第5号議案 業務執行取締役(執行役員を兼務する取締役)に対する業績連動型株式報酬制度に係る報酬決定の件

当社の取締役の報酬制度は、月例報酬、賞与及びストックオプション報酬から構成されており、取締役の報酬月額につきましては1990年6月28日に月額4,600万円以内、取締役の賞与につきましては2007年6月21日に年額3億円以内(うち社外取締役については年額2千万円以内)、取締役のストックオプション報酬につきましては2007年6月21日に年額4億円以内(うち社外取締役については年額5千万円以内)と、それぞれご承認いただいております。

今般、取締役に当社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えるとともに、株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的として、報酬諮問委員会の答申を経て、新たに、当社の業務執行取締役(執行役員を兼務する取締役)を対象とした、評価期間中の一定の業績等の数値目標の達成率等に応じた報酬である業績連動型株式報酬制度を導入することといたしました。

つきましては、上記の報酬枠とは別枠で、後記Ⅰ.のとおり、業績連動型株式報酬制度に基づき報酬を支給することにつき、ご承認をお願いいたします。

当該制度の導入に伴い、本議案が承認可決されることを条件に、今後取締役に対するストックオプションの新たな発行は行わないことといたします(既に付与済みのストックオプションは残存します。)。

なお、現在の対象となる取締役は4名であり、第2号議案が原案どおり承認可決されますと、対象となる取締役は6名となります。

Ⅰ.業績連動型株式報酬制度の概要

1.業績連動型株式報酬の基本的な仕組み

業績連動型株式報酬の基本的な仕組みは、以下のとおりです。なお、対象となる取締役に対する金銭報酬債権の支給及び当社普通株式(以下「当社株式」といいます。)の交付、並びに、納税資金確保のため当社株式の株価に応じて支給される金銭の支給は、後記に定める評価期間の満了後に行うため、業績連動型株式報酬制度の導入時点では、対象となる各取締役に対してこれらの交付及び支給を行うか否か、並びに、交付及び支給する当社株式の数及び金銭の額は確定していません。また、対象となる取締役は、業績連動型株式報酬として当社株式の交付及び金銭の支給を受ける権利を譲渡し又は担保に供することは一切禁止されます。

  • ① 当社は、対象となる各取締役に対して交付する当社株式の数(以下「最終交付株式数」という。)、及び、納税資金確保のため当社株式の株価に応じて支給される金額(以下「最終支給金額」という。)の具体的な算出に当たって必要となる数値目標及びその達成度合いに応じた支給株式数及び支給金額の算定方法等を当社の取締役会において決定する(なお、算定方法の概要は後記3.のとおり。)。
  • ② 当社は、①業績目標の達成度を評価する指標が後記3.の②(ⅰ)のTotal Shareholder Return(配当込みの株主総利回り)(以下「TSR」という。)である場合は、各事業年度の7月1日から当該事業年度の三事業年度後の6月末日までの期間(以下「評価期間①」という。)、②業績目標の達成度を評価する指標が後記3.の②(ⅱ)ROE及び同(ⅲ)中長期貢献個人目標である場合は、各事業年度開始日からその事業年度の末日までの期間(以下「評価期間②」といい、評価期間①及び評価期間②を総称して又は個別に「評価期間」という。なお、当初の評価期間については、それぞれ、評価期間①は2021年7月1日から2024年6月30日まで、評価期間②は2021年4月1日から2022年3月31日までとし、以後も、各事業年度開始日から連続する同様の期間を評価期間とする業績連動型株式報酬の実施を予定)の経過後、当該評価期間における各数値目標の達成度合いに応じて算出される支給率に基づき、対象となる各取締役に対する最終交付株式数が決定される。
  • ③ 上記②で決定された最終交付株式数に係る当社株式の交付は、以下のとおり行われる。
    • (ⅰ)当社は、対象となる各取締役に対して、当該対象となる取締役に交付される最終交付株式数に、株式の発行又は自己株式の処分の払込金額を乗じることにより算定された額の金銭報酬債権を支給し、対象となる各取締役による当該金銭報酬債権の現物出資と引換えに対象となる当社株式を発行又は処分する。
    • (ⅱ)前(ⅰ)に定める株式の発行又は自己株式の処分の1株当たりの払込金額は、株式の発行又は自己株式の処分に係る取締役会決議の日の前営業日における東京証券取引所における当社株式の普通取引の終値(同日に取引が成立していない場合には、それに先立つ直近取引日の終値)を基礎として、対象となる取締役に特に有利とならない範囲において当社の取締役会にて決定する。
  • ④ なお、最終交付株式数に係る当社株式の交付に当たっては、当社と対象となる各取締役(当該株式の交付の決議の日において取締役又は執行役員に在任している者に限る。)との間で譲渡制限付株式割当契約を締結するものとし、その内容として、次の事項が含まれることとする。
    • (ⅰ)対象となる取締役は、当該割当契約により割当てを受けた当社株式について、当該株式の交付日から当該対象となる取締役が当社の取締役及び執行役員のいずれの地位も退任する日までの期間(以下「譲渡制限期間」という。)、譲渡、担保権の設定その他の処分をしてはならないこと
    • (ⅱ)対象取締役による法令、社内規則又は当該割当契約の違反その他の理由により、当社が当該株式を無償取得することが相当であると当社の取締役会で定める事由に該当した場合、当社は当該株式を無償で取得すること
    • (ⅲ)上記(ⅰ)の定めにかかわらず、当社は、譲渡制限期間中に、当社が消滅会社となる合併契約、当社が完全子会社となる株式交換契約又は株式移転計画その他の組織再編等に関する事項が当社株主総会(ただし、当該組織再編等に関して当社株主総会による承認を要さない場合においては、当社取締役会)で承認された場合には、当社取締役会の決議により、当該株式の全部について、当該組織再編等の効力発生日に先立ち、譲渡制限を解除すること
  • ⑤ 最終交付株式数の当社株式に関する納税資金確保のため、当社は、対象となる各取締役に対し、上記③(ⅰ)の金銭報酬債権に加えて、最終支給金額の金銭を支給する。なお、最終支給金額については、対象となる取締役の退任時に支給するものとする。

2.対象となる取締役に対して交付する株式の上限数及び上限額

業績連動型株式報酬制度に基づき、各評価期間(ある事業年度の開始日に開始する評価期間②及び当該事業年度の7月1日に開始する評価期間①)に関して、対象となる取締役に交付する当社株式の総数及び支給される金銭報酬(金銭報酬債権及び最終支給額の金銭を含みます。)の総額の上限は、それぞれ、125,000株及び550,000,000円とします(なお、当社株式の株式分割(当社株式の株式無償割当てを含みます。以下同じ。)又は株式併合が行われた場合には、当該交付する当社株式の総数の上限並びに最終交付株式数及び最終支給金額は、分割比率又は併合比率に応じて調整されます。)。

3.業績連動型株式報酬に基づく最終交付株式数及び最終支給額の算定方法

最終交付株式数及び最終支給額は、以下の算定式に従って算定されます。ただし、対象となる各取締役の役務提供期間として当社の取締役会が定める期間における取締役又は執行役員の在任期間の割合等に応じて合理的な調整を行うことといたします。

最終交付株式数=基準交付株式数(①)×業績目標達成度(②)×交付割合(④)
最終支給金額 =基準交付株式数(①)×業績目標達成度(②)×交付時株価(③)×(100%-交付割合(④))

  • ① 基準交付株式数は、対象となる各取締役の役位等を踏まえ、当社の取締役会において決定します。
  • ② 業績目標達成度は、(ⅰ)(a) 評価期間①中の当社のTSRと同期間における東証株価指数(株価は終値平均を使用する。)の成長率との比較並びに(b) 評価期間①中の当社のTSR成長率と同期間中の競合他社とのTSR成長率との比較(順位)、(ⅱ)評価期間②におけるROE(自己資本当期純利益率)、(ⅲ)評価期間②における中長期貢献個人目標の各指標、並びに、(ⅳ) 業績目標達成度に係る指標毎のウエイトにより、0%〜150%の範囲で算定するものとします。
  • ③ 交付時株価は、交付時株価として別途取締役会が決定した額とします。
  • ④ 交付割合については、対象となる取締役の納税資金負担を考慮して、別途取締役会で定めます。

4.対象となる取締役に対する株式交付及び金銭支給の要件

業績連動型株式報酬においては、評価期間が終了し、概要以下の要件を満たした場合に、対象となる各取締役に対して当社株式の交付及び金銭の支給を行います。

  • ① 当社の取締役会において定める一定の非違行為がなかったこと。
  • ② その他業績連動型株式報酬としての趣旨を達成するために必要なものとして当社の取締役会が定める要件を充足すること。

なお、対象となる各取締役が死亡その他当社の取締役会が正当と認める理由により当社の取締役及び執行役員のいずれの地位も退任した場合、新たに当社の取締役又は執行役員に就任した場合、当社が消滅会社となる合併契約、当社が完全子会社となる株式交換契約又は株式移転計画その他の組織再編等に関する議案が当社の株主総会(ただし、当該組織再編等に関して当社の株主総会による承認を要さない場合においては、当社の取締役会)で承認された場合、その他当社の取締役会が正当と認める理由がある場合には、必要に応じて、当社の取締役会において合理的に定める時期において、合理的に調整を行った数及び額の株式及び金銭を交付し、又は、当該交付に代えて、当該株式等に相当する額として当社の取締役会が合理的に算定する額の金銭を支給することができるものといたします。

Ⅱ.業績連動型株式報酬制度に基づく報酬の支給が相当である理由

業績連動型株式報酬制度に基づく報酬の支給は、①評価期間中における業績目標を設定し、かつ、当該目標への達成度に応じて株式を交付することによって、また、交付する株式につき当社の取締役及び執行役員のいずれの地位も退任する日まで譲渡制限を設定することによって、中長期的な企業価値の持続的な向上に対するインセンティブを与えるものであること、②業績連動型株式報酬制度に基づく報酬の上限額は、同業他社や時価総額等の点で同程度の規模の他の会社の水準も参考にして、当社の取締役の現在の員数や今後の増加の可能性を踏まえ、中長期的な企業価値向上に向けた適切なインセンティブの付与を促進する水準であること、並びに、③業績連動型株式報酬制度に係る株式の発行済株式総数に占める割合は、各評価期間(ある事業年度の開始日に開始する評価期間②及び当該事業年度の7月1日に開始する評価期間①)毎に、約0.1%(各評価期間に係る株式を、10回、上限数発行した場合における発行済株式総数に占める割合は合計で約1%)とその希釈化率は軽微であることから、相当なものであると判断しております。

また、当社は、2021年2月26日開催の取締役会において取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針を定めており、その概要は事業報告57-59ページに記載のとおりでありますが、本議案をご承認いただいた場合は、24-26ページに記載のとおり当該方針を変更することを予定しております。

なお、当社は、本議案が承認されることを条件に、当社の執行役員(取締役を兼務しない執行役員)に対しても、今後ストックオプションの新たな発行は行わないこととし(既に付与済みのストックオプションは残存します。)、業績連動型株式報酬を付与する予定であります。

【ご参考】
取締役の個人別の報酬の内容についての決定に関する方針(第5号議案が承認された場合)

当社は、2021年2月26日開催の取締役会において取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針を定めており、その概要は事業報告(57-59ページ)に記載のとおりでありますが、第5号議案をご承認いただいた場合は、以下のとおり当該方針を変更いたします。

1.基本方針

  • ①当社の取締役の報酬は、当社グループの企業理念に沿った持続的な企業価値の向上のため、当社グループの価値観・行動規範 “MOL CHARTS” に合致した職務の遂行を促し、グループビジョン及び当社経営計画ローリングプランの達成を強く動機付けるものとする。
  • ②人材を確保するにふさわしく、社員が当社役員を目指すモチベーションにもつながる報酬体系とする。
  • ③報酬の構成については、執行役員を兼任する取締役の報酬は基本報酬(金銭報酬)、業績連動報酬たる単年度業績報酬(金銭報酬)、業績連動報酬たる長期目標貢献報酬(非金銭報酬)とする。社外取締役の報酬は、主たる役割が業務執行監督であり、その役割に重点を置くことから基本報酬のみとする。
  • ④報酬の構成比率については、事業の特性を踏まえた短期及び中長期の業績と連動する報酬の割合を適切に設定すると共に、健全な起業家精神の発揮と株主との一層の価値共有を図ることができるものとする。

なお、社外取締役が過半数を占め、かつ議長を務める報酬諮問委員会が報酬制度案の策定に関与し、取締役会が同委員会による答申を受け決定することにより、客観性及び透明性のある手続きをとる。また、監査役が審議の過程を把握するため、委員会に出席し、意見を述べることができるとしている。

2.基本報酬(金銭報酬)の個人別の報酬等の額及び付与の時期又は条件の決定に関する方針

当社の取締役の基本報酬(金銭報酬)は、各役員の職責の重さを勘案のうえ、報酬額を個別に決定し、在任中に毎月定額を金銭で支給する。

3.業績連動報酬(金銭報酬)に係る業績指標の内容、その額又は算定方法、及び付与の時期又は条件の決定に関する方針

当社の業績連動報酬たる単年度業績報酬(金銭報酬)は、各事業年度に在任した執行役員を兼務する取締役を支給対象とする。前項で定める個人別の基本報酬の額に、全社業績の計画達成度等と個人別評価としての担当部門業績の計画達成度、更に安全運航指標の達成度評価を反映した報酬とし、業績指標と報酬の額との連動性を高めると共に、当社グループの価値観・行動規範“MOL CHARTS”にて決意を新たにした安全運航の徹底を図る。単年度業績報酬は毎年6月に金銭で支給する。

4.業績連動報酬(非金銭報酬)に係る業績指標の内容、その額又は数の算定方法、及び付与の時期又は条件の決定に関する方針

当社の業績連動報酬たる長期目標貢献報酬(非金銭報酬)は、各事業年度に在任した執行役員を兼任する取締役を支給対象者とする。同報酬として、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えると共に株主との一層の価値共有を進めることを目的として、中長期の株価及び業績との連動性を持つ非金銭報酬である業績連動型株式報酬を、評価期間中の業績、業務目標等の達成度に応じ、譲渡制限株式の形で交付し、一部は金銭にて支給する。

各評価期間の経過後に取締役会が株式交付数と金銭支給額を決定の上、交付又は支給し、対象取締役の退任時に、交付株式の譲渡制限を解除し、金銭支給分を支給する。

ただし、対象取締役が法令、社内規則等の違反その他により、当社が当該株式を無償取得することが相当である事由に該当した場合、当社は当該株式を無償で取得し金銭支給分を没収する。

5.基本報酬の額、業績連動報酬等の額、及び非金銭報酬等の額の取締役の個人別の報酬等の額に対する割合の決定に関する方針

取締役の個人別の報酬における報酬の種類別の割合については、役位・職責、業績及び目標達成度等を総合的に勘案し、同業種他社及び他業種同規模他社における方針等を参考にするなどして決定する。

社外取締役の報酬は、主たる役割が業務執行監督であり、その役割に重点を置くことから基本報酬のみとする。

6.取締役の個人別の報酬等の内容の決定の手続に関する事項

取締役の個人別の報酬等の内容については、社外取締役が過半数を占め、かつ議長を務める報酬諮問委員会の審議・答申を踏まえ、取締役会の決議により決定する。

〈 第5号議案が承認可決された場合の当社の取締役(社外取締役を除く)報酬制度のイメージ 〉