事業報告(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)
企業集団の現況
事業の状況
事業の経過及び成果
当連結会計年度における、当社グループに関連する市場の認識は以下のとおりです。
世界経済が緩やかな回復傾向を辿る中で、原油価格は底を打ち、その需給バランスにも改善がみられつつあるものの、エネルギーや素材関連市場においては、引き続き資源開発関連投資の遅延や停止などの動きが広範にみられる厳しい市場環境が継続しました。この間、日本をはじめとする資源輸入国では、原燃料コストの低下の恩恵を受ける企業部門などによる投資は比較的堅調な一方、その他の業種では先行き不透明感からの慎重な投資姿勢がみられ、市場全体としては力強さに欠ける動きとなりました。
このように全体として厳しい事業環境が継続する中で、当社グループは中期経営計画“Transformation 2017”(以下「TF2017」)に基づき、4月に買収した英国KBC Advanced Technologies plc (以下「KBC社」)との統合作業(PMI: Post Merger Integration)への注力をはじめ、「新しい価値づくり」に向けた積極的な事業活動を展開するとともに、コスト削減など「高効率グローバル企業に向けた変革の加速」に努めました。
当連結会計年度における当社グループの業績は、円高の影響及び主として海外での資源開発関連投資の抑制などの影響を受け、前期比で減収減益となりました。売上高は、日本では底堅い伸びを示したものの、円高の影響及び海外での減収により、前期比で222億98百万円減少しました。営業利益は、コストの削減に努めたものの、円高の影響や減収要因に加え、KBC社等買収に伴う一時費用やのれん償却費の増加などにより、前期比で80億31百万円減少しました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、主に営業利益の減少を映じて、前期比で44億4百万円減少しました。
セグメント別の概況
セグメント別の概況は以下のとおりです。
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制御事業
制御事業の売上高は、日本ではプラント設備関連の更新及び運用・保守サービス需要の増加に加え、課題解決型ビジネスへの取り組みなどを背景に総じて底堅く推移したものの、海外は円高の影響に加え、資源開発関連投資の低迷などを受けて、全体では前期比で186億76百万円減少し3,480億47百万円となりました。また、営業利益は、円高や売上高の減少に加えて、KBC社買収に伴う一時費用やのれん償却費の増加等の影響により、前期比で60億49百万円減少し306億36百万円となりました。
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計測事業
計測事業は主に円高の影響等により、売上高は前期比で11億29百万円減少し222億42百万円となり、営業利益は前期比で14億91百万円減少し8億98百万円となりました。
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航機その他事業
航機その他事業は、主に航海ビジネスの市況悪化の影響を受け、売上高は前期比で24億93百万円減少し211億44百万円となり、営業利益は前期比で4億90百万円減少し73百万円となりました。
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制御事業の売上高は、日本ではプラント設備関連の更新及び運用・保守サービス需要の増加に加え、課題解決型ビジネスへの取り組みなどを背景に総じて底堅く推移したものの、海外は円高の影響に加え、資源開発関連投資の低迷などを受けて、全体では前期比で186億76百万円減少し3,480億47百万円となりました。また、営業利益は、円高や売上高の減少に加えて、KBC社買収に伴う一時費用やのれん償却費の増加等の影響により、前期比で60億49百万円減少し306億36百万円となりました。
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計測事業は主に円高の影響等により、売上高は前期比で11億29百万円減少し222億42百万円となり、営業利益は前期比で14億91百万円減少し8億98百万円となりました。
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航機その他事業は、主に航海ビジネスの市況悪化の影響を受け、売上高は前期比で24億93百万円減少し211億44百万円となり、営業利益は前期比で4億90百万円減少し73百万円となりました。
対処すべき課題
経営の基本方針
企業理念
「YOKOGAWAは計測と制御と情報をテーマに より豊かな人間社会の実現に貢献する YOKOGAWA人は良き市民であり 勇気をもった開拓者であれ」を企業理念として掲げ、この実現を目指します。
当社グループは、グループ全体に適用される企業理念とYOKOGAWAグループ企業行動規範を定め、すべてのステークホルダーとの適切な関係を持ち、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めます。また、「企業は社会の公器である」との考えのもと、健全で持続的な成長により、株主、お客様、取引先、社会、社員等すべてのステークホルダーからの信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命と位置づけます。
当社グループは、企業価値の最大化を実現するためには、コンプライアンスの徹底、リスクの適切な管理、株主をはじめとするステークホルダーとの建設的な対話のための情報開示等が重要と考えます。
当社グループは、こうした考え方からコーポレートガバナンスの継続的な充実に取り組む基本方針として「YOKOGAWAコーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定しています。
当社グループのコーポレートガバナンスについての詳細は、当社ウェブサイト
http://www.yokogawa.co.jp/cp/ir/governance/index.htm をご参照ください。
中長期的な経営戦略
当社グループは、平成27年度(2015年度)に10年後の「ありたい姿」とその実現に向けた考え方を長期経営構想として策定しています。長期経営構想ではYOKOGAWAが目指す方向性を表現する「ビジョン・ステートメント」、その実現を支えるYOKOGAWAの強みを示す「コアコンピタンス」、「注力すべき事業領域」を定めています。
ビジョン・ステートメントである、「YOKOGAWAは“Process Co-Innovation”(*) を通じて、お客様と共に明日をひらく新しい価値を創造します。」の実現に向けて、成長基盤を整備するとともに、Process Co-Innovationを深化させることで、長期的な成長発展を目指していきます。
さらに、当社グループは、「Co-innovating tomorrow」をコーポレート・ブランド・スローガンとして掲げ、ビジネスや社会における情報やモノの流れを最適化、効率化し、お客様と社会全体の課題解決に取り組んでいきます。
また、引き続き制御事業については、グローバルNo.1カンパニーを目指していきます。
(*) Process Co-Innovation
YOKOGAWAがこれまで培ってきた計測・制御・情報の技術を結集したオートメーションの将来像です。
これはプロセスの最適化を生産工程にとどめることなく、企業内のバリューチェーンや企業間のサプライチェーンなど、あらゆる情報やモノの流れへと拡大し、お客様と共に新しい価値を創造するYOKOGAWAのソリューション全般を表しています。
この長期経営構想の実現に向けて、当社グループは現在、平成27年度(2015年度)を開始年度とする中期経営計画TF2017の中で、「お客様フォーカス」、「新しい価値づくり」、「高効率グローバル企業」の3点に重点的に取り組み、事業構造の変革に注力しています。また、TF2017での3年間は、長期経営構想実現に向けた「成長基盤の整備期間」と位置づけています。そして将来のさらなる成長のため、「収益性向上」に重点を置き、TF2017の最終年度である平成29年度(2017年度)には、株主資本利益率(ROE)11%以上、1株当たり当期純利益(EPS)100円以上の達成等を経営目標に掲げ取り組んでいます。(当年度実績:ROE 10.4%、EPS 96.44円)
「中期経営計画 “Transformation 2017”(略称:TF2017)」についての詳細は、
当社ウェブサイト http://www.yokogawa.co.jp/cp/corporate/cp-corp-mtbp.htm をご参照ください。
また、平成29年度(2017年度)も「YOKOGAWAコーポレートガバナンス・ガイドライン」の実践を通じて、持続的な企業価値の向上を実現するために、コーポレートガバナンスの継続的な充実に取り組んでいきます。
経営環境と目標とする経営指標
当社グループを取り巻く事業環境は、主要市場であるエネルギーや素材関連市場において、資源開発関連投資の遅延や停止などの動きが広範にみられるなど、中期経営計画TF2017策定時の想定を超える厳しい市場環境にあります。そうした中で、海外景気の緩やかな回復を背景とした原油の需給バランスの改善などを受けて、お客様の一部には慎重な投資姿勢から前向きな変化を示す動きがみられ始めています。
平成29年度(2017年度)は、売上高、営業利益等は前期比で増加する見通しですが、この厳しい市場環境においてTF2017で掲げた当初の経営目標すべてを達成することは極めて困難な状況となりました。このような状況の中、TF2017の最終年度である平成29年度(2017年度)の目標とする経営指標は、売上高、営業利益の数値目標を下方修正、株主資本利益率(ROE)は10.1%、1株当たり当期純利益(EPS)は101円としました。
会社の対処すべき課題
お客様の投資動向など大きく変化する市場構造の中で、受注・売上の拡大のために、買収したKBC社の効果に加え、当社グループが蓄積してきた課題解決能力を最大限活用していくとともに日本市場での業種拡大と成功事例の海外展開、グローバル市場での化学業種への営業活動の強化などを図ります。
また、現在の厳しい市場環境において、競争環境の激化に伴い価格低下圧力が強まる中で、生産やエンジニアリングコストの改善、販管費の削減等の収益性改善策をさらに推し進め、「高効率グローバル企業」への変革を目指します。
さらに、「成長投資の原資は収益性改善により捻出すること」を基本原則に、将来への飛躍的な成長の実現に向けた事業開拓、事業開発のための戦略投資を実行し、「新しい価値づくり」への変革の取り組みを強化していきます。具体的には、高度ソリューションビジネスの加速に向けた投資、IIoTプラットフォームの構築、Co-innovation活動の展開、制御事業の製品販売の拡大、事業戦略を支える情報投資等の最優先事項に集中してリソースを配分し、持続的成長に向けた基盤づくりを目指します。
連結計算書類
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