第16号議案 定款一部変更の件避難計画の実効性の担保がない原発の稼働禁止

▼提案の内容

当社の定款に以下の章を新設する。
第12章 原発事故時の避難計画の実効性が担保されない限り原発は運転しない
第49条 当社と立地自治体とで原発事故を想定した避難訓練を、降雪期、夜間を含めて最低1年に3回実施すること。費用は当社が負担する。
第50条 避難訓練の結果を検証し、速やかに避難計画を改善すること。
第51条 立地自治体と、避難者受け入れ自治体と当社の三者が常時緊密に連絡を取り合い、避難時に必要な車両、施設、人員、医療体制などについて情報を共有しておくこと。
第52条 大規模な自然災害が発生したときは、立地自治体及び近隣自治体に原発の被災情報を迅速に提供すること。

▼提案の理由

今年元旦の能登地震は、改めて地震の恐ろしさ、避難の難しさを突きつけた。かつて当社がこの地に原発を建てようとした時、苦しい思いをしながら反対運動に身を捧げ、原発を退けた現地の方々には感謝しかない。もし原発が珠洲にあったらどれほど大きな災いとなっていただろう。
原発の安全確保は「深層防護」が基本だが、福島原発事故でその破綻が明らかになった。大事故が起きれば、正確なデータをもとに迅速に避難しなければならないが、今の避難計画は文字通り「机上の空論」で、現実的ではない。地震大国の我が国で「大地動乱の時代」と地震学者が警告するこの時期に、実効性のある避難計画なしに老朽原発を運転するのは愚かで危険なことだ。自然災害は激しさを増し、時を選んでくれない。減災の工夫はできても、大地震と原発事故が同時に起きれば、防災対策はまったく無力だ。一番の防災は原発事故の前に運転を停止することだというのは自明の理である。

○取締役会の意見:本議案に反対いたします。

原子力災害時の避難計画については、国、自治体、原子力事業者が相互に連携、協力し、国および自治体が、避難先、避難手段、避難経路の確保等、必要な対策を定めて情報を共有するとともに、それら避難計画に基づき住民避難訓練等を実施しているものと認識しております。
当社は、原子力発電所の被災状況に関する情報を提供していくほか、避難時における移動手段や放射線防護資機材の支援、自治体主催の訓練への要員の派遣等、国および自治体に対し必要な協力を行い、災害時のさらなる対応能力の向上に取り組んでおります。
したがいまして、ご提案の内容を定款に定めることは適当ではないと考えます。