第6号議案 株主提案 自己株式の取得の件
議題の要領:
会社法第156条第1項の規定に基づき、本定時株主総会終結の時から150日以内に、当社普通株式を株式総数700,000株、取得価額300百万円(ただし、会社法により許容される取得価格の総額(会社法第461条に定める「分配可能額」)が当該金額を下回るときは、会社法により許容される取得額の上限額)を限度として、金銭の交付をもって取得することとする。
提案の趣旨:
アメリカと比較して株価が上がらない国、日本。
その要因の一つは総還元性向における自社株買い比率の低さにあると考えています。
日本の企業は下記の通り、配当偏重の株主還元策を採用しています。
2019年 S&P500企業 配当41%:自社株買い59%
2019年度 東証一部企業 配当65%:自社株買い35% ※出典
(出典:菊地 正俊『No.1ストラテジストが教える米国株投資の儲け方と発想法』)
当社は株主還元として、前期は2度の増配を発表し、増配のみで配当性向27%としました。
時価総額の増加には、自社株買いの比率を高め、株主が長期に恩恵を享受するEPS(一株当たり利益)向上を図ることが必要です。
また、総還元性向のうち、配当と自社株買いの割合はPERやPEGレシオ(PER÷EPS成長率)、PBR等を考慮して判断すべきと考えています。当社の時価総額は低成長SIerとしての市場評価に留まっています。今後のストック比率の向上やエッジコンピューティングへの領域展開によるPER向上、2021年12月期計画の経常利益11億円から、2023年12月期の経常利益17億円へと飛躍する中期経営計画が適正に評価されていません。本提案は現状の低い市場評価を安価にEPSを向上させるチャンスと捉えた、投資としての攻めの自社株買いです。
また、本提案はプライム市場維持のためにも必要な施策です。
2021年11月に当社が発表した「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」では、流通株式時価総額は65.6億円とプライム基準100億円を満たしていません。
同計画書では理論株価の算定に当社過去3年平均PER30.4倍を採用していますが、類似・同業他社PER、現状の当社PER水準も考慮すると楽観的と考えます。従って、プライム市場への適合には同計画4つの取り組みに加えて、継続的な自社株買いによるEPS向上が必須です。
当社の財務状況は、2021年9月末時点で、現預金53億43百万円、受取手形及び売掛金18億86百万円の総額72億29百万円に対して支払手形・買掛金4億29百万円、短期・長期借入金17億99百万円の総額22億28百万円と良好な財務基盤です。また、直近のキャッシュフロー計算書や成長投資を考慮しても、3億円の自社株買いはキャピタルアロケーションとして十分可能です。
本来は6億円の自社株買いを実施すべきと考えていますが半分を本提案で、その後は事業や市場環境の状況を見極める取締役会に委ねます。
以上
<第6号議案に対する取締役会の意見>
当社取締役会としては、以下の理由により、「本議案に反対」します。
当社は、本株主提案にある自己株式の取得につきまして、配当政策とともに株主の皆様への利益還元の有力な手段であると認識するとともに、資本効率の向上に資するものであると考えております。また、株式市場に対しても一定のアナウンスメント効果が期待できると認識しております。
その一方、自己株式の取得は、流通株式数の減少を通じて、流通株式時価総額にマイナスに作用する場合もありうることから、流通時価総額の増大を目指す当社としては、経営状態や市場環境を十分踏まえつつ、適時適切にその実施時期、株数・金額を検討していくことが必要と考えております。
当社におきましては、当社定款の定めにより、取締役会決議によって機動的に自己株式の取得を実施することが可能でありますことから、当社取締役会としては、別途、提案株主の求める自己株式に関する株主総会決議を行う必要はないと判断いたしました。
よって、当社取締役会は、本議案に反対いたします。