第4号議案 取締役に対する株式報酬制度改定の件
1.提案の理由及びこれを相当とする理由
当社は役員報酬体系見直しの一環として、本総会終結の時をもって取締役(既に廃止済みの社外取締役を除く)ならびに執行役員の退職慰労金を廃止することとしておりますが、本議案は、それに伴い、2017年6月29日開催の第84回定時株主総会にてご決議(以下、「原決議」といいます。)いただいた株式報酬制度「株式給付信託(BBT(=Board Benefit Trust))」(以下、「本制度」といいます。)の一部見直しについて、ご承認をお願いするものです。本議案は、取締役の報酬総額に占める本制度に基づく株式報酬等の割合を引き上げ、取締役の報酬と当社の株式価値との連動性を高めることにより、中長期的な企業価値の増大に貢献する取締役の意欲を更に高めることを目的としており、独立社外取締役が過半数を占める指名報酬委員会及び取締役会は、本議案の内容は相当であるものと考えております。
また、本議案をご承認いただくことを前提に、当社の取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針の一部変更について、本総会終結直後の取締役会において決議を予定しております(本議案をご承認いただいた場合の方針案を末尾に参考として載せてございます)。
なお、本議案による本制度改定後の制度の詳細につきましては、指名報酬委員会の答申を踏まえて、下記3の枠内で取締役会にご一任いただきたいと存じます。また、本制度は取締役を兼務しない執行役員も対象としており、執行役員についても同様の改定を予定しております。
第1号議案「取締役9名選任の件」及び本議案をご承認いただいた場合、本制度の対象となる取締役の員数9名(うち社外取締役3名)となります。
2.制度改定内容
(1)本制度の対象者の拡大
これまで本制度の対象となる取締役は執行役員を兼務する取締役に限定しておりましたが、これに加え、執行役員を兼務しない取締役も対象とすることをお願いするものであります。当社は、執行役員を兼務しない取締役について、当社が株主共同の利益を十分に確保して経営されていることを株主の皆様と同じ視点に立って監督する機能を期待するものでありますが、その報酬の一部を株式報酬とすることで、更にその機能を果たす意識を高められるものと考えます。なお、監査役については引き続き本制度の対象外とします。
(2)1事業年度当たりの付与ポイント数の合計の上限見直し
取締役の退職慰労金を廃止すると伴に、報酬総額に占める本制度に基づく株式報酬等の割合を引き上げることにより、取締役が株価上昇によるメリットのみならず、株価下落リスクまでも株主の皆様と共有することで、中長期的な企業価値の増大に貢献するインセンティブとなることを期待し、本制度に基づき取締役に対して付与するポイント数の合計の上限を、1事業年度当たり12,500ポイント(執行役員を兼務する取締役についてのみ)から、35,000ポイント(うち社外取締役分として5,000ポイント)に改定することをお願いするものであります。これは、役員報酬の支給水準とそれに占める株式報酬等の割合、取締役の員数の動向と今後の見込み等を総合的に考慮して決定したものであり、相当であるものと判断しております。なお、ご参考までに、2021年5月24日の株価終値1,542円を前提とした場合の付与上限35,000ポイントの金額換算は約54百万円となります。
(3)株式等の給付等の方法の改定
制度の自由度を高めるため、退任した取締役への給付について、役員株式給付規程に別途定める要件を満たす場合には、当該取締役に付与されたポイント数の一定割合について、当社株式の給付に代えて、時価で換算した金額相当の金銭を給付することといたしたく、変更をお願いするものであります。
また、コーポレート・ガバナンス強化の一環として、取締役に一定の非違行為や不適切行為があった場合には、当該対象者は当社株式及び当社株式の一定割合について時価で換算した金額相当の金銭(以下、「当社株式等」といいます。)の給付を受ける権利を取得できないものとする旨、規程上明確化します。
(4)株主総会でご承認済みの取締役の報酬等の総額との関係
原決議では、本制度は、2011年6月29日開催の第78回定時株主総会及び2019年6月27日開催の第86回定時株主総会においてご承認をいただきました取締役の報酬等の総額(年額400百万円以内、うち社外取締役分は年額70百万円以内。ただし、使用人給与は含まない。)の内枠とすることでご承認いただいておりましたが、株価の変動が取締役の報酬額に与える影響や取締役の員数の増加、役位変更の可能性などに鑑み、別枠として取り扱うことといたしたく、変更をお願いするものであります。
3.本制度改定後の内容
(1)概要
本制度は、当社が拠出する金銭を原資として当社株式が信託(以下、本制度に基づき設定される信託を「本信託」といいます。)を通じて取得され、取締役に対して、当社が定める役員株式給付規程に従って、当社株式等が本信託を通じて給付される株式報酬制度です。なお、取締役が当社株式等の給付を受ける時期は、原則として取締役の退任時となります。
(2)本制度の対象者
取締役(監査役は、本制度の対象外とします。)
(注1)
上記のほか、取締役を兼務しない執行役員についても本制度の対象としております。
(3)信託金額
当社は、原決議に基づき、本制度の導入時に2021年3月末日で終了した当初対象期間を対象として金銭を拠出して本信託を設定し、本信託はその金銭を原資として当社株を取得しました。
本議案により本制度の見直しをご承認いただくことを条件として、当社は、2022年3月末日で終了する事業年度から2024年3月末日で終了する事業年度までの3事業年度(以下、「本対象期間」といいます。)に対応する必要資金を本信託に追加拠出することとします。本制度に基づき取締役に付与されるポイントの上限数は、下記(5)のとおり1事業年度当たり合計35,000ポイントであるため、本対象期間には総額で、直前の東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値を考慮して、105,000株を上限として取得するために必要と合理的に見込まれる資金を本信託に拠出いたします。なお、ご参考として、2021年5月24日の終値1,542円を適用した場合、上記の必要資金は、約162百万円となります。
また、本対象期間経過後も、本制度が終了するまでの間、当社は、原則として3事業年度ごとに、以後の3事業年度ごとの期間(以下、「対象期間」といいます。)に関し、本制度に基づく取締役への給付を行うために必要な株式数を合理的に見込み、本信託が先行して取得するために必要と認める資金を、本信託に追加拠出することとします。
ただし、かかる追加拠出を行う場合において、信託財産内に残存する当社株式(取締役に付与されたポイント数に相当する当社株式で、取締役に対する給付が未了であるものを除きます。)及び金銭(以下「残存株式等」といいます。)があるときは、残存株式等は以後の対象期間における本制度に基づく給付の原資に充当することとし、残存株式等を勘案した上で、以後の対象期間に関する追加拠出額を算出するものとします。
なお、当社が追加拠出を決定したときは、適時適切に開示いたします。
(注2)
当社が実際に本信託へ拠出する金額は、上記の取締役への当社株式等の給付を行うための必要資金のほか、取締役を兼務しない執行役員への当社株式等の給付を行うための必要資金を合わせた金額となります。
(注3)
上記の当社株式数の上限は、取締役への当社株式等の給付を行うための必要資金により取得する当社株式数の上限です。本信託が実際に取得する当社株式数は、上記(注2)のとおり取締役を兼務しない執行役員への当社株式等の給付を行うために拠出する必要資金により取得する株式数を加算した数となります。
(4)当社株式の取得方法及び取得株式数
本信託による当社株式の取得は、上記(3)により拠出された資金を原資として、取引所市場を通じて又は当社の自己株式処分を引き受ける方法によりこれを実施することとします。
本対象期間につきましては、取締役への給付を行うための株式として、本対象期間に係る追加拠出後、遅滞なく、105,000株を上限として取得するものといたします。本信託による当社株式の取得方法等の詳細につきましては、適時適切に開示いたします。
(5)取締役に給付される当社株式等の数の具体的な算定方法
取締役には、各事業年度に関して、役員株式給付規程に基づき定まる数のポイントが付与されます。取締役に付与される1事業年度当たりのポイント数の合計は、35,000ポイント(うち社外取締役分として5,000ポイント)を上限とします。これは、現行の役員報酬の支給水準とそれに占める株式報酬等の割合、役員の員数の動向と今後の見込み等を総合的に考慮して決定したものであり、相当であるものと判断しております。
なお、取締役に付与されるポイントは、下記(6)の当社株式等の給付に際し、1ポイント当たり当社普通株式1株に換算されます(ただし、本議案をご承認いただいた後において、当社株式について、株式分割、株式無償割当て又は株式併合等が行われた場合には、その比率等に応じて、ポイント数の上限及び付与済みのポイント数又は換算比率について合理的な調整を行います。)。
下記(6)の当社株式等の給付に当たり基準となる取締役のポイント数は、原則として、退任時までに当該取締役に付与されたポイント数とします(以下、このようにして算出されたポイントを、「確定ポイント数」といいます。)。
(6)当社株式等の給付及び報酬等の額の具体的な算定方法
取締役が退任し、役員株式給付規程に定める受益者要件を満たした場合、当該取締役は、所定の受益者確定手続を行うことにより、原則として上記(5)に記載のところに従って定められる「確定ポイント数」に応じた数の当社株式について、退任後に本信託から給付を受けます。ただし、役員株式給付規程に別途定める要件を満たす場合には、当該取締役に付与されたポイント数の一定割合について、当社株式の給付に代えて、当社株式を権利確定日時点の時価で換算した金額相当の金銭の給付を受けます。金銭給付を行うために、本信託より当社株式を売却する場合があります。
なお、本制度の対象者が株主総会の決議において解任の決議をされた場合、在任中に一定の非違行為があったことに起因して退任した場合、又は在任中に会社に損害が及ぶような不適切行為があった場合、当該対象者は当社株式等の給付を受ける権利を取得できないものとします。
取締役が受ける報酬等の額は、ポイント付与時において、取締役に付与されるポイント数の合計に本信託の有する当社株式の1株当たりの帳簿価格を乗じた金額(ただし、当社株式について、株式分割、株式無償割当て又は株式併合等が行われた場合には、その比率等に応じて合理的な調整を行います。)を基礎とします。また、役員株式給付規程の定めに従って例外的に金銭が給付される場合において相当と認められるときは、当該金額を加算した額とします。
(7)議決権行使
本信託勘定内の当社株式に係る議決権は、信託管理人の指図に基づき、一律に行使しないこととします。かかる方法によることで、本信託勘定内の当社株式に係る議決権の行使について、当社経営への中立性を確保することを企図しています。
(8)配当の取扱い
本信託勘定内の当社株式に係る配当は、本信託が受領し、当社株式の取得代金や本信託に係る受託者の信託報酬等に充てられます。なお、本信託が終了する場合において、本信託内に残存する配当金等は、役員株式給付規程の定めに従って、当社及び当社役員と利害関係のない団体へ寄附されるか、又はその時点で在任する取締役に対して、各々が保有するポイント数に応じて、按分して給付されることになります。
(9)信託終了時の取扱い
本信託は当社株式の上場廃止、役員株式給付規程の廃止等の事由が発生した場合に終了します。
本信託終了時における本信託の残余財産のうち、当社株式については、全て当社が無償で取得した上で、取締役会決議により消却することを予定しています。本信託終了時における本信託の残余財産のうち、金銭については、上記(8)により当社及び当社役員と利害関係のない団体へ寄附されるか、又は取締役に給付される金銭を除いた残額が当社に給付されます。
【ご参考】
本議案をご承認いただいた場合、以下の方針【案】について、本総会直後の取締役会において決議することを予定しています。
取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針【案】
Ⅰ.基本方針
当社の取締役の報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして十分に機能するよう会社業績や中長期的な企業価値との連動性を確保し、個々の取締役の報酬の決定に際しては各職責と成果を踏まえた適正な水準とすることを基本方針とする。具体的には業務執行取締役の報酬は、経常報酬及び変動報酬、企業価値向上をより意識するためのインセンティブとして株式給付信託(非金銭報酬)による株式報酬で構成する。なお、業務執行を兼務しない取締役については、変動報酬は支給しない。
Ⅱ.経常報酬(金銭報酬)の個人別の報酬の額の決定に関する方針
当社の取締役の経常報酬は、月例の固定報酬とし、役位、職責に応じて他社水準、当社の業績、従業員給与の水準を考慮しながら、総合的に勘案して決定するものとする。
Ⅲ.変動報酬(金銭報酬)の内容及び額又は数の算定方法の決定に関する方針
(報酬を与える時期又は条件の決定に関する方針を含む)
変動報酬は、事業年度ごとの業績向上に対するインセンティブを高めるため、経営環境、前事業年度の会社業績ならびに業務執行取締役個人の業績への貢献度を勘案して算出された額を12等分して経常報酬に合算し、支給する。目標となる会社業績や指標は、中期経営計画を踏まえた連結経常利益や各業務執行取締役の職責に応じた適切な指標などを経営環境に応じて計画策定時に設定し、適宜、環境の変化に応じて独立社外取締役が過半数を占める指名報酬委員会の答申を踏まえた見直しを行うものとする。
Ⅳ.非金銭報酬等の内容及び額又は数の算定方法の決定に関する方針
(報酬を与える時期又は条件の決定に関する方針を含む)
非金銭報酬は中長期的な企業価値向上との連動性を確保した報酬制度とするため、株式給付信託による株式報酬とし、「役員株式給付規程」により支給する。具体的には、役位に基づくポイント制とし、毎年一定の時期にテーブルに基づくポイントを付与する。また、支給時期は役員任期終了後、任期中に獲得したポイント数1ポイントを1株として換算し、退任時に支給する。なお、取締役に一定の非違行為や不適切行為があった場合には、当該対象者は当社株式等の給付を受ける権利を取得できないものとする。
Ⅴ.金銭報酬等の額又は非金銭報酬等の額の取締役の個人別の報酬等の額に対する割合の決定に関する方針
取締役の報酬種類別の割合については、当社と同程度の事業規模や関連する業種・業態に属する企業群を参考とする報酬水準を踏まえ、上位の役位ほど会社業績や企業価値との連動性を高めた構成とし、指名報酬委員会において検討を行う。取締役会は指名報酬委員会の答申内容を尊重し、当該答申で示された種類別の報酬割合について決定することとする。
Ⅵ.取締役の個人別の報酬の内容についての決定に関する事項
個人別の報酬額については取締役会決議に基づき代表取締役会長兼CEOがその具体的内容について委任を受けるものとし、その権限の内容は各取締役の経常報酬の額及び各取締役の業績評価を踏まえた変動報酬の額の決定とする。取締役会は当該権限が代表取締役会長兼CEOによって適切に行使されるよう、代表取締役会長兼CEOが作成した原案を指名報酬委員会に諮問し、代表取締役会長兼CEOは当該答申の内容に従って決定をしなければならないこととする。