事業報告(2018年4月1日から2019年3月31日まで)
SUBARUグループの現況に関する事項
事業の経過およびその成果
当期の世界経済は、堅調に推移したものの、当期後半は通商問題の動向による不確実性などにより減速が見られました。また、国内経済も、雇用・所得環境の改善および個人消費の持ち直しなどにより、景気は緩やかな回復基調が続いているものの、世界経済の先行きの不透明感などの影響が懸念される状況が続きました。このようななか、為替の動向は、おおむね安定して推移いたしました。
SUBARUグループは、「安心と愉しさ」の提供を通じて、お客様から共感され、信頼していただける存在となることを目指して、新たな中期経営ビジョン「STEP」を策定し、2018年7月に公表いたしました。当社のありたい姿を「モノをつくる会社から笑顔をつくる会社へ」とし、その実現に向け、2025年ビジョンとして次の3項目を掲げました。
2025年ビジョン
- 個性を磨き上げ、お客様にとってDifferentな存在になる
- お客様一人一人が主役の、心に響く事業活動を展開する
- 多様化する社会ニーズに貢献し、企業としての社会的責任を果たす
「STEP」では、取り組みの最優先事項に「組織風土改革」を掲げ、品質改革をはじめとする「会社の質の向上」、“人の命を守る”ことにこだわり、2030年に死亡交通事故ゼロ※を目指す安心・安全への取り組みなどを通じた「強固なブランドの構築」、そして「集中戦略を軸とした持続的成長」の取り組みを進めてまいります。
※SUBARU乗車中の死亡事故およびSUBARUとの衝突による歩行者・自転車等の死亡事故をゼロ
当期の売上高は、自動車売上台数の減少などにより、3兆1,605億円と前期比722億円(2.2%)の減収となりました。
営業利益は、2018年11月に届出いたしましたエンジン部品のリコールなどによる品質関連費用の増加および自動車売上台数の減少などにより、1,955億円と前期比1,839億円(48.5%)の減益、経常利益も、1,962億円と前期比1,837億円(48.3%)の減益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益も、1,478億円と前期比725億円(32.9%)の減益となりました。

当社は、2017年10月に判明した完成検査に係る不適切事案について、同年12月19日および2018年4月27日の2回にわたって国土交通省に報告をいたしましたが、同年6月5日に国土交通省より、燃費・排出ガスの抜き取り検査および他の完成検査に係る不適切事案について、徹底した調査および再発防止策の策定を行うよう求められました。これを受け、当社は、客観的・中立的な立場から徹底した調査を行うため、弁護士などの社外専門家チームに調査を委託し、同年9月28日にその調査報告書を公表いたしました。この調査により、新たに完成検査に係る不適切行為が判明したため、同年10月11日にリコールを届出ました。さらに、同年10月の国土交通省による立入検査を契機とした社内調査において、一部の不適切行為が継続していたことが判明したため、同年11月8日にリコールを届出ました。
当社は、2017年末より、完成検査員への教育の再徹底、人員配置の見直し、直ちに実施可能な設備の改修、検査装置のソフト変更などの諸対策を進めてまいりましたが、以上の経緯に鑑み、経営・管理者層が、時間をかけて完成検査の現場に関与し、現場の完成検査員と話し合い、既に実施した様々な再発防止策の効果を検証するとともにコンプライアンスの徹底を図りました。その後、2018年10月26日に生産ラインを停止して再発防止策の効果の検証を行った結果、再発防止策が有効に機能し、完成検査工程の健全性が確保されているものと認め、同日をもって、判明した不適切行為が終息したことを確認いたしました。なお、同年10月26日の翌稼働日以降現在まで、これまでの調査で判明した不適切行為と同様の行為は確認されておりません。
前記の一連の不適切事案に関する経緯から、当社は、同年11月14日に国土交通大臣よりあらためて再発防止策の見直しおよび徹底などの勧告を受けました。また、同年12月19日には、不適切な抜き取り検査の一部が、重大な完成検査の一部未実施事案であることから、国土交通省より東京地方裁判所に対して、当社に道路運送車両法に基づく過料を適用するよう通知がなされました。その結果、当社は、2019年3月8日に東京地方裁判所から、過料8,340万円に処する旨の決定を受けました。
当社は、一連の不適切事案の結果、このような事態に至ったことを極めて厳粛に受け止めております。一連の不適切事案に対する再発防止の手を緩めることなく、より強固に推し進めるために、2018年12月1日付で品質保証本部に完成検査部を新設するなどの組織改正を行い、2019年1月1日付で製造部門担当役員を新たな体制といたしました。そして、全従業員が一体となって高い規範意識を持った職場となるべく邁進し、お客様・株主様をはじめ、全てのステークホルダーの信頼を一日でも早く回復できるよう、全力で取り組む決意でございます。
事業別の概況
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事業別売上高構成比
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売上高
前期比%減
当期の当社の重点市場であります米国の自動車全体需要は、乗用車系は前期を下回り、SUV(多目的スポーツ車)を含むライトトラック系は前期を上回り、1,716.0万台(前期比0.9%の減少)となりました。また、国内の自動車全体需要は、登録車は前期並み、軽自動車は前期を上回り、526.0万台(前期比1.2%の増加)となりました。
このような自動車全体需要の動向のなか、海外は、当社の重点市場であります北米において、新たに販売を開始した新型車「アセント」の好調などが寄与し、現地での小売販売は堅調に推移いたしました。しかし、当期前半は全面改良前であった「フォレスター」の出荷台数の減少などにより、売上台数は86.5万台と前期比3.9万台(4.3%)の減少となりました。また、国内は、7月に全面改良を行った「フォレスター」の販売が好調に推移したものの、「インプレッサ」、「SUBARU XV」および「レヴォーグ」の販売が減少したことなどにより、売上台数は13.5万台と前期比2.8万台(17.2%)の減少となりました。
以上の結果、海外と国内の売上台数の合計は、100.0万台と前期比6.7万台(6.3%)の減少となり、売上高は、3兆145億円と前期比479億円(1.6%)の減収となりました。また、セグメント利益も、1,849億円と前期比1,765億円(48.8%)の減益となりました。
なお、生産台数は、当社群馬製作所において、品質最優先で生産・検査を行うことを目的に見直した操業条件を2018年秋以降継続していることおよび2019年1月に発生いたしました電動パワーステアリング装置の不良部品に起因する操業停止などにより、前期を下回りました。また、当期の地域別の売上台数は以下のとおりです。
商品・技術面につきましては、SUBARUの安全性能に関して第三者機関から高い評価を獲得いたしました。
米国では、「アセント」、「アウトバック」、「レガシィ」、「クロストレック(日本名:SUBARU XV)」、「インプレッサ(セダン)」、「インプレッサ(5ドア)」、「WRX」、「フォレスター」の8車種(いずれもアイサイト装備車)が、IIHS(道路安全保険協会)が行う最新の2019年の安全性評価において、「トップセイフティピックプラス」を獲得しました。国内では、国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が実施した、自動車の安全性能を比較評価する自動車アセスメント(JNCAP)において、「フォレスター」が、最高ランクである「予防安全性能評価 ASV+++(エー・エス・ブイ・トリプルプラス)」を獲得しました。また、公益社団法人 自動車技術会が実施した第68回自動車技術賞において、画期的に安全性を向上させる歩行者保護エアバッグを普及しやすいシンプルな構造で実現したことが高く評価され、当社の技術者5名が「技術開発賞」を受賞しました。
さらに米国において、地球環境保護への貢献を目指して、当社初となるプラグインハイブリッドモデルである「クロストレック ハイブリッド」を発表、発売いたしました。
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事業別売上高構成比
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売上高
前期比%減
防衛省向け製品では、陸上自衛隊新多用途ヘリコプターの試作請負契約の履行完了などにより、売上高は前期を下回りました。民間向け製品では、「ボーイング777」の生産が減少したことなどにより、売上高は前期を下回りました。
以上の結果、売上高は1,317億円と前期比105億円(7.4%)の減収となりました。また、セグメント利益も、60億円と前期比62億円(50.7%)の減益となりました。なお、当期において、当社と米国ベル・ヘリコプター・テキストロン社は、2018年7月5日に米国連邦航空局から型式認証を取得した民間向け最新型ヘリコプター「SUBARU BELL 412EPX」での事業協力を発表し、日本においても2019年1月18日に国土交通省航空局から型式設計変更承認を取得しました。また、この機体を共通プラットフォームとする陸上自衛隊新多用途ヘリコプターの試作機を開発・製造し、同年2月28日に防衛省へ納入いたしました。
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事業別売上高構成比
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売上高
前期比%減
売上高は144億円と前期比138億円(49.0%)の減収となりました。また、セグメント利益も、38億円と前期比12億円(24.1%)の減益となりました。

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事業別
売上高構成比売上高
前期比%減
当期の当社の重点市場であります米国の自動車全体需要は、乗用車系は前期を下回り、SUV(多目的スポーツ車)を含むライトトラック系は前期を上回り、1,716.0万台(前期比0.9%の減少)となりました。また、国内の自動車全体需要は、登録車は前期並み、軽自動車は前期を上回り、526.0万台(前期比1.2%の増加)となりました。
このような自動車全体需要の動向のなか、海外は、当社の重点市場であります北米において、新たに販売を開始した新型車「アセント」の好調などが寄与し、現地での小売販売は堅調に推移いたしました。しかし、当期前半は全面改良前であった「フォレスター」の出荷台数の減少などにより、売上台数は86.5万台と前期比3.9万台(4.3%)の減少となりました。また、国内は、7月に全面改良を行った「フォレスター」の販売が好調に推移したものの、「インプレッサ」、「SUBARU XV」および「レヴォーグ」の販売が減少したことなどにより、売上台数は13.5万台と前期比2.8万台(17.2%)の減少となりました。
以上の結果、海外と国内の売上台数の合計は、100.0万台と前期比6.7万台(6.3%)の減少となり、売上高は、3兆145億円と前期比479億円(1.6%)の減収となりました。また、セグメント利益も、1,849億円と前期比1,765億円(48.8%)の減益となりました。
なお、生産台数は、当社群馬製作所において、品質最優先で生産・検査を行うことを目的に見直した操業条件を2018年秋以降継続していることおよび2019年1月に発生いたしました電動パワーステアリング装置の不良部品に起因する操業停止などにより、前期を下回りました。また、当期の地域別の売上台数は以下のとおりです。
商品・技術面につきましては、SUBARUの安全性能に関して第三者機関から高い評価を獲得いたしました。
米国では、「アセント」、「アウトバック」、「レガシィ」、「クロストレック(日本名:SUBARU XV)」、「インプレッサ(セダン)」、「インプレッサ(5ドア)」、「WRX」、「フォレスター」の8車種(いずれもアイサイト装備車)が、IIHS(道路安全保険協会)が行う最新の2019年の安全性評価において、「トップセイフティピックプラス」を獲得しました。国内では、国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が実施した、自動車の安全性能を比較評価する自動車アセスメント(JNCAP)において、「フォレスター」が、最高ランクである「予防安全性能評価 ASV+++(エー・エス・ブイ・トリプルプラス)」を獲得しました。また、公益社団法人 自動車技術会が実施した第68回自動車技術賞において、画期的に安全性を向上させる歩行者保護エアバッグを普及しやすいシンプルな構造で実現したことが高く評価され、当社の技術者5名が「技術開発賞」を受賞しました。
さらに米国において、地球環境保護への貢献を目指して、当社初となるプラグインハイブリッドモデルである「クロストレック ハイブリッド」を発表、発売いたしました。
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事業別
売上高構成比売上高
前期比%減
防衛省向け製品では、陸上自衛隊新多用途ヘリコプターの試作請負契約の履行完了などにより、売上高は前期を下回りました。民間向け製品では、「ボーイング777」の生産が減少したことなどにより、売上高は前期を下回りました。
以上の結果、売上高は1,317億円と前期比105億円(7.4%)の減収となりました。また、セグメント利益も、60億円と前期比62億円(50.7%)の減益となりました。なお、当期において、当社と米国ベル・ヘリコプター・テキストロン社は、2018年7月5日に米国連邦航空局から型式認証を取得した民間向け最新型ヘリコプター「SUBARU BELL 412EPX」での事業協力を発表し、日本においても2019年1月18日に国土交通省航空局から型式設計変更承認を取得しました。また、この機体を共通プラットフォームとする陸上自衛隊新多用途ヘリコプターの試作機を開発・製造し、同年2月28日に防衛省へ納入いたしました。
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事業別
売上高構成比売上高
前期比%減
売上高は144億円と前期比138億円(49.0%)の減収となりました。また、セグメント利益も、38億円と前期比12億円(24.1%)の減益となりました。
対処すべき課題
①完成検査に係る不適切事案への対応
当社では、2018年10月26日に完成検査工程の健全性が確保されているものと認め、同日をもって判明した不適切行為が終息したことを確認し、現在までこれまでの調査で判明した不適切行為と同様の行為は確認されておりません。また、当社では、真に「正しい会社」をつくる活動をより一層加速させ、組織風土改革を断行することによって、全てのステークホルダーの信頼を可及的速やかに回復していく決意をし、様々な再発防止策を実施してまいりましたが、これらは以下の4つに分類されます。
- ●コンプライアンス・品質保証に対する経営層の当事者意識強化と役割責任の明確化
- ●不適切作業の検出と防止のための施策
- ●不適切作業が発生した際に速やかに是正する態勢の構築
- ●速やかに実施し、今後も継続して運用していく施策
なお、当社では、上記の再発防止策をさらに65項目に細分化のうえ、これらを実施しており、現在までに57項目の実施が完了しております。当社は、これからも全社一丸となって再発防止策を推進し、かつ常に改善を施して、より確かなものへとしてまいります。
②中期経営ビジョン「STEP」の推進
自動車業界が大変革期にある中で、この大きな事業環境の変化を見極め、スピード感をもって対応していくことが必要であると認識しております。そのため、前記のとおり、当社は、「安心と愉しさ」の提供を通じて、お客様から共感され、信頼していただける存在となることを目指して、新たな中期経営ビジョン「STEP」を2018年7月に公表いたしました。この中で「組織風土改革」「品質改革」「SUBARUづくりの刷新」を最重点テーマと捉え、活動しております。
なお、中期経営ビジョン「STEP」の取り組みの全体像は、下図のとおりです。
●組織風土改革
SUBARUのDNAは守りつつ、時代や世の中の変化に対して敏感に、スピード感をもって、柔軟に対応できる会社を目指します。取り組みの迅速化を狙いトップおよび経営陣とのコミュニケーションの質・量をともに充実させるとともに、人材・組織の変革、事業活動全般におけるIT活用の推進などに取り組みます。
●品質改革
「お客様が安心して長く使い続けることができる品質」No.1を目指します。
商品企画から生産に至る品質に関わる全てのプロセスの見直し、IT活用など生産工場のレベルアップ、品質マネジメント体制の強化、お客様へのサービス基盤の整備などに取り組みます。また、これら「全品質」の向上のための投資枠として、1,500億円(5年間)を設定いたしました。さらに、2019年4月1日に「品質方針」を改定し、全従業員が共有する道標として、「品質最優先」を合言葉に具体的な行動を実践してまいります。
●SUBARUづくりの刷新
モノづくりにとどまらず、商品からサービス全般まで、SUBARUが提供するお客様価値の向上を「高品質」「高付加価値」「低コスト」で実現する新しい活動として、『新SUBARUづくり活動』をスタートしております。
以上の取り組みを通じ、SUBARUグループの持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指してまいります。株主の皆様におかれましては、今後とも変わらぬご支援、ご指導を賜りますようお願い申しあげます。
中期経営ビジョン「STEP」取り組み全体像(9Box+1)

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