事業報告(平成27年7月1日から平成28年6月30日まで)

1.会社の現況に関する事項

(1)事業の経過および成果

 当社は、大部分の癌細胞の細胞周期(細胞分裂に至る過程)が正常細胞と異なることに着目したアプローチに基づき、抗癌剤の基礎研究および臨床開発、ならびにそのために必要な提携パートナーの獲得活動に取り組んでおります。
 当社の開発パイプライン中で最も先行している化合物CBP501は、非小細胞肺癌(扁平上皮癌を除く)および悪性胸膜中皮腫を対象とした臨床第2相試験を終了しました。この臨床試験のデータの詳細解析から、「癌微小環境」「癌免疫」「癌幹細胞」などに関わるCBP501の多様な作用がわかってきました。次相以降の開発にかかる提携パートナーの確保を目指した活動も積極的に展開しております。しかしながら、当事業年度中の提携パートナーの確保には至りませんでした。
 2つ目の候補化合物CBS9106については、提携パートナー獲得活動の結果、平成26年12月、米国 Stemline Therapeutics, Inc. (以下「Stemline社」)とライセンス契約を締結いたしました。同社は平成27年12月にCBS9106の臨床試験開始申請(IND申請)を終え、現在は、進行固形癌患者を対象とし主に安全性の評価を目的とした臨床第1相試験を進めています。
 さらに当社は、これらの2つの候補化合物の後続パイプラインとなる新規候補化合物の探索・創出に向けて、当社独自の細胞表現型薬剤スクリーニング法による探索研究と、CBP501に関する新たな知見を基にした「次世代CBPプロジェクト」からの創出に取り組んでいます。この一環として当社は、膵臓癌発症モデルマウスによるCBP501薬効試験を目的として国立大学法人東京大学医学部附属病院と、また、化合物ライブラリーを用いた創薬スクリーニングおよびIDO/TDO阻害に基づく抗癌剤創出を目的としてファルマバレープロジェクト(公益財団法人静岡県産業振興財団)と、それぞれ当事業年度から共同研究を開始しています。
 以上の結果、当事業年度の事業収益は、Stemline社とのライセンス契約に基づくテクニカルアドバイザリーフィー105,243千円を計上いたしました。また、当事業年度の研究開発費は、例年水準の基礎研究費支出にCBP501臨床試験準備費用ならびに次世代CBPプロジェクト関連の支出が加わり、前期比151,272千円増加の316,180千円となりました。販売費及び一般管理費は、前期比8,585千円増加の188,178千円となり、研究開発費と合わせた事業費用は、前期比159,857千円増加し、504,359千円となりました。この結果、営業損失は399,115千円(前事業年度営業損失283,542千円)、経常損失は413,739千円(前事業年度経常損失265,714千円)、当期純損失は414,989千円(前事業年度当期純損失266,964千円)となりました。

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対処すべき課題

 当社は、大部分の癌細胞の細胞周期(細胞分裂に至る過程)が正常細胞と異なることに着目した強固なアプローチに基づき、独自の創薬エンジンを基に技術とプロダクトの両方を自社で創出する「創薬企業」として、付加価値の高いビジネスモデルを志向しております。
 このために当面対処すべき経営課題を以下のとおり認識し、それぞれ対応を実施しております。

  • ・CBP501の臨床試験推進と提携パートナーの獲得
  • ・CBP501の適応拡大
  • ・CBS9106の臨床試験推進・追加提携獲得
  • ・創薬エンジンの改良・充実と新規化合物パイプライン獲得

計算書類

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