<株主(89名)からのご提案>
第7号議案 定款一部変更の件(1)
◆提案の内容
第32条(取締役の責任免除)第1項を以下のとおり変更する。
<変更前>
(取締役の責任免除)
第32条 本会社は,会社法第426条第1項の規定により,任務を怠ったことによる取締役(取締役であった者を含む。)の損害賠償責任を,法令の限度において,取締役会の決議をもって免除することができる。
<変更後>
(取締役の責任免除)
第32条 本会社は,会社法第426条第1項の規定により,任務を怠ったことによる取締役(取締役であった者を含む。)の損害賠償責任を,法令の限度において,取締役会の決議をもって免除することができる。ただし,社会的に批判が多い原子力発電に関する事項で任務を怠ったことにより生じた損害賠償責任については除く。
◆提案の理由
福島原発事故を起こした東京電力の当時の取締役3名が被告となり,事故の責任をめぐって株主代表訴訟と刑事裁判が争われている。震災前から設計を越える津波が福島原発に到来する可能性があることが国の機関や専門家からも指摘され,3年前には社内でも対策工事を行う話が進んでいたにも関わらず,裁判の中で元取締役らは「想定を超えた津波だった」「部下に任せていて知らなかった」「権限がない」等と明らかに虚偽の証言をし,責任逃れに終始した。彼らが通常の安全感覚を持ち,やるべき任務を怠っていなければ,これ程多くの被害も損害も出すことはなかったであろう。
本会社の原子力事業にも安全上,経営上のリスクがあることは株主として総会でも縷縷説明してきた。それでも敢えて原子力事業を続ける判断をするのであれば,その責任を全うする覚悟がなければならない。脱原発議案に反対する取締役会の決議だけで責任を免除することは認められない。
○取締役会の意見
エネルギー資源の乏しいわが国において,化石燃料価格の変動や地球温暖化という課題に対処しつつ,将来にわたり安定的にエネルギーを確保していくためには,安全の確保と地域の信頼を最優先に,原子力を引き続き重要な電源として活用することが不可欠であると考えております。
浜岡原子力発電所においては,従前より自主的に地震・津波対策や重大事故対策に取り組んでおり,原子力規制委員会が策定した新規制基準を踏まえて,さらなる安全性向上対策を着実に実施しております。今後も新規制基準への対応にとどまることなく,安全性をより一層高める取り組みを継続的に進めてまいります。
取締役の責任免除制度は,取締役が期待される役割を十分に果たすことを可能とするために導入された会社法上の制度であります。当社では,第78期定時株主総会において,株主のみなさまの承認を得て本条の規定を新設しており,その内容は適切かつ妥当なものと考えております。
したがいまして,取締役会は本議案に反対いたします。