第4号議案 取締役の報酬改定の件

当社の取締役の報酬等の額は、2020年6月19日開催の第96回定時株主総会において、年額1,100百万円以内(うち社外取締役120百万円以内。但し、使用人兼務取締役に対する使用人分給与は含まない)として、また、2021年6月24日開催の第97回定時株主総会において、当社の取締役(社外取締役を除く)に対する譲渡制限付株式及び時価総額条件型譲渡制限付株式を付与するために支給する金銭報酬債権の総額は、上記の取締役の報酬等の額の範囲内で譲渡制限付株式については年額180百万円以内、時価総額条件型譲渡制限付株式については年額120百万円以内(発行又は処分される株式数の上限は、譲渡制限付株式は年450,000株以内、時価総額条件型譲渡制限付株式は3年間の各業績評価期間において300,000株以内)として、それぞれご決議をいただいております。
今般、当社は、ステークホルダーの皆様と共に新しい価値を創出する丸紅グループの在り姿に即した経営の実践を促し、中長期的な企業価値との連動性をより高め、株主の皆様との一層の価値共有を進める報酬制度に見直すことを目的として、当社の取締役の報酬制度を改定いたしたく存じます。
新たな報酬制度では、報酬等の種類を月例報酬(固定・金銭報酬)、業績連動賞与と個人評価給で構成される短期インセンティブ報酬(変動・金銭報酬)及び譲渡制限付株式とTSR連動型譲渡制限付株式で構成される中長期インセンティブ報酬(変動・株式報酬)の3つの種類に再構築します。また、現行の時価総額条件型譲渡制限付株式の評価指標を、先般公表した株主還元を強化する新たな還元方針も踏まえ、時価総額条件成長率から相対TSR(本冊子27頁(注4)ご参照)へと変更するとともに、評価指標の実績に応じて適切なインセンティブ性を担保する支給係数の設計へと改定し、制度名称をTSR連動型譲渡制限付株式へと変更いたします。
つきましては、今回の取締役の報酬制度改定に伴い、取締役の報酬等の上限額を各報酬別に次のとおり定めること(次頁「1. 取締役の報酬等の上限額の改定」ご参照)及び現行の時価総額条件型譲渡制限付株式をTSR連動型譲渡制限付株式に改定すること(本冊子26頁「2. TSR連動型譲渡制限付株式の内容」ご参照)といたしたく、株主の皆様にご承認をお願いするものであります。なお、上記の各報酬別の上限額をご承認いただいた場合、各報酬別に定めた報酬等の上限額を合算した額は、従来の取締役の報酬等の総額としてご決議いただいている年額1,100百万円以内(うち社外取締役120百万円以内。但し、使用人兼務取締役に対する使用人分給与は含まない)よりも増加することとなりますが、当社の足下の業績拡大及び株価上昇の状況を踏まえつつ、将来の更なる向上を目指すインセンティブとして適切に機能させるため、かかる増額は相当であると考えております。
なお、現在の取締役は10名(うち社外取締役6名)であり、第2号議案「取締役10名選任の件」のご承認が得られましても、変更はございません。月例報酬の対象となる取締役は10名(うち社外取締役6名)、短期インセンティブ報酬の対象となる取締役は3名(うち社外取締役0名)、譲渡制限付株式及びTSR連動型譲渡制限付株式の対象となる取締役は4名(うち社外取締役0名)となります。
当社は、社外役員が過半数のメンバーで構成されるガバナンス・報酬委員会の審議を経て、取締役会において、本株主総会で本議案が原案どおり承認可決されることを条件として、当社の取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針の改定(なお、当該改定後の方針の概要は、本冊子28頁「(ご参考)当社の新たな取締役の報酬等の決定方針の概要」をご参照ください。)を決定しており、本議案は当該改定後の方針に沿った合理的な内容であることから、本議案の内容は相当であると考えております。
1.取締役の報酬等の上限額の改定
当社は、報酬体系の再構築として、取締役の報酬等の上限額をそれぞれ次のとおり設定いたします。なお、各報酬等の上限額はそれぞれ別枠で設定し、かつ、使用人兼務取締役に対する使用人分給与は含まないものとします。
①月例報酬
年額650百万円以内(うち社外取締役は年額150百万円以内)
対象者:取締役(社外取締役を含む)
②短期インセンティブ報酬
年額700百万円以内
対象者:社外取締役及び取締役会長を除く取締役
③譲渡制限付株式
譲渡制限付株式を付与するための金銭報酬債権の総額は年額200百万円以内
(発行又は処分される株式数の上限は年450,000株以内(注1))(注2)
対象者:社外取締役を除く取締役
④TSR連動型譲渡制限付株式
TSR連動型譲渡制限付株式を付与するための金銭報酬債権の総額は年額850百万円以内(発行又は処分される株式数の上限は各評価期間(次頁2.ご参照)において650,000株以内(注1))(注3)
対象者:社外取締役を除く取締役
また、第97回定時株主総会において導入した時価総額条件型譲渡制限付株式に関して、2022年度までに権利付与を行ったものについては、現行の報酬等の額(当該額の範囲内で付与される金銭報酬債権を現物出資財産として給付することにより発行又は処分される当社の普通株式の数を含む)を維持し、当該報酬等の額は、上記④TSR連動型譲渡制限付株式の付与のための報酬等の額に含むものといたします。
(注1)
本議案が承認可決された日以降、当社の普通株式の株式分割・無償割当て・株式併合等、発行又は処分される当社の普通株式の総数の調整が必要な事由が生じた場合には、当該総数を、合理的な範囲で調整いたします。
(注2)
第97回定時株主総会において導入した「譲渡制限付株式」の付与のために支給する金銭報酬債権の総額を次頁【改定前後の取締役の報酬等の額】のとおり改定するものであり、発行又は処分される株式数の上限並びに譲渡制限及び当社による無償取得事由等の定めの内容に変更はございません。
(注3)
第97回定時株主総会において導入した「時価総額条件型譲渡制限付株式」の付与のために支給する金銭報酬債権の総額及び発行又は処分される株式数の上限を次頁【改定前後の取締役の報酬等の額】のとおり改定するものであり、当社の普通株式の割当条件並びに譲渡制限及び当社による無償取得事由等の定めの内容に変更はございません。なお、評価指標及び支給係数の設計並びに名称を変更いたします(次頁2.ご参照)。
2.TSR連動型譲渡制限付株式の内容
(1) 本制度の概要
TSR連動型譲渡制限付株式制度(以下「本制度」という)は、当社の取締役(社外取締役を除く。以下「対象取締役」という)に対して、役位別に定めた基準額に相当する数の基準ユニットを毎年付与し、3年間(以下「評価期間」という)における相対TSRの達成度に応じて、評価期間終了後に、一定の譲渡制限期間及び当社による無償取得事由等の定めがある当社の普通株式(以下「本株式」という)を付与するものです。本制度は、第97回定時株主総会において導入した「時価総額条件型譲渡制限付株式」について、先般公表した株主還元を強化する新たな還元方針も踏まえ、適切なインセンティブ性を担保するため、評価指標及び支給係数を変更するとともに、その名称を変更するものです。
対象取締役は、相対TSRの達成度に応じて当社より支給される金銭報酬債権の全部を現物出資するのと引換えに、本株式の発行又は処分を受けます。また、本制度に基づく本株式の付与は、当社と対象取締役との間で、「譲渡制限付株式」に係る割当契約に準ずる内容の契約を締結することを条件とし、付与した本株式には、株式交付日から当社の取締役及び執行役員の地位、その他当社の取締役会が予め定める地位からの退任時又は退職時までに係る期間の譲渡制限を設定します。
(2) 金銭報酬債権の額の算定方法
対象取締役(本(2)において、評価期間中に、当社の取締役及び執行役員の地位、その他当社の取締役会が予め定める地位を有することとなった者を含む)に対して支給する本株式を付与するための金銭報酬債権の額は、対象取締役に対して最終的に割り当てる本株式の数(以下「最終割当株式数」という)に評価期間終了後に開催される当該割当てのための株式の発行又は処分を決定する取締役会の決議日(以下「割当取締役会決議日」という)の前営業日の東京証券取引所における当社の普通株式の終値を基礎として対象取締役に特に有利にならない価額を乗じることにより算定します。最終割当株式数は、予め取締役会において役位別に定めた基準額に相当する数の基準ユニットに、以下のとおり評価期間中の相対TSRの達成度に応じた割合を乗じて算定した数とします。
①相対TSRが150%以上の場合:150%
②相対TSRが50%以上150%未満の場合:相対TSRと同率
③相対TSRが50%未満の場合 :0%
但し、当社TSRが100%以下の場合、相対TSRが100%以上であっても100%を上限とします。
(注4)
「相対TSR」は、評価期間の当社株主総利回り(Total Shareholder Return(TSR))(注5)を、同期間のTOPIX(配当込み)成長率(注6)と比較した以下の算定式により算出します。
相対TSR=評価期間の当社 TSR÷TOPIX(配当込み)成長率
(注5)
「当社TSR」は、以下の式で算出する数値とします。
A :
評価期間の初日の前日(同日を含む)の直前3ヵ月の各日の東京証券取引所における当社の普通株式の終値の平均値
B :
評価期間の末日(同日を含む)の直前3ヵ月の各日の東京証券取引所における当社の普通株式の終値の平均値
C:
評価期間中の配当基準日に対応する当社株式1株当たり配当金の合計額
当社TSR=(B+C)÷A
(注6)
「TOPIX(配当込み)成長率」は、以下の式で算出する数値とします。
D:
評価期間の初日の前日(同日を含む)の直前3ヵ月の各日の東京証券取引所におけるTOPIX(配当込み)の終値平均値
E:
評価期間の末日(同日を含む)の直前3ヵ月の各日の東京証券取引所におけるTOPIX(配当込み)の終値平均値
TOPIX(配当込み)成長率=E÷D
(3) 対象取締役に対する本株式の割当条件

当社は、対象取締役が次の各号のいずれの要件をも満たした場合又は当社の取締役会が本制度の趣旨を達成するために必要と認めた場合に、評価期間終了後、対象取締役に対して最終割当株式数の本株式を割り当てます。

  • ① 対象取締役が、評価期間中、継続して、当社の取締役及び執行役員の地位、その他当社の取締役会が予め定める地位にあったこと
  • ② 当社の取締役会で定める一定の非違行為がなかったこと

なお、当社は、評価期間中に対象取締役が任期満了、死亡その他の正当な理由により当社の取締役及び執行役員の地位、その他当社の取締役会が予め定める地位を退任又は退職した場合には、退任又は退職した者(死亡による退任又は退職の場合にはその承継者)に割り当てる本株式の数を、在任期間等を踏まえて合理的に調整することができます。

(ご参考)

当社の新たな取締役の報酬等の決定方針の概要

1. 報酬方針
当社の取締役の報酬は、以下の考え方に基づき決定します。
社是「正・新・和」の精神に則り、社会・顧客の皆様の課題に向き合い、ステークホルダーの皆様と共に新しい価値を創出することを促し、これに報いる報酬制度であること
業績・株主価値との連動性を重視し、中長期的な企業価値向上を促す報酬制度であること
企業価値の源泉である優秀な人財を獲得・保持し、報奨する報酬制度であること
職責と成果に基づき、客観性の高いプロセスで決定される公平かつ公正な報酬制度であること
2. 報酬水準と構成比率
取締役の報酬水準は、優秀な人財の獲得・保持が可能となる競争力ある報酬水準となるように、外部専門機関の客観的な報酬調査データ等と比較検討を行い、適切な報酬水準を設定します。
報酬等の構成比率については、中長期的な企業価値向上を重視した報酬構成とし、総報酬に占める中長期インセンティブ報酬の構成比率を拡大し、代表取締役社長については連結純利益4,000億円かつ基礎営業キャッシュ・フロー5,000億円の時に月例報酬/短期インセンティブ報酬/中長期インセンティブ報酬の構成比率が概ね1:1:1となるように設定します。なお、他の社内取締役については、代表取締役社長の報酬構成比率に準じて役位毎の役割・責任を勘案し報酬構成比率を設定します。
3. 報酬体系
報酬等の種類別の支給対象者は、期待役割に応じて決定します。詳細は下記表のとおりです。
(注1)
取締役会長の報酬等は、当社の経営で培った事業知見を監督に活かすことで実質的に中長期の企業価値向上に貢献する立場にあることから、月例報酬である基本報酬と中長期インセンティブ報酬により構成します。
(注2)
社外取締役の報酬等は、独立性をもって経営を監督する立場にあることから、月例報酬である基本報酬(各種委員会の委員長・委員等の職責に応じた報酬を含む)のみで構成します。
(注3)
組織業績評価に基づく個人評価給の支給対象者は執行役員営業本部長であり、現在業務執行取締役の支給対象者はおりません。
(注4)
短期インセンティブ報酬は、各事業年度終了後に一括支給いたします。
4. マルス・クローバック
短期インセンティブ報酬及び中長期インセンティブ報酬について、財務諸表の重大な修正による決算の事後修正、役員による重大な内部規程の違反又は非違行為が発生した場合等には、取締役会決議により当該報酬等を減額又は不支給(マルス)とすること、及び支給済の報酬の返還(クローバック)を求める仕組の対象といたします。
5. 取締役の個人別の報酬等の内容についての決定方法
取締役の報酬等の決定方針(個人別の支給額算出方法を含む。以下「決定方針」という)については、社外役員が委員長を務め、メンバーの過半数が社外役員で構成されるガバナンス・報酬委員会にて、報酬水準の妥当性を含めて審議の上、取締役会に答申し、取締役会にて決定されます。
取締役の個人別の支給額の決定については、ガバナンス・報酬委員会が決定方針との整合性を確認した上で答申を行い、株主総会で決議された報酬限度額の範囲内で、取締役会で決議されます。ただし、短期インセンティブの個人評価給について、個人定性評価部分に係る支給額の決定は、業務執行のトップが最も適していると判断されたことから、代表取締役社長に委任しております。当該プロセスの客観性・公平性・透明性を高めるため、当該支給額については、ガバナンス・報酬委員会が、取締役会の委任する範囲内で評価が実施されていることを確認の上、取締役会へ報告することとしております。
(補足事項)
なお、取締役を兼務しない執行役員の報酬につきましても、取締役と同じ報酬体系・報酬の決定プロセスに改定いたします。