第6号議案 監査等委員でない取締役1名選任の件
本株主提案に対する当社取締役会の意見
当社取締役会は、株主提案(第6号議案)に反対いたします。
本株主提案に対する反対の理由
当社は、株主提案からの要請を受け、2022年2月以降、取締役候補者である植頭隆道氏と複数回に亘り面談を行い、株主平等の原則の観点からインサイダー情報その他の重要情報の扱いについて留意しつつも、提案株主からの意見に耳を傾けてきました。
2022年8月には、同氏から取締役に就任したいとの意向表明がありましたが、当社として、大株主であるからという理由のみでは取締役に迎えることはできないことから、当社の取締役に就任したい理由、提案株主との提携などを含め、同氏が就任した場合に当社が享受できるメリットなど、当社経営陣が是非を判断するための情報提供を依頼しておりました。
しかしながら、同氏から具体的な説明は得られず、かえって、取締役就任によるメリットは就任したら説明すると述べるなど、当社として是非を判断するための重要な前提を欠いておりました。
当社として、具体的な提案があれば引き続き真摯に検討を行い、株主からの提案、株主との対話を閉ざすつもりはない旨を伝えていましたが、現在に至るまで、具体性のある提案・説明は得られておらず、逆に、賛同が得られないのであれば株主としての権利を行使することになると警告ともとれる連絡を受けておりました。
今回の株主提案において、植頭隆道氏を候補者とする提案理由は、主としてガバナンス又はコンプライアンスという観点にあるとのことですが、開示された経歴等から、これらの観点を充実させるために適切な人材とは判断できません。また、従前における同氏からの説明においても、興味を有するのは投資事業であって、他の建設コンサルタント事業、ファッションブランド事業は専門外であるとの発言もあり、これらの点を加味しても、当社が求める人材とは合致せず、取締役候補者として適切ではないと判断していることから、当社取締役会は本議案に反対します。
他方、当社が提案する取締役候補者4名(監査等委員である取締役を除きます。)は、現経営陣が株主の皆様にとって望ましいと考える適性及び資質を有する者をバランス良く配置しており、また、これらの実行性と透明性に優れていると考えております。
今後、企業が中長期的に安定成長し自社の価値を上げていく上で、ESGは非常に重要な概念となってきますが、これらのうち、特にコーポレートガバナンスの観点において、外部から招聘した新任取締役候補の東郷薫氏は、公認内部監査人(CIA)及び公認不正検査士(CFE)の資格を取得しており、また、前職では長年にわたって内部監査部門や経営企業部門の管理職に従事してきた人物であって、まさに株主提案が強調する内部統制(コーポレートガバナンス)のスペシャリストといえます。
今回、かかる人物が経営陣に加わることにより、従来以上に全てのステークホルダーに対して透明性のある強固な体制を築いてまいります。
ア 議案の要領
当社におけるコーポレートガバナンス体制を正常化させることを目的とし、取締役1名(候補者:植頭隆道)を選任する。
取締役の候補者は、次のとおりであります。
-
植頭隆道
生年月日 1979年6月23日生 所有する当社株式の数 0株 略歴(重要な兼職の状況) - 2002年4月
- KOBE証券株式会社(現インヴァスト証券株式会社
- 2009年8月
- リードオフマネジメント株式会社 代表取締役
- 2010年3月
- UGSアセットマネジメント株式会社 代表取締役(現任)
- 2011年3月
- ヘッジファンド証券株式会社 代表取締役(現任)
- (重要な兼職の状況)
- UGSアセットマネジメント株式会社 代表取締役
- ヘッジファンド証券株式会社 代表取締役
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イ 提案の理由
当社の前代表取締役の故池田均氏は、2021年9月27日に逝去し、それに伴い2021年10月1日付けで池田有希子氏が当社の代表取締役に就任しましたが、この時点での公開情報においては、代表取締役の氏名は「池田有希子」ではなく「佐藤有希子」となっていました。そして、2021年12月15日付け当社リリース「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」において、代表取締役の氏名は「池田有希子」に変更になり、同月27日付け当社リリース「主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」では、池田有希子氏が故池田均氏より当社株式及び当社新株予約権を相続し、当該新株予約権を行使したことが開示されました。なお、当社の履歴事項全部証明書によれば、故池田均氏の逝去の約3カ月前である2021年6月23日に取締役の氏名が「佐藤有希子」から「池田有希子」へ変更されたこと、及びこれが登記されたのは2021年10月27日であることが確認できます。
この点、請求者は、当社の経営陣との面談において、池田有希子氏は故池田均氏の配偶者であるとの事実の開示を受けましたが、当社は、この事実について一切開示を行っていません。2021年6月23日の時点で当社の代表取締役社長(故池田均氏)と代表取締役副社長(池田有希子氏)が婚姻関係にあったとすれば、そのことは投資家にとって重要な事実であると考えられますが、当社は、この事実について開示を行わないまま、前代表取締役の配偶者を新しい代表取締役に選任したことになります。これは、当社のガバナンス上、重要な問題であると考えられます。提案者は、当社の監査等委員である取締役に対して上記の情報が非開示である理由を質問しましたが、「プライベートなこと」という回答しか得られませんでした。しかし、金融商品取引法が定める大量保有報告制度においても、夫婦の関係がある場合にはみなし共同保有者とされていることを踏まえれば、上場会社の代表取締役であり、かつ株主でもある者が夫婦の関係にあることが、単なるプライベートな事柄ではなく、投資家の投資判断に著しい影響を及ぼす事項であることは明らかです。
また、池田有希子氏(相続前の推定される株券等保有割合5.53%)と故池田均氏(逝去時の推定される株券等保有割合7.78%)は、それぞれ単独での株券等保有割合が5%を超えた時点でも大量保有報告書を提出していないと思われますが、その後、夫婦の関係に至り、みなし共同保有者となった後にもなお、大量保有報告書を提出しませんでした。池田有希子氏が大量保有報告書を提出したのは、故池田均氏が逝去した後の2021年12月28日です。故池田均氏と夫婦の関係になった日から5営業日以内に大量保有報告書を提出しなかった池田有希子氏の行為は、明らかな法令違反であり、そのような者を代表取締役に選任した取締役会の認識には大きな問題があると考えられます。
更に言えば、池田有希子氏は当社株式の取得資金の一部(1000万円)を当社からの借入金でまかなっているとのことであり、上記の情報開示の不備及び法令違反行為をも総合考慮すれば、当社をまるでプライベートカンパニーのように扱っていると疑わざるを得ません。
以上のとおり、現経営陣には、投資家にとっての重要事実を忠実に開示する姿勢は全く見られず、監査等委員会が正常にチェック機能を発揮しているとも言えません。またそのような姿勢で経営に望んでいるため、「取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬の限度額の減額の件」の提案理由で指摘するような、株主資本の毀損、業績の低迷、高額な役員報酬が、もはや当社経営陣の常識となっています。
請求人は、そのような当社のコーポレートガバナンス体制を正常化させ、当社を価値ある企業と再生させるために、取締役1名の選任を提案する次第です。
今回、取締役として選任をお願いする植頭隆道氏は、UGSアセットマネジメント株式会社の代表取締役として、2009年から投資事業組合の運営管理を行っており、同社では現在合計11のファンドの資産運用を行っています。また、植頭隆道氏は、2013年にヘッジファンド証券株式会社の代表取締役に就任し、前年まで赤字であった同社を黒字の経営へ立て直した実績もあります。よって、その運用実績及び経験は、当社の投資事業の再構築と業績回復に寄与することが期待でき、また、株主からの視点で当社のコーポレートガバナンスの正常化を図ることが期待できます。