事業報告(平成28年4月1日から平成29年3月31日まで)
企業集団の現況に関する事項
事業の経過および成果
■ 全般の概況
当社グループは、当連結会計年度末現在でHOYA株式会社および連結子会社122社(国内11社、海外111社)ならびに関連会社8社(国内4社、海外4社)により構成されております。
情報・通信およびライフケアの各事業部門が、それぞれの責任のもと世界各国に展開する子会社を統括する経営管理体制をとっており、米州・欧州・アジアの各地域の地域本社が、国・地域とのリレーションの強化、法務支援および内部監査等を行い事業活動の推進をサポートしております。また、欧州地域本社(オランダ)にはグループのフィナンシャル・ヘッドクォーター(FHQ)を置いております。
■ 国際会計基準の適用
当社グループでは、第73期から会社計算規則第120条第1項の規定により国際会計基準(IFRS)に準拠して連結計算書類を作成しております。これに伴い、事業別の概況における報告セグメントについても、IFRSに基づき、「情報・通信」事業、「ライフケア」事業および「その他」事業の3つの報告セグメントに区分しております。
「情報・通信」事業では、半導体や液晶、HDD等のエレクトロニクス関連製品およびデジタルカメラ用レンズ等の映像関連製品を取扱い、「ライフケア」事業ではメガネレンズ、コンタクトレンズ等のヘルスケア関連製品および眼内レンズ、内視鏡等のメディカル関連製品を取扱います。「その他」事業は、主に情報システムサービスを提供する事業であります。
■ 売上収益の状況
当連結会計年度における世界経済は、日本では、景気回復の兆しがあるものの、為替動向は安定感を欠いた状態が続きました。米国においては、堅調な経済の中、新政権による財政政策への期待が高まりつつありますが、通商政策等による影響が見通しづらい状況となっています。欧州においても、全体的に緩やかな経済成長が継続していますが、英国のEU離脱決定による今後の不確実性が指摘されています。アジアにおいては、中国は高い成長率を維持しているものの、地政学的リスクが高まりつつあります。
そのような環境のもと、当社グループの情報・通信事業については、半導体用マスクブランクスは先端品における堅調な需要により増収、半導体用フォトマスクおよび液晶用フォトマスクは、熊本地震の被災により熊本工場の閉鎖を決定したことで生産能力が減少し、減収となりました。ハードディスク用ガラスサブストレートは、現地通貨ベースでは、総需要の改善および市場シェアの拡大により増収となりましたが、為替の円高影響により減収、映像関連製品はデジタルカメラ向けの需要減少と為替の円高影響により減収となりました。これらにより、情報・通信事業全体では、前連結会計年度に比べ減収となりました。
ライフケア事業においては、コンタクトレンズおよび眼内レンズは堅調に推移しました。メガネレンズと内視鏡はともに、米州、欧州、アジアのいずれの海外市場においても、現地通貨ベースで売上高が増加しましたが、為替の円高影響を受けて全体では減収となり、ライフケア全体としては、前連結会計年度に比べ減収となりました。
この結果、当連結会計年度の売上収益は4,789億27百万円と、前連結会計年度に比べて5.3%の減収となりました。
■ 利益の状況
利益については、熊本地震の災害関連損失に加えて、前連結会計年度に42億70百万円の固定資産売却益を計上したこともあり、当連結会計年度の税引前当期利益は1,107億95百万円、当期利益は868億52百万円となり、それぞれ前連結会計年度に比べて7.0%、6.9%の減益となりました。
当連結会計年度の税引前当期利益率は23.1%となり前連結会計年度の23.6%より0.5ポイント低下しました。
なお、当連結会計年度、前連結会計年度ともに非継続事業はありませんので、表示の数値および増減率はすべて継続事業によるもののみであります。
■ 財産の状況
当連結会計年度末では、総資産は前連結会計年度末に比べて205億76百万円増加し、6,595億83百万円となりました。
非流動資産は、8億23百万円減少し、1,642億63百万円となりました。これは主として、のれんが50億88百万円、無形資産が100億95百万円増加した一方、有形固定資産-純額が50億22百万円、長期金融資産が84億63百万円、繰延税金資産が18億31百万円減少したことによるものであります。なお、長期金融資産の減少は主に流動資産への振替によるものであります。
流動資産は、213億99百万円増加し、4,953億21百万円となりました。これは主として、売上債権およびその他の債権が54億28百万円、その他の短期金融資産が68億4百万円、現金及び現金同等物が105億59百万円増加したことによるものであります。なお、その他の短期金融資産の増加は主に非流動資産からの振替によるものであります。
資本合計は、172億31百万円増加し、5,154億5百万円となりました。これは主として、資本の控除科目である自己株式が278億17百万円減少したことによるものであります。
親会社の所有者に帰属する持分合計は176億22百万円増加し、5,108億87百万円となりました。
負債は、33億45百万円増加し、1,441億78百万円となりました。
当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は77.5%となり、前連結会計年度末の77.2%から0.3ポイント上昇しました。
なお、利益剰余金の増減の内訳は、後掲の「連結持分変動計算書」に記載のとおりであります。
事業区分別の概況
企業集団の事業区分別売上状況は次のとおりであります。
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情報・通信事業
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■ エレクトロニクス関連製品
最終製品であるパソコンやタブレット市場の縮小が続く中、スマートフォン市場は成長を継続しています。当社の半導体用マスクブランクスは、先端品における活発な研究開発需要を取込んだことで、為替の円高によるマイナス影響を吸収し、売上高は前連結会計年度と比べ増加しました。半導体用フォトマスクについては、平成28年4月発生の熊本地震により熊本工場の閉鎖を決定したことで生産能力が減少し、売上高は前連結会計年度と比べ減収となりました。
液晶用フォトマスクについては、スマートフォンパネル向け中小型マスクの高精度・高解像度化に向けた研究開発需要や、TVパネル向け大型マスクの4Kや大画面化に向けた研究開発需要が一段落していることに加え、熊本工場の閉鎖により生産能力が減少した影響が続いたため、売上高は前連結会計年度と比べ減収となりました。
ハードディスク用ガラスサブストレートについては、総需要の減少トレンドが一段落していることに加え、当社の市場シェアが拡大したことで、現地通貨ベースで増収となりましたが、為替の円高影響により、売上高は前連結会計年度と比べ減収となりました。■ 映像関連製品
デジタルカメラ市場では、引き続き市場の縮小が継続しております。そのような中、監視カメラや車載カメラなど新しいアプリケーション向け製品の販売拡大に努めておりますが、全体としてはデジタルカメラ向けの減少を補うには至らず、これに円高影響も加わり、売上高は前連結会計年度と比べ減収となりました。
この結果、当セグメント(情報・通信事業)の売上収益は、1,606億17百万円と、前連結会計年度と比べて10.1%の減収となりました。セグメント利益は、熊本地震に関する災害関連損失の計上に加えて、前連結会計年度に32億74百万円の固定資産売却益を計上したこともあり、545億7百万円と、前連結会計年度に比べて16.8%の減益となりました。
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ライフケア事業
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■ ヘルスケア関連製品
メガネレンズについては、日本市場では、小売市場縮小の影響を受けて、当社の売上高も伸び悩んでおります。海外市場においては、米州にて強い成長を継続していることに加え、欧州、アジアにおいても、現地通貨ベースで安定的に伸長しておりますが、為替の円高影響が大きく、全体では前連結会計年度と比べ減収となりました。
コンタクトレンズにつきましては、専門小売店「アイシティ」の新規出店および既存店におけるプロモーション強化に継続して取組んでおり、前連結会計年度と比べ増収となりました。■ メディカル関連製品
医療用内視鏡は、米州において売上高が改善し、現地通貨ベースで増収に転じました。欧州、アジアにおいても、新製品の貢献と販売力の強化により、現地通貨ベースで売上高が伸長しておりますが、為替の円高影響が大きく、全体として前連結会計年度と比べ減収となりました。
白内障用眼内レンズは、日本市場において昨年度に発売した新製品の販売が、引き続き好調に推移しております。また、海外においても、直販および代理店向けの販売がともに堅調に伸長しており、前連結会計年度と比べ大きく増収となりました。この結果、当セグメント(ライフケア事業)の売上収益は3,144億42百万円と、前連結会計年度と比べて2.6%の減収となりました。セグメント利益は円高影響により、547億18百万円と、5.2%の減益となりました。
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■ エレクトロニクス関連製品
最終製品であるパソコンやタブレット市場の縮小が続く中、スマートフォン市場は成長を継続しています。当社の半導体用マスクブランクスは、先端品における活発な研究開発需要を取込んだことで、為替の円高によるマイナス影響を吸収し、売上高は前連結会計年度と比べ増加しました。半導体用フォトマスクについては、平成28年4月発生の熊本地震により熊本工場の閉鎖を決定したことで生産能力が減少し、売上高は前連結会計年度と比べ減収となりました。
液晶用フォトマスクについては、スマートフォンパネル向け中小型マスクの高精度・高解像度化に向けた研究開発需要や、TVパネル向け大型マスクの4Kや大画面化に向けた研究開発需要が一段落していることに加え、熊本工場の閉鎖により生産能力が減少した影響が続いたため、売上高は前連結会計年度と比べ減収となりました。
ハードディスク用ガラスサブストレートについては、総需要の減少トレンドが一段落していることに加え、当社の市場シェアが拡大したことで、現地通貨ベースで増収となりましたが、為替の円高影響により、売上高は前連結会計年度と比べ減収となりました。■ 映像関連製品
デジタルカメラ市場では、引き続き市場の縮小が継続しております。そのような中、監視カメラや車載カメラなど新しいアプリケーション向け製品の販売拡大に努めておりますが、全体としてはデジタルカメラ向けの減少を補うには至らず、これに円高影響も加わり、売上高は前連結会計年度と比べ減収となりました。
この結果、当セグメント(情報・通信事業)の売上収益は、1,606億17百万円と、前連結会計年度と比べて10.1%の減収となりました。セグメント利益は、熊本地震に関する災害関連損失の計上に加えて、前連結会計年度に32億74百万円の固定資産売却益を計上したこともあり、545億7百万円と、前連結会計年度に比べて16.8%の減益となりました。
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■ ヘルスケア関連製品
メガネレンズについては、日本市場では、小売市場縮小の影響を受けて、当社の売上高も伸び悩んでおります。海外市場においては、米州にて強い成長を継続していることに加え、欧州、アジアにおいても、現地通貨ベースで安定的に伸長しておりますが、為替の円高影響が大きく、全体では前連結会計年度と比べ減収となりました。
コンタクトレンズにつきましては、専門小売店「アイシティ」の新規出店および既存店におけるプロモーション強化に継続して取組んでおり、前連結会計年度と比べ増収となりました。■ メディカル関連製品
医療用内視鏡は、米州において売上高が改善し、現地通貨ベースで増収に転じました。欧州、アジアにおいても、新製品の貢献と販売力の強化により、現地通貨ベースで売上高が伸長しておりますが、為替の円高影響が大きく、全体として前連結会計年度と比べ減収となりました。
白内障用眼内レンズは、日本市場において昨年度に発売した新製品の販売が、引き続き好調に推移しております。また、海外においても、直販および代理店向けの販売がともに堅調に伸長しており、前連結会計年度と比べ大きく増収となりました。この結果、当セグメント(ライフケア事業)の売上収益は3,144億42百万円と、前連結会計年度と比べて2.6%の減収となりました。セグメント利益は円高影響により、547億18百万円と、5.2%の減益となりました。
対処すべき課題
当社グループは、持続的成長と企業価値の最大化に向けて、「情報・通信」と「ライフケア」の複数の事業において、グローバルに経営を推し進めております。多岐にわたる事業を運営する中、経営資源の最適な配分により、競争力を最大化することで、業績向上に取組んでまいります。
(1)目標とする経営指標
当社グループは、資本に対するコストを上回る利益を生んだとき、企業価値が増大し、すべてのステークホルダーにご満足いただけるものと考えております。その実現のための経営指標としてSVA(Shareholders Value Added)を導入し、効率的な経営に努めております。
(2)中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題
■ 市場の変化への迅速かつ柔軟な対応と経営資源の効率的な活用
当社グループの事業領域は多岐にわたっておりますが、それぞれの市場の動向にすばやく柔軟に対応していくために、顧客のニーズを的確に把握し、競合に先んじた戦略を立案してまいります。当社グループの経営資源を適切に配分し、設備投資、事業提携、M&A、事業の撤退・縮小といった判断をタイムリーに行ってまいります。
■ 新たな事業、技術の創出
企業収益を確保し、成長し続けるためには、既存事業の伸長はもとより、従来とは異なる成長分野において、当社独自の技術を開発し、新たな事業を創出していくことが重要な課題と認識しております。
世界に通用する技術や競争優位性の高い製品の開発、新規事業の開拓・創造、そして次代を担う人材の獲得・育成にさらに力を注いでまいります。同時に、外部リソースを積極的に取り込むことも重要と考えており、事業提携やM&A等のあらゆる可能性を追求してまいります。
■ ライフケア事業の拡大
医療の現場では医師・患者双方の要求として身体への負担軽減・治療の短時間化が望まれるようになり、低侵襲医療が加速度的に普及してきております。当社グループは、光学の知識・経験を応用したライフケア事業を戦略的成長分野と位置づけ、経営資源を積極的に投入し、先進国におけるシェアの拡大と新興国への展開によるグローバルでの事業拡大を図ってまいります。
■ 情報・通信事業の安定的な収益の確保
顧客との連携強化による技術開発、高付加価値製品の拡大、新たな製品用途の開拓により、収益性の維持、向上に努めてまいります。同時に、生産拠点の効率化、生産技術の革新によるコスト削減にも力を注いでまいります。
■ 省エネルギー対策およびリスク分散、危機管理対応
当社グループは、全社を挙げて省エネをはじめとする環境保全に取組んでおります。また、リスクマネジメントの観点からも海外移転を含む製造拠点の分散化を進めてきました。社会の一員として、また供給責任という観点からも、引き続き省エネルギー対策、リスク分散、危機管理対応に積極的に取組んでまいります。
■ ダイバーシティの推進
当社グループ全体においては多くの女性管理職が活躍しておりますが、日本に限定した場合、その割合は大幅に低くなっております。日本においても、価値観や働き方の多様性を確保することで、優秀な人材を確保し、より効率的かつ多面的な観点から企業価値向上に資するように努めてまいります。
連結計算書類
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連結包括利益計算書を
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