<株主(2名)からのご提案>

第10号議案 定款一部変更の件

◆提案の内容

以下の条項を,本会社の定款に追加的に規定する。

第○章
移行計画

(2050年炭素排出実質ゼロシナリオと資本配分との整合)

第○条
本会社は,本会社の長期的成功を促進するため,気候変動に伴うリスク及びこれに伴う事業機会を踏まえ,本会社の2050年温室効果ガス排出実質ゼロ目標に基づき,本会社の重要な戦略的資本投資を,いかに2050年炭素排出実質ゼロシナリオと整合させるかについて明記した方針(以下「本方針」という。)を策定し,これを開示する。
② 本方針の実行を促進するため,本会社は,2050年温室効果ガス排出実質ゼロシナリオが本会社(本会社の全てのグループ会社及び事業セグメントを含む)の戦略的資本投資の根拠となる前提,費用,試算及び評価額に与え得る影響を評価し,これを報告する。但し,開示の対象は,営業秘密に該当する情報を除くものとする。

◆提案の理由

本提案は,本会社の移行計画が,2050年炭素排出実質ゼロシナリオに整合しているかを株主が評価・判断する上で必要な情報の開示を求めるものである。

中部電力グループは化石燃料関連事業の拡大戦略を掲げており,重大な移行リスクを抱えているため,全事業セグメントの資本配分を2050年炭素排出実質ゼロシナリオと整合させた枠組みを含む移行計画を策定し,財務リスクを軽減する必要がある。

本提案が求める開示は,気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD),投資家団体(CA100+等),他国における株主提案等を通じ,投資家が求める情報開示に合致する。世界の同業他社でも本提案と同様の情報が開示され,化石燃料からの転換を進めている。

本提案の可決により,株主は自らの資産の保全に必要な重要情報を知り得る。また,本会社は脱炭素経済への移行におけるリスクと事業機会の適切な管理を行い,企業価値を維持向上することが可能となる。

○取締役会の意見

中部電力グループは,2050年までに事業全体のCO₂排出量ネット・ゼロに挑戦するゼロエミチャレンジ2050を掲げ,お客さま,社会とともに脱炭素社会の実現に取り組んでおります。この目標を達成するうえでは,エネルギーの安定供給を全うしつつ,再生可能エネルギーの拡大,原子力発電の最大限の活用に加え,水素やアンモニアの新技術の動向を見極めながら,火力発電のゼロエミッション化に向けて,適切にトランジション(脱炭素化に向けた移行)を進めていくことが重要であると考えております。また,経営ビジョン2.0において,再生可能エネルギー事業を中心として,2030年度までに4,000億円程度の戦略的投資を行うことを掲げており,短期的には太陽光発電,中期的には水力・バイオマス・陸上風力発電,長期的には洋上風力・地熱発電の開発・保有拡大を全国で積極的に推進してまいります。これらの取り組みを通じて「S(安全性)+3E(安定・安価・環境への適合)」を達成することにより,企業価値の向上を実現してまいります。

当社は,国の「GXリーグ基本構想」に賛同し,国が掲げる国際公約に整合する目標設定を行うとともに,当該目標に対する進捗を毎年開示することとしております。また,気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿って,脱炭素化の移行段階に応じた最新の情報をもとに,気候変動リスク・機会がもたらす影響を評価し,当該影響評価にもとづく取り組みを中部電力グループレポートに掲載しております。今後もみなさまのご意見を踏まえ,開示の充実に努めてまいります。

このため,本提案のような規定を,あらためて定款に定める必要はないと考えます。

したがいまして,取締役会は本議案に反対いたします。