事業報告(平成28年5月1日から平成29年4月30日まで)
当事業報告において、使用する名称の正式名称及びその説明は下記のとおりです。
企業集団の現況
当連結会計年度事業状況
事業の経過及び成果
当社グループは、中期事業方針『SiLK VISION 2020』のもと、2020年(平成32年)4月期に連結売上高500億円、連結営業利益50億円の達成を目標に掲げています。そして、その達成に向け、「成長領域に注力した新分野への進出と継続的発展」を戦略として位置付け、モバイル事業・アドテクノロジー事業の継続成長を図るとともに、生活領域("Health Tech"、"IoT"、"不動産Tech")に注力することで、中長期での事業拡大に努めています。
当連結会計年度においては、注力する生活領域のうち"Health Tech"分野において、薬局向けソリューションサービスを開始したことにより、新たな報告セグメントとして「ヘルステック事業」を設け、区分することとしました。
当社は、当社グループを取り巻く事業環境を以下のように捉えています。
ブロードバンド市場
光アクセス回線をはじめとした固定網による通信サービス市場は、高速ブロードバンド環境の普及が一巡したことに加え、モバイル網による通信サービスの高速化が引き続き進んだことで、成長は緩やかなものとなりました。しかし、ネット動画やゲームなどのリッチコンテンツの利用増及びSNSのようなアクセス頻度の高いサービスの普及、クラウドサービスの利用拡大等により通信トラフィックが増加し、ネットワーク原価は上昇傾向にあります。一方で、2015年(平成27年)2月よりNTT東西が、光アクセス回線の卸売りとなる「光コラボ」の提供を開始したことにより、従来の光アクセス回線サービスである「フレッツ光」からの切り替えが進展し、光コラボの普及が進みました。
固定網による通信サービス市場のうち全戸一括型マンションISP市場においては、2020年(平成32年)開催予定の東京オリンピック・パラリンピックを見据えたマンション建設数の増加やそれに伴うストック戸数(建築済み建物戸数)の増加により、高速ブロードバンド環境導入による資産価値や入居率の向上を目的に、その導入がより一層進み、引き続き、市場規模は拡大することが予想されています。
モバイル市場
当社グループがサービスを提供しているMVNO・MVNEの認知度向上が続いていますが、その普及自体が進んでいる欧州諸国と比べ、まだ日本での普及率は低い状況にあります。しかし、MVNO・MVNEの成長は顕著になっているため、今後、欧州諸国と同水準まで成長する余地があると見込まれています。
また、ICT端末であるスマートフォンの利用状況においても、日本での利用率が6割程度であることに比べ、他国ではその利用率が8割から9割以上となっています。日本では未だフィーチャーフォン利用率が4割程度となっているものの、フィーチャーフォンの利用者のうち約半数はスマートフォンの利用を視野に入れており、MVNO・MVNEの更なる認知度向上に伴って、今後、フィーチャーフォンと同等の安価での利用ができるMVNOの通信サービスに対するニーズが、より一層高まっていくことが期待されています。
インターネット広告市場
スマートフォン向け広告やネイティブ広告が大きく拡大するとともに、リスティング広告やアドテクノロジー活用広告といった運用型広告(膨大なデータを処理するプラットフォームの活用による最適な広告を自動・即時に表示する方式の広告)の浸透が進んだことに加え、スマートフォンをはじめとしたICT端末向け動画広告市場の規模が前年比の約2倍になったことで市場は引き続き拡大しました。そして、アフィリエイト広告が堅調に推移したことも市場の拡大に繋がりました。
また、インターネット広告市場は2016年(平成28年)に初めて1兆円を超え、横ばい傾向にあるテレビ広告の7割に当たる規模にまで成長し、テレビ広告を追い抜くことがより現実的なものとなっています。
クラウド市場
パブリッククラウド、プライベートクラウドともに市場が拡大しており、その両方を連携させ長所を組み合わせることでセキュリティ管理、コスト管理を向上させることができるハイブリッドクラウドの利用が広がり、クラウドサービスに対するセキュリティ不安も低下傾向を見せています。
市場規模は1兆円を超え、2020年(平成32年)には3兆円を超える規模になることが予想されています。しかし、パブリッククラウドにおいてはグローバルベンダーによるサービスが上位を占めており、今後もその状況が続くことが想定されます。プライベートクラウドにおいては突出したベンダーが存在しないため、当社を含む各ベンダーは、自社の強みを活かした差別化要因によって、市場におけるポジションを確立していくことが重要となっています。
ヘルステック市場
日本には、2025年(平成37年)には高齢者人口が3,500万人に達すると推計される「2025年問題」があり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になると見込まれており、就業者数も、2030年(平成42年)頃には医療・福祉関連産業が国内で最も大きくなると言われています。また、高齢化の傾向は日本だけに止まらず、世界規模で進展するものと想定され"Health Tech"は"健康×IT"によりヘルスケア領域に変革を起こし、次世代の健康管理メソッドを創出していくものとして期待されています。そして、医療関連の品質維持やその費用抑制のためにICTの活用が必須であると位置付けられています。
当社グループは、薬局向けソリューションサービスの提供を足掛かりとして、この市場における存在意義を高めていくことを目指しています。
このような市場環境のもと、当社グループは、中期事業方針『SiLK VISION 2020』の達成に向けて事業を推進しました。
継続成長事業の1つと位置付けているモバイル事業では、MVNOの市場拡大が続いていることを受け、当社がMVNEとして提供するMVNO支援パッケージサービス「freebit MVNO Pack」を採用する事業者が増加し、また、採用事業者による獲得エンドユーザー数も増加しました。これに伴い、同事業者向けのSIM出荷枚数の増加傾向が続くことを見据え、通信帯域や通信設備の増強も行いました。また、連結子会社の株式会社ドリーム・トレイン・インターネットでは、MVNOサービス「DTI SIM」の更なるユーザー数拡大を目的に、ユーザーニーズを機敏に捉えた新プランの投入やキャンペーン施策を講じることで他社との差別化を図りました。また、CCCとの合弁会社であるトーンモバイルでは、端末やアプリの開発からユーザーサポートまでの全てを提供することができることを特長とした独自のスマートフォンサービス「TONE」を、CCCグループが全国展開する「TSUTAYA」や「蔦屋書店」といった店舗網での取扱いを拡大させました。
もう1つの継続成長事業と位置付けているアドテクノロジー事業では、フルスピードがアドテクノロジー関連サービスとインターネットマーケティング関連サービスの提供に努めており、特に、広告運用統合プラットフォーム「AdMatrix」やスマートフォン向け動画アドネットワーク「PolymorphicAds」を中心としたサービス提供に注力しました。また、フォーイットでは、アフィリエイト・サービス・プロバイダーとして独自のアフィリエイトサービス「afb(アフィb、旧 アフィリエイトB)」の提供やその利便性の向上に尽力したことで、以前より優位性を築いている業界向けのサービス提供のみならず、これまでの安定した実績の積み上げが評価されたことによって他の業界へのサービス提供も拡大しました。
新分野への進出を視野に入れている「生活革命」領域においては、"Health Tech"における中長期的な事業拡大を目的に、先行投資事業との位置付けのもと、フリービットEPARKヘルスケアを連結子会社化し、当社グループの有する技術力や事業リソースを有効的に活用することで事業拡大が見込める薬局向けソリューションサービスの提供を開始しました。
以上の結果、売上高は35,222,475千円(前連結会計年度比24.1%増)となったものの、フルスピードにおいて、4.7億円の回収不能債権が発生したことなどにより、営業利益は1,321,334千円(前連結会計年度比30.6%減)、経常利益は807,565千円(前連結会計年度比38.9%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損益については、法人税等調整額の増加等もあったため、150,359千円の損失(前連結会計年度は553,008千円の利益)となりました。
事業区分別の概況
報告セグメント別の業績は、次のとおりであります。
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ブロードバンド事業
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スマートフォンやタブレットといったICT端末の普及に伴って、宅内Wi-Fi環境を通じたネット動画視聴、ゲームをはじめとしたリッチコンテンツやSNSの利用の増加等により固定回線網の原価は高止まりしたものの、集合住宅向けインターネットサービスが順調に推移したことに加え、「光コラボ」関連サービスによるユーザー獲得数が増加しました。
以上の結果、売上高は10,131,693千円(前連結会計年度比1.1%増)、セグメント利益は1,717,101千円(前連結会計年度比1.9%増)となりました。
なお、主に集合住宅向けインターネットサービスの提供を行うギガプライズでは、販売体制の強化及び経営の効率化を目的に、不動産仲介業を行う持分法適用関連会社であったフォーメンバーズの株式を追加取得し連結子会社としました。 -
モバイル事業
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MVNO支援パッケージサービス「freebit MVNO Pack」の採用事業者(MVNO)が増加するとともに、採用事業者によるエンドユーザーの獲得数も増加しました。そして、同サービスの採用事業者の1社でもあるトーンモバイルには、同社専用スマートフォン端末である「TONE m15」を納入しました。
エンドユーザー向けMVNO SIMサービス「DTI SIM」においては、顧客ニーズに合わせた新プランの投入やキャンペーン施策を講じることで競合他社との差別化を図り、更なるユーザー獲得に努めました。
以上の結果、売上高は大幅に増加し8,628,239千円(前連結会計年度比72.0%増)となりました。なお、拡大を続ける事業規模を見据えた通信帯域や通信設備の増強に加え、より一層のユーザー獲得に向けたサービス開発への投資と販促費の投入を行ったことにより、セグメント損失は327,232千円(前連結会計年度は33,194千円のセグメント損失)となりました。 -
アドテクノロジー事業
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独自のアドテクノロジー関連サービスである広告運用統合プラットフォーム「AdMatrix」やスマートフォン向け動画アドネットワーク「PolymorphicAds」等の提供に注力し、また、インターネットマーケティング関連のサービスにおいても、既存サービスの拡大に加えてSNS等の運用広告サービスの提供を積極的に展開しました。
また、アフィリエイトサービスにおいては、得意とする業界だけの伸長に止まらず、新たな業界での提供も順調に広がったことで、引き続き、事業規模及び収益規模が拡大しました。
以上の結果、回収不能債権4.7億円が発生したものの、売上高が14,557,201千円(前連結会計年度比24.5%増)、セグメント利益が900,462千円(前連結会計年度比0.9%減)となりました。 -
クラウド事業
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当社がISP向けアウトソーシングサービスで培ってきた運営ノウハウを活かして開発した「フリービットクラウド」は、高レベルでのセキュリティやサービス稼働における信頼性はもちろん、高い処理性能などが求められるシステムにも容易に対応できるクラウドサービスとして、パブリッククラウドの「フリービットクラウド VDC PRO」、プライベートクラウドの「フリービットクラウド VDC Private HOSTED」、「フリービットクラウド VDC Private ON-PREMISES」をはじめとしたサービスが利用者より評価を得ています。そして、そのパブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせ、高いセキュリティと柔軟なインフラ環境を優れたコストパフォーマンスでの提供を実現したハイブリッドクラウドについても、同じく高い評価を獲得しました。
以上の結果、売上高は1,945,975千円(前連結会計年度比2.6%減)、セグメント利益は140,658千円(前連結会計年度比64.8%増)となりました。 -
ヘルステック事業
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当社グループの有する技術力や事業リソースを活かした事業拡大が見込める薬局向けソリューションサービスの提供を目的に、当連結会計年度よりフリービットEPARKヘルスケアを連結子会社化した結果、売上高が254,944千円、セグメント損失が324,274千円となりました。
なお、前連結会計年度には当報告セグメントに区分すべきサービスが存在しなかったため、前連結会計年度との比較は行っていません。
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スマートフォンやタブレットといったICT端末の普及に伴って、宅内Wi-Fi環境を通じたネット動画視聴、ゲームをはじめとしたリッチコンテンツやSNSの利用の増加等により固定回線網の原価は高止まりしたものの、集合住宅向けインターネットサービスが順調に推移したことに加え、「光コラボ」関連サービスによるユーザー獲得数が増加しました。
以上の結果、売上高は10,131,693千円(前連結会計年度比1.1%増)、セグメント利益は1,717,101千円(前連結会計年度比1.9%増)となりました。
なお、主に集合住宅向けインターネットサービスの提供を行うギガプライズでは、販売体制の強化及び経営の効率化を目的に、不動産仲介業を行う持分法適用関連会社であったフォーメンバーズの株式を追加取得し連結子会社としました。 -
MVNO支援パッケージサービス「freebit MVNO Pack」の採用事業者(MVNO)が増加するとともに、採用事業者によるエンドユーザーの獲得数も増加しました。そして、同サービスの採用事業者の1社でもあるトーンモバイルには、同社専用スマートフォン端末である「TONE m15」を納入しました。
エンドユーザー向けMVNO SIMサービス「DTI SIM」においては、顧客ニーズに合わせた新プランの投入やキャンペーン施策を講じることで競合他社との差別化を図り、更なるユーザー獲得に努めました。
以上の結果、売上高は大幅に増加し8,628,239千円(前連結会計年度比72.0%増)となりました。なお、拡大を続ける事業規模を見据えた通信帯域や通信設備の増強に加え、より一層のユーザー獲得に向けたサービス開発への投資と販促費の投入を行ったことにより、セグメント損失は327,232千円(前連結会計年度は33,194千円のセグメント損失)となりました。 -
独自のアドテクノロジー関連サービスである広告運用統合プラットフォーム「AdMatrix」やスマートフォン向け動画アドネットワーク「PolymorphicAds」等の提供に注力し、また、インターネットマーケティング関連のサービスにおいても、既存サービスの拡大に加えてSNS等の運用広告サービスの提供を積極的に展開しました。
また、アフィリエイトサービスにおいては、得意とする業界だけの伸長に止まらず、新たな業界での提供も順調に広がったことで、引き続き、事業規模及び収益規模が拡大しました。
以上の結果、回収不能債権4.7億円が発生したものの、売上高が14,557,201千円(前連結会計年度比24.5%増)、セグメント利益が900,462千円(前連結会計年度比0.9%減)となりました。 -
当社がISP向けアウトソーシングサービスで培ってきた運営ノウハウを活かして開発した「フリービットクラウド」は、高レベルでのセキュリティやサービス稼働における信頼性はもちろん、高い処理性能などが求められるシステムにも容易に対応できるクラウドサービスとして、パブリッククラウドの「フリービットクラウド VDC PRO」、プライベートクラウドの「フリービットクラウド VDC Private HOSTED」、「フリービットクラウド VDC Private ON-PREMISES」をはじめとしたサービスが利用者より評価を得ています。そして、そのパブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせ、高いセキュリティと柔軟なインフラ環境を優れたコストパフォーマンスでの提供を実現したハイブリッドクラウドについても、同じく高い評価を獲得しました。
以上の結果、売上高は1,945,975千円(前連結会計年度比2.6%減)、セグメント利益は140,658千円(前連結会計年度比64.8%増)となりました。 -
当社グループの有する技術力や事業リソースを活かした事業拡大が見込める薬局向けソリューションサービスの提供を目的に、当連結会計年度よりフリービットEPARKヘルスケアを連結子会社化した結果、売上高が254,944千円、セグメント損失が324,274千円となりました。
なお、前連結会計年度には当報告セグメントに区分すべきサービスが存在しなかったため、前連結会計年度との比較は行っていません。
対処すべき課題
インターネットを取り巻く昨今の事業環境下においては、ブロードバンド回線の普及がひととおり進んだことで契約数の増加も緩やかになっている一方で、スマートフォンを中心としたモバイル通信網の普及は急激に進んでおり、インターネットの利用方法もモバイル通信にシフトしています。モバイル通信においてはいわゆる3大キャリア以外のMVNE・MVNOのシェアは未だ低いものの、各社の広告宣伝やサービスの多様化、3大キャリアのグループ会社によるMVNOサービスの提供などにより、着実にMVNOユーザーは増加しており、収益機会の増加と同時に更なる競争の激化が進みつつあります。
こうした状況下において、当連結会計年度はモバイル事業・アドテクノロジー事業の継続成長を図るとともに、生活領域の新規事業に注力いたしました。また、これら事業を実施するにあたり、当社グループの複数のサービスをレイヤーにとらわれない統合的なサービスとして提供するため、グループ内の技術や人的リソースの連携、ネットワーク資産の効率化などを進めています。
以上の取り組みにおいては、それぞれ次のような課題があると認識し、対応方針を策定しています。
① インターネット接続サービス市場環境の変化について
スマートフォンやタブレットなどの高機能モバイル通信機器の普及によるモバイル通信環境の著しい利便性の向上により、インターネットへの接続がこれまでの固定回線によるものからモバイルデータ通信へと加速度的にシフトしています。ブロードバンドの固定回線は一定の普及により増加率は鈍化している一方で、モバイル通信の提供事業者間の競争は激化しています。また、第5世代移動通信システムの整備が全国的に進む中、各事業者の次世代通信網への対応が喫緊の課題となっています。
当社グループでは、このような環境の変化を機敏に捉え、ユーザーのニーズを見据えた新たなサービスを開発し、いち早く提供を行うなど、必要と考えられる施策を推進していますが、今後もインターネット接続サービス市場環境の変化には影響を受ける可能性があるため、これらの環境に即応するとともに、これまでの実績や経験に裏付けられた、利便性の高い安定した新しいサービスの開発が重要であると認識しています。
② 回線・帯域調達コストについて
インターネット上では帯域を多く利用するリッチコンテンツが急激に増加しており、利用者一人あたりの使用データ量は急激に増えています。これにより、インターネット業界全体で、通信回線整備が需要に追いつかなかったり、帯域の不足が生じたりしています。当社では回線・帯域調達の効率化やデータの最適化を含めた高効率のネットワーク運用を行うなどの努力を行い、これらの環境に対応すべく努めています。調達コストの増加は採算悪化の要因となるため、このような取り組みは継続的に行っていく必要があると認識しています。
③ モバイル端末を中心としたモバイル通信網サービスの対応について
MVNE・MVNO事業は、無線通信インフラ(移動体回線網)を有する事業者から設備を借り受けてサービスを提供することになるため、他社のMVNE・MVNO事業との差別化が困難であると言われています。
当社グループでは、長年のインターネット接続サービスの提供で培ってきたネットワーク技術やノウハウを活用し、また、グループ内の様々な付加価値サービスと組み合わせ、新しい仕組みを提供することにより差別化を図るとともに、より安価で高品質な無線通信サービスを提供できるよう、継続的な技術開発に努めることが必要であると認識しています。
④ MVNE・MVNO事業のユーザー層の拡大への対応について
MVNE・MVNOが着実に普及をしている中、これらのサービスを利用するユーザー層が、これまでのインターネット通信サービスに関してある程度の知識を有している顧客から、これまでインターネット通信サービスに深く係わってこなかった、3大キャリア(MNO)のフィーチャーフォンを利用してきた顧客へとその層が広がっています。そのため、MNOとのサービス構成やサービス内容の違い、サポート体制の差異について契約時に認識をしていない顧客が増えており、また同時に事業者間の競争が激化する中で広告宣伝方法も多様化しているため、一部の事業者では顧客が思っていたサービスを受けられずトラブルとなっている事象も見受けられます。当社グループでも、一般消費者に対してMVNOサービスを提供している連結子会社もあることから、顧客のインターネット通信サービスへの理解度に応じてサポートを充実させたサービス展開に努めていますが、今後も顧客層の変化に対応した、わかりやすいサービス提供に努めることが必要であると認識しています。
⑤ クラウドコンピューティング事業の展開について
仮想化技術を利用したクラウドコンピューティングの市場は近年急速に広がっており、当社グループにおいても巨大な仮想データセンターから個人利用目的のパーソナルサーバーまで、様々なサービスを提供しています。
このようなお客様のデータを預かるサービスでは、安定的な運用を行うことにより、顧客との良好な関係維持に努めることが重要です。
一方で、仮想化技術は高度な監視体制、効率的なシステムの冗長化と分散化、新しい技術の継続的な導入が必要な分野であり、人的体制も含めて、継続的な運用や開発体制の強化と改善が必要であると認識しています。
⑥ IoT市場への対応について
インターネットの普及により、通信分野では、これまでのヒト対ヒトを中心としたものに加え、機器と機器がデータをやりとりするIoTが急激に拡大しています。このようなIoTの通信においては、大量のIP(インターネットプロトコル)を必要とするため、次世代プロトコルであるIPv6の利用が不可欠であり、IPv6関連の技術開発を長年行ってきた当社グループにとっては大きなビジネスチャンスであると捉えています。
当社グループでは、IoT市場における中心的な役割を担うべく、国内外を問わず多くのパートナー企業との連携や、これまでインターネットに接続することのなかった家電を取り扱うメーカー、新規の通信サービスを提供しようとするサービサー等に対して、積極的に当社グループの技術・サービスを提供すべく働きかけることが必要だと考えています。そのため、新技術に関する営業力の強化、継続的な技術開発による最先端のサービスの提供及び当社グループの技術を保護するための知財関連の強化等が肝要であると認識しています。
⑦ モバイル事業における合弁事業について
当社は、CCCと資本業務提携を行い、合弁事業としてトーンモバイルを設立しMVNO事業を展開しています。当社代表取締役会長である石田宏樹が同社の代表取締役社長CEOに就任し、現在、事業拡大に注力しており、全国の「TSUTAYA」や「蔦屋書店」での取扱いを行っていくなど、事業拡大を図る方針です。
この事業については合弁事業であることから、CCCグループの戦略変更等が発生した場合には、当社の想定通りには事業が進まない可能性があるため、CCCグループとの緊密な連携や、継続的な人的・事業的な交流により、より強固な関係を維持することが必要であると認識しています。
⑧ 関係会社管理の徹底及び社内管理体制と従業員教育の強化
当社グループでは、当社のみならず各連結子会社を通じて、インターネットインフラを中心として多岐にわたる事業を展開しており、各社にて新規人員の採用や教育を行っています。人員の交流も積極的に行っていますが、事業の拡大に伴い、さらにグループ全体の管理の徹底及び従業員教育の向上が必要であると認識しています。
そのため、連結子会社の計数管理の徹底、統一的な監査の実施を通じて適切な連結子会社管理を行い、グループ内の内部通報制度の周知等を通じてコンプライアンス意識の向上に努めるとともに、企業理念や経営方針、統一的な教育プログラムをグループ各社で共有し浸透させることで、当社グループ社員の連帯意識の強化を図り、グループ会社間の枠にとらわれない発展を促します。
また、内部統制の観点でも、金融商品取引法等に基づく財務報告の信頼性を確保するために必要な内部統制の整備や構築等を行ってきましたが、さらにグループを通じて、内部統制強化のための連携、改善等を継続的に行っていく必要があると認識しています。
そのため、各グループ会社の監査役、内部監査室の連携を促進し、また継続的な従業員教育を通して、コーポレートガバナンスの充実及び法令遵守の徹底にグループ全社をあげて取り組んでいます。
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