事業報告(平成28年4月1日から平成29年3月31日まで)

企業集団の現況

当事業年度の事業の状況

事業の経過および成果

 当連結会計年度におけるわが国経済は、企業業績や雇用・所得環境の改善などから緩やかな回復基調が持続しましたが、中国をはじめとする新興国経済の減速懸念や英国のEU離脱問題、米国の経済政策が世界経済に与える影響など、景気の先行きについては不透明な状況が続きました。
 当社グループが属する情報サービス業界におきましては、ビッグデータやIoT、人工知能等の分野に大きな注目が集まるほか、クラウドサービスや情報セキュリティ対策の需要拡大などにより、引き続き市場の拡大が続くと見込まれます。また、ソフトウェア開発においても製造業を中心に投資計画は増加傾向であるものの、システムの高度化・複雑化への対応等が人件費・外注費の高騰や開発要員の不足に繋がっており、収益環境は厳しい状況が続きました。
 このような状況の中で、当社グループにおきましては、通信業における電力小売自由化案件、官公庁向け開発案件、流通業におけるコンビニエンスストア向け案件の受注拡大に努めた結果、売上高は堅調に推移しました。
 その結果、当社グループの売上高は12,899百万円(前期比2.2%増)となりました。また、前事業年度に行った退職給付債務の割引率引き下げ等に伴う未認識数理差異の影響額204百万円により人件費が増加した結果、営業利益は781百万円(同17.7%減)、経常利益は811百万円(同15.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は551百万円(同12.3%減)となりました。

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事業区分別の概況

 事業の品目別の業績を示すと次のとおりであります。

システムインテグレーション・
サービス

 通信業における電力小売自由化案件および官公庁向け開発案件の受注拡大により、売上高は9,106百万円(前期比0.5%増)となりました。

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システムアウトソーシング・
サービス

 流通業におけるコンビニエンスストア向け案件の受注拡大により、売上高は2,086百万円(同4.8%増)となりました。

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プロフェッショナル・サービス

 官公庁向け開発案件の受注拡大により、売上高は1,705百万円(同8.3%増)となりました。

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 所在地別のセグメントの業績については、CUBE SYSTEM VIETNAM CO.,LTD.、上海求歩申亜信息系統有限公司を連結の範囲に含めておりますが、当連結会計年度において本邦の売上高が、全セグメントの売上高の合計に占める割合の90%超であるため、所在地別セグメント情報の記載を省略しております。

対処すべき課題

 中長期経営ビジョン≪VISION 2020≫を踏まえ、当社グループは、お客様にご満足いただけるソリューション・サービスを提供し続けるために、以下の課題に取り組み、企業体質および競争力の強化を図り、収益の向上を目指してまいります。

1. 受注拡大への取り組み

 継続的かつ安定的な事業成長を遂げていくためには、既存のシステムソリューション・サービス事業の拡大に加え、海外での事業展開、新規事業を創出していくことが重要であります。当社グループは、既存ビジネスで培ってきた「強み」を活用した事業領域の拡大に努めるとともに、積極的な技術投資を実行し、新たな事業を創出していくことで、受注拡大を図ってまいります。

(1)コアビジネスの拡大

 主要顧客に対してアカウントマネージャを任命し、関係性や信頼性の強化に努め、当社担当範囲の拡大に向けた提案活動の強化や新領域での受注拡大に注力いたします。また、当社の技術と業務での強みを活かした提案活動を実施していくことで、新たな大規模案件の獲得、新規顧客の開拓を進め、グループ全体の総合力をもって取引の拡大に注力いたします。

(2)海外事業の拡大

 顧客の海外展開時におけるシステムソリューション・サービスの更なる拡充に加え、海外子会社による現地ビジネスの拡大を更に進め、アジアを軸としたグローバルマーケット事業展開に注力してまいります。

(3)新規事業の創出

 IoT、AI、ビッグデータといったデジタル化が本格化する技術領域に対し、積極的な技術投資や研究開発を実行するとともに、当社独自の新規事業に係るスタートアップ支援推進プログラムを全社的に強化・推進していくことで提供するサービスメニューを創出し、事業の本格展開と強化を進めてまいります。

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2. 収益性向上への取り組み

 当社の属する業界においては、予期せぬ不採算案件の発生に加え、サービスの品質および価格の両面に対する顧客からの強い要請や同業他社との価格競争の激化による収益性の低下が懸念されます。そうした中、技術者の育成と環境の整備はもとより品質向上、生産性の向上に対し、全社横断的な取り組みや提供するサービスに即した取り組みを実施していくことが重要であります。当社グループは、既存のビジネスモデル改革を進めるとともに全社横断組織による品質向上に係る取り組みの強化・推進に加え、人的リソース、培ってきた業務ノウハウの選択と集中による生産性の向上に注力してまいります。

(1)生産性向上

 新開発プロセスや作業手順等の標準化はもとより、開発のフレームワークの改善、開発支援ツール、プロジェクト管理ツール等の整備を進めるとともに、エンハンスサービスにおける業務改善や標準化活動等での取組内容の全社共有を図ってまいります。

(2)品質向上

 品質・生産性を確保するために各本部におけるプロジェクトのチェック・課題改善・振り返りと、全社横断でのチェック機能の強化に加え、専任組織によるプロジェクト状況の定期的なモニタリングを徹底しております。高難度プロジェクトの与信、見積精度、工程完了基準といったプロジェクトリスクの見える化を実行することで、リスクの早期発見、不採算案件の撲滅および継続的な品質の更なる向上に努めてまいります。

(3)ビジネスモデル改革

 当社グループの得意分野であるエンハンスサービスにおいてサービス提供型にビジネスモデル改革を進め、収益力の改善を進めてまいります。加えて、社内の開発環境や国内外の子会社を活用したオフサイト・ニアショア・オフショアモデルを活用し、収益性を高めてまいります。

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3. 人的資本の充実への取り組み

 当社グループの属する業界においては、複雑・高度化する技術への対応、人材リソースの不足、同業他社・アジアIT企業との競争激化等の難題を抱えており、当社グループにおきましても人材採用、育成ならびに働き方改革は重要な経営課題と認識しております。当社は、優秀な人材を確保していくための採用力の強化(新卒および中途採用)に注力するとともに高付加価値なサービスを提供し続けるためのより実践的な育成、更には社員一人ひとりの業務に対する改善マインドを醸成し、ワークスタイルの変革や生産性向上を目的とした働き方の改革に注力してまいります。

(1)人材の採用

 当社グループのビジョンに向かい、社員と会社がともに成長し、喜びや豊かさを分かち合える優秀な人材を確保することを前提とし、新卒採用については、プロセスの抜本的なイノベーションを継続的に進め採用数の拡大とレベルアップを進めてまいります。中途採用については、市場ニーズに合致した質の高い人材確保のため、グローバル展開を推し進める人材、高度な技術力を備えたITスペシャリスト、上流工程を担えるシステムエンジニア、大規模SIビジネスを担えるプロジェクトマネージャの積極的な採用を実施してまいります。

(2)人材の育成

 専門技術研修の更なる拡充や技術投資を積極的に行ってまいります。更に、社員が果敢にチャレンジできる機会を与えていくと同時に、フォロー・サポートのサイクルを継続的に実施していくことで、成長を実感できる「環境」と「仕組み」を構築してまいります。また、多様な働き方を推進すべく女性社員の活躍推進やグローバルで活躍できる人材の育成に努めてまいります。

(3)働き方改革

 取締役会直下の統合リスク会議の配下に「働き方改革推進委員会」を新設し、長時間労働の是正に留まらず、ワーク・ライフ・バランスと生産性の向上による持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。

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 これらの3つの課題に対する取り組みを実施し、信頼されるキューブシステムグループとなるべく≪VISION 2020≫の実現に向けて、進めてまいります。

連結計算書類

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