事業報告 2017年1月1日から2017年12月31日まで
企業集団の現況に関する事項
事業の経過及びその成果
全般的概況
当社グループは、コミュニケーションアプリ「LINE」を入り口として、人々の生活すべてが完結する世界の実現を目指す、スマートポータル戦略を推進しております。
2017年12月末時点の主要4ヵ国(日本、台湾、タイ、インドネシア)における「LINE」のMAU*は1億6,750万人(前年度末比0.3%増)、国内MAUは1年間で740万人増加し、7,300万人まで成長いたしました。また、ユーザーとの結びつきの強さを示す指標である主要4ヵ国DAU**/MAU比率は75%と引き続き高水準で安定し、特に日本においては84%と圧倒的な利用率を誇っております。
「LINE」の利用頻度の高さは、当社グループの戦略推進、及び今後の事業拡大において優位となります。
当社グループは、「LINE」を基盤とし、スタンプやニュース、マンガ、ゲームなどのコンテンツ分野と、決済やモバイル通信サービス、求人情報などの生活分野の2軸において、様々なサービスを積極的に展開しております。
2017年度は、各サービスにおいて新しい商品や機能を投入したり、他のサービスと連携するなど、ユーザー数や頻度を高めるための取り組みを行った結果、LINE PayやLINEマンガ、LINE MUSIC等で決済高が拡大しました。また、LINEプラットフォーム上の強力なコンテンツやサービス上に展開している広告サービスは、広告掲載面の拡大や、広告プラットフォームの機能向上等の施策により、売上収益が前連結会計年度比39.9%増加するなど大きな成長を見せ、当社グループの売上収益成長を牽引しました。
さらに、LINEショッピング、LINEデリマといった新サービスをリリースしたほか、ポストスマートフォン戦略として新たにAI(人工知能)事業へ進出しております。
これらにより、当社グループの連結業績は、売上収益1,671億円と過去最高を達成し、成長率18.8%と前連結会計年度を上回る結果となりました。
営業利益は、事業拡大に伴い、業務委託費や人件費が増加したものの、前連結会計年度比26.0%増の251億円、当社の株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比19.4%増の81億円となりました。
* 月間アクティブユーザー数(MAU:Monthly Active Users):その特定の月において、モバイル端末から1回以上LINE若しくはLINE GAMEを起動したユーザーアカウント数、又はPCやモバイル端末からLINE若しくはLINEを基盤としたその他関連アプリケーションを起動しメッセージを送信したユーザーアカウント数をいいます。
**日次アクティブユーザー数(DAU:Daily Active Users):その特定の日次において、モバイル端末から1回以上LINE若しくはLINE GAMEを起動したユーザーアカウント数、又はPCやモバイル端末からLINE若しくはLINEを基盤としたその他関連アプリケーションを起動しメッセージを送信したユーザーアカウント数をいいます。
主なサービスの内容及びサービス別の売上収益の状況
当社グループは単一セグメントで事業を行っているため、サービス別の状況を記載しております。
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広告
売上収益構成比 詳細はこちら
サービス内容:
タイムライン/LINE NEWS広告、LINE公式アカウント、LINE@、スポンサードスタンプ、ポータル広告等- 広告の売上収益は、前連結会計年度比39.9%増加し、当社グループ売上収益全体を押し上げる原動力となりました。
- パフォーマンス型広告は、LINE NEWSなど広告掲載面の拡大、さらにデータ活用の高度化と広告プラットフォームの機能向上や、広告主の増加等により、売上収益は前連結会計年度比2.5倍と大きな成長を達成しております。
- メッセンジャー型広告は、国内外においてオフィシャルアカウントやLINE@のアカウント数が増加したことにより、売上収益は前連結会計年度比16.2%増加しました。
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コミュニケーション
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サービス内容:
スタンプ、着せかえ、LINE Out(call)等- コミュニケーションの売上収益は、前連結会計年度比3.2%の増加となりました。
- お年玉スタンプ、カラフルで大きめの絵文字「デコ文字」や、ユーザーが手軽にスマートフォンのみでLINEスタンプの制作・申請・販売ができる「LINE Creators Studio(クリエイターズスタジオ)」など新サービスの投入も奏功しました。
- また、クリエイターズスタンプにおいても人気クリエイターの商材を充実させるなどの施策を行っております。
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コンテンツ
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サービス内容:
LINE GAME、LINEマンガ、LINE占い、LINE MUSIC等- LINE GAMEは、既存のパズルゲームの売上が底堅く推移する一方で、既存タイトルの売上減少を新作タイトルでカバーするに至らず、コンテンツ全体の売上収益は前連結会計年度比10.4%減少しました。
- もっとも、2017年はユーザーニーズの高いミッドコアゲームのジャンルへ新たに挑戦することを目的とし、子会社LINE GAMES Corporationを設立し、同子会社はNextFloor Corporationを買収しております。
- ゲーム以外のコンテンツでは、LINEマンガは日本の電子書籍アプリNo.1として着実に成長を続けており、LINE MUSICについても配信曲数が4,300万曲を超え、決済高も大幅に上昇いたしました。
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その他
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サービス内容:
LINE Pay、LINE FRIENDS、LINEモバイル、LINEバイト等- LINE Payが、2017年は年間取引高4,500億円を超え、飛躍の年となりました。
- 2017年10月には、グローバルでの月間取引件数が1,000万件を突破し、11月にはアカウント登録数も4,000万人を超えております。
- また、LINE FRIENDSにて、ニューヨークを含む10店舗を新たに出店したことに加え、LINEモバイルも大きく成長したことにより、売上収益は前連結会計年度比69.8%増加しました。

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サービス内容:
タイムライン/LINE NEWS広告、LINE公式アカウント、LINE@、スポンサードスタンプ、ポータル広告等- 広告の売上収益は、前連結会計年度比39.9%増加し、当社グループ売上収益全体を押し上げる原動力となりました。
- パフォーマンス型広告は、LINE NEWSなど広告掲載面の拡大、さらにデータ活用の高度化と広告プラットフォームの機能向上や、広告主の増加等により、売上収益は前連結会計年度比2.5倍と大きな成長を達成しております。
- メッセンジャー型広告は、国内外においてオフィシャルアカウントやLINE@のアカウント数が増加したことにより、売上収益は前連結会計年度比16.2%増加しました。
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サービス内容:
スタンプ、着せかえ、LINE Out(call)等
- コミュニケーションの売上収益は、前連結会計年度比3.2%の増加となりました。
- お年玉スタンプ、カラフルで大きめの絵文字「デコ文字」や、ユーザーが手軽にスマートフォンのみでLINEスタンプの制作・申請・販売ができる「LINE Creators Studio(クリエイターズスタジオ)」など新サービスの投入も奏功しました。
- また、クリエイターズスタンプにおいても人気クリエイターの商材を充実させるなどの施策を行っております。
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サービス内容:
LINE GAME、LINEマンガ、LINE占い、LINE MUSIC等- LINE GAMEは、既存のパズルゲームの売上が底堅く推移する一方で、既存タイトルの売上減少を新作タイトルでカバーするに至らず、コンテンツ全体の売上収益は前連結会計年度比10.4%減少しました。
- もっとも、2017年はユーザーニーズの高いミッドコアゲームのジャンルへ新たに挑戦することを目的とし、子会社LINE GAMES Corporationを設立し、同子会社はNextFloor Corporationを買収しております。
- ゲーム以外のコンテンツでは、LINEマンガは日本の電子書籍アプリNo.1として着実に成長を続けており、LINE MUSICについても配信曲数が4,300万曲を超え、決済高も大幅に上昇いたしました。
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サービス内容:
LINE Pay、LINE FRIENDS、LINEモバイル、LINEバイト等- LINE Payが、2017年は年間取引高4,500億円を超え、飛躍の年となりました。
- 2017年10月には、グローバルでの月間取引件数が1,000万件を突破し、11月にはアカウント登録数も4,000万人を超えております。
- また、LINE FRIENDSにて、ニューヨークを含む10店舗を新たに出店したことに加え、LINEモバイルも大きく成長したことにより、売上収益は前連結会計年度比69.8%増加しました。
対処すべき課題
当社グループが属するインターネット業界は、急激に市場が拡大しているものの、新規参入企業の増加に伴い、競争環境も激化しております。
このような状況の下、当社グループは「LINE」を社会的インフラとして成長させ、多様化するユーザーのニーズに応えるための継続的な新規コンテンツの拡充や、それを実現するための組織体制を整備し、今後の規模拡大に伴い、コーポレートガバナンスの強化も重要な課題として認識しております。
そして、これらを具体化するため、以下の点を主な経営の課題としております。
① 「LINE」の継続的成長
当社グループでは、「LINE」がユーザーの生活のインフラとなることが当社グループの安定的・継続的な発展に必要不可欠であり、その実現のためには「LINE」が日常生活に必須のコミュニケーションツールとして機能しながら、「LINE」を入り口としてニュース、ゲーム、音楽・動画等のコンテンツを提供したり、決済や商品購買などユーザーの生活をより豊かにするサービスを提供したりする場を、さらに広げる必要があると認識しております。
継続的な新規コンテンツ提供とサービスの拡大は、ユーザー数を増加させ、ユーザーのサービス利用頻度を高めるとともに、LINEプラットフォームをより強固なものにします。これにより、広告主に対してもターゲットを絞った双方向のマーケティングソリューションの提供を可能にし、当社グループの収益機会の増加につながります。
当社グループでは、今後とも高い企画力・開発力により、「LINE」の発展に取り組んでまいります。
② 海外でのシェア拡大
当社グループは、2011年6月にモバイルメッセンジャー・アプリ「LINE」を日本でリリースし、その後、海外に順次展開いたしました。今日、「LINE」はユーザー規模において日本、台湾及びタイにおけるモバイルメッセンジャー・アプリの主要なプレーヤーであり、また、アジアではインドネシア、香港、シンガポール、マレーシア及びミャンマー、中東ではエジプト、イラン及びサウジアラビア、さらに米国を含むその他の世界各国においてもユーザーを獲得しております。
当社グループでは、これまで蓄積してきたマーケティングのノウハウ、各地域の嗜好やニーズに合わせてコンテンツをカスタマイズしてきた経験を活かし、今後もアジアや「LINE」の認知度の高い市場に焦点をあて、ユーザー基盤の拡大及びユーザーのサービス利用頻度の向上を目指してまいります。
③ システム基盤の強化
当社グループはインターネット上でサービスを展開していることから、システムの安全性及び安定性の確保が経営上の重要な課題であると認識し、これまでも、ユーザーのプライバシー保護、安全なオンライン環境の推進、ユーザーデータの安全性を保証するプログラムの開発及び導入等を行ってまいりました。なお、ユーザーが誰と何を共有するかはユーザーの権限であるとの方針のもと、ユーザー間のプライベートなコミュニケーションの監視は行っておりません。
セキュリティに関しては、ユーザーの個人情報保護に対する取り組みの一環として、サイバー攻撃や不正アクセスへの対策を推進する他、商用ツール、コードの安全性の検討や侵入試験、セキュリティの脆弱性の調査を行っております。加えて、セキュリティ及びプライバシー両方の国際的な認証を取得しています。
当社グループでは、今後も引き続きユーザーが安心して利用できるシステム構築を目指し、設備への先行投資をはじめ、継続的なシステム基盤の強化を図ってまいります。
④ 競合他社への対応
当社グループが事業を展開するインターネット及びモバイルアプリケーション市場においては、競合他社もユーザーを誘致し確保するための取り組みを強化しており、今後競争が一層激しくなっていくことが予想されます。
当社グループの提供する「LINE」は、Facebook社のWhatsApp、Tencent社のWeChat等のモバイルメッセンジャーサービスなどと直接の競合関係にあります。さらに、Facebook、Google、TwitterやYahoo! Japan等、幅広いソーシャル・ネットワークサービス及び製品、オンライン広告サービスを提供する企業やゲーム会社、オンライン決済事業者、通信事業者、eコマース企業、音楽配信企業等、LINEプラットフォーム上で提供するサービスの特定機能と競合する製品やサービスを提供する企業との競争に直面しています。当社グループでは、製品及びサービスの実用性、性能及び信頼性、プラットフォーム提携先との関係構築及び維持等によりユーザーの拡大を進めるとともに、ユーザーの規模や構成により魅力的なコンテンツを提供する企業を惹きつけ、差別化を図っております。
広告については、ユーザーのサービス利用の促進、広告在庫の確保、ターゲティングやリターゲティング機能等を含む広告プラットフォームの改善を通じ、差別化を図っております。
当社グループでは、これらの差別化を図りながら、既存サービスの利便性を強化し、さらなる成長を進めるとともに、新規サービスの投入、及びグローバル展開の推進により一層積極的に取り組んでまいります。
⑤ 収益基盤の拡大
当社グループでは、常に新しい収益化の機会を探し求めています。一般的に、新サービスや製品をリリースした時点ではユーザー基盤とサービス利用頻度の拡大に注力しております。その後、一定水準のユーザーの確保及びサービスに対するユーザーからの要求を満たしていると判断された場合には、適切な時期や手段により収益化を進めてまいります。また、サービス利用頻度を高め、ユーザーからの収益を次第に増加させ、安定かつ継続的な黒字を確保するために、さらなる新サービスや製品を国内外の市場に段階的に投入する方針であります。
⑥ 優秀な人材の採用
当社グループでは、今後のさらなる成長にとって優秀な人材を適時に採用することが経営上重要な課題と認識しております。特に上級管理者、エンジニア、デザイナー及び製品マネージャー等、高度な技能を有する人材を巡って厳しい競争を迎えており、採用コストは増加傾向にあります。この競合環境は、特に本社所在地である日本において熾烈であり、先進的な技術分野や従来のメディア事業に属する他の企業と競っています。当社グループでは、優秀な人材を採用していくために、独立性、創造性、イノベーションを奨励する労働環境等の従業員の高いモチベーションにつながる環境整備や、やりがい及び報酬等の人事制度の面から企業としての採用競争力を強化してまいります。
⑦ 経営管理体制及び法令遵守の強化
当社グループは、事業拡大により従業員数が急激に増大しており、市場動向、競合企業、顧客ニーズ等の変化に対して速やかにかつ柔軟に対応できる組織を運営するため、また、企業価値を継続的に向上させるため、諮問委員会によるガバナンス向上や、内部統制に係る体制、法令遵守の徹底に向けた体制の強化に努めてまいります。
⑧ サービスの安全性及び健全性の確保
当社グループが提供する「LINE」は、ユーザー同士の密接なコミュニケーションを補完するツールであります。ユーザーが他のLINEユーザーと直接コミュニケーションをするにあたっては、各ユーザーが自身のLINE IDを登録し、ユーザーがLINE ID検索で当該ユーザーを認識することができる設計としております。当社グループが提供する「LINE」及び周辺サービス自体は、見知らぬユーザー同士の出会いを推奨する機能を有しておりませんが、LINE IDをユーザーが検索すること等によって、面識のないユーザー同士が「LINE」を通じてつながりを実現させることがあり得ます。
このLINE IDを悪用し男女の出会いの場を提供する外部掲示板サービスを行う事業者が多数存在しており、各種トラブルの温床となっているため、当社としては非常に憂慮しており、各種対策を行っております。当社は、ユーザーが他のユーザーからのLINE IDによるアカウント検索を許可するか否かについて選択できるようにしています。なお、未成年のユーザーの出会いによるトラブルを未然に防ぐ目的で、年齢確認をしていないユーザー及び18歳未満のユーザーは、「LINE」のID設定及びID検索機能をご利用いただけません。
また、「LINE」は、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構による、未成年者が利用するに相応しい運営体制であることの審査を受け、適正であるとして認証を受けております。
これらの施策を行うとともに、未成年者の安心安全な利用環境について、学生・生徒・児童向けや、教職員、PTA等に向けて、安心安全な利用を呼びかける啓発講演活動を2012年度以降、継続して実施しているほか、情報モラル教育に使える、楽しいコミュニケーションを考えるワークショップ教材を作成し、教職員の方々向けに無償で公開し教材として使用していただけるようにする等、情報モラル教育の発展に努めております。
今後も引き続き、ユーザー保護のための適切な措置を随時講じる等、サービスの安全性及び健全性の確保に努めてまいります。
連結計算書類
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