事業報告(2018年7月1日から2019年6月30日まで)

会社の現況に関する事項

事業の経過および成果

 当社は、抗癌剤の基礎研究および臨床開発、ならびにそのために必要な提携パートナーの獲得活動に取り組んでいます。
 当社の開発パイプライン中で最も先行している化合物CBP501は、既に終了した臨床第2相試験のデータの詳細解析からわかった「癌微小環境」「癌免疫」「癌幹細胞」などに関わるCBP501の多様な作用を踏まえ、現在、免疫チェックポイント阻害抗体との併用による新たな臨床試験(フェーズ1b相試験)を進めています。開発にかかる提携パートナーの確保を目指した活動も積極的に展開していますが、当事業年度中の提携パートナーの確保には至りませんでした。
 2つ目の候補化合物CBS9106については、2014年12月にライセンス契約を締結した米国 Stemline Therapeutics, Inc. (以下「Stemline社」)が、進行固形癌患者を対象とし主に安全性の評価を目的とした臨床第1相試験を進めています。当社は当事業年度において、Stemline社との間で、CBS9106ライセンス契約を拡大延長する修正契約を締結しました。この結果、ライセンス契約の対象地域は従来対象外となっていた日本・中国・台湾・韓国を含む全世界となったため、CBS9106にかかる新たな提携パートナー獲得を目指す活動は終了しています。
 さらに当社は、これらの2つの候補化合物の後続パイプラインとなる新規候補化合物の探索・創出に向けて、当社独自の細胞表現型薬剤スクリーニング法による探索研究と、CBP501に関する新たな知見を基にした「次世代CBPプロジェクト」からの創出に取り組み、また、東京大学医学部附属病院、ファルマバレープロジェクト(一般財団法人ふじのくに医療城下町推進機構、静岡県立大学)ならびに富士フイルム株式会社と、それぞれ共同研究を進めています。これらの取り組みから当社は現在、CBP-A08、CBP-B、IDO/TDO阻害剤など複数の次世代パイプラインを有しています。
 以上の結果、当事業年度の事業収益は、Stemline社とのライセンス契約拡大延長に伴う契約修正一時金5,550千円ならびに当該契約に基づくテクニカルアドバイザリーフィー110,000千円を計上いたしました。また、当事業年度の研究開発費は、例年水準の基礎研究費支出にCBP501臨床試験費用ならびに次世代CBPプロジェクト関連の支出が加わり、前期比20,602千円増加の444,075千円となりました。販売費及び一般管理費は、前期比21,430千円減少の204,552千円となり、研究開発費と合わせた事業費用は、前期比828千円減少し、648,627千円となりました。この結果、営業損失は533,077千円(前事業年度営業損失539,456千円)、経常損失は534,958千円(前事業年度経常損失547,091千円)、当期純損失は456,208千円(前事業年度当期純損失532,087千円)となりました。

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対処すべき課題

 当社は、独自の創薬エンジンを基に技術とプロダクトの両方を自社で創出する「創薬企業」として、付加価値の高いビジネスモデルを志向しています。
 このために当面対処すべき経営課題を以下のとおり認識し、それぞれ対応を実施しています。

  • CBP501の臨床試験推進と提携パートナーの獲得
  • 創薬エンジンの改良・充実と新規化合物パイプライン獲得
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計算書類

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