事業報告(2017年4月1日から2018年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

当期の事業環境

 当期の当社グループを取り巻く事業環境は、世界的な景気の回復を受け、全体として緩やかな改善基調となりました。海外では、米国経済は良好な雇用・所得環境を背景に着実な改善が続き、欧州においても海外経済の持ち直しを受けた輸出の増加などにより景気は好調に推移しました。また、新興国経済も、中国で安定した成長が続くなど、概ね好調を維持しました。日本は、個人消費の増加や企業収益の改善などにより、景気は緩やかな回復基調となりました。

事業の概況

 このような状況の中、当社グループは、中期経営計画「構造改革ステージ2」(2017年3月期~2019年3月期)の下、「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」を両立する魅力ある商品をお届けするとともに、全領域でビジネスの質的成長を目指し、ブランド価値の更なる向上に向けて取り組んでまいりました。
 また、昨年8月、当社はトヨタ自動車株式会社との間で、持続的な協業関係の更なる強化を目的として、業務資本提携に関する合意書を締結しました。本年3月には、米国に完成車の生産を行う合弁会社を設立し、2021年の生産開始に向けて準備を開始しております。

<商品>

 昨年12月より日本にて新型「マツダ CX-8」の販売を開始しました。新型「CX-8」は、当社の日本向けSUVラインアップにおける最上位モデルで、多人数乗用車の新たな選択肢として当社が提案する3列シートクロスオーバーSUVです。
 また、日本市場において、運転初心者から高齢者まで幅広いお客様に安全・安心なクルマをお届けするため、コンパクトカーから3列シートクロスオーバーSUVまでの主要6車種でドライバーの認知・判断・操作をサポートする先進安全技術「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」を標準装備とし、これら車種の全機種が経済産業省や国土交通省などが普及啓発を推進する「安全運転サポート車」の「サポカーS・ワイド」に該当しています。

<研究開発>

 昨年8月、2030年を見据えた技術開発の長期ビジョン「サステイナブル"Zoom-Zoom"宣言2030」を公表し、世界の自動車産業を取り巻く急激な変化を踏まえ、より長期的な視野に立ち、クルマの持つ魅力である「走る歓び」によって、「地球」、「社会」、「人」それぞれの課題解決を目指すことを宣言しました。
 また、このビジョンの実現に向けて、ガソリンエンジンにおける圧縮着火の実用化に世界で初めてめどを付けた次世代エンジン「SKYACTIV-X(スカイアクティブ・エックス)」を含めた次世代技術を、2019年から導入することを公表しました。
 加えて、昨年10月、第45回東京モーターショーにおいて、次世代エンジン「SKYACTIV-X」、人間中心の思想を突き詰めた次世代車両構造技術「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー)」と深化した魂動デザインを採用した「マツダ 魁 CONCEPT(マツダ・カイ・コンセプト)」及び次世代デザインビジョンモデル「マツダ VISION COUPE(マツダ・ビジョン・クーペ)」を公開し、本年3月には欧州にて「VISION COUPE」が「コンセプトカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。

続きを見る閉じる

<生産>

 当社グループは、中期経営計画「構造改革ステージ2」で掲げているグローバル販売台数165万台の達成に向けて、世界的に高まるクロスオーバー系車種の需要に柔軟かつ迅速に対応できる生産体制の構築に取り組んでおります。
 まず、日本拠点では、昨年8月、宇品工場でクロスオーバー系車種の生産能力を拡大するとともに、同年10月には防府工場でも新たに新型「マツダ CX-5」の生産を開始しました。
 海外拠点では、昨年8月、マレーシアの生産販売会社において、新型「CX-5」を現地組み立てするにあたり、更なる品質向上のため、高意匠色用塗装工場を新設するなど生産体制を強化しました。また、本年1月には、タイのパワートレイン工場において、エンジン機械加工工場の新設とエンジン組立工場における生産ラインの能力増強などを実施し、エンジン生産能力を年間3万基から年間10万基に増強しました。

続きを見る閉じる

当期の販売状況

 当期のグローバル販売台数は、前期比4.6%増の1,631千台と過去最高の販売台数となりました。車種別では新型「CX-5」のグローバル展開が販売増加に貢献し、地域別では中国やタイなどが台数成長を牽引しました。

<日本>

 昨年12月の発売開始以降、新型「CX-8」は計画を上回る受注を継続しているほか、新型「CX-5」も通年で好調な販売が続き、前年を大きく上回る販売台数を達成したことから、前期比3.8%増の210千台となりました。

続きを見る閉じる

<北米>

 米国は、セダン系車種の需要縮小や競合激化の影響があったものの、新型「CX-5」等のクロスオーバー系車種の販売が好調であったことから、前期比0.7%増の304千台となりました。北米市場全体では、カナダやメキシコの販売台数が増加したことから、前期比1.5%増の435千台となりました。

続きを見る閉じる

<欧州>

 主要市場であるドイツの販売が好調であったほか、ロシアにおいても販売台数が前年を大きく上回るなど、前期比2.6%増の269千台となりました。車種別では、導入以来欧州各国において販売が好調に推移している新型「CX-5」が販売台数の増加に貢献しております。

続きを見る閉じる

<中国>

 好調な販売を維持する「Mazda3(日本名:マツダ アクセラ)」に加え、「マツダ CX-4」や新型「CX-5」等のクロスオーバー系車種の販売も順調であったことから、前期比10.5%増の322千台と、通期としては過去最高の販売台数となりました。

続きを見る閉じる

<その他市場>

 その他の市場全体では、前期比5.3%増の394千台となりました。主要市場のオーストラリアでは、前期比2.2%減の116千台となりましたが、新型「CX-5」等のクロスオーバー系車種は好調な販売を継続しております。ASEAN市場では、タイの販売台数が前年を大きく上回ったほか、その他の地域においても、ニュージーランド、チリ等で過去最高の販売台数となりました。

続きを見る閉じる

当期の連結業績

 当期の売上高は、台数増加や為替相場の円安影響により、3兆4,740億円(前期比2,597億円増、8.1%増)となりました。営業利益は、主に米国での出荷台数の減少や販売費用の増加に対し、為替の影響やコスト改善などにより、1,464億円(前期比207億円増、16.5%増)となりました。経常利益は、業績が好調な中国の関連会社などの寄与により、持分法による投資利益324億円を計上したことから、1,721億円(前期比326億円増、23.4%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,121億円(前期比183億円増、19.5%増)となりました。
 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,575億円等により、2,078億円の増加(前期は1,611億円の増加)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出871億円のほか、トヨタ自動車株式会社との業務資本提携に係る同社株式の取得等により、1,600億円の減少(前期は638億円の減少)となりました。これらの結果、連結フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は、478億円の増加(前期は973億円の増加)となりました。
 また、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払209億円に対し、第三者割当増資の実施や社債の発行等により、305億円の増加(前期は1,499億円の減少)となりました。

 当期の期末配当金につきましては、当期の業績及び経営環境並びに財務状況等を勘案し、1株につき20円の期末配当の実施を株主総会にお諮りさせていただくことといたしました。これにより、当期の年間配当金は、1株につき35円となります。

企業集団の売上高の内訳

【ご参考】連結業績の推移

続きを見る閉じる

対処すべき課題

 当社グループは、「構造改革ステージ2」(2017年3月期~2019年3月期)の最終年度となる2019年3月期におきましても、マツダブランドの提供価値である「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」を両立する魅力ある商品をお届けするとともに、ビジネスの質的成長により、ブランド価値の向上を図ってまいります。
 当社は、「構造改革ステージ2最終年度」と「今後の取組み方向性」について、本年4月27日に以下の内容を公表しました。

「構造改革ステージ2最終年度」について
 2019年3月期の経営指標につきましては、グローバル販売台数は目標の165万台を超える計画であり、自己資本比率についても目標を若干下回るものの着実な改善が進む見通しです。
 一方、連結売上高営業利益率につきましては、主に米国での台数・収益の未達に加え、環境対応コストや米国の販売ネットワーク改革に伴う費用などにより、5%以上の目標に対して3.0%にとどまる見通しです。

2019年3月期経営指標の見通し

 2019年3月期においては、販売強化及び収益改善の施策として、商品改良モデルや次世代商品の投入、新型「CX-8」をオーストラリア、中国など海外市場へ導入するほか、生産面においても、防府第2工場の2直(昼・夜勤)化により、クロスオーバー系車種の生産体制の柔軟性強化を推進してまいります。

「今後の取組み方向性」について
 現在、中期経営計画「構造改革ステージ2」を踏まえた次期中期経営計画を策定中です。
 次期中期経営計画の公表に先立ち、持続的な成長に向けた基本的な取り組みの方向性として、「今後の取組み方向性」を以下のとおりまとめました。

 当社グループは、今後3年間を、2022年3月期以降の本格的成長に向けた足場固めの期間として位置付け、年間5万台の台数成長を行いながら、次世代商品、新技術の開発・導入による商品競合力の向上や米国を中心とした販売ネットワーク改革の加速に取り組みます。
 加えて、トヨタ自動車株式会社などとの相互協力を推進し、米国新工場の稼働を契機に2024年3月期には200万台生産体制の構築を目指してまいります。
 商品領域では、次世代商品群を新たに「Small(スモール)商品群」と「Large(ラージ)商品群」という二つの商品構成に分離し、顧客ニーズや車種区分毎の特性、収益とコストの面から商品戦略の最適化を行います。新商品戦略により、「米国市場強化」、「グローバルでのクロスオーバー系車種の拡充」、「高付加価値商品群の強化によるネットレベニュー(売上から販売奨励金を差し引いた実質的な売上)の向上」の実現を目指します。
 同時に世界各市場での販売強化も推進します。米国市場では、2021年に40万台体制の構築に向けて、市場特性に応じたマーケティング戦略を展開し、次世代ブランド店舗の拡大を行うことで、再購入率の改善と店舗あたりの販売台数の向上を目指します。なお、販売網強化のためのネットワーク再構築費用として、今後4年間で約400億円の投資を行う見込みです。
 また、米国工場投資を含め、次世代商品など将来の成長のために、今後4年間は、通常規模の投資に対して、約2,500億円規模の上乗せとなる見通しです。高水準の投資が継続しますが、生産効率の最大化とコスト改善活動の強化により営業キャッシュ・フローを創出し、成長投資を推進していきます。
 当社グループは、成長投資を行い、主要市場での台数成長と収益性の向上を実現し、持続的成長と株主還元の両立を目指してまいります。
 次期中期経営計画につきましては、詳細が決定次第公表する予定です。

 株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。

※文中における業績予想や将来に関する事項につきましては、当期末時点において当社グループが判断した一定の前提に基づいたものであり、リスクや不確実性を含んでおります。従いまして、これらの記載は実際の業績や結果とは異なる可能性があります。

続きを見る閉じる

連結計算書類

  • 連結貸借対照表を見る
  • 連結損益計算書を見る
議決権を行使する