協議をしつつ検討を深めてまいります。
  • ・選任された当社推薦の取締役は、同社の取締役会においては、善管注意義務に基づき同社の利益のために意思決定に加わっています。当社は同社の支配株主ではなく、また当社は同社の意思決定プロセスに関与していません。
  • ・昨年の同社の定時株主総会における当社出身の取締役候補者の選任(再任)議案は、97%を超える高い賛成率で可決されており、当社以外の大多数の株主の賛同を集めています。