事業報告(2018年4月1日から2019年3月31日まで)
経営の基本方針
経営理念および行動準則
積水化学グループは、経営に対する理念を体系化しています。企業活動の根底にある考え方や方針を示す「社是」、社是をうけて中長期で当社グループが目指す姿を示した「グループビジョン」、グループビジョンを実現していくための具体的な「経営戦略」により構成されています。
(1) 社是「3S精神」
当社の社章は、創業当時の社名「積水産業」の頭文字の「S」3つを化学記号ベンゼン環の中に配置して、「水」という文字をかたどったものです。1959年11月、当社は、このマークに「3S精神」という明確な定義づけを行い、社是として制定しました。
「企業活動を通じて社会的価値を創造する(Service)」「積水を千仞の谿に決するスピードをもって市場を変革する(Speed)」「際立つ技術と品質で社会からの信頼を獲得する(Superiority)」の3S精神は、積水化学グループの理念体系の根幹をなすものであり、約2万6千名の全社員の間で、しっかりと共有されています。
<社是「3S精神」>
- Service :企業活動を通じて社会的価値を創造する
- Speed :積水を千仞の谿に決するスピードをもって市場を変革する
- Superiority :際立つ技術と品質で社会からの信頼を獲得する
(2) グループビジョン
積水化学グループは、ステークホルダーの期待に応え、社会的価値を創造し、事業を通して社会に貢献することを目指しています。
地球規模での人口増加や気候変動、先進国を中心とする高齢化、都市基盤の老朽化などに加え、これらすべてに関連する資源エネルギー問題がこれまで以上に喫緊な社会的課題になりつつある中、グループがこれまで蓄積してきた「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」の分野に関する経験・知見を活用して、これらの社会課題の解決に資する価値を創造し続けることを目指しています。
<グループビジョン>
積水化学グループは、際立つ技術と品質により、「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」のフロンティアを開拓し続け、世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献します。
(3) 積水化学グループ 企業行動指針
積水化学グループは、グループの役員・従業員が従うべき行動指針である「積水化学グループ企業行動指針」を定め、日々の事業活動を通じて社会的信頼を高め、より一層魅力ある会社を目指しています。
<企業行動指針>
- 社会の発展に役立つ事業活動を行う。
- 個人の能力を最大限に発揮し、活力ある組織をつくる。
- お客様・取引先・株主・地域など広く社会から信頼される企業をめざす。
- あらゆる企業活動において法およびその精神を遵守し、誠実に行動する。
- よき企業市民として、サステナブルな視点で地球環境問題と社会貢献に取り組む。
グループビジョンを実現するための経営戦略
積水化学グループは、100年経っても存在感のある企業グループであり続けるため、グループビジョンに掲げる「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」を両輪に、2020年代には売上高・営業利益の水準を倍増させたいと考えています。積水化学グループでは、グループの企業価値ひいては株主共同の利益を中長期にわたり持続的に向上させるために、2017年度から2019年度までの3か年を対象期間とした中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」を策定し、以下の取り組みを推進しています。
(1) 中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」
中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」は、積水化学グループの経営理念を起点として、「新次元の成長」に向けた以下の戦略の実現を目指しています。
中期経営計画 「SHIFT 2019 -Fusion-」「新次元の成長」 への挑戦
- ◆ 2020年代の業容倍増目標に向けた第一歩。
成長の質をSHIFT(シフト)させる。 -
◆ 量的成長(未来への成長投資)と質的転換(たゆまぬ構造改革)を図る。
- 戦略投資2,000億円(うちM&A投資1,300億円)、環境貢献投資120億円。
- 継続的な収益性改善と有望分野への資源配分で営業利益率10%以上を目指す。
- ◆ 技術・機会・リソースの「融合」により、成長を加速させる。
- ◆ ESG(環境、社会、企業統治)の視点で、事業と一体となった
CSR経営を推進する。
<連結営業利益の推移>
(単位:億円)
<中期経営計画の事業目標>
(注) 事業報告における「当期純利益」は、「親会社株主に帰属する当期純利益」を表しています。
①基本戦略「SHIFT」
SHIFTには、業績規模および企業姿勢において、成長の質を変えるという意味を込め、それぞれの文字が、取り組むべき基本戦略を表します。「新次元の成長」の大前提となる経営基盤の強化に取り組むとともに、「イノベーション」「フロンティア開拓」「収益力強化」の3つの取り組みを加速させます。技術や事業機会、人材、その他のリソースを3カンパニーの枠を超え社内外で融合(Fusion)させることにより、新たな価値を生み出し、成長の加速を図っています。
②融合(Fusion)による成長の加速
前回の中期経営計画において、新規の開発などを中心とした育成・創造テーマについて取り組んできた「協創」の取り組みを一段進化させ、既存事業も対象に技術、事業機会、経営資源を「融合」し、社内外の連携を強化することで成長の加速を図っています。全社の売上高増分目標である約1,300億円のうち、この「融合」による取り組みで500億円を創出します。例えば、環境・ライフラインカンパニーが手がける成形用プラスチックシートの技術と高機能プラスチックスカンパニーのフォームの技術を融合し、高性能な内装材の航空機メーカーへの採用を目指します。
<中期戦略の全体像>
③投資の考え方
中期経営計画の3年間に獲得するキャッシュに加え機動的な資金調達を行い、3,000億円を投資に活用します。戦略投資には前中期比でほぼ倍増となる2,000億円を見込んでおり、そのうち1,300億円をM&A投資枠として設定し、技術やノウハウ、グローバルの販路獲得などに活用していきます。また、環境貢献投資枠120億円を設定し、地球温暖化対策や省エネルギー対策に投入しています。
④CSR経営の一層の強化について
積水化学グループは、CSR(企業の社会的責任)を社是「3S精神」を実践するものと捉え、経営戦略の中心に位置づけて、「事業を通じた社会課題解決」と「事業プロセスにおける社会への責任」の実践に取り組みます。社会的要請の変化を踏まえ、ESG(環境・社会・企業統治)の視点でCSRを見つめ直し、2017年に概念図を改定しました。
ステークホルダーとの建設的な対話を踏まえて相互理解に努め、ステークホルダーの期待を把握し経営に活かすとともに、高いレベルのガバナンスを土台として、事業と一体となった取り組みを力強く推進し、グループビジョンの実現を目指すものです。
コーポレート・ガバナンスを基盤にして、働く環境、安全、コンプライアンス・人権尊重の3つの「社会への約束」を通じて事業プロセスにおける社会的責任を果たし、環境、CS品質、人材の「3つの際立ち」で事業を通じた社会課題解決に貢献することを目指します。また、企業価値向上に向けて株主の皆様をはじめとするステークホルダーの方々との関わりを強化し、建設的な対話を推進していきます。
(2) 持続可能な開発目標(SDGs)の取り組み
ESG(環境・社会・企業統治)の観点で貢献する企業を選別するESG投資の拡大などを背景に、企業の社会的責任(CSR)をより深く経営戦略に取り込み、持続可能な社会の構築に貢献していくことが求められています。
ESGをさらに推進する鍵となるのが、国連で世界が合意した「持続可能な開発目標(SDGs)」であり、持続可能な社会実現のために2030年までに達成すべき17の目標が掲げられています。
グループビジョンの中で、「世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献する」ことを掲げる企業として、積水化学グループはさまざまな製品や事業を通じて、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた事業活動を推進しています。
とくに、自動車向け遮音・遮熱中間膜や太陽光発電システム搭載住宅、管路更生SPR工法といった地球環境の課題解決への貢献度が高い製品群を環境貢献製品と認定し、環境貢献製品の比率を高めています。
TOPICS
「世界で最も持続可能性の高い100社」に選出
2019年1月、当社は、カナダのコーポレートナイツ社が選定する2019年版「世界で最も持続可能性の高い100社(2019 Global 100 Most Sustainable Corporations in the World Index」(Global 100))に選出されました。選出は2年連続4度目となります(日本企業の選出は当社を含め8社。)。
Global 100は、財務状況、環境、人事、安全などに関する21項目の活動指標に基づく指標で、当社は「資源の生産性」「イノベーション能力」「安全」「従業員の定着率」などの項目で高い評価を受けました。
(3) 働き方改革の取り組み
積水化学グループでは2015年から推進していたダイバーシティマネジメントを加速するため、2018年を「働き方改革元年」とし、全社をあげて働き方改革を推進しています。「働き方改革宣言」の制定に始まり、「3つの改革(業務改革・人事制度改革・就業環境改革)」の取り組みをスタートし、着実に改善を進めています。生産性向上の実現により長時間労働を是正し、働きがいのある職場づくりを目指します。
<働き方改革宣言>
従業員全員がそれぞれの「持ち味」を発揮できるように、時間をかけて成果をあげる働き方と決別し、限られた時間で成果を最大化する生産性の高い働き方を追求します。
生産性向上のために会社は経営資源を積極的に投入し、経営層・従業員一丸となって全社で知恵を結集します。仕事の質の向上により働きがいを育み、改革の成果は従業員に還元することで、多様な人材の活躍を推進します。
2020年度までの積水化学グループ全社共通の到達目標として、①年間総実労働時間2,000時間以内、②休日数120日以上、③有給休暇最低取得率50%、を掲げています。2019年4月に施行された「働き方改革関連法」にも合わせて対応し、働きやすい職場環境づくりに挑戦しています。
この目標を達成するためには、知恵を結集して仕組みやプロセスを変えるだけでなく、設備投資やシステム導入など不可欠なものが多くあります。そこで「働き方改革投資」として、2018年度からの2年間で100億円を投資することとし、全社をあげてグループ従業員の労働時間削減を支援しています。
TOPICS
「健康経営優良法人2019(大規模法人部門)」に選定
当社は優良な健康経営を実践している企業を顕彰する経済産業省の「健康経営優良法人2019(大規模法人部門)~ホワイト500~」に3年連続で認定されました(グループ会社20社を含む。)。
今後も、すべての従業員が心身ともに、そして社会的にも良好な状態であるWell-Being(ウェル・ビーイング)を目指して健康経営を推進し、事業を通じて地域・社会へ貢献していきます。
積水化学グループの現況に関する事項
事業の経過およびその成果、対処すべき課題
積水化学グループ2018年度の業績
積水化学グループは、2018年度を中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」の「核」となる年と位置づけ、量的成長(未来への成長投資)と質的転換(たゆまぬ構造改革)の取り組みを強化するとともに、新事業や融合施策を推進し、中期経営計画の狙いである「新次元の成長」の加速を図りました。さらに、ESG(環境・社会・ガバナンス)の視点に立ち、働き方改革や現場力の磨き上げ、ガバナンスの強化にも取り組み、経営品質の底上げを図りました。
その結果、2018年度の連結業績につきましては、米中貿易摩擦による影響など景気の先行きが不透明な事業環境が続く中、戸建て住宅や車輌・輸送分野、ライフサイエンス分野を中心とした高機能品の販売拡大や新規連結の効果が発現し、売上高は前年度比3.2%増の1兆1,427億円となりました。
一方で、スマートフォン関連製品や中国・欧州における自動車関連製品の市況が想定以上に悪化したことに加え、これまで実施してきた戦略投資や研究開発に伴う固定費の増加や原材料価格上昇の影響を受け、営業利益は前年度比3.6%減の956億円、経常利益は前年度比0.8%減の931億円となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比4.2%増の660億円となり、6期連続して最高益を更新しました。
2019年度の計画概要
2019年度は中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」の最終年度となります。中期経営計画策定時に比べ、世界の自動車市場やスマートフォン市場の速やかな回復は見込まれず、国内の住宅市場は消費増税後の影響が懸念されるなど、大変厳しい事業環境となりましたが、このような状況においてもグループの総力をあげ直面する経営課題に取り組み、次の中期経営計画に向け飛躍する重要な年にしたいと考えています。
2019年度は、M&Aや戦略投資、新製品・新事業創出などの「未来への成長投資」による量的成長、さらにポートフォリオ改革や生産体制最適化、サプライチェーン全体のコスト革新などの「たゆまぬ構造改革」による質的転換を引き続き実行し、その効果を発現させることにより、売上高は前年度を322億円上回る1兆1,750億円、営業利益は前年度を73億円上回る1,030億円、経常利益は前年度を68億円上回る1,000億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度を29億円上回る690億円を目指します。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、すべて最高益更新を狙います。
さらに、ESG(環境・社会・ガバナンス)を経営の根幹に据え、事業を通じて社会的課題の解決を図るとともに持続可能な開発目標(SDGs)に貢献し、積水化学グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指します。
なお、ライフサイエンス分野の成長を加速させるため、2019年度より、その主力事業であるメディカル事業を高機能プラスチックスカンパニーから独立させ、第4のセグメントとしました。
株主の皆様におかれましては、持続的な成長を目指す積水化学グループに、引き続き、厚いご支援を賜りますようお願いいたします。
事業区分別の概況
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住宅カンパニー
売上高構成比
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住宅カンパニー
住宅カンパニー2018年度の業績
新築戸建て住宅の受注・売上が堅調に推移したことに加え、リフォーム事業の収益体質強化が進んだことにより、売上高は前年度比1.8%増の5,067億円、営業利益は前年度比2.8%増の390億円となり、増収増益となりました。
新築住宅事業は、共働き・子育て家族向けの鉄骨系ユニット住宅の新商品「パルフェ-bjスタイル」などの商品ラインアップを拡充したことにより、戸建て住宅が順調に推移し、受注棟数は前年度を上回りました。さらに、モデルハウスの拡充や営業人員の増員、体感型ショールーム「セキスイハイムミュージアム」を拡大するとともに、販売用土地の仕入れや建売住宅の販売に注力しました。
リフォーム事業は、蓄電池などの戦略商材の拡販により、受注金額は前年度を上回りました。さらに、間接部門の効率化を中心とした収益体質強化を進めるとともに、お客様へのエネルギー自給自足を提案することにより、お客様との接点強化に注力しました。
2019年度の計画概要
2019年度は、消費増税前の一定の駆け込み需要の反動が発生するものの、各種住宅取得支援政策の効果により、お客様への影響が異なると見込んでいます。このような市場環境の変化を踏まえた販売戦略を強化し、増収増益を目指します。
新築住宅事業は、支援政策の恩恵を受けやすいファーストバイヤー層向けに、豊富な土地・分譲住宅、建売住宅の販売を強化することに加え、2019年4月に発売した新商品「スマートパワーステーションアーバン」を中心にスマートハウスNo.1戦略を推進します。
リフォーム事業は、太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)終了を迎えるお客様の増加を機に、蓄電池などによるエネルギー自給自足の提案を強化します。さらに、間接部門の効率化を引き続き、推進します。
【TOPICS】
積水化学グループのまちづくり「あさかリードタウン」について
2018年5月、埼玉県朝霞市に分譲戸建て住宅、商業施設、集合住宅などを複合したまちづくりに取り組む計画を発表しました。
「あさかリードタウン」では、積水化学グループの製品・サービスなどを採用し、コンセプトに掲げる「Safe & Sound:安心・安全で、環境にやさしく、サステナブルなまち」の実現を図っています。
すでに戸建て住宅エリアの造成工事に着工しており、2019年より戸建て住宅の分譲を開始、2020年にまちづくり全体の完工・まちびらきを予定しています。「あさかリードタウン」の完成予想図 -
環境・ライフラインカンパニー
売上高構成比
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環境・ライフラインカンパニー
環境・ライフラインカンパニー2018年度の業績
集合住宅着工数の減少や建設工事遅延などの影響を受け、汎用品の販売数量が減少しましたが、国内の重点拡大製品や米国の航空機向け成形用プラスチックシートなどの販売が拡大し、売上高は前年度並みの2,391億円となりました。一方、原材料価格上昇や固定費増の影響を重点拡大製品の販売拡大でカバーしたことなどにより、営業利益は前年度比1.5%増の150億円となり、3期連続して最高益を更新しました。
配管・インフラ分野は、汎用品が苦戦したことに加え、第4四半期にはプラント管材需要減少の影響を受けましたが、省施工化を特徴とする重点拡大製品・新製品や管路更生資材などの販売が拡大し、売上は前年度並みとなりました。
建築・住環境分野は、災害復旧需要により建材の販売は堅調に推移しましたが、集合住宅着工数減少の影響を受け、ユニットバスの販売が減少したことなどにより、売上は前年度を下回りました。
機能材料分野は、米国の航空機向け成形用プラスチックシートの販売が順調に回復したことに加え、欧州・米国を中心に鉄道枕木向け合成木材の採用が拡大し、売上は前年度を上回りました。
2019年度の計画概要
海外事業の拡大と国内における重点拡大製品・新製品の一層の販売拡大に注力するとともに、生産拠点再編などの構造改革を加速し、4期連続最高益更新を目指します。
配管・インフラ分野は、大都市圏の建築市場向け製品や公共工事の省施工化を特徴とする重点拡大製品、新製品の販売拡大を図ります。管路更生資材は、引き続きパートナー企業との連携による基盤強化を推進します。
建築・住環境分野は、構造改革により収益力を強化するとともに重点拡大製品・新製品(住宅用雨とい、ユニットバス、非住宅向け高排水システム)の販売拡大を図ります。
機能材料分野は、成形用プラスチックシートについては、新規顧客獲得や用途開拓(建築・医療・鉄道)により増産投資の効果を本格的に発現させます。合成木材については、欧州や米国など海外の採用拡大を目指します。
【TOPICS】
「第16回 環境・設備デザイン賞」においてオメガライナー工法が最優秀賞を受賞
2018年5月、当社と東京都下水道サービス株式会社、足立建設工業株式会社の共同開発技術である「オメガライナー工法」が、一般社団法人建築設備綜合協会主催の「第16回環境・設備デザイン賞」(Ⅰ部門 設備器具・システムデザイン部門)の最優秀賞を受賞しました。
オメガライナー工法は、形状記憶塩ビ管によって地面を掘り返さずに下水道管を更生する画期的な技術です。
社会インフラの老朽化という喫緊の課題に対し、素材技術で高品質な更生を可能にした優れた技術であり、従来の開削による老朽化対策工事に比べ、大幅な工期短縮と費用の削減、さらにCO₂の削減も図れる点などが評価されました。「オメガライナー工法」 -
高機能プラスチックスカンパニー
売上高構成比
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高機能プラスチックスカンパニー
高機能プラスチックスカンパニー2018年度の業績
戦略投資やポートフォリオ改革の効果などによる高機能品の販売拡大と、新規連結の効果により、売上高は前年度比6.7%増の4,120億円となりましたが、戦略投資に伴う固定費の増加や原材料価格の上昇、さらに市況の急激な悪化の影響を受け、営業利益は前年度比5.8%減の544億円となり、増収減益となりました。
エレクトロニクス分野は、スマートフォンやタブレットなどモバイル端末の需要が大幅に減少したものの、基板・半導体向け製品など非液晶分野の拡販が進捗し、売上は前年度を上回りました。
車輌・輸送分野は、第3四半期以降、中国や欧州の自動車生産台数が大きく減少したものの、合わせガラス用中間膜のメキシコ工場の新ライン立ち上げが寄与し、売上は前年度を上回りました。とくに、2017年度第2四半期から連結対象となった積水ポリマテックグループが、エレクトロニクス分野、車輌・輸送分野の売上増加に寄与しました。
住インフラ材分野は、中東や韓国などにおける建築需要減少の影響により塩素化塩化ビニル(CPVC)樹脂の販売が減少したものの、連結対象となった積水ソフランウイズ株式会社を中心に耐火材料の販売が順調に拡大し、売上は前年度を上回りました。
ライフサイエンス分野は、海外を中心に検査薬需要が堅調に推移し、売上は前年度を上回りました。
2019年度の計画概要
車輌・輸送分野を中心とする戦略設備投資効果の本格発現やM&Aによるシナジー獲得により、戦略3分野の強化と新事業・新製品販売の拡大を図り、増収増益を目指します。
エレクトロニクス分野は、基板・半導体関連をはじめとする非液晶分野を拡販するとともに新製品投入を加速します。
車輌・輸送分野は、引き続き高機能品の採用部位の拡大や合わせガラス用中間膜のメキシコ工場のフル活用、欧州工場の新ラインの寄与により、グローバルの売上拡大を目指します。さらに、積水ポリマテックグループの放熱製品などカーエレクトロニクス分野への展開を加速します。
住インフラ材分野は、積水ソフランウイズ株式会社とのシナジーによる不燃ウレタン事業の拡大を推進することにより、耐火材料事業の展開を加速するとともに、主に米州においてCPVC樹脂の販売を拡大します。
(注)2019年度より、ライフサイエンス分野の主要事業を「メディカル事業」セグメントに分割したため、2019年度の計画概要は分割した数値としています。
【TOPICS】
欧州における放熱材料事業の拡大について
2018年7月、EV(電気自動車)など環境対応車向け放熱材料の生産工場をオランダに新設することを決定しました。
欧州では、各OEM(車輌メーカー)においてEV(電気自動車)・PHV(プラグインハイブリッド自動車)など環境対応車の開発が盛んになっており、動力源として搭載されるLiB(リチウムイオンバッテリー)の熱対策ニーズが急速に拡大しています。
当社グループの放熱材料は、高い熱伝導性能に加え、塗布設備に対する耐摩耗性や製品そのものの低アウトガスなどの優れた性能により、各OEMやLiBメーカーから高い評価をいただいています。今後も環境対応車の市場拡大に伴い、一層の採用拡大が見込まれます。放熱材料製品 -
メディカル事業
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メディカル事業
メディカル事業 2019年度の計画概要
血液凝固分析装置 コレステロール検査薬 感染症迅速検査キット 2019年度より、積水化学グループの長期ビジョンである「新次元の成長」の実現に向け、成長余力の大きい高機能プラスチックスカンパニーのライフサイエンス分野の主要な事業を「メディカル事業」として、分割しました。
メディカル事業では、検査事業を中心に、技術開発により事業領域を拡大するとともに、成長強化領域に経営資源を投入します。さらに、欧米、中国、アセアン地域において一層の販売拡大を図り、営業利益は最高益更新となる100億円を目指します。
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住宅カンパニー
住宅カンパニー2018年度の業績
新築戸建て住宅の受注・売上が堅調に推移したことに加え、リフォーム事業の収益体質強化が進んだことにより、売上高は前年度比1.8%増の5,067億円、営業利益は前年度比2.8%増の390億円となり、増収増益となりました。
新築住宅事業は、共働き・子育て家族向けの鉄骨系ユニット住宅の新商品「パルフェ-bjスタイル」などの商品ラインアップを拡充したことにより、戸建て住宅が順調に推移し、受注棟数は前年度を上回りました。さらに、モデルハウスの拡充や営業人員の増員、体感型ショールーム「セキスイハイムミュージアム」を拡大するとともに、販売用土地の仕入れや建売住宅の販売に注力しました。
リフォーム事業は、蓄電池などの戦略商材の拡販により、受注金額は前年度を上回りました。さらに、間接部門の効率化を中心とした収益体質強化を進めるとともに、お客様へのエネルギー自給自足を提案することにより、お客様との接点強化に注力しました。
2019年度の計画概要
2019年度は、消費増税前の一定の駆け込み需要の反動が発生するものの、各種住宅取得支援政策の効果により、お客様への影響が異なると見込んでいます。このような市場環境の変化を踏まえた販売戦略を強化し、増収増益を目指します。
新築住宅事業は、支援政策の恩恵を受けやすいファーストバイヤー層向けに、豊富な土地・分譲住宅、建売住宅の販売を強化することに加え、2019年4月に発売した新商品「スマートパワーステーションアーバン」を中心にスマートハウスNo.1戦略を推進します。
リフォーム事業は、太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)終了を迎えるお客様の増加を機に、蓄電池などによるエネルギー自給自足の提案を強化します。さらに、間接部門の効率化を引き続き、推進します。
【TOPICS】
「あさかリードタウン」の完成予想図 積水化学グループのまちづくり「あさかリードタウン」について
2018年5月、埼玉県朝霞市に分譲戸建て住宅、商業施設、集合住宅などを複合したまちづくりに取り組む計画を発表しました。
「あさかリードタウン」では、積水化学グループの製品・サービスなどを採用し、コンセプトに掲げる「Safe & Sound:安心・安全で、環境にやさしく、サステナブルなまち」の実現を図っています。
すでに戸建て住宅エリアの造成工事に着工しており、2019年より戸建て住宅の分譲を開始、2020年にまちづくり全体の完工・まちびらきを予定しています。 -
環境・ライフラインカンパニー
環境・ライフラインカンパニー2018年度の業績
集合住宅着工数の減少や建設工事遅延などの影響を受け、汎用品の販売数量が減少しましたが、国内の重点拡大製品や米国の航空機向け成形用プラスチックシートなどの販売が拡大し、売上高は前年度並みの2,391億円となりました。一方、原材料価格上昇や固定費増の影響を重点拡大製品の販売拡大でカバーしたことなどにより、営業利益は前年度比1.5%増の150億円となり、3期連続して最高益を更新しました。
配管・インフラ分野は、汎用品が苦戦したことに加え、第4四半期にはプラント管材需要減少の影響を受けましたが、省施工化を特徴とする重点拡大製品・新製品や管路更生資材などの販売が拡大し、売上は前年度並みとなりました。
建築・住環境分野は、災害復旧需要により建材の販売は堅調に推移しましたが、集合住宅着工数減少の影響を受け、ユニットバスの販売が減少したことなどにより、売上は前年度を下回りました。
機能材料分野は、米国の航空機向け成形用プラスチックシートの販売が順調に回復したことに加え、欧州・米国を中心に鉄道枕木向け合成木材の採用が拡大し、売上は前年度を上回りました。
2019年度の計画概要
海外事業の拡大と国内における重点拡大製品・新製品の一層の販売拡大に注力するとともに、生産拠点再編などの構造改革を加速し、4期連続最高益更新を目指します。
配管・インフラ分野は、大都市圏の建築市場向け製品や公共工事の省施工化を特徴とする重点拡大製品、新製品の販売拡大を図ります。管路更生資材は、引き続きパートナー企業との連携による基盤強化を推進します。
建築・住環境分野は、構造改革により収益力を強化するとともに重点拡大製品・新製品(住宅用雨とい、ユニットバス、非住宅向け高排水システム)の販売拡大を図ります。
機能材料分野は、成形用プラスチックシートについては、新規顧客獲得や用途開拓(建築・医療・鉄道)により増産投資の効果を本格的に発現させます。合成木材については、欧州や米国など海外の採用拡大を目指します。
【TOPICS】
「オメガライナー工法」 「第16回 環境・設備デザイン賞」においてオメガライナー工法が最優秀賞を受賞
2018年5月、当社と東京都下水道サービス株式会社、足立建設工業株式会社の共同開発技術である「オメガライナー工法」が、一般社団法人建築設備綜合協会主催の「第16回環境・設備デザイン賞」(Ⅰ部門 設備器具・システムデザイン部門)の最優秀賞を受賞しました。
オメガライナー工法は、形状記憶塩ビ管によって地面を掘り返さずに下水道管を更生する画期的な技術です。
社会インフラの老朽化という喫緊の課題に対し、素材技術で高品質な更生を可能にした優れた技術であり、従来の開削による老朽化対策工事に比べ、大幅な工期短縮と費用の削減、さらにCO₂の削減も図れる点などが評価されました。 -
高機能プラスチックスカンパニー
高機能プラスチックスカンパニー2018年度の業績
戦略投資やポートフォリオ改革の効果などによる高機能品の販売拡大と、新規連結の効果により、売上高は前年度比6.7%増の4,120億円となりましたが、戦略投資に伴う固定費の増加や原材料価格の上昇、さらに市況の急激な悪化の影響を受け、営業利益は前年度比5.8%減の544億円となり、増収減益となりました。
エレクトロニクス分野は、スマートフォンやタブレットなどモバイル端末の需要が大幅に減少したものの、基板・半導体向け製品など非液晶分野の拡販が進捗し、売上は前年度を上回りました。
車輌・輸送分野は、第3四半期以降、中国や欧州の自動車生産台数が大きく減少したものの、合わせガラス用中間膜のメキシコ工場の新ライン立ち上げが寄与し、売上は前年度を上回りました。とくに、2017年度第2四半期から連結対象となった積水ポリマテックグループが、エレクトロニクス分野、車輌・輸送分野の売上増加に寄与しました。
住インフラ材分野は、中東や韓国などにおける建築需要減少の影響により塩素化塩化ビニル(CPVC)樹脂の販売が減少したものの、連結対象となった積水ソフランウイズ株式会社を中心に耐火材料の販売が順調に拡大し、売上は前年度を上回りました。
ライフサイエンス分野は、海外を中心に検査薬需要が堅調に推移し、売上は前年度を上回りました。
2019年度の計画概要
車輌・輸送分野を中心とする戦略設備投資効果の本格発現やM&Aによるシナジー獲得により、戦略3分野の強化と新事業・新製品販売の拡大を図り、増収増益を目指します。
エレクトロニクス分野は、基板・半導体関連をはじめとする非液晶分野を拡販するとともに新製品投入を加速します。
車輌・輸送分野は、引き続き高機能品の採用部位の拡大や合わせガラス用中間膜のメキシコ工場のフル活用、欧州工場の新ラインの寄与により、グローバルの売上拡大を目指します。さらに、積水ポリマテックグループの放熱製品などカーエレクトロニクス分野への展開を加速します。
住インフラ材分野は、積水ソフランウイズ株式会社とのシナジーによる不燃ウレタン事業の拡大を推進することにより、耐火材料事業の展開を加速するとともに、主に米州においてCPVC樹脂の販売を拡大します。
(注)2019年度より、ライフサイエンス分野の主要事業を「メディカル事業」セグメントに分割したため、2019年度の計画概要は分割した数値としています。
【TOPICS】
放熱材料製品 欧州における放熱材料事業の拡大について
2018年7月、EV(電気自動車)など環境対応車向け放熱材料の生産工場をオランダに新設することを決定しました。
欧州では、各OEM(車輌メーカー)においてEV(電気自動車)・PHV(プラグインハイブリッド自動車)など環境対応車の開発が盛んになっており、動力源として搭載されるLiB(リチウムイオンバッテリー)の熱対策ニーズが急速に拡大しています。
当社グループの放熱材料は、高い熱伝導性能に加え、塗布設備に対する耐摩耗性や製品そのものの低アウトガスなどの優れた性能により、各OEMやLiBメーカーから高い評価をいただいています。今後も環境対応車の市場拡大に伴い、一層の採用拡大が見込まれます。 -
メディカル事業
メディカル事業 2019年度の計画概要
血液凝固分析装置 コレステロール検査薬 感染症迅速検査キット 2019年度より、積水化学グループの長期ビジョンである「新次元の成長」の実現に向け、成長余力の大きい高機能プラスチックスカンパニーのライフサイエンス分野の主要な事業を「メディカル事業」として、分割しました。
メディカル事業では、検査事業を中心に、技術開発により事業領域を拡大するとともに、成長強化領域に経営資源を投入します。さらに、欧米、中国、アセアン地域において一層の販売拡大を図り、営業利益は最高益更新となる100億円を目指します。
R&D(研究開発)の取り組み事例
「ごみ」を「エタノール」に変換する世界初の⾰新的⽣産技術について
2017年12月、当社とランザテック社(米国)は、「ごみ」をまるごと「エタノール」に変換する生産技術の開発に、世界で初めて(注)成功しました。
ごみ処理施設に収集されたごみを分別することなくガス化し、このガスを微生物によりエタノールに変換することで、競争力のあるコストでの生産を実現・実証しました。2018年3月にはパイロットプラントを公開しており、今後各地のごみ処理施設へ本技術の普及を目指します。
(注)2017年11⽉現在、当社調べ。
<ごみをエタノールに変換するプロセス>
用いたパイロットプラント(埼玉県大里郡寄居町)
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