<株主(2名)からのご提案>

第13号議案 定款一部変更の件(2)

◆提案の内容

以下の章を新設し,本会社の定款に追加的に規定する。

第○章
気候変動関連リスク管理

(パリ協定に基づく1.5度目標の不達成時に想定される財務的影響に係る情報開示)

第○条
本会社の「ゼロエミチャレンジ2050」宣言,パリ協定(1.5度目標の追求)へのコミットメント,気候変動による物理的リスクに伴う経済的コスト,及び本会社の事業計画を踏まえ,本会社は以下の事項について定量的評価を開示する。
1.5度の温暖化シナリオの下で,本会社の現在の戦略及び事業計画が受ける可能性のある移行リスクに起因する財務的影響(潜在的な資産減損を含む。)の見通し
気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)が提示する「現行政策シナリオ(Current Policies Scenario)」等,気候科学に基づく,パリ協定気温目標をオーバーシュートするその他のシナリオを前提に,本会社の現在の戦略及び事業計画が受ける可能性のある物理的リスクに起因する財務的影響(潜在的な資産減損を含む。)の見通し
上記①及び②のリスクに起因する財務的影響の見通しが,将来における資本支出の評価及び意思決定プロセスに及ぼす影響の度合い

当該開示は,合理的な費用の範囲内で行われるものとし,また,営業秘密情報に該当する情報は除くものとする。

◆提案の理由

本提案は,1.5度上昇シナリオ及びオーバーシュートシナリオ下での資本支出計画等,複数の気候シナリオ下で予測される財務的影響の開示を求めるものである。
当社は,JERAによる化石燃料事業の拡大や信頼度の低い脱炭素戦略により,重大な気候関連リスクに加え,パリ協定目標達成に向けた政策・市場変化に起因する資産減損等の移行リスクにも晒されているが,当社はこれらの財務的影響に係る評価を開示していない。
気候科学によれば,1.5度の温暖化シナリオが気候関連の財務リスクが最も低く,2.3度まで上昇した場合,その物理的影響による日本経済の損失は2050年までに約952兆円に達すると試算されている。
本提案が求める開示は,気候変動が当社の財務安定性と将来収益性にどのような影響を及ぼすかについての投資家の十分な理解を促進し,透明性の向上により,株主との建設的な対話が促され,中長期的な企業価値の向上に資するものである。

○取締役会の意見

中部電力グループは,2050年までに事業全体のCO2排出量ネット・ゼロに挑戦する「ゼロエミチャレンジ2050」の達成に向けて取り組んでおります。この目標を達成するうえでは,エネルギーの安定供給を全うしつつ,エネルギー安全保障に寄与し脱炭素効果の高い再生可能エネルギーや原子力発電の最大限の活用などに加え,水素・アンモニアやCCUSなどの活用に向けた新技術の動向を見極めながら,火力発電のゼロエミッション化に向けて,適切にトランジション(脱炭素化に向けた移行)を進めていくことが重要であると考えております。
また,当社は,2019年5月の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同以降,TCFD提言に沿った開示を進めており,1.5℃シナリオを含む複数のシナリオにおいて,気候変動リスク・機会がもたらす影響を評価し,当該影響評価にもとづく取り組みや年間財務影響額を中部電力グループレポートや有価証券報告書に掲載するなど,定量的開示の充実を図っております。今後もみなさまのご意見を踏まえ,開示内容の一層の充実に努めてまいります。
したがいまして,取締役会は本議案に反対いたします。