事業報告(2017年4月1日から2018年3月31日まで)
事業の経過及び成果並びに対処すべき課題
(1) 当事業年度における事業の経過及び成果
当事業年度の国内経済は、企業収益が伸長している中、雇用や所得環境の改善も続き、緩やかな回復基調が続いております。
生命保険業界においては、低金利環境の影響を受けた貯蓄性商品の販売停止をはじめ、11年ぶりとなる2018年4月の標準生命表の改定に向けた対応を迫られるなど、各生命保険会社は厳しい環境に直面しております。一方、金融庁が公表した「顧客本位の業務運営に関する原則」を踏まえ、顧客本位の業務運営に関する取組方針及び取組状況を公表するなど、フィデューシャリー・デューティーへの取組みが進んでおります。また、新商品の開発及び顧客サービスの拡充に加え、新しいテクノロジーを活用する動きが加速するなど、競争は一層激化しております。
このような状況の中、当社は、相互扶助という生命保険の原点に戻り、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスの提供を追求する」という経営理念の下、インターネットを主な販売チャネルとする生命保険会社として開業から10年目を迎えました。当事業年度は、新商品の発売、ビジネス・パートナーシップの継続的な強化、スマートフォンを活用したサービスの拡充を通じて、引き続きお客さま視点での価値の提供に努めてまいりました。
当事業年度における具体的な取組み及び成果は、以下のとおりです。
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契約の状況
2017年度の新契約の年換算保険料*1は、前事業年度比125.9%の1,714百万円、新契約高は、前事業年度比116.3%の184,857百万円となりました。新契約件数は、前事業年度比131.7%の39,175件となりました。
当事業年度末の保有契約の年換算保険料*1は、前事業年度末比110.5%の11,147百万円、保有契約高は、前事業年度末比104.7%の2,059,703百万円となりました。保有契約件数は、2018年2月に26万件を突破し、前事業年度末比110.0%の263,847件となり、保有契約者数は、169,532人となりました。また、当事業年度の解約失効率*2は、5.9%(前事業年度6.6%)となりました。
- 1. 年換算保険料とは、1回当たりの保険料について保険料の支払い方法に応じた係数を乗じ、1年当たりの保険料に換算した金額をいいます。当社商品の保険料は全て月払いのみとなっているため、1ヶ月当たりの保険料に12を乗じたものを年換算保険料としております。
- 2. 解約失効率は、解約・失効の件数を月々の保有契約件数の平均で除した比率を年換算した数値です。
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収支の状況
当事業年度の保険料等収入は、保有契約件数の増加に伴い、前事業年度比108.2%の10,616百万円となりました。また、資産運用収益は、前事業年度比146.4%の317百万円となりました。その他経常収益は、28百万円となりました。この結果、当事業年度の経常収益は、前事業年度比108.6%の10,962百万円となりました。
保険金等支払金は、前事業年度比105.3%の1,891百万円となりました。保険金及び給付金支払額の保険料に対する割合は、前事業年度の16.0%から15.0%に減少しました。責任準備金等繰入額は、前事業年度比101.3%の3,684百万円となりました。責任準備金繰入額の保険料に対する割合は、前事業年度の37.8%から34.2%となりました。事業費は、前事業年度比122.1%の4,942百万円となりました。事業費のうち、広告宣伝費を中心とした営業費用は前事業年度比144.2%の2,627百万円、保険事務費用は前事業年度比120.6%の687百万円、システムその他費用は前事業年度比98.4%の1,628百万円となりました。その他経常費用は、前事業年度に保険業法第113条繰延資産を一括償却したため、当事業年度に同繰延資産償却費を計上していないことなどにより、前事業年度比23.2%の613百万円となりました。これらにより、当事業年度の経常費用は前事業年度比92.0%の11,160百万円となりました。
以上の結果、当事業年度の経常損失は、前事業年度の2,031百万円に対して、197百万円となりました。当期純損失は、前事業年度の1,889百万円に対して、249百万円となりました。
また、生命保険会社の収益性を示す指標のひとつである基礎利益は、前事業年度に保険業法第113条繰延資産を一括償却したことなどにより、前事業年度の1,936百万円のマイナスに対して、120百万円のマイナスとなりました。内訳は、危険差益2,623百万円、費差損2,752百万円、利差益8百万円です。
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資産、負債及び純資産の状況
当事業年度末の総資産は、35,541百万円(前事業年度末31,934百万円)となりました。主な勘定残高として、高格付けの公社債を中心とする有価証券は、28,303百万円となりました。なお、株式は、資本業務提携を目的として当社の保険募集代理店である株式会社アドバンスクリエイトの株式のみを保有しております。韓国の教保生命保険株式会社と合弁で設立した教保ライフプラネット生命保険株式会社の株式は、2018年3月に売却しました。
負債は、保険料の増加に伴い、責任準備金が増加したことから、22,153百万円(前事業年度末18,288百万円)となりました。主な勘定残高は、責任準備金20,757百万円(うち、危険準備金1,519百万円)、支払備金429百万円となりました。なお、当社は、2018年度から2022年度にかけて、5年チルメル式による責任準備金から標準責任準備金へ移行する予定です。現在5年チルメル式により積み立てている責任準備金と標準責任準備金との差額は、1,648百万円であり、この差額を5事業年度にわたって解消するように積み立てる予定です。
純資産は、当期純損失を計上したため、13,387百万円(前事業年度末13,645百万円)と減少しました。
当事業年度末のソルベンシー・マージン比率は、2,455.8%(前事業年度末2,723.0%)となり、十分な支払余力を維持しております。
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その他の成果
当事業年度においては、2017年8月に当社初のがん保険「ダブルエール」を発売しました。「ダブルエール」は、「がん罹患後に働きながらがんを治療することをサポートする」という新しいコンセプトに基づき開発した商品です。がん診断後の治療費に備える「治療サポート給付金」に加えて、がん治療に伴う休職や時短勤務等による収入の減少に備える「がん収入サポート給付金」の2つの給付金によるダブルの保障を特長としております。「ダブルエール」は、雑誌「日経トレンディ*1」2018年5月号「得する銀行・保険」特集のがん保険部門において、「最もメリットが大きい」と評価され、「日経トレンディ認定大賞」を受賞しました。
この「ダブルエール」の発売に合わせて、がん罹患後に働きながらがんを治療することを応援する「がん生活サポートサービス」を開始しました。これは、専門企業と提携し、がん罹患者からの要望が多い「家事代行」「食材宅配」「外見ケア」「医療用ウィッグ」「サポートタクシー」「遠隔セカンドオピニオン」などを紹介するサービスです。
また、2017年9月には、生命保険業界初*2となるLINE上でのグループトーク機能を活用した保険相談サービスの提供を開始しました。これにより、仕事や育児で忙しく、保険相談に出かける余裕がないご夫婦やカップルが、LINE上ですきま時間に、離れた場所でも一緒に保険プランナーと保険相談を行えるようになりました。LINEを活用した取組みにおいては、業界でいち早く、お客さまとの新たなタッチポイントとしてLINEを介したサービスの提供を開始した姿勢が評価され、平成29年度カスタマーサポート表彰制度(Best Customer Support of the Year)*3において「奨励賞」を受賞しました。
さらに、当事業年度は当社の商品・サービスに対する外部機関からの高い評価が続きました。商品では、2016年に発売した就業不能保険「働く人への保険2」が、主に低廉な保険料や保障の選択肢の多さ、給付金額や保険期間を自由に設定できる商品性に関して、雑誌「日経トレンディ*1」2018年5月号を含む、4つの雑誌で高い評価を得ました。「価格.com保険アワード2018年版*4」では、2017年の1年間で最も申し込み件数の多かった商品として、当社の定期死亡保険「かぞくへの保険」及び就業不能保険「働く人への保険2」が各部門で2年連続総合第1位を獲得し、また保険選びサイト「保険市場*5」の「2018年版 昨年最も選ばれた保険ランキング」では、定期死亡保険「かぞくへの保険」がネット申込ランキング「死亡保険部門」で、就業不能保険「働く人への保険2」が資料請求ランキング「就業不能保険部門」で、それぞれ第1位を獲得しております。
サービスでは、HDI-Japanが主催する2017年「HDI格付けベンチマーク(生命保険業界)」において、「問合せ窓口(コンタクトセンター)」「Webサポート(ウェブサイト)」の両部門で、最高評価の3つ星を6年連続で獲得しました。両部門での6年連続3つ星獲得は、生命保険業界では最長タイの記録*2です。
- 1. 株式会社日経BP発行
- 2. 当社調べ
- 3. 公益社団法人企業情報化協会主催
- 4. 株式会社カカクコム・インシュアランス運営
- 5. 株式会社アドバンスクリエイト運営
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(2) 対処すべき課題
当社は、今後も着実な成長を実現するために、2018年度までの中期計画を策定しました。中期計画の骨子は、以下のとおりです。
中期計画の1年目である2016年度においては、新契約業績が、5事業年度ぶりに前事業年度を超え、反転を実現しました。2017年度においては、販売チャネルの多角化及び積極的な営業費用の投下により、2017年8月の新商品がん保険「ダブルエール」の発売以降、新契約業績は対前年同月超えを継続するとともに、2事業年度連続で前事業年度を超え、力強く伸長しております。
一方で、インターネット直販チャネルにおいて、新契約の獲得効率が当初の想定どおりの改善には至らなかったことに加え、KDDI及び代理店チャネルにおいて、当初の想定よりもチャネルの活用が十分には実現していないことなどから、2018年度の経営目標として掲げた経常収益135億円は未達となる見込みです。
このように、中期計画が当初の想定どおりには進捗していないものの、2016年度及び2017年度の業績が力強く伸長している状況から、当社は現在、再成長フェーズにあると捉え、2018年度においても、成長性を重視し、引き続き、各販売チャネルの強化及び積極的な営業費用の投下などにより、新契約業績の着実な伸長を目指します。
当社は、今後も「正直に経営し、わかりやすく、安くて、便利な商品・サービスの提供を追求する」という経営理念に基づき、当社独自の顧客価値を創出するとともに、着実な成長を実現するため、以下の対処すべき課題に対する取組みを推進します。
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3つのチャネルを活用した新契約業績のさらなる成長
当社は、3つのチャネルを活用して、収益を持続的に生み出す基盤を強化することで、新契約業績のより一層の成長を目指します。
まず、インターネット直販チャネルでは、積極的に営業費用を投下し、2017年8月に発売したがん保険「ダブルエール」をはじめとする当社商品のさらなる販売強化を行います。加えて、スマートフォンユーザーに適したウェブサイトの構築を強化し、お客さまの属性等に合わせた最適な情報を提供することで、申込者数の増加を図り、新契約の獲得増加に繋げます。また、当社は、ご契約者の85%を20代~40代が占めているとおり、主に子育て世代に支えられ、成長してきました。開業以来10年間で培った若年層へリーチするノウハウや、新しいテクノロジーを活用しながら、働く子育て世代に向けたアプローチを改めて強化します。
次に、KDDIチャネルでは、2016年12月から本格的に販売を開始した「auの生命ほけん」の商品ラインナップに、2018年4月から「auがんほけん」を加え、認知度の向上及び販売拡大を両社一体となって進めております。また、auの店舗における試験販売を、試行錯誤を重ねながら継続的に実施することで、販路の開拓に努めるとともに、KDDI株式会社のコールセンターであるauフィナンシャルサポートセンターでは、お客さまの満足度向上を図りながら、幅広い顧客基盤に向けて、生命保険商品の販売拡大に取り組んでおります。なお、auフィナンシャルサポートセンターは、2018年3月にHDI-Japanが主催する「HDI格付けベンチマーク(依頼格付け調査)」において、生命保険業界の「問合せ窓口(電話)」部門で、最高ランクの3つ星を獲得するなど、外部機関からも高い評価を得ております。引き続き、KDDIチャネルの特性を活かした新商品の開発の検討も進めます。
最後に、代理店チャネルでは、主に対面代理店において、当社の就業不能保険「働く人への保険2」を中心に、販売代理店数の拡大を行うことで、より多くのお客さまに商品をお届けできる体制を強化します。現在、競合他社の参入により、就業不能保険市場における競争は厳しくなりつつあるものの、当社は、いち早く個人向けに販売を開始したノウハウと、商品性に関する外部からの高い評価を活かして、商品の販売促進に努めます。また、ウェブ代理店においては、ネット生保の特性とテクノロジーを活用しながら、新しい保険の届け方等を共同で検討するなどの施策を通じて、新契約の獲得増加を目指します。
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テクノロジーを活用した商品・サービスの拡充
当社は、生命保険商品の提供のみにとどまらず、さまざまなテクノロジーを活用し、お客さまの生活をサポートすることを、今後の目指す方向性として位置付けております。まずは、ご契約者専用のスマートフォンアプリを開発するなど、ご契約者が契約後も当社のサービスを身近に便利に感じられるようなコミュニケーションを図り、長期にわたる信頼関係の強化に努めることで、契約の継続率の改善に繋げます。次に、健康医療データなどの解析や、生命保険の販売と親和性の高いテクノロジーの活用を検討するなど、新しい商品及び新しい保険の届け方の検討を含めた研究開発も進めます。激化する競争環境に適応するために、テクノロジーの活用方法を模索し続けることに加え、今一度、「お客さま目線での変革」を目指し、お客さまにとって利便性の高い商品・サービスの提供を目指します。
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事業費効率の継続的な改善
低コストな業務運営を目指して、事業費効率の継続的な改善に努めます。2018年度も、新契約業績のより一層の成長を実現するため、主に広告宣伝を中心に積極的な販売活動を行う予定であるものの、インターネット直販チャネルにおいては、テレビCMやオンライン広告などの広告宣伝費の投下について効率化・最適化を行うことに加え、テレビCM以外の効率的な新しい流入経路の確保に努めることで、新契約の獲得効率の改善を目指します。また、KDDIを含む代理店チャネルにおいても、より多くのお客さまへ当社の商品をお届けできるよう、各代理店の顧客基盤やブランド力を活用し、販売活動の効率化も目指します。さらに、全社的に、業務プロセスの見直しの検討を行うとともに、人材育成に力を入れることで、各社員の生産性を高め、事業費効率の改善を図ります。
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当社は、時代の流れやお客さまのニーズに対応するための変化を恐れず、挑戦を続けることで、さらなる成長を目指します。
株主の皆さまにおかれましては、引き続き温かいご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
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