株主の皆様へ

常に時代の先を見据えた、弛まぬ変革

 1598年、武士の志で創った企業「綿半」が誕生しました。
 綿半グループは、織田信長の武将の一人が本能寺の変の後、刀を捨て、綿商いを始めたことを起源としています。明治の世の大変動時には綿から鉄へ変革を遂げ、時代の流れを読取り、異業種を受入れ、多様性ある企業グループへと発展を遂げてきました。
 武士の頃に民家臣とともに力を合わせ、地域を守り、発展させてきた「合」の旗印のもと、現在でも経営者と社員の隔てなく、社員全員による企業を目指しています。力を合わせ、分かち合い、響き合う「合才の精神」を経営理念に、地域社会の活性化と人々のより良い生活環境構築のために邁進します。

より強靭で筋肉質な体制の構築

 2019年3月期の売上高は、前期比4.0%増の1,064億円、経常利益は同0.2%増の25億円となりました。中期経営計画を一年前倒しで達成していたこともあり、消費増税等の事業環境を変えるイベントを前に、筋肉質な体制を整備する年と位置付け、大規模な設備投資を行いました。
 同時に、従業員の働き方変革を加速させて、より休暇を取りやすい環境にするなど、次の成長の土台となる社内改革をしっかりと進めてきました。この結果、事業環境が悪い時でも成長できる体制が、グループ全体にわたって整備できたと確信しています。

小売事業は新規出店と戦略的なコスト削減で事業を展開

 小売事業では、1店舗新規出店したことに加え、既存店では5店舗でホームセンターに食品導入を行ったほか、1店舗では大規模リニューアルを行いました。リニューアルオープンした店舗では、お客さまの来店頻度が向上しました。引続き、新規出店の候補地を探すとともに、既存店のリニューアルを進めていきます。
 一方で、広告宣伝費を上期で3割、さらに下期で7割の大幅削減を行いました。これは、EDLP戦略を推進している綿半グループにとって、チラシよりもブログでリアルタイムの情報を発信し、より多くのお客さまに「いつ来ても品質の良い商品が安く買える」という私たちの強みをご理解いただくことで、しっかりした基盤が構築できるからです。
 広告宣伝費を減らしたことで一時的には来店客数が減少することもありましたが、現在は、戻りつつあることで、手ごたえを感じています。
 店舗では、お客さまが会話をしながらくつろげる「cotton1598コミュニティスペース」の設置を進めてきました。店舗により長く滞在していただけるよう、商品と連動したイベントを開催したり、各店舗が独自の目利きで調達した食材でお惣菜を作り、美味しく食べていただけるようにしたりと、グローサランドにも注力する方針です。自由度が高く魅力的なコミュニティスペースを提供することで、周辺にお住いの方々のコミュニケーションを促し、健康を促進し、余暇の過ごし方を変えるなど、お客さまの暮らしに寄り添える存在になりたいと考えています。
 また、ある店舗では、港から仕入れた魚が泳ぐいけすを店内に置き、お客さまに楽しみながら鮮度の良い魚を選んでいただけるようにしました。大変好評で、このような店舗ごとに特色のある、地域に根ざした店づくりを進めていきたいと思います。

建設事業は工場の自動ロボット化で生産性向上を図る

 建設事業では、製造ラインの自動ロボット化を進める大規模な設備投資を行いました。この投資によって生産量が増加し、品質も改善し、なおかつ生産コストを大幅に抑えるとともに、人財不足が補えるようになりました。また、これまで進めてきた「下請型からメーカーへ」の集大成として、綿半グループが強みを持つ立体駐車場建設用の建築資材の大半を自社製品化する予定です。2020年3月期は一気に生産性と利益率の向上が狙えると期待しています。

貿易事業は取扱品目を増やして事業拡大を図る

 貿易事業でも、数年かけて医薬品、化成品の取扱品目を増やし、売上増を図る施策を行ってきました。今後は、品目を増やすだけではなく、取捨選択を行うことでバランスを整えながら、事業を推進していく方針です。

アベルネットのグループ入りで、インターネット通販をさらに強化

 「PCボンバー」のブランドで、PCや家電をネット販売しているアベルネットが、2018年12月にグループ入りしました。綿半グループはこれまでも楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピング等の既存のインターネット通販モールに出店してきましたが、今回のアベルネットのグループ入りにより、既存店舗の品揃えを補いつつ、インターネット通販上での取扱商品を拡充させて売上拡大を図ります。
 新たにグループ企業が加わることで、新たな発想が生まれ、グループ全体が発展していけると考えています。今後も業態を限定せず、今の事業とのシナジー効果が見込めるM&Aを積極的に進めていく方針です。

一年かけて構築した強固な経営基盤の効果を得られる年に

 2020年3月期の売上高は、前期比7.3%増の1,142億円、経常利益は同12.2%増の28億円を見込んでいます。引続き、欧米や中国の景況感の変化等、不透明要因はあるものの、綿半グループは一年かけて強固な経営基盤を構築してきたその効果を得られる一年になると考えています。
 また、2020年3月期を初年度とする中期経営計画を策定し、3年間の売上目標額は1,200億円、経常利益は32億円を計画しています。売上目標達成はもちろんですが、引続き、経常利益率を毎年上げていくことが重要だと考え、役職員一丸となって努力していきます。

経営基盤を整え、安定的な成長と株主還元を目指す

 株主還元についても、2019年3月期に関しては1円増配の33円の予定です。さらに2020年3月期は、もう1円増配の34円を予定しています。上場後、毎年増配を続けてきましたが、今後も業績を勘案しながら、安定的に配当を続けていく方針です。
 綿半グループは、長い歴史の中で着実に歩みを進めてきた企業です。今後も変化を続け、安定的に成長できるよう尽力しますので、株主の皆さまには今後ともご支援賜りますよう、よろしくお願いいたします。

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