事業報告(2018年4月1日から2019年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

(1) 当連結会計年度の事業の状況

事業の経過及びその成果

 当期における世界経済は、緩やかな回復傾向となりましたが、後半にかけては、中国経済の減速に加え、米中貿易戦争の激化、英国EU離脱問題や中東などの地政学的リスクの高まりなど、先行き不透明感が増しました。
 自動車業界は、「CASE」と言われる、「つながる」、「自動運転」、「共有」、「電動化」の動きが加速し、100年に一度と言われる大変革期を迎えております。さらには、完成車メーカーは、IT企業と協業し、自動運転技術やライドシェアサービス等を提供する「モビリティ・カンパニー」への変化を図っています。環境問題が深刻化し、欧州・中国を中心にEV化が進展しています。当社は、こうした事業環境の激変をチャンスととらえ、革新的な技術と販売力、人財力を備えたサプライヤーとして、熾烈な競争を勝ち抜くべく経営努力を重ねてまいりました。
 2016年4月(第6期)の新体制発足と同時に、売上高3,000億円、営業利益200億円の中長期経営目標を掲げ、技術、販売、人事の3つのイノベーションを推進してきました。
 技術面では、軽量化のための超高張力鋼板のプレス加工技術、ホットスタンプ技術、ボディ性能解析技術などの進化を推進しました。これをもとに、販売面では、完成車メーカーに次世代軽量高剛性ボディの提案を行ってきました。当期は、こうした数年にわたる事業活動の成果が得意先の受注原単位の増加や他社販売のグローバルな拡大として結実しました。
 中長期経営目標の中間点としての当期業績は、日本、中国、アジアの増産による量産売上高の増加、日本、欧州の新機種向け型設備売上が寄与し、売上高は255,637百万円(前年同期比16.3%増)となりました。利益につきましては、日本、中国、アジアの増収効果や新機種の型設備、試作等により、営業利益は16,813百万円(前年同期比17.8%増)となりました。経常利益は、17,423百万円(前年同期比19.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、北米子会社の収益性低下に伴う減損損失の計上等により、10,470百万円(前年同期比9.2%減)となりました。中長期経営目標を掲げる直前期の2016年3月期(第5期)と比較し、売上高は349億円、営業利益は39億円増加しました。この業績を踏まえ株主還元策として、当期の期末配当を4円増配して年間46円とする予定です。
 中長期経営目標を達成するための事業戦略としては、スロバキア新工場でのアルミボディ部品の高速連続加工技術と接合技術を確立し、ジャガー・ランドローバー社向けに量産準備を進めています。欧州高級車メーカーの受注実績とアルミボディ部品量産技術をもって、成長市場中国でのビジネス展開に繋げてまいります。
 開発面では2018年4月に東京都羽村市にG-TEKT TOKYO LAB(GTL)を立上げ、ドイツ、中国、米国の技術、販売情報を集約して、次世代軽量高剛性ボディの開発を加速しています。
 当期から生産、技術、人事の生産性向上を進めています。生産現場では、省人化を進め、プレス品自動払い出し、カメラによる品質検査を用いた溶接ライン、物流の自動化などに取り組んでいます。技術開発では、シミュレーション技術の高精度化による金型設計プロセスの効率化に取り組んでおります。
 人財面では、働きやすい職場環境づくりを進めています。育成面では、階層別研修の体系化、昇格試験の定着化に加え、多様性に取り組みました。本総会で初の女性社外取締役選任議案を上程しています。働く女性の意識変革を促す研修を重ね、2019年4月に女性管理職を5名登用しました。多様性の実践により、個人や組織の強みを引き出し、新しい価値を生み出すことで、この大変革期を乗り越える強固な基盤づくりを目指してまいります。

◆ 報告セグメント別売上高

◆ 報告セグメント別営業利益(億円)

◆ 製品別売上高

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(2) 対処すべき課題

① 品質管理

 品質は、顧客との信頼関係の基礎となる最重要課題であると考えています。顧客から求められる品質を確保するためのグローバルな仕組みを構築するとともに、品質ガバナンスを徹底し、各国、地域ごとに定められた安全、品質法規等を満たす製品、サービスを生産・提供してまいります。

② 生産体質改善

 北米では、2019年3月期にJefferson Southern Corporationの事業用資産について収益性が低下したため減損処理を行いました。北米子会社のSQCDの抜本的な改革に取り組んでいます。
 収益性の高い生産体制を構築するべく、生産ライン構想や作業方法、生産アロケーションの見直し等、それぞれの地域の状況に合わせた地域最適となる取り組みを行ってまいります。
 また、「生産性向上プロジェクト」を推進し、デジタル技術や映像解析技術を活用した省人化等による原価低減を進めてまいります。

③ 技術開発

 ドイツ、中国、米国の調査拠点が収集した技術動向・市場ニーズを日本の研究開発施設であるG-TEKT TOKYO LAB(GTL)に集約し、次世代軽量高剛性ボディの開発を加速しています。
 開発領域では、G-TEKT TOKYO LAB(GTL)で、複合材活用技術、ボディ性能解析技術及びEV用のアルミバッテリーケース要素技術等の新技術開発を進めてまいります。
 生産技術領域では、鉄の可能性を引き出す超高張力鋼板のプレス加工技術及びホットスタンプ技術等の既存技術に磨きをかけてまいります。

④ グローバル販売戦略

 アルミボディ部品量産技術によりBMW社やジャガー・ランドローバー社等の欧州高級車メーカーとの取引を深めることで、EV化を見据えた中国市場での受注拡大に繋げてまいります。
 また、次世代軽量高剛性ボディ提案等を通じて、主要得意先である本田技研工業株式会社からの受注原単位の拡大を進めるとともに、他社販売のグローバルな受注拡大を推進してまいります。

⑤ 人財育成

 公平で実力が反映される人事制度と従業員が依って立つべきキャリアモデルを示した人財育成制度をスタートしました。新入社員向け海外留学制度、中堅社員に対する語学試験や海外駐在経験等を通じて「グローバル経営人財」を創出していきます。海外子会社での経営経験や幹部候補者研修を通じた「次世代経営陣」の育成にも力を入れてまいります。

⑥ ダイバーシティ推進

 変革の時代を生き抜くためには、当社で働く全ての人がそれぞれ持っている多様な経験、視点、感性、スキル等を互いに尊重し合い、より大きな力を生み出すことができる組織でなければならないと考えています。ダイバーシティ推進のため、人事担当役員を委員長とするダイバーシティ推進委員会を設置し、ジェンダーや国際性の面を含む多様性に向けて取り組んでまいります。

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