Interveiw

「経営」「執行」「監督・監査」の役割を明確にして
中長期的に成長していく機能を強化。

代表取締役会長

﨑山 收

1972年7月
当社設立
1975年10月
当社取締役
1989年5月
当社代表取締役社長
2015年6月
当社代表取締役 社長
2020年4月
当社代表取締役会長(現在)

2019年度の決算概要についてお聞かせください。

2019年度の情報サービス業界は、効率化や生産性向上を目的とした需要の拡大は見られましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な広がりにより、先行きは不透明な状況になりました。そうした中で当社は、製造業における建設メーカー向け案件の収束があったものの、流通業における消費税対応案件ならびに新規マーケットでの展開、金融業におけるクレジット会社向けシステム構築案件が寄与し、業績全体としては増収となりました。

コーポレートガバナンスへの取り組みについてお聞かせください。

当社は持続的な成長を成し遂げていくため、コーポレートガバナンスの強化は重要な経営課題として捉えております。
経営と執行、監督・監査機能の役割を明確にし、資本効率の高い経営を実践していくとともに経営の透明性や健全性を高めていきたいと考えております。
そのために当社の取締役会は、代表取締役会長を議長として、業務執行取締役と社外取締役も含めた非業務執行の取締役、そして社外監査役で構成しております。それぞれが役割を果たすことで、取締役会の実効性の向上に努め、継続的に企業価値を高めております。
また、本年度より法務・企業経営・健康経営における専門的な経験・知見を有した独立社外取締役を3名で構成し、事業成長における課題への対応や監督・助言機能を強化いたしました。
こうしたガバナンスの強化を通じ、自社に関わる重要課題に対して「経営」と「執行」そして「監督・監査」が三位一体となって取り組み、健全かつ透明な意思決定の迅速化と資本効率を追求した業務執行に努めてまいります。
当社は、株主の皆さまの支援のもと、サステナビリティ経営を志向し、中長期的な企業価値向上を進めてまいります。

スピード感のある執行でDXなどの
成長領域を開拓。

代表取締役 社長執行役員 兼 CDO

中西 雅洋

1982年4月
株式会社野村総合研究所入社
2002年4月
同社 流通・社会ソリューション部門事業
企画室長
2008年4月
同社 サービス・産業システム事業本部業
務管理室長
2009年10月
同社 中部支社 副支社長
2017年4月
当社 執行役員
2018年4月
当社 常務執行役員
2020年4月
当社 社長執行役員 兼 CDO
(Chief Digital Officer)(現任)
2020年6月
当社 代表取締役(現任)

経営ビジョン「V2026」で目指すこと

「V2026」の方向性について

4つの重点施策

4領域での投資・注力ポイント

1 DX事業の推進
  • • 企画型ビジネスの推進
  • • IP化・プラットフォームビジネスの推進
  • • システムコンサルティングビジネスの拡大
2 人材価値の向上
  • • 人材価値の向上を目指す「未来人材開発センター」新設
3 品質向上の取り組み
  • • システム開発会議による工程ごとのレビューの徹底
  • • モニタリング機能の強化
4 ガバナンス体制の整備
  • • 経営会議(経営執行機関)の刷新による意思決定の迅速化
  • • 事業戦略、人事戦略等の経営リスクに対する報告を強化、その対策を議論検討
  • • システム開発会議/人材開発会議の新設
  • • サステナビリティ経営の実践
  • • 市場構造改革を見据えたコーポレートガバナンスの整備

社長就任の抱負をお聞かせください。

現在のように環境変化が激しい時代の経営においては、執行のスピード感や強さといったものが求められます。そのような環境の中、私としては、執行の責任者としてスピード感のある事業遂行をし、CDO(チーフデジタルオフィサー)という役割で先頭に立って行動してまいる所存です。しかし、スピード感がある執行には多大なリスクがあります。執行を監督する機能と、それを監査する機能がしっかり働いていないと執行が暴走しかねません。それを監督している取締役、それを監査している監査役がしっかり機能する体制があるからこそ、執行に全力で集中できると思っています。
キューブシステムの強みは、お客さまから任せていただいた仕事を、責任を持って、期限を守って、一定の品質を保ちながら作り上げることです。この責任感と遂行力は当社の強みであり誇りですが、この力をどういう形で活かしていくのかが今後の課題です。今まではお客さまが目指したいことの実現に注力してきましたが、お客さまが目指すことを一緒に考えさせていただくような上流部分にアプローチしていきたいと考えています。次期中期経営ビジョンの「VISION2026」では、そのような企画型ビジネスを実現したいと思っています。
DXは、まさにそうしたお客さまの上流部分に踏み込んでいくビジネスです。DXビジネスをお客さまに提案するにあたっては、自らがDXを実践している必要があります。CDOは、この社内におけるDXへの取り組みの推進役であり、お客さまのDX化を支援する当社の司令塔といった役割です。社内外におけるDXの取り組みを今まで以上に加速させていきたいと考えています。

今後の取り組みについて教えてください。

次期中期経営ビジョンである「VISION2026」のベースには「VISION2020」があります。「VISION2020」では、改めて当社の事業の強みを認識し、それを活かせるSIビジネスを立ち上げることと、その先にあるサービス化を目指してきました。さまざまな成果が得られたものの、課題も明確になりました。
「VISION2026」では、お客さまの上流部分へのアプローチも含め、DXに関連するビジネスへの対応力を強化し、実績を残していきたいと考えています。
DXとはデジタル技術を使ってビジネススタイルを変えていく取り組みです。そこには既存の仕事のやり方を抜本的に見直して、徹底的な効率化を図ろうという「プロセス変革」と、今までなかった新しいサービスを作る「ビジネス変革」があります。どちらも実現するためにはソフトウェア、ITが必須です。こうしたDXに関連するビジネスをはじめとする企画型のビジネスを、受託型のビジネスに積み上げていくことを「VISION2026」ではイメージしています。

4つの重点施策について、「DX事業の推進」からお聞かせください。

経営ビジョンを転換させていくにあたり、次の目標設定として意識したことは、従来のビジネススタイルにない新しい動きを新たなビジョンで作っていきたいということでした。その1つがDXで、従来の受託型ビジネスだけではなく、お客さまの変革への取り組みに対して、より近づいた企画型のビジネスとして事業強化していきます。
具体的には、お客さまへの課題提起・提案から実証実験を積み上げたシステムソリューションによる高価値の提供を目指す企画型ビジネスや、顧客ビジネスへ付加価値を提供するIP化・プラットフォームビジネスの推進、対応人材の育成・確保を進めることにより、システムコンサルティングビジネスも提供していきます。

「人材価値の向上」についてはどうでしょうか?

当社の事業を基本的に支えているのは、当然のことながら当社の社員、人材です。単に技術力を高めるだけではなく、マネジメント力や人間力も含めて、人材としての価値を高めていきます。
以前から人材育成の組織はありましたが、今回新たに「未来人材開発センター」を設立しました。キャリア・階層で目標とする人材像を明確化し、それぞれのフィールドに適した育成を徹底して行います。また、育成サイクルを見直すことで人材価値向上を加速化させ、持続的成長に不可欠な次期経営者育成にも努めます。

「品質向上の取り組み」をお聞かせください。

お客さまの要請をしっかり受け止めて、期日通りに一定の品質を保って作り上げるという当社の強みをもう一段引き上げる取り組みです。
具体的には、「システム開発会議」という会議体を新設し、工程ごとのレビューを徹底することでPJに内包するリスクの早期共有や見える化を行います。また、各PJに対するモニタリング機能を強化することで、さらなる品質向上を実現します。

「ガバナンス体制の整備」について改めてお聞かせください。

冒頭で話しましたように、こういう変化の大きい時代の中でDXを含めた新たな事業をスピード感を持って進めていくことはリスクが大きくなります。そのリスクに対して、経営会議を刷新することで経営と執行の有機的な運営を行い、意思決定の迅速化を図っていきます。また、事業戦略、人事戦略といった経営リスクに対しての報告を強化し、対策について議論検討を進めていきます。

最後に、株主さまへのメッセージをお願いします。

引き続き情報開示につきましては、滞りなく適切に開示していきたいと考えております。特に注力したいのは、参画したプロジェクトの成果をその都度丁寧にお伝えしていくことです。そのプロジェクトにはどのような目的、意味があり、お客さまや社会にどのような影響を与えるのか、そこに当社はどのような形で取り組んだのかなどをお伝えしたいと思っています。
また、「VISION2026」のコンセプトの中には、社員一人ひとりが事業を通じて社会に対する貢献を成し遂げたいというものがあります。そのためには持続可能な社会を目指し、当社の事業も持続的に成長していく必要があります。ESG経営やSDGsを改めて意識して、サステナブルな成長を遂げてまいります。
今後はDXのような発展途上にある領域に対しても主導的な立場で参画していくことを目指しながら、デジタル時代の期待に応えてまいります。