事業報告(2018年4月1日から2019年3月31日まで)

企業集団の現況

事業の経過及び成果

① 経済環境

 当連結会計年度における我が国経済は、雇用情勢や所得環境の改善による個人消費の持ち直しに加え、人手不足を背景に合理化・省力化等を目的とした設備投資の増加もあり、緩やかな回復が続きました。一方、米中貿易摩擦の激化や英国のEU離脱問題の影響等により、先行きは不透明な状況が続いております。
 リース業界におきましては、2018年度のリース取扱高が前年度比3.3%増加して4兆9,894億円(公益社団法人リース事業協会統計、速報値)となりました。

② 企業集団の状況

 こうした環境の下、当社グループは、2017年度~2021年度を対象期間とする中期経営計画「Frontier Expansion 2021」に取り組んでおります。中期経営計画の2年目となる2018年度もコーポレートスローガンである『前例のない場所へ。』の実践を通じ、新しいビジネス領域を切り拓き、事業ポートフォリオのフロンティアを拡大し続ける企業グループを目指して、計画に掲げたビジネス戦略・マネジメント戦略を着実に遂行いたしました。
 2018年度における中期経営計画の遂行状況は次のとおりであります。

【ビジネス戦略】

 中期経営計画「Frontier Expansion 2021」のビジネス戦略を着実に実行するため、不動産や航空機など成長ドライバーとなる戦略分野に経営資源を積極的に投入するとともに、ビジネス領域の拡大に向けた出資やM&Aを行いました。
 不動産分野では、宿泊特化型ホテルや介護施設、工場など多様な物件を対象とした不動産リースに幅広く取り組むとともに、大手不動産事業者と連携して大型ビルや居住用建物などの取得を進めることで、営業資産残高は順調に増加しました。
 エネルギー・環境分野では、大規模太陽光発電所が新たに2基稼働するとともに、当社グループとして最大規模となる太陽光発電所の建設を開始いたしました。当社グループが運営する大規模太陽光発電所は、2019年3月末現在で32基稼働しており、約40,000世帯分のクリーン電力を供給しております。また、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる国際的な企業連合「RE100」に国内の総合リース会社では初めて加盟し、気候変動問題への積極的な取組を進めました。
 医療・福祉分野では、医療法人が抱える様々な課題の解決に向けてコンサルティング業務を提供できる組織体制を整え、当社グループが持つ商品・サービスの提供を行いました。
 航空機分野では、アジアマーケットを中心に新たな取引先の開拓を進め、航空機リースの保有機体数、営業資産残高は順調に増加しました。
 海外分野では、米国を中心にマテリアルハンドリング機器(※)のオペレーティング・リース事業を展開する現地企業に出資して持分法適用関連会社とし、北米における事業基盤の強化を進めました。また、東南アジアにおけるビジネスの拡大を目的にシンガポールの現地法人を有人化し、営業体制を強化いたしました。
 新領域分野では、通信・公共料金の一括請求サービスに強みを持つ株式会社インボイスを2018年10月に連結子会社化いたしました。子会社化後は当社のお客様に向けて積極的にセールスを行い、早期のグループシナジー発揮に向けた連携営業を進めるとともに、顧客基盤の拡充に取り組みました。

※マテリアルハンドリング機器は、フォークリフト等、物流倉庫内で使用する機器の総称です。

【マネジメント戦略】

 マネジメント戦略では、ビジネス領域の拡大に伴い多様化するリスクに備えて、戦略分野を中心としたリスク対応力の強化を進めるとともに、出資やM&Aによるグループの拡大に対応したガバナンス体制の整備を図りました。
 資金調達では、調達手段の多様化と、気候変動問題への取組の更なる推進を目的にグリーンボンドを初めて発行いたしました。さらには、長期金利上昇への備えとして10年社債を初めて発行し、直接調達の拡充を進めました。
 また、当社におけるコーポレート・ガバナンスの枠組み及び運営方針等を定めた「コーポレートガバナンス・ガイドライン」に則り、ガバナンスの向上を着実に進めております。

 以上のことから、当社グループの連結業績につきましては、次のとおりとなりました。

 当連結会計年度の契約実行高は前年度比7.4%増加の1兆1,872億1千7百万円となり、当連結会計年度末の営業資産残高(割賦未実現利益控除後)は前連結会計年度末比902億3千5百万円(4.2%)増加して2兆2,628億2千4百万円となりました。
 損益面では、売上高は前年度比 4.7%増加の 6,181億1千9百万円、営業利益は前年度比 9.3%増加の 357億4千6百万円、経常利益は前年度比11.3%増加の391億6千6百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比 17.1%増加の256 億8千9百万円となりました。

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セグメントの業績

 当連結会計年度におけるセグメントの業績は次のとおりであります。

[リース及び割賦]

 リース及び割賦の契約実行高は前年度比8.2%減少して5,629億4百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比4.5%増加して1兆6,608億2千2百万円となりました。リース及び割賦の売上高は前年度比7.6%減少して5,177億2千6百万円となり、セグメント利益は前年度比0.6%増加して298億9千2百万円となりました。

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[ファイナンス]

 ファイナンスの契約実行高は前年度比25.4%増加して6,118億2千3百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比1.8%増加して5,737億3千6百万円となりました。ファイナンスの売上高は前年度比13.7%増加して149億8千万円となり、セグメント利益は前年度比18.3%増加して103億8百万円となりました。

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[その他]

 その他の契約実行高は前年度比242.3%増加して124億8千8百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比43.7%増加して282億6千5百万円となりました。その他の売上高は前年度比407.2%増加して854億1千2百万円となり、セグメント利益は前年度比66.0%増加して73億6千6百万円となりました。

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企業集団の対処すべき課題

① 経営理念

 当社グループは、次の4つを恒久的な経営理念として掲げ、その実現に努めております。

  
  • リース事業を通じて企業活動をサポートし、社会の発展に貢献する。
  • 顧客第一主義に徹し、最高のサービスを提供する。
  • 創造と革新を追求し、株主・市場から評価される企業を目指す。
  • 自ら考え積極的に行動する社員を育て、働き甲斐のある職場を創る。

② 中期的な経営方針・戦略

 今後の経済見通しにつきましては、個人消費の回復や企業の設備投資の拡大等を背景に内需は底堅い推移が見込まれますが、米中貿易摩擦の深刻化や中国経済の停滞等により世界経済が減速する可能性もあり、不安定な状況が続くものと予測しております。
 このような状況の下、当社グループは、コーポレートスローガンである『前例のない場所へ。』の実践を通じた新しいビジネス領域やビジネスモデルへのたゆまぬ挑戦により事業ポートフォリオのフロンティアを拡大し、国内リース事業を取り巻く環境が大きく変化していく中でも力強く持続的に成長する企業グループを目指してまいります。

 中期経営計画の3年目となる2019年度も、経営目標の達成に向けて、中期経営計画「Frontier Expansion 2021」で掲げている3つの戦略、『戦略分野の選択と集中』、『フロンティアへの挑戦』、『グループシナジーの追求』を軸として、【ビジネス戦略】及び【マネジメント戦略】を着実に推進してまいります。

【ビジネス戦略】

1 戦略分野の選択と集中

 最も成長が期待できる6つの「戦略分野」を利益成長のドライバーと位置付け、この分野に経営資源を集中的に投入してまいります。不動産、航空機などの良質な営業資産を積み上げつつ、新領域を始めとした収益性の高い新規事業を拡大させることで、ROAの向上を図ってまいります。
 また、4つの「コア分野」においては、顧客基盤の維持・拡大により、当社グループの強みを維持・強化してまいります。

[戦略分野]

  • 不動産
  • エネルギー・環境
  • 医療・福祉
  • 航空機
  • 海外
  • 新領域(※1)

[コア分野]

  • オートリース
  • ベンダーリース
  • 国内コーポレート(※2)
  • ファイナンス

※1 新領域は新規事業やビジネス領域の拡大など新しい取組となるビジネスの総称であります。

※2 国内コーポレートはグループ各社の国内法人のお客様を中心としたビジネス分野を表しております。

2 フロンティアへの挑戦

 「新領域」における取組として、経理・決済を中心とした一部業務を受託し、お客様の業務効率化を図るビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)事業を新たな事業領域と位置づけ、ビジネスの拡大を進めて参ります。株式会社インボイスやアクリーティブ株式会社、当社グループ出資先で経理業務の代行サービスを提供するメリービズ株式会社を軸に、お客様の「働き方改革」・「人手不足」への対応をサポートするビジネスをグループとして展開していまいります。
 また、当社初の農業分野における事業として、大規模植物工場の運営を行う合弁会社を設立し、2020年春の操業開始を予定しております。こうした事業参画型の新しいビジネスにも果敢に取り組み、収益力の向上と持続的な成長への基盤作りを行ってまいります。

3 グループシナジーの追求

 当社グループは2020年5月を目途に千代田区麹町への本社移転及び本社機能の集約を予定しております。これにより、当社グループとして更にシナジー効果を創出するとともに、社員の「働き方改革」を進めることで生産性を向上させ、お客様へより高品質なサービスを提供してまいります。

【マネジメント戦略】

 ビジネス戦略を支える経営基盤の強化戦略として、次のマネジメント戦略を推進してまいります。

  • 1 フロンティア拡大に伴う新たなリスクへの対応力強化
  • 2 コーポレート機能強化及び生産性向上
  • 3 グループ力発揮のためのガバナンス体制の強化

 また、当社グループの事業活動を通じて社会と企業の共有価値を創造するCSV(Creating Shared Value)経営の考え方を更に推し進め、持続可能な社会づくりに貢献するとともに、企業価値の向上に取り組んでまいります。

③ 目標とする経営指標

 中期経営計画「Frontier Expansion 2021」では、計画最終年度である2021年度の目標及び2019年度の中間目途値を以下のとおり設定しております。

 経営目標の達成に向けて最大限努力してまいります。

 株主の皆様におかれましては、より一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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