第4号議案 定款一部変更の件事業およびサプライ・チェーン、投資・出資の脱炭素化
▼提案の内容
当社の定款に以下の「CSRに基づく事業運営」の章を新設する。
第8章 CSRに基づく事業運営
(事業およびサプライ・チェーン、投資・出資の脱炭素化)
第41条 本会社の社会的責任を果たすため、気候変動に関わる科学的知見、国際合意および歴史的排出責任を踏まえ、本会社の事業およびサプライ・チェーンにわたる脱炭素化を計画的に進める。投資・出資においても、計画段階から気候変動との関連を優先する。
▼提案の理由
現在の世界のCO2排出が続けば、後約6年で地球平均気温の上昇は1.5℃を超え(50%の確率)、「パリ協定」の目標が達成できなくなる。(グローバル・カーボン・プロジェクト、”Global Carbon Budget 2023”)。
一方、当社の「ゼロカーボンロードマップ」(2024年4月改定版)では、実現性・有効性が疑わしい、火力発電における水素・アンモニアの利用、炭素回収利用貯留技術の開発に頼っている。排出係数の大きい石炭火力発電の廃止には、触れていないことも問題である。技術開発は重要であるが、商用化が間に合わないリスクを考慮し、再生可能エネルギーや省エネなど、熟度の高い技術による着実な脱炭素化を優先するべきである。
気候変動は、集中豪雨、大型台風等による被害の拡大に加えて、電力等インフラへのリスク、対策コストの上昇により社会・将来世代に損失をもたらし、企業価値の毀損、株主利益の損失にもつながる。
○取締役会の意見:本議案に反対いたします。
当社は、ゼロカーボン社会の実現に向けて、「関西電力グループ ゼロカーボンビジョン2050」およびその実現への道筋を定めた「関西電力グループ ゼロカーボンロードマップ」でお示ししているとおり、発電事業をはじめとする事業活動に伴うCO2排出を2050年までに全体としてゼロとすることとしております。
資源に乏しい我が国において、安定供給を維持しながら脱炭素化を進めていくためには、エネルギーの多様性確保が必要です。当社は、再生可能エネルギーの主力電源化、火力のゼロカーボン化および確立した脱炭素技術である原子力発電の安全確保を大前提とした最大限活用に取り組んでいます。石炭火力発電についても、安定供給と経済性の両立の観点から活用しており、将来の電力需要や国の政策動向等を踏まえて適切に対応していくとともに、今後の技術動向も考慮しながら、現実的に最適な脱炭素施策を検討してまいります。
また、お客さまや社会のみなさまとともに電化や省エネ等を進めることで社会全体のCO2排出量を削減してまいります。
なお、ロードマップで掲げた投資をはじめ、各セグメントの成長につながる投資については、気候変動への対応の観点のみならず、収益性等を総合的に判断し、実施してまいります。
したがいまして、ご提案の内容を定款に定めることは適当ではないと考えます。