<株主提案>
第6号議案 定款一部変更(上場子会社への天下りの禁止)の件

1.議案の要領

当社の定款に以下の章及び条文を新設する。なお、本定時株主総会における他の議案(会社提案にかかる議案を含む。)の可決により、本議案として記載した条文に形式的な調整(条文番号のずれの修正を含むが、これらに限られない。)が必要となる場合は、本議案に係る条文を、必要な調整を行った後の条文に読み替えるものとする。

2.提案の理由

当社は、1998年12月に鳥居薬品の株式の過半数を取得して以降、当社の出身者を代表取締役及び取締役として鳥居薬品に送り続けたが、医薬品事業の専門家でない当社出身者による「天下り」は、投資先の価値を高めるという観点から、適切な人選とは言えない。松尾紀彦氏、髙木正一郎氏、松田剛一氏など当社出身の代表取締役社長は、医薬品事業に関する豊富な知見を有しているようには見受けられない。だからこそ、当社が保有する鳥居薬品株式の価値がPBRやEV/EBITDAなどの株価・財務指標面で大幅にディスカウントされる状態が長期化しており、結果的に鳥居薬品の大株主である当社の株主価値が毀損されている。

現在の鳥居薬品の唯一の社内取締役で、当社から代表取締役に天下った松田剛一氏は、当社において、飲料事業部の企画部長、同部の調査役及び同部部長等を長年務めるなど、明らかに畑違いの業務にこれまで従事してきているのであるから、医薬品事業に関する豊富な知見があるとは到底認められない。にもかかわらず、同氏は、鳥居薬品への天下りの布石としてか、突如として当社の医薬事業副部長に就任し、その僅か1年後に同部の顧問に就任した後、その2か月後には、当社の医薬営業副グループリーダー兼営業企画部長に就任している。そして、当該業務に僅か2年従事しただけで鳥居薬品の代表取締役社長に就任するに至っている。

上述のように、親子上場は経済学でいう死重損失を生む可能性が高い。適材適所でない親会社の人事慣行が上場子会社にも適用されれば、独自の経営ノウハウが必要な上場子会社の少数株主の利益はもちろん、上場子会社の価値が毀損されることで、親会社の株主の利益も損なわれ、親子ともに経済的効率性が害される。

当社出身者が社長に就任するという慣行は、鳥居薬品のプロパー従業員が社長に就任することができないということを意味する。これは、鳥居薬品の従業員のモチベーションの阻害要因となるため、鳥居薬品の株主価値の低下に繋がるものであり、ひいては鳥居薬品の大株主である当社の株主価値も損なう。

そこで、当社及び鳥居薬品における人事慣行を正すため、当社又はその子会社若しくは関連会社において5年以上役員又は従業員としての勤務経験のある者が鳥居薬品の取締役に選任されるのを防ぐための定款規定を設けることを提案するものである。

<第6号議案に対する当社取締役会の意見>

当社取締役会は、本議案に反対いたします。

鳥居薬品における取締役の選任については、当社から独立した立場で同社が適正かつ透明なプロセスを経て行っているものであり、当社出身者であるという出自のみをもって、鳥居薬品の上場企業としての判断を阻害することは適当ではないと考えております。むしろ、当社において多様な経験を積んだ人物が、鳥居薬品においてもその幅広い経験に裏打ちされたノウハウを還元することで、同社の活性化に資するとともに、グループ全体での円滑な連携を促進することが可能になります。

現に、客観性、透明性が確保されたプロセスを経て選任された鳥居薬品の取締役各位においては、いずれもその選任に関する同社の株主総会議案において、94%~97%程度の高い賛成率を獲得しており、当社以外の株主の大多数の賛同もいただいております。

以上のような当社出身役員が就任することの効果及び鳥居薬品の株主総会における賛成率という客観的な数値を踏まえますと、当社出身であることのみをもって、鳥居薬品への取締役就任を実質的に制限する定款規定を設けることは、鳥居薬品における最適な取締役選任の機会を損ない得るものであり、鳥居薬品の企業価値、ひいては当社の企業価値をも低下させるおそれがあるものと考えております。

また、子会社における取締役選任議案に対する議決権をどのように行使するかという点については、まさに取締役による具体的な業務執行権限の行使として適時に検討・実施されるべきものであるところ、これを定款によって固定的かつ一律に定めることは、会社法における基本的な権限分配の考え方にも抵触し得るものであり、適切ではないと考えております。 加えて、定款において同社の取締役選任議案に対する議決権行使を拘束した場合には、当社が鳥居薬品の議決権の過半数を有していることから、実質的に同社における独立的な判断を阻害することにも繋がり得ますので、相応しくないと考えております。