事業報告(2018年4月1日から2019年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

当事業年度の事業の状況

事業の経過及び成果

 当社を取り巻く経営環境は、インターネット広告市場において、広告費の約7割を占める運用型広告が引き続き市場の伸びを牽引し、前年比16.5%増となる1兆7,589億円と高い成長を継続しております(注1)。また、消費者向け電子商取引(BtoC-EC)の市場規模は9.1%増の16兆5,054億円と拡大を続けているほか(注2)、内閣府主導の下、国内のキャッシュレス決済比率を現状の18.4%から2027年に4割程度を目指すことが打ち出されるなど(注3)、当社が展開するインターネット広告市場、電子決済市場ともに今後も持続的な拡大が見込まれております。
 このような事業環境の下、当社は2018年3月期より「Open Incubation toward 2020」をスローガンに掲げた新中期経営計画をスタート致しました。「IT/MT/FT×Open Innovation」をスローガンとして掲げた前中期経営計画の基本方針は変えず、様々な企業と協力しながら技術革新を進める「Open Innovation」をさらに一歩進め、将来性のある事業の萌芽をグループ会社や他社との連携によるオープンなエコシステムのなかで育成するという意味を「Open Incubation」という言葉に込めております。スタートアップから大企業まで先進的取り組みを行う様々な企業と連携しながら、技術革新がもたらす新しいビジネスをコンテクストで結び、新しい日本をインキュベートしていきます。
 当連結会計年度の経営成績につきましては、全ての事業において収益が前期を上回り、収益は35,687百万円(前期比10,184百万円増、同39.9%増)となりました。税引前利益は、マーケティングテクノロジー事業において人員を増強したことに伴い費用が増加した一方、インキュベーションテクノロジー事業の投資先企業にかかる有価証券の公正価値が増加し業績を牽引致しました。また、フィナンシャルテクノロジー事業が引き続き好調に推移したほか、ロングタームインキュベーション事業において持分法による投資利益3,388百万円を計上したこと等から、税引前利益は13,424百万円(前期比5,048百万円増、同60.3%増)、同じく、親会社の所有者に帰属する当期利益は9,771百万円(前期比3,359百万円増、同52.4%増)となり、過去最高益を更新致しました。
 なお、当社では、当連結会計年度より会社計算規則第120条第1項の規定により国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)に準拠して連結計算書類を作成しており、前連結会計年度の数値につきましてもIFRSに組み替えたうえで、比較分析を行っております。

出所

  • (注1)(株)電通「2018年日本の広告費」
  • (注2)経済産業省「2017年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書」
  • (注3)経済産業省「キャッシュレス・ビジョン(平成30年4月)」

マーケティングテクノロジー事業

 マーケティングテクノロジー事業では、ウェブとリアルを融合した総合プロモーション及びインターネット広告等のウェブマーケティングやビッグデータを活用したデータマネジメントビジネスを行っております。
 インターネット広告を手掛ける当社マーケティングテクノロジーカンパニーによるパフォーマンスアドの金融分野及び(株)DGコミュニケーションズによる不動産分野が堅調に推移したことから、取扱高が順調に拡大致しました。一方、戦略的な人材の増強等により販管費が増加致しました。
 これらの結果、当連結会計年度における収益は13,676百万円(前期比3,737百万円増、同37.6%増)、税引前利益は1,390百万円(前期比466百万円減、同25.1%減)となりました。

フィナンシャルテクノロジー事業

 フィナンシャルテクノロジー事業では、Eコマース(EC)をはじめとするBtoCの商取引に必要不可欠なクレジットカード決済やコンビニ決済等の電子決済ソリューションの提供を行っております。
 決済事業を展開するベリトランス(株)及び(株)イーコンテクストにおいて、EC市場で高成長が続いていることに加え、国民年金保険料のカード決済及び国税のコンビニ決済の取扱開始や、訪日外国人によるインバウンド消費に対応した対面決済をはじめ、飲食や不動産、葬儀等の市場に特化した非EC決済が増加した結果、当期の決済取扱高は2兆円を超え、市場成長率を上回って伸長致しました。
 これらの結果、当連結会計年度における収益は6,693百万円(前期比764百万円増、同12.9%増)、税引前利益は3,174百万円(前期比365百万円増、同13.0%増)となりました。

インキュベーションテクノロジー事業

 インキュベーションテクノロジー事業では、国内外のスタートアップ企業への投資・育成及び当社グループ内の事業との連携による投資先の育成等を行っております。
 当連結会計年度は、投資先企業の公正価値が増加し、有価証券の評価益が前年同期を大幅に上回りました。
 これらの結果、収益は8,022百万円(前期比5,469百万円増、同214.2%増)、税引前利益は6,889百万円(前期比5,569百万円増、同421.6%増)となりました。

ロングタームインキュベーション事業

 ロングタームインキュベーション事業では、当社がこれまで培ってきた投資育成や事業開発のノウハウを活かし、中長期的かつ継続的な事業利益の創出に取り組んでおります。そのなかで、2018年9月には東京短資(株)との合弁会社である(株)Crypto Garageを設立し、フィンテック分野におけるブロックチェーン金融サービスの開発と事業化への取組みを開始しております。
 当連結会計年度は、持分法適用関連会社である(株)カカクコムの業績が引き続き順調に推移し業績に貢献致しました。
 これらの結果、収益は7,133百万円(前期比832百万円増、同13.2%増)、税引前利益は4,378百万円(前期比758百万円増、同20.9%増)となりました。

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対処すべき課題

 当社は、インターネット黎明期であった1995年の創業より一貫して「異なるフィールドにある事象をインターネットを使って結びつけ、世の中の役に立つコンテクスト(文脈)を作ることにより、社会の発展に貢献する」ことを企業理念として掲げております。
 インターネットの登場により、技術のイノベーションにかかるコストが劇的に低下し、かつては大企業でしか生み出されなかったイノベーションや新サービスが、世界中のスタートアップレベルで実現できる時代になりました。インターネットから生まれたオープンイノベーションの波がソフトウェアだけでなくハードウェア産業、さらにはバイオテクノロジー産業も飲み込み、様々な分野で技術が急速に進化しています。身の回りのほとんどのモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)が当たり前となり、これまでにも増して急速な技術革新が、事業環境に大きな変化をもたらすと予想されます。
 このような経営環境の下、当社グループは、「Open Incubation toward 2020」をスローガンに掲げた中期経営計画(2018年3月期から2020年3月期まで)を策定し、2017年5月12日に公表致しました。「IT/MT/FT×Open Innovation」をスローガンとして掲げた前中期3ヵ年計画の基本方針は変えず、様々な企業と協力しながら技術革新を進める「Open Innovation」をさらに一歩進め、将来性のある事業の萌芽をグループ会社や他社との連携によるオープンなエコシステムの中で育成するという意味を「Open Incubation」という言葉に込めております。
 スタートアップから大企業まで先進的取り組みを行う様々な企業と連携しながら、技術革新がもたらす新しいビジネスをコンテクストで結び、新しい日本をインキュベートしていきます。
 当社グループは、中期経営計画の推進及び経営目標の達成を通じて更なる成長を実現し、企業価値の向上を図って参ります。

主要な事業内容(2019年3月31日現在)

 当社グループは、「マーケティングテクノロジー事業」、「フィナンシャルテクノロジー事業」、「インキュベーションテクノロジー事業」及び「ロングタームインキュベーション事業」を行っております。セグメントの内容は以下のとおりになります。

主要な事業所(2019年3月31日現在)

  • 当社本社 
     東京都渋谷区
  • Digital Garage US, Inc. 
     アメリカ合衆国
  • econtext Asia Limited 
     中華人民共和国香港特別行政区
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連結計算書類

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