第7号議案 取締役及び執行役員に対する株式報酬制度改定の件
1.提案の理由及び当該報酬等を相当とする理由
当社は、2018年6月26日開催の第12回定時株主総会において、当社の取締役(社外取締役及び国内非居住者を除く。以下本議案において同じ。)及び執行役員(国内非居住者を除く。)(以下併せて「取締役等」という。)を対象に、役位等に応じて当社株式の交付を行う株式報酬制度(以下「本制度」という。)について、株主の皆様のご承認をいただき、今日に至っております。
近年の気候変動問題や脱炭素社会への移行等、当社を取り巻く経営環境が大きく変化する中で、当社の事業活動が一層環境や社会の要請に対応した持続可能なものとなるよう、当社は、2021年1月に「今後の事業展開~2050ネットゼロカーボン社会に向けて~」を策定・公表し、当社が長期的に目指すビジョンを掲げるとともに、2022年2月には、このビジョンを実現していくための中長期的な取組みとして、新たな中期経営計画「INPEX Vision @2022」を策定しております。
これらの実現に向けて、中長期インセンティブとしての株式報酬の割合を高め、かつ業績連動性のある内容に本制度の内容を一部改定のうえ継続いたしたく、本議案を本株主総会にお諮りするものであります。
本制度の維持及び一部改定は、当社の中長期的な経営戦略と取締役等の報酬制度との連動性を明確にし、取締役等の企業価値増大への貢献意識及び株主価値の最大化への貢献意欲を一層高めるとともに、持続可能な社会の実現に向けた取組みを推進することを目的としていることから、本議案は相当であると考えております。
また、当社は、本議案をご承認いただくことを条件に、取締役等の個人別の報酬等の内容に係る決定方針について、本総会後に開催される取締役会において、当社の報酬ポリシー(招集通知24頁から26頁)の内容に基づき改定することを予定しております。本議案は、当該ポリシーに沿った内容であることからも、本議案の内容は相当であると考えております。なお、本制度の改定については、報酬決定プロセスにおける透明性・客観性を担保するため、委員の過半数を独立社外取締役で構成する指名・報酬諮問委員会における審議を経ております。
本議案は、第5号議案「取締役報酬額改定の件」においてご承認をお願いしております報酬限度額とは別枠として、取締役等に対して株式報酬を支給するものであります。
本制度の対象となる取締役の員数は、第3号議案「取締役12名選任の件」が原案どおり承認可決されますと7名となります。また、上記のとおり、本制度は執行役員も対象としており(本株主総会の終結の時点において本制度の対象となる取締役を兼務しない執行役員は20名の予定)、本制度に基づく報酬には、執行役員に対する報酬も含まれますが、本議案では、それらの執行役員が対象期間中に新たに取締役に就任する可能性があることを踏まえ、本制度に基づく報酬の全体につき、取締役等に対する報酬等として、その額及び内容を提案するものであります。
2.改定後の本制度における報酬等の額及び内容等
(1)本制度の概要
本制度は、取締役等に対する株式報酬制度であり、当社が拠出する取締役等の報酬額を原資として当社株式が信託を通じて取得され、当該信託を通じて、役位及び業績等に応じて、当社株式及び当社株式の換価処分金相当額の金銭(以下「当社株式等」という。)について役員報酬として交付及び給付(以下「交付等」という。)を行う制度です(改定後の本制度の詳細は下記(2)以降のとおり)。
(2) 当社が拠出する金員の上限等
改定後の本制度は、当社が掲げる中期経営計画に対応する事業年度(以下「対象期間」という。)を対象とし、本制度改定後の当初の対象期間は、2022年12月末日で終了する事業年度から2024年12月末日で終了する事業年度までの3事業年度(以下「改定後当初対象期間」という。)とします。なお、改定前の本制度に基づき2018年度から開始している対象期間(以下「改定前対象期間」という。)については、2021年12月末日で終了する事業年度までとします。
当社は、本制度の改定により、対象期間毎に取締役等の報酬として拠出される信託金の金額の上限を、434百万円に当該対象期間の年数を乗じた金額(改定後当初対象期間である3事業年度に対しては13億円)に変更したうえで、かかる信託金を取締役等の報酬として拠出し、受益者要件を充足する取締役等を受益者とする信託期間3年間の信託(以下「本信託」という。)を設定(下記の信託期間の延長を含む。以下同じ。)します。改定後当初対象期間にかかる本信託については、2022年12月末日で終了する事業年度から2024年12月末日で終了する事業年度までの3事業年度を対象として、改定前の本制度に基づき現在設定している信託(以下「既存信託」という。)の変更及び合計13億円を上限とする金員の追加信託を行うことにより設定します。本信託は、信託管理人の指図に従い、信託された金員を原資として、当社株式を株式市場から取得します。なお、既存信託については、改定前の本制度における信託金の上限の範囲で金員を拠出し当社株式を取得済みですが、改定前対象期間を5事業年度から4事業年度に短縮することから、既存信託内に残存する当社株式(2021年12月末日で終了する事業年度までのポイントとして取締役等に付与されたポイントに相当する当社株式で交付等が未了であるものを除く。)及び金銭(以下「改定前残存株式等」という。)は、改定後当初対象期間に活用するものとし、上記の追加信託により拠出される信託金と改定前残存株式等との合計額は13億円の範囲内とします。
また、本信託の信託期間の満了時において、新たな本信託の設定に代えて信託契約の変更及び追加信託を行うことにより、本信託を継続することがあります。その場合、その時点において当社が掲げる中期経営計画に対応する年数が新たな対象期間となり、当該新たな対象期間と同一の期間について本信託の信託期間を延長し、当社は本株主総会の承認決議を得た、本信託に拠出する信託金の合計上限額の範囲内で追加拠出を行い、引き続き延長された信託期間中、取締役等に対するポイントの付与を継続します。ただし、かかる追加拠出を行う場合において、延長する前の信託期間の末日に信託財産内に残存する当社株式(取締役等に付与されたポイントに相当する当社株式で交付等が未了であるものを除く。)及び金銭(以下「残存株式等」という。)があるときは、残存株式等の金額と追加拠出される信託金の合計額は、本株主総会で承認決議を得た、当該新たな対象期間において本信託に拠出する信託金の合計上限額の範囲内とします。
この信託期間の延長は、一度だけに限らず、その後も同様に信託期間を延長することがあります。
(3) 取締役等に対して交付等が行われる当社株式等の数の算定方法及び上限等
取締役等には、当社株式等の交付等の前提として、当社の中長期的な業績及び企業価値向上への取締役等の貢献意欲を高めることを目的とした「業績連動ポイント」と、取締役等の株式保有を通じた株主との利害共有の強化を目的とした「固定ポイント」を、信託期間中の毎年一定の時期に付与するものとします。
役位別基準ポイント(小数点以下の端数は切捨て)
=役位に応じた株式報酬基準額÷2022年4月(なお、本信託の延長が行われた場合には、当該延長日の属する事業年度が開始する月の前月)の東京証券取引所における当社株式の終値の平均値(小数点以下の端数は切捨て)
① 業績連動ポイント
役位毎に予め定められた基準ポイントに、対象期間中の各事業年度における目標達成度に基づく業績連動係数を乗じてポイントを算出します。
業績連動係数は、当社の中期経営計画に掲げる指標等で評価するものとし、改定後当初対象期間については、各事業年度における財務指標(当期利益、探鉱投資前営業キャッシュフロー、ROE、総還元性向)及び非財務指標(バレル当たり生産コスト、温室効果ガス排出原単位)等の目標達成度に応じて、0~200%の範囲で決定します。なお、2025年12月末日で終了する事業年度以降に開始する対象期間については、その時点の中期経営計画を基に別途取締役会において定めます。
② 固定ポイント
役位毎に予め定められた基準ポイントに基づき算出します。
1ポイントは当社株式1株とし、各取締役等の退任時(当該取締役等が死亡した場合は死亡時)に、業績連動ポイント及び固定ポイントの累積値(以下「累積ポイント数」という。)に相当する当社株式等の交付等が、取締役等に対して行われます。ただし、当社株式について信託期間中に株式分割・株式併合等が生じた場合には、当社株式の分割比率・併合比率等に応じて、1ポイントあたりの当社株式数を調整します。
本信託の信託期間中に取締役等に対して付与されるポイント数の上限は、806,000ポイントに対象期間の年数を乗じたポイント数とし、また、信託期間中に本信託が取締役等に交付等を行うために取得する当社株式の数の上限は、当該上限ポイント数に相当する株式数とします(以下「上限交付株式数」という。)。そのため、3事業年度を対象とする改定後当初対象期間に対応する上限交付株式数は、2,418,000株となります(現行制度:1事業年度あたり4万株)。なお、上限ポイント数及び上限交付株式数は、上記の当社が拠出する金員の上限を踏まえ、直近の株価等を参考に設定しています。なお、本制度の改定により、改定前対象期間については、5事業年度から4事業年度に短縮されることから、4事業年度で合計16万株(1事業年度あたり4万株)が上限となります。
また、本信託の継続が行われた場合、延長された信託期間に取締役等に対して付与されるポイント数の上限は、806,000ポイントに新たな対象期間の年数を乗じたポイント数とし、また、信託期間中に本信託が取締役等に交付等を行うために取得する当社株式の数の上限は、当該上限ポイント数に相当する株式数とします。
(4) 取締役等に対する当社株式等の交付等の方法及び時期
受益者要件を充足した取締役等は、当該取締役等の退任後に、上記(3)に基づき算出される累積ポイント数に相当する当社株式等の交付等を受けるものとします。このとき、当該取締役等は、累積ポイント数の70%に相当する数の当社株式(単元未満株式は切捨て)について交付を受け、残りの累積ポイント数に相当する数の当社株式については、本信託内で換価したうえで、その換価処分金相当額の金銭の給付を受けるものとします。
なお、信託期間中に受益者要件を充足する取締役等が死亡した場合、その時点で算定される累積ポイント数に応じた数の当社株式について、本信託内で換価したうえで、その換価処分金相当額の金銭の給付を当該取締役等の相続人が受けるものとします。また、信託期間中に受益者要件を充足する取締役等が海外赴任することとなった場合には、その時点で算定される累積ポイント数に応じた数の当社株式について、本信託内で換価したうえで、その換価処分金相当額の金銭の給付を当該取締役等が受けるものとします。
(5) クローバック制度等
本制度は、取締役等に重大な不正・違反等が発生した場合、当該取締役等に対し、本制度における当社株式等の交付等を受ける権利の喪失または没収(マルス)、交付した当社株式等相当の金銭の返還請求(クローバック)ができるものとします。
(6) 本信託内の当社株式に関する議決権
本信託内にある当社株式(取締役等に交付等が行われる前の当社株式)については、経営への中立性を確保するため、信託期間中、議決権は行使されないものとします。
(7) 本信託内の当社株式の配当の取り扱い
本信託内の当社株式にかかる配当は、本信託が受領し、本信託の信託報酬・信託費用に充当されます。信託報酬・信託費用に充てられた後、最終的に本信託が終了する段階で配当金の残余が生じた場合には、信託金から株式取得資金を控除した信託費用準備金の範囲内で当社に帰属し、信託費用準備金を超過する部分については、当社及び取締役等と利害関係のない団体への寄附を行う予定です。
(8) その他の本制度の内容
本制度に関するその他の内容については、本信託の設定、信託契約の変更及び本信託への追加拠出の都度、取締役会において定めます。
(参考)
本制度の詳細につきましては、2022年2月15日付適時開示「取締役及び執行役員に対する株式報酬制度の継続及び一部改定に関するお知らせ」をご参照ください。