事業報告(2017年4月1日から2018年3月31日まで)
〔当社(日本電信電話株式会社)を含む企業集団(NTTグループ)の状況を記載しています。〕
(ご参考)中期経営戦略に基づく価値創造イメージ
企業集団の現況に関する事項
事業報告の記載内容について
- ●本事業報告において、「NTT東日本」は東日本電信電話株式会社、「NTT西日本」は西日本電信電話株式会社、「NTTコミュニケーションズ」はエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、「NTTドコモ」は株式会社NTTドコモを示しています。
- ●本事業報告中の記載数字は、金額については、国内会計基準に準拠するものは表示単位未満の端数を切り捨てて表示しており、米国会計基準に準拠するものは表示単位未満の端数を四捨五入して表示しています。
- ●文中において が付されている用語に関しては、「用語解説」にて解説を掲載しています。
- ●本事業報告に含まれる予想数値および将来の見通しに関する記述・言明は、現在当社の経営陣が入手している情報に基づいて行った判断・評価・事実認識・方針の策定等に基づいてなされもしくは算定されています。また、過去に確定し正確に認識された事実以外に、将来の予想およびその記述を行うために不可欠となる一定の前提(仮定)を用いてなされもしくは算定したものです。将来の予測および将来の見通しに関する記述・言明に本質的に内在する不確定性・不確実性および今後の事業運営や内外の経済、証券市場その他の状況変化等による変動可能性に照らし、現実の業績の数値、結果、パフォーマンスおよび成果は、本事業報告に含まれる予想数値および将来の見通しに関する記述・言明と異なる可能性があります。
企業集団の事業の経過およびその成果
事業環境
当事業年度における情報通信市場では、固定/移動ブロードバンドを活用した様々な機器の普及・浸透に加え、クラウドサービスやIoT、ビッグデータ、AIなどの技術の進歩による新たなサービスの登場が進んでいます。これらを通じて、様々なデータが蓄積され、その利用環境の整備を図ることにより、データの分析・活用が広がり、人々の生活における利便性や各産業における生産性の向上など、幅広い変化が起きています。一方で、高度化・複雑化するサイバー攻撃に対するセキュリティ強化、災害対策への取り組み強化や安心・安全な社会システムの運営など、情報通信の役割はより重要となってきています。こうした動きは世界的な広がりを見せています。
事業の状況
このような事業環境のなか、NTTグループは、2015年5月に策定・公表した中期経営戦略「新たなステージをめざして 2.0」に基づき、「バリューパートナー」としての自己変革を加速し、グループ全体を利益成長軌道へ乗せていくための取り組みを推進しました。
グローバルビジネスの拡大・利益創出に向けた取り組みの状況
グローバル・クラウドサービスを事業の基軸として拡大するとともに、利益創出スピードを加速する取り組みを強化しました。
- グローバル・クラウドサービスの事業基盤を拡充するため、北米、欧州、アジアの各地域でM&Aを推進しました。
- 昨年譲受を完了した旧Dell Services部門の統合を進めるとともに、グローバルネットワーク、クラウドマイグレーション、ITアウトソーシング案件を中心に、グループ会社間の連携によるクロスセルを推進し、欧州のエネルギー業界のお客様をはじめ、世界各地で多くの受注を獲得しました。
- 長距離・国際通信事業セグメントの主要子会社であるNTTコミュニケーションズとDimension Dataとの間でクラウドサービス事業の集約を行うなど、グローバル・クラウド事業におけるサービスやオペレーションの強化・効率化を図るとともに、グループ横断でのサービス提供の連携強化などにより、コスト削減・利益改善に取り組みました。
国内ネットワーク事業の効率化・収益力強化に向けた取り組みの状況
国内ネットワーク事業における、付加価値の高いサービスの創出や、設備投資の効率化およびコスト削減による利益成長に向けた取り組みを強化しました。
- 様々な事業者とのコラボレーションを推進する「光コラボレーションモデル」や「+d」の取り組みを通じて、付加価値の高いサービスの創出に努めました。
- ネットワークのシンプル化・スリム化を実施することにより、後年度の費用負担の軽減を推進しました。また、既存設備の有効利用や調達コストの削減など、設備投資の効率化を実施しました。
- 業務のシステム化による生産性向上、開発コストの効率化等を実施し、継続的なコスト削減に取り組みました。
B2B2Xビジネスの拡大に向けた取り組みの状況
「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会※」をゴールドパートナーとして通信サービスの分野で支えるとともに、官民が連携して推進しているSociety 5.0の実現に向けた取り組みをNTTの総合力を活かす大きなチャンスと捉え、B2B2Xモデルへの転換をさらに加速し、他分野の事業者や自治体とともに次世代に受け継がれるサービスの創出をめざした取り組みを強化しました。
- スポーツビジネス分野においては、Jリーグとの協業をさらに深化させ、「トップパートナー契約」および「オフィシャルテクノロジーパートナー契約」を締結しました。
Jリーグ・クラブチームのファン・サポーターの観戦機会の拡大、スタジアムの稼働率の向上を図るため、NTTグループのICTサービスやSNSなどと連動させたファン参加型の観戦体験やアウェイ試合をホームスタジアムでライブ観戦する大画面パブリックビューイングなどを推進しました。
また、新たなファン層の開拓に向け、NTTグループが持つAR・VRをはじめとする最新技術を活用した新たなエンターテイメント体験の展開とJリーグ保有の過去映像の利活用推進、デジタルコンテンツとドコモショップとの連携を図るとともに、Jリーグ・クラブチームのデジタル顧客基盤の強化に取り組みました。 - 松竹株式会社との間で、歌舞伎と最新のICT技術のコラボレーションによる、全く新たな歌舞伎鑑賞をめざした共同実験を推進するなど、伝統芸能などのエンターテイメント分野でのコラボレーションを推進しました。
- ファナック株式会社の製造業向けプラットフォームについて協業を進めた結果、同社において、2017年10月より国内向けサービスの運用開始に至ったほか、センサー情報や画像解析による生育管理などの農業や畜産業のスマート化に取り組むなど、様々な産業分野とのコラボレーションも推進しました。
- 札幌市、北海道大学、地場企業などと産官学連携により「札幌市ICT活用プラットフォーム検討会」を設立して以降、観光・交通・雪対策などの幅広い分野で、官民のデータを収集・かけあわせることにより新たな価値を創出し、住民・来訪者の利便性向上、地域が抱える様々な課題解決や地域活性化に向けたスマートシティへの取り組みを推進しました。札幌市の中心市街地では初の公道における自動走行実験を実施したほか、札幌市および地場企業で構築・データ集積した情報をオープンデータサイト「札幌市ICT活用プラットフォーム DATA–SMART CITY SAPPORO」として公開するなど、札幌市民や地場企業によるデータ利活用の本格化に取り組みました。
- NTT、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会ゴールドパートナー(通信サービス)です。
(ご参考)B2B2Xモデルへの取り組みの狙い
基盤的研究開発の状況
中期経営戦略「新たなステージをめざして 2.0」に基づき様々な研究開発に取り組みました。NTTグループのAI技術の総称として立ち上げた「corevo®(コレボ)」ブランドに基づき、様々な業界の皆様とのコラボレーションを推進しました。また、開発成果の事業化にあたっては、総合プロデュース制による、市場動向を踏まえたビジネスプランの策定や実用化開発を行いました。
B2B2Xビジネスの拡大に向けた取り組み
- 車両制御、クラウド・コンピューティングによる運転支援など、コネクティッドカーの実現に向け必要となる様々なサービスを支える基盤づくりを推進するため、トヨタ自動車株式会社、インテルコーポレーションなどとともに、自動車ビッグデータ向けネットワーク基盤とコンピューティング基盤のためのコンソーシアムを創設しました。
- 人の行動を先回りしてサポートすることができるロボット技術の開発をめざし、身振り手振りも交えて人との高度な対話を実現するAI技術「corevo®」を利用した生活支援ロボットを活用したロボット連携サービスに関する共同研究をトヨタ自動車株式会社と開始しました。
- 運航状態、機器状態などの詳細な船舶データをモニタリングし、船と陸上で情報共有するための船舶IoTの次世代プラットフォームの確立に向け、日本郵船株式会社などとともに行った共同実験を成功させました。
- 水田見回り作業の省力化や水環境設備等の省人化など、農業・水環境分野の省力化実現に向けた実証実験を株式会社クボタと実施しました。
- リハビリテーション分野において、「hitoe®」を活用して患者の心拍・活動情報を24時間モニタリングし、定量的効果測定/見える化による介入適切化・早期回復を図る実証実験を学校法人藤田学園藤田保健衛生大学、東レ株式会社とともに推進しました。
(ご参考)リハビリテーション分野におけるhitoe®の活用イメージ
ネットワーク事業の効率化・収益力強化に向けた研究開発
- 通信事業者のネットワークのコスト削減、サービスの高度化に向けて、ホワイトボックススイッチをはじめとする汎用的な装置の導入を進めるため、NTT発のオープンソースを活用した共同実験を台湾の中華電信股份有限公司などと推進しました。
- スタジアムなど人が密集し、スマートフォンやタブレット、ノートPCなどの無線LAN端末が超過密となる環境において、通信速度を向上させる新たな無線LAN技術を開発し、スタジアムにおいて従来と比較して2倍以上の通信速度を達成する伝送実験に成功しました。
- 5Gモバイルシステムの基地局が増加する5G普及期を見据え、基地局に必要な光ファイバ数の削減に貢献できる光アクセスネットワーク技術を開発し、モバイルシステムと連携した光アクセスシステムの実証実験に成功しました。
深い感動・新しい体験を提供する研究開発
- あたかもその場にいるような超高臨場感を配信する技術「Kirari!®」や様々な映像技術、5Gを用いた伝送技術等を活用した「新体感音楽ライブイベント」を実施し、世界3都市の別々のパフォーマンスを、距離を越えて映像・音声をタイムラグなしに同期し一つのライブ映像に融合した、全く新しい空間を超えたエンターテイメント体験の提供等を図りました。
- 松竹株式会社と進める共同実験の一環として、「Kirari!®」を用いて、異なる場所で演じる歌舞伎俳優の舞踊をリアルタイムに伝送し、リアルとバーチャルが融合した世界初の歌舞伎を実現しました。
- スマートフォン等のカメラを看板や物体にかざすだけで母国語で有益な情報を得ることができる「かざして案内®」など各種技術の有用性を見極め、空港内外での有益なツールとしてサービス化をめざすため、羽田空港において、実際にご利用いただく情報ユニバーサルデザインの公開実証実験を実施しました。
最先端研究の推進
- 光を使って高速計算を行う「量子ニューラルネットワーク」について、通常のコンピューターでは解くことが困難な問題を高速に解く体験ができるクラウド上のシステムを公開しました。
- 低環境負荷な材料のみで構成され、土壌や生物へ悪影響を与えず土壌に還る電池「ツチニカエルでんち®」を作製し、電池として動作することを確認しました。
- 優れたアスリートの脳はどのように精神状態を調節し、身体運動を制御して最高のパフォーマンスを発揮するのか、その脳の情報処理を解明し「脳を鍛えて勝つ」ことをめざす「スポーツ脳科学プロジェクト」において、日本ソフトボール協会と共同実験を開始しました。
(ご参考)ツチニカエルでんち®が植物に与える影響
持続的な企業価値向上に向けた取り組みの状況
NTTグループは、当グループにおいて生じうる社会・環境に関する課題に適切に対処することで中長期的な事業リスクの最小化に努めるとともに、事業活動を通じて社会・環境に関する課題の解決に貢献することにより、持続的な企業価値の向上に向けた取り組みを推進しています。国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」などを踏まえた「NTTグループCSR憲章」を基本指針として、様々な活動に取り組みました。
サイバーセキュリティへの取り組みの状況
最先端の研究開発の推進と成果の展開を進めるとともに、業界横断で世界中の技術・政策両面の有識者と連携し、効果的かつ実践的なソリューションを検討するため、IT・通信業界の国際的企業とともに、セキュアなデジタル経済に向けた国際評議会(CSDE:Council to Secure the Digital Economy)の創設に参画しました。また、セキュリティサービスをグローバルで一元的な組織でお客様に提供するために設立したNTTセキュリティ株式会社を通じて、NTTグループの先進的で高度なセキュリティ技術の提供をNTTグループ各社で連携して進めました。さらに、国全体で課題となっている情報セキュリティ技術者の育成について、NTTグループ内における人材育成を引き続き推進しました。
多様な人材の活躍に向けた取り組みの状況
ダイバーシティ・マネジメントを重要な経営戦略と位置づけ、多様な人材が活躍できるように取り組んでいます。例えばLGBT等 性的マイノリティに関しては、企業の取り組みを評価する「PRIDE指標」において2年連続で最高レベル『ゴールド』を受賞した当社をはじめとし、NTTグループの合計16社が受賞しました。また、配偶者およびその家族に関わる制度全般について、同性パートナーへの一層の制度拡充に向けた取り組みを推進しました。「働き方改革」については、「NTTグループ働き方改革宣言」を掲げ、ビジネスパートナーとともに業務プロセス全体の改善を図りながら、在宅勤務を含むテレワーク等を活用した柔軟な働き方を進めるとともに、管理者が率先垂範し、積極的な休暇取得につながる休み方改革にも取り組みました。また、企業主導型保育所の開設を進めるなど、全ての社員が働きやすい環境づくりを進めました。
環境への取り組みの状況
「NTTグループ環境宣言」と「環境目標2030」に基づき、ICTサービスや最先端技術の提供などで、社会の環境負荷低減に加え、気候変動への適応、生態系の保全に貢献するための取り組みを推進しました。また、IoT・AI技術を活用し、データセンターにおける空調運転制御の効率化に向けた実証実験を開始するなど、環境負荷の少ないサービスの提供をめざした取り組みなどを推進しました。
上記のほか、ネットワークの高い安定性と信頼性の確保に向けてグループ横断で取り組みました。九州北部豪雨災害などにおいても、これまでの大規模災害での経験を活かし、迅速かつ効率的な復旧にあたるとともに、避難所への無料Wi-Fiスポットの臨時設置などによる被災者支援を行いました。
以上の取り組みの結果、当事業年度のNTTグループの営業収益は11兆7,996億円(前期比3.6%増)となりました。また、営業費用は10兆1,567億円(前期比3.1%増)となりました。この結果、営業利益は1兆6,428億円(前期比6.7%増)、また、税引前当期純利益は1兆7,556億円(前期比14.9%増)、当社に帰属する当期純利益は9,097億円(前期比13.7%増)となりました。
セグメント別の状況
-
地域通信事業
営業収益構成比
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地域通信事業
概況
地域通信事業では、光アクセスサービスなどを様々な事業者に卸提供する「光コラボレーションモデル」によるB2B2Xビジネスの展開などの取り組みを行いました。
主な取り組み内容
- 「光コラボレーションモデル」において、通信業界、エネルギー業界、不動産業界、警備業界、住宅業界などの事業者のほか、当事業年度は社会インフラ事業者やFinTech事業者など異業種の事業者との協業が引き続き広がり、卸サービスを提供している事業者数は当事業年度末時点で約700社となりました。社会インフラ事業を営む事業者においては、信号機につながるネットワークの光化を進めるためにコラボ光を採用いただくなど、新たな活用事例が生まれました。こうした取り組みにより、同モデルにおける光アクセスサービスの契約数は1,112万契約となりました。
- 業務のシステム化による生産性向上、開発コストの効率化等を実施し、コストの継続的な削減に取り組みました。また、ネットワークのシンプル化・スリム化や、既存設備の利用率の向上など、設備投資の効率化を推進しました。
- 企業や自治体が自らの情報サービスの有力なツールとして積極的に導入を進めているWi-Fiについて、増加する訪日外国人旅行者の利便性向上に向けて、様々な地域における面的拡大に引き続き取り組んだ結果、Wi-Fiのエリアオーナー数は744となりました。
(ご参考)主なサービスの提供状況
(ご参考)農業分野におけるIoTを活用したスマート農業の推進
-
長距離・国際通信事業
営業収益構成比
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長距離・国際通信事業
概況
長距離・国際通信事業では、ネットワーク、セキュリティなどを組み合わせたシームレスICTソリューションの提供力を強化したほか、クラウドサービスやITアウトソーシングといった成長分野でのサービス提供力の強化を図りました。
主な取り組み内容
- SAPやOracleなどの幅広いアプリケーションを効率的に保守・運用する体制を強化し、お客様のICT環境をトータルで保守・運用するマネージドサービスの提供能力を拡大することをめざし、米国ITマネージドサービス事業者であるSecure-24 Intermediate Holdings, Inc.の株式取得に関する契約を締結しました。
- 世界各地でのクラウドサービスやデータセンターの需要に対応するため、市場拡大の続く各国において、サービス提供体制の拡充を進めました。米国においては「テキサス ダラス 1(TX1)データセンター」、「バージニア アッシュバーン 3(VA3)データセンター」の提供を、ドイツにおいては「ドイツ ミュンヘン 2 データセンター」、「ドイツ ライン・ルール 1 データセンター」の提供をそれぞれ開始したほか、南アフリカでも新たにデータセンターサービスの提供を開始しました。
- クラウドサービスの競争力強化を図るため、Dimension DataからNTTコミュニケーションズへクラウドサービスの設備、開発・運用業務の移管を進めるなど、クラウドサービス事業の集約・強化に取り組みました。
(ご参考)主なサービスの提供状況
(ご参考)グローバル・クラウドサービス提供体制の強化に向けた取り組み
-
移動通信事業
営業収益構成比
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移動通信事業
概況
移動通信事業では、料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」や「ドコモ光」の販売を推進したほか、様々な事業者とのコラボレーションを推進し、新たな付加価値の提供を行うなど、スマートライフ領域の収益力強化を図りました。
主な取り組み内容
- お客様のライフステージに合わせながら、長期にわたりお得にお使いいただける「カケホーダイ&パケあえる」の販売を引き続き推進したほか、「シンプルプラン」や「docomo with」を提供するなど、お客様還元の強化に取り組みました。その結果、「カケホーダイ&パケあえる」の契約数は4,196万契約となりました。
- 地域通信事業の「光コラボレーションモデル」を活用し、光アクセスサービスとインターネット接続サービス、モバイルサービスを一括して提供する「ドコモ光パック」の販売を推進しました。その結果、「ドコモ光」の契約数は476万契約となりました。
- 株式会社小松製作所などと、建設生産プロセス全体をつなぐ新プラットフォーム「LANDLOG」の共同企画・運用に合意し、実証実験を開始したほか、人工知能を活用したタクシー乗車需要予測サービス「AIタクシー®」の提供開始や、「5Gトライアルサイト」の提供開始など、先進技術を活用した取り組みを実施するなど、様々な事業者とのコラボレーションを通じて新たな付加価値を協創する「+d」の取り組みを推進しました。
-
データ通信事業
営業収益構成比
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データ通信事業
概況
データ通信事業では、お客様のグローバル市場への進出の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でのビジネス拡大を図るとともに、市場の変化に対応したシステムインテグレーションなどの多様なITサービスの拡大と安定的な提供に取り組みました。
主な取り組み内容
- 2017年4月発足のNTT DATA Servicesのもと、昨年譲受を完了した旧Dell Services部門の統合の着実な実現および北米を中心とした事業の一体化に取り組みました。特にヘルスケア、公共、金融の各分野においてアウトソーシング等の豊富な実績や知見を活かした事業拡大を図るとともに、更なるローカルプレゼンス向上に向けて取り組みを推進しました。
- 先端技術のブロックチェーンを活用する取り組みを進め、事務局として貿易情報連携基盤の実現に向けたコンソーシアムを設立し、各業界を代表する14社とともに活動を推進しました。また、一般社団法人全国銀行協会の「ブロックチェーン連携プラットフォーム」のパートナーベンダーの1社に選定され、新サービス開発のための実証実験の推進に寄与しました。
- 近年高まる働き方改革の動きなどを受け急速に普及が進むデスクワークを自動化・効率化するRPAソリューションについて、NTTグループが開発した「WinActor」の販売を推進しました。英語版のほか、特に自動化ニーズの高い財務経理業務向けに機能強化するなどにより様々な業界のお客様への導入が進み、働き方改革を支援しました。
-
その他の事業
営業収益構成比
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その他の事業
概況
その他の事業では、主に不動産事業、金融事業、建築・電力事業、システム開発事業に係るサービスを提供しました。
不動産事業
- 主力となるオフィス・商業事業やマンションブランド「Wellith(ウエリス)」を主体とした住宅事業のほか、グローバル事業やホテル・リゾート事業を推進しました。また、保育所などを併設した新たな形のシェアオフィス事業「LIFORK(リフォーク)」を開始しました。
金融事業
- 多様化するニーズや経済環境およびグローバル化の進展などの変化に対応したリース・割賦やファイナンスなどの金融サービスを展開しました。また、通信サービス料金などの請求・回収、クレジットカードの決済サービスの提供を行いました。
建築・電力事業
- 「ICT・エネルギー・建築」の技術を最大限に融合・活用し、自然エネルギーの活用や限りあるエネルギーを効率的にムダなく使う街づくり、自然災害などのリスクに強い安心・安全な街づくりに取り組みました。
システム開発事業
- 最適で高品質なICTサービスを提供するため、ネットワークのオペレーションシステムやアプリケーションサービスの開発などに取り組んだほか、AIをはじめとした先端技術を活用したソリューション開発などに取り組みました。
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地域通信事業
概況
地域通信事業では、光アクセスサービスなどを様々な事業者に卸提供する「光コラボレーションモデル」によるB2B2Xビジネスの展開などの取り組みを行いました。
主な取り組み内容
- 「光コラボレーションモデル」において、通信業界、エネルギー業界、不動産業界、警備業界、住宅業界などの事業者のほか、当事業年度は社会インフラ事業者やFinTech事業者など異業種の事業者との協業が引き続き広がり、卸サービスを提供している事業者数は当事業年度末時点で約700社となりました。社会インフラ事業を営む事業者においては、信号機につながるネットワークの光化を進めるためにコラボ光を採用いただくなど、新たな活用事例が生まれました。こうした取り組みにより、同モデルにおける光アクセスサービスの契約数は1,112万契約となりました。
- 業務のシステム化による生産性向上、開発コストの効率化等を実施し、コストの継続的な削減に取り組みました。また、ネットワークのシンプル化・スリム化や、既存設備の利用率の向上など、設備投資の効率化を推進しました。
- 企業や自治体が自らの情報サービスの有力なツールとして積極的に導入を進めているWi-Fiについて、増加する訪日外国人旅行者の利便性向上に向けて、様々な地域における面的拡大に引き続き取り組んだ結果、Wi-Fiのエリアオーナー数は744となりました。
(ご参考)主なサービスの提供状況
(ご参考)農業分野におけるIoTを活用したスマート農業の推進
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長距離・国際通信事業
概況
長距離・国際通信事業では、ネットワーク、セキュリティなどを組み合わせたシームレスICTソリューションの提供力を強化したほか、クラウドサービスやITアウトソーシングといった成長分野でのサービス提供力の強化を図りました。
主な取り組み内容
- SAPやOracleなどの幅広いアプリケーションを効率的に保守・運用する体制を強化し、お客様のICT環境をトータルで保守・運用するマネージドサービスの提供能力を拡大することをめざし、米国ITマネージドサービス事業者であるSecure-24 Intermediate Holdings, Inc.の株式取得に関する契約を締結しました。
- 世界各地でのクラウドサービスやデータセンターの需要に対応するため、市場拡大の続く各国において、サービス提供体制の拡充を進めました。米国においては「テキサス ダラス 1(TX1)データセンター」、「バージニア アッシュバーン 3(VA3)データセンター」の提供を、ドイツにおいては「ドイツ ミュンヘン 2 データセンター」、「ドイツ ライン・ルール 1 データセンター」の提供をそれぞれ開始したほか、南アフリカでも新たにデータセンターサービスの提供を開始しました。
- クラウドサービスの競争力強化を図るため、Dimension DataからNTTコミュニケーションズへクラウドサービスの設備、開発・運用業務の移管を進めるなど、クラウドサービス事業の集約・強化に取り組みました。
(ご参考)主なサービスの提供状況
(ご参考)グローバル・クラウドサービス提供体制の強化に向けた取り組み
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移動通信事業
概況
移動通信事業では、料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」や「ドコモ光」の販売を推進したほか、様々な事業者とのコラボレーションを推進し、新たな付加価値の提供を行うなど、スマートライフ領域の収益力強化を図りました。
主な取り組み内容
- お客様のライフステージに合わせながら、長期にわたりお得にお使いいただける「カケホーダイ&パケあえる」の販売を引き続き推進したほか、「シンプルプラン」や「docomo with」を提供するなど、お客様還元の強化に取り組みました。その結果、「カケホーダイ&パケあえる」の契約数は4,196万契約となりました。
- 地域通信事業の「光コラボレーションモデル」を活用し、光アクセスサービスとインターネット接続サービス、モバイルサービスを一括して提供する「ドコモ光パック」の販売を推進しました。その結果、「ドコモ光」の契約数は476万契約となりました。
- 株式会社小松製作所などと、建設生産プロセス全体をつなぐ新プラットフォーム「LANDLOG」の共同企画・運用に合意し、実証実験を開始したほか、人工知能を活用したタクシー乗車需要予測サービス「AIタクシー®」の提供開始や、「5Gトライアルサイト」の提供開始など、先進技術を活用した取り組みを実施するなど、様々な事業者とのコラボレーションを通じて新たな付加価値を協創する「+d」の取り組みを推進しました。
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データ通信事業
概況
データ通信事業では、お客様のグローバル市場への進出の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でのビジネス拡大を図るとともに、市場の変化に対応したシステムインテグレーションなどの多様なITサービスの拡大と安定的な提供に取り組みました。
主な取り組み内容
- 2017年4月発足のNTT DATA Servicesのもと、昨年譲受を完了した旧Dell Services部門の統合の着実な実現および北米を中心とした事業の一体化に取り組みました。特にヘルスケア、公共、金融の各分野においてアウトソーシング等の豊富な実績や知見を活かした事業拡大を図るとともに、更なるローカルプレゼンス向上に向けて取り組みを推進しました。
- 先端技術のブロックチェーンを活用する取り組みを進め、事務局として貿易情報連携基盤の実現に向けたコンソーシアムを設立し、各業界を代表する14社とともに活動を推進しました。また、一般社団法人全国銀行協会の「ブロックチェーン連携プラットフォーム」のパートナーベンダーの1社に選定され、新サービス開発のための実証実験の推進に寄与しました。
- 近年高まる働き方改革の動きなどを受け急速に普及が進むデスクワークを自動化・効率化するRPAソリューションについて、NTTグループが開発した「WinActor」の販売を推進しました。英語版のほか、特に自動化ニーズの高い財務経理業務向けに機能強化するなどにより様々な業界のお客様への導入が進み、働き方改革を支援しました。
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その他の事業
概況
その他の事業では、主に不動産事業、金融事業、建築・電力事業、システム開発事業に係るサービスを提供しました。
不動産事業
- 主力となるオフィス・商業事業やマンションブランド「Wellith(ウエリス)」を主体とした住宅事業のほか、グローバル事業やホテル・リゾート事業を推進しました。また、保育所などを併設した新たな形のシェアオフィス事業「LIFORK(リフォーク)」を開始しました。
金融事業
- 多様化するニーズや経済環境およびグローバル化の進展などの変化に対応したリース・割賦やファイナンスなどの金融サービスを展開しました。また、通信サービス料金などの請求・回収、クレジットカードの決済サービスの提供を行いました。
建築・電力事業
- 「ICT・エネルギー・建築」の技術を最大限に融合・活用し、自然エネルギーの活用や限りあるエネルギーを効率的にムダなく使う街づくり、自然災害などのリスクに強い安心・安全な街づくりに取り組みました。
システム開発事業
- 最適で高品質なICTサービスを提供するため、ネットワークのオペレーションシステムやアプリケーションサービスの開発などに取り組んだほか、AIをはじめとした先端技術を活用したソリューション開発などに取り組みました。
企業集団が対処すべき課題
事業環境の見通し
情報通信市場では、クラウドサービスやIoT、ビッグデータ、AIの活用がさらに加速するなど、新たな技術の進展が見込まれています。また、新たなプレイヤーの参入により、従来の事業領域の垣根を越えた市場競争が熾烈になる一方で、新しい付加価値の創造に向けた事業者間による協創・連携も進展すると考えられます。こうした変化に伴い、情報通信に求められる役割はますます拡大するとともに、重要になると考えられます。
中期経営戦略に基づく事業展開
NTTグループは、中期経営戦略「新たなステージをめざして 2.0」に基づき、事業構造の変革に取り組んでいます。
2015年度から2017年度の中期財務目標については、目標年度である当事業年度において、最重要の目標であるEPS(1株当たり当期純利益)が456円となり、目標としていた400円以上を達成しました。その他の目標については、国内ネットワーク事業における設備投資について、2,000億円以上削減の目標に対し2,049億円を削減し、固定/移動アクセス系のコストについて、8,000億円以上削減の目標に対し8,560億円を削減し、それぞれ目標を達成しました。また、海外売上高/海外営業利益については、220億米ドル/15億米ドルの目標に対し、それぞれ195億米ドル/10億米ドルとなりました。目標達成に向けて引き続き取り組んでまいります。
これからも引き続き以下の取り組みの推進による利益成長に主眼を置きつつ、自己株式取得などによる資本効率の向上を図ることにより、EPSをさらに成長させるよう努めてまいります。
- 設備投資の効率化(国内ネットワーク事業)は、対2014年度比であり、NTTコミュニケーションズのデータセンターなどの設備投資を除いて算出しております。
- コスト削減(固定/移動アクセス系)は、対2014年度比であり、有形固定資産の減価償却方法を変更した影響を除いた財務目標としております。
- 海外営業利益は、買収に伴う無形固定資産の償却費など、一時的なコストを除いて算出しております。
グローバルビジネスの拡大・利益創出に向けた取り組み
海外事業における着実な成長を実現していくために、グローバルビジネス推進体制の更なる強化に加え、サービスやプロダクトの強化に取り組んでまいります。また、グローバルアカウントの拡大やアップセル・クロスセルの推進など、セールスおよびマーケティングを強化してまいります。さらに、徹底したコスト効率化や、グループガバナンスおよびリスクマネジメントの強化など、事業構造の改革にも引き続き取り組んでまいります。
国内ネットワーク事業の効率化・収益力強化に向けた取り組み
競争環境の厳しい国内の固定通信および移動通信市場において、設備投資の効率化やコスト削減による利益創出に向けた取り組みを引き続き実行してまいります。
具体的には、設備投資の効率化について、ネットワークのシンプル化・スリム化に加え、ソフトウェアコントロール技術などの研究開発成果を活用し、既存設備の利用効率の更なる向上を図るとともに、調達コストの低減に向けた調達物品の仕様統一や機種の絞り込みなどに取り組んでまいります。また、ITシステムについても、仮想化などの最新技術を活用して、共通基盤化による効率化を図ってまいります。
コスト削減についても、より一層の作業の標準化・システム化による業務改善など、引き続き取り組みを強化してまいります。コスト削減により商品やサービスの競争力を高め、ユーザーサービスの向上やお客様還元の強化につなげるとともに、B2B2Xモデルへの転換などを踏まえ、シンプルで生産性の高い業務運営の確立に向けても取り組んでまいります。
B2B2Xビジネスの拡大に向けた取り組み
「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」をゴールドパートナーとして通信サービスの分野で支えるとともに、官民が連携して推進しているSociety 5.0の実現に向けた取り組みをNTTの総合力を活かす大きなチャンスと捉え、全国規模の固定/移動のブロードバンドネットワークや情報システム分野における技術・ノウハウなどを有機的に活用してまいります。特に、他分野の事業者や自治体などサービス提供者とのコラボレーションを拡大して、サービス提供者のデジタルトランスフォーメーションをサポートすることを通じて、社会的課題の解決などに貢献し、新たな価値創造を加速してまいります。こうした取り組みにより、次世代に受け継がれるサービスを創出し、国内ビジネスの持続的な成長につなげてまいります。
基盤的研究開発の推進
中期経営戦略の達成に必要なクラウド、セキュリティ、IoT、AIなどの軸となる技術を開発し、利益創出スピードの加速に貢献していくほか、ネットワーク装置の機能を細かく分けることによる装置コストの削減やネットワークの構築・保守・運用の稼動削減などを実現する技術の開発に取り組んでまいります。あわせて、新たな価値の創出に向けた他企業とのコラボレーションを推進し、研究開発成果の着実な事業化と国内外への展開を積極的に進めてまいります。
持続的な企業価値向上に向けた取り組み
「NTTグループCSR憲章」を指針として、国内外の社会・環境課題の解決に貢献し、NTTグループ一体となって企業価値向上と社会の持続的発展に向けた取り組みを推進してまいります。
サイバーセキュリティへの取り組み
国際的なイベントや政府・企業などに対して高度化・複雑化するサイバー攻撃に引き続き対応するため、最新の研究開発成果の導入を推進するとともに、より高度なスキルを持つセキュリティ人材の育成に向けた取り組みなどを強化してまいります。
多様な人材の活躍に向けた取り組み
社員の多様な価値観や個性の尊重・活用に向けて、性別や年齢、人種、国籍、障がいの有無、性的指向、性自認などによらない多様な人材が活躍できる職場環境の整備に取り組むとともに、全ての社員がワーク・ライフ・マネジメントに対する理解を深められるよう取り組みを進め、「働き方改革」を推進してまいります。
環境への取り組み
「NTTグループ環境宣言」のもと、ICTサービスをはじめとする、グループ各社が提供するサービス・技術による環境負荷低減や気候変動に対する適応への貢献、ビジネスパートナーや地域社会など、ステークホルダーの皆様と協働した生態系の保全などの取り組みを推進するとともに、事業活動全体にわたるエネルギー効率化、資源循環にも引き続き取り組んでまいります。
上記のほか、ネットワークの高い安定性と信頼性の確保に向けて、日々のネットワーク運用のノウハウ蓄積や、外部機関との協力体制に基づく訓練の実施などを通じて、一層の安心・安全なサービス提供に努めてまいります。
コーポレート・ガバナンスの状況および会社役員に関する事項
コーポレート・ガバナンスの状況
基本方針
当社は、株主や投資家の皆様をはじめ、お客様やお取引先、従業員など様々なステークホルダー(利害関係者)の期待に応えつつ、企業価値の最大化を図るためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するよう東京証券取引所の定める「コーポレートガバナンス・コード」の各原則の趣旨を踏まえ、体制強化していくことが重要だと考えております。2015年5月に策定した「新たなステージをめざして 2.0」に基づき、「バリューパートナー」への自己変革を加速し、グループ全体を利益成長軌道へ乗せていくために、経営の健全性の確保、適正な意思決定と事業遂行の実現、アカウンタビリティ(説明責任)の明確化、コンプライアンスの徹底を基本方針として取り組んでおります。
(ご参考)コーポレート・ガバナンス体制
コーポレート・ガバナンス体制の概要
当社は、独立社外監査役を含めた監査役による監査体制が経営監視機能として有効であると判断し、監査役会設置会社形態を採用しております。
また、当社は、独立社外取締役を選任することにより、業務執行を適切に監督する機能を強化しております。
取締役会
取締役会は、独立社外取締役2名を含む取締役12名で構成され、原則として毎月1回、定例取締役会を開催するとともに、必要のある都度臨時取締役会を開催し、法令で定められた事項、および会社経営・グループ経営に関する重要事項を決定するとともに、取締役から定期的に職務執行状況の報告を受けることなどにより、各取締役の職務執行を監督しております。
業務執行の監督機能を強化するため、当社は独立社外取締役を2名選任しております。いずれの独立社外取締役についても、豊富な経験を有し、人格、見識ともに優れていることから、業務執行の監督機能強化への貢献および幅広い経営的視点からの助言を期待するものです。
監査役会
監査役会は、社内監査役2名と、独立社外監査役3名(各1名ずつ女性2名を含む)の合計5名で構成されております。なお、定期的な代表取締役との意見交換会や各取締役、グループ会社の代表取締役などとテーマに応じた議論を実施することで、取締役の職務の執行状況の実情を把握するとともに必要に応じて提言を行っております。
独立社外監査役を含む当社の監査役は、取締役会など重要な会議に出席するほか、取締役の職務の執行状況に関し、適宜監査を行っております。また、会計監査人と定期的に監査計画、監査結果の情報を交換するなど連携を密にし、監査体制の強化に努めております。さらに、内部統制室と監査計画の情報を交換するとともに、内部監査結果について聴取するなど連携を図っております。なお、当社の監査役会は、グループ会社の監査役と連携した監査を行っております。
人事・報酬委員会
取締役の人事・報酬の決定における客観性・透明性の向上を目的に、取締役会の事前審議機関として独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会を任意に設置し、ガバナンスの有効性を高めております。
社外役員の独立性
当社は、職務執行の監督機能を強化する観点、あるいは取締役の職務執行を適切に監査する観点から、一般株主と利益相反を生じるおそれのない人材を、社外取締役ないし社外監査役とする方針としております。さらに、東京証券取引所の定める独立性基準に加え、以下の要件を満たす社外取締役ないし社外監査役を、独立役員に指定しております。
独立性判断基準
直近の3事業年度において以下に該当する者ではないこと。
- (1)
- 当社の基準を超える取引先※1の業務執行者
- (2)
- 当社の基準を超える借入先※2の業務執行者
- (3)
- 当社および主要子会社※3から、直近の3事業年度のいずれかの事業年度において、役員報酬以外に年間1,000万円以上の金銭その他の財産上の利益を直接得ているコンサルタント、会計専門家、法律専門家等の専門的サービスを提供する個人
- (4)
- 当社の基準を超える寄付を受けた団体※4の業務執行者
なお、以上の(1)から(4)のいずれかに該当する場合であっても、当該人物が実質的に独立性を有すると判断した場合には、独立役員の指定時にその理由を説明、開示します。
- ※1
- 当社の基準を超える取引先とは、直近の3事業年度のいずれかの事業年度における当社および主要子会社※3の取引合計額が、当該事業年度における当社および主要子会社の年間営業収益合計額の2%以上の取引先をいう。
- ※2
- 当社の基準を超える借入先とは、直近の3事業年度のいずれかの事業年度における連結ベースでの借入額が、当該事業年度における当社の連結総資産の2%以上の借入先とする。
- ※3
- 主要子会社とは、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、株式会社NTTドコモをいう。
- ※4
- 当社の基準を超える寄付を受けた団体とは、直近の3事業年度のいずれかの事業年度における当社および主要子会社からの寄付の合計額が、年間1,000万円又は当該事業年度における当該組織の年間総収入の2%のいずれか大きい額を超える団体をいう。
取締役会の実効性評価
純粋持株会社である当社の取締役会は、グループ全体の中長期的な事業戦略に基づいたグループ各社の具体的な事業運営について、モニタリングする役割を担っています。
当社の取締役会は、社長・副社長・常勤取締役およびスタッフ組織の長で構成する「幹部会議」や、社長・副社長を委員長とし関係する取締役等が参加する各種の委員会の審議を経て、グループ経営に係る重要事項等を決定するとともに、各取締役の職務執行の状況をモニタリングしています。
取締役会においては、各取締役の所掌に基づき、現状のグループ経営等における課題とその解決に向けた取り組みが報告・審議されており、当事業年度は、グローバル・クラウドサービスの早期利益拡大に向けた事業統合等、中期経営戦略に基づく取り組みを中心に活発な議論がなされました。また、職務執行状況のモニタリングについては、各執行分野の重要な取り組み状況が分かりやすい報告内容に見直し、取締役会の監督機能の強化を図りました。
さらには、独立社外取締役に当社の事業をより深く理解してもらえるように、主要な子会社の経営陣と各社の経営戦略について意見交換を実施するとともに、当社が力を入れている研究開発やセキュリティ事業の状況を現場視察していただきました。他にも、独立社外取締役と監査役、独立社外取締役と代表取締役、独立社外取締役と国内外の主要グループ会社経営陣、および当社と主要なグループ会社の独立社外取締役等との間で、当社グループの経営課題について適宜意見交換を行いました。
これらの意見交換会において、独立社外取締役および監査役から、当社の取締役会等に関し、十分な情報提供と活発な議論が行われており、実効性が確保できているとのご意見をいただいているところであります。
こうした取り組みを踏まえ、当社としては、取締役会の実効性は確保されていると評価しており、今後においても更なる実効性向上に努めてまいります。
(ご参考)取締役会での審議案件の内訳(2017年4月~2018年3月)
取締役会の構成、役員の選任手続き等
当社の取締役会の構成は、「NTTグループ人事方針」における経営陣の選任の方針に基づき、NTTグループの課題解決に資するスキルを有する人材をグループ内外から幅広く選任していきます。
NTTグループ人事方針
【基本的な考え方】
NTTグループは、信頼され選ばれ続ける「バリューパートナー」として、お客様に対してワールドワイドに新たな価値を創造することを通じて、社会的課題の解決と安心・安全で豊かな社会の実現に寄与していきます。その価値観を共有できる人材をNTTグループ全体のトップマネジメント層にグループ内外から幅広く選任していくこととします。
【取締役候補の選任】
取締役候補は、NTTグループ全体の企業価値の向上のために、グループトータルの発展に寄与する幅広い視野と経験を有し、マネジメント能力とリーダーシップに優れ、経営センスと意欲のある人材を選任します。取締役会は、事業内容に応じた規模とし、専門分野等のバランスおよび多様性を考慮した構成とします。
なお、業務執行の監督機能を強化する観点から、一般株主と利益相反を生じるおそれのない人材を独立社外取締役とし、原則、複数名選任します。
【監査役候補の選任】
監査役候補は、専門的な経験、見識等からの視点に基づく監査が期待できる人材を選任することとします。
なお、取締役の業務執行を公正に監査する観点から、一般株主と利益相反を生じるおそれのない人材を社外監査役とし、会社法に則り監査役の半数以上を選任します。
取締役候補の選任手続きについては、独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会の審議を経て取締役会で決議し、株主総会に付議することとしています。また、監査役候補の選任手続きについては、監査役候補の選任方針に基づき取締役が提案する監査役候補について、社外監査役が半数以上を占める監査役会における審議・同意を経て取締役会で決議し、株主総会に付議することとしています。
取締役・監査役に対する研修
当社グループ会社役員に対しては、グローバルにわたる経済・社会問題、コンプライアンス、リスクマネジメントなど様々な研修の機会を設けるとともに、新たな職務経験などを積ませることで、激変する経営環境に対応できるトップマネジメントに相応しい候補者の育成に努めています。また、独立社外役員に対しては、グループ会社の事業動向や当社研究所等における最新の研究開発成果への理解を深める機会を設けるなど、当社グループ事業への理解をさらに深める取り組みも行っています。
政策保有株式
当社は、安定株主の形成等を目的とした、いわゆる「持合い株式」を保有しておらず、また、今後も保有いたしません。
一方で、当社は、中長期的な企業価値の向上に資するため、様々な業界のパートナーとのコラボレーションやオープンイノベーションの推進を事業の方針としています。こうした方針を踏まえ、必要と考える株式を保有することとしています。
政策保有株式に関する議決権行使については、投資先企業の持続的な成長と、当社および投資先企業の企業価値向上の観点から、株主として適切に議決権を行使します。
資本政策
中長期的に企業価値を高めるとともに、株主の皆様に利益を還元していくことを重要な経営課題の一つとして位置づけております。
株主還元については、中長期的に充実していくこととしており、配当を軸足としつつ、機動的・弾力的に自己株式取得を実施しております。
(ご参考)
「業務の適正を確保するための体制等の整備についての決議の内容」および「業務の適正を確保するための体制の運用状況の概要」については、法令および当社定款第16条の規定に基づき、当社ウェブサイトに掲載しております。
当社ウェブサイト
http://www.ntt.co.jp/ir/
取締役および監査役の状況
責任限定契約の内容の概要
当社と社外取締役および監査役は、会社法第427条第1項の規定に基づき、同法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、会社法第425条第1項に定める最低責任限度額としております。
取締役および監査役の報酬等に関する方針ならびにその総額
方針
取締役の報酬等に関する事項については、客観性・透明性の向上を目的に、独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会を設置し、同委員会の審議を経て取締役会にて決定しております。
取締役(社外取締役を除く)については、月額報酬と賞与から構成しております。月額報酬は、役位ごとの役割の大きさや責任範囲に基づき、支給することとしております。賞与は、当事業年度の会社業績等を勘案し支給することとしております。また、中長期の業績を反映させる観点から、月額報酬ならびに賞与の一定額以上を拠出し役員持株会を通じて自社株式を購入することとし、購入した株式は在任期間中、その全てを保有することとしております。
社外取締役については、高い独立性の確保の観点から、業績との連動は行わず、月額報酬のみを支給することとしております。
監査役については、監査役の協議にて決定しており、社外取締役と同様の観点から、月額報酬のみを支給することとしております。
当事業年度に係る取締役および監査役の報酬等の総額
社外役員に関する事項
当事業年度における主な活動状況
取締役会および監査役会への出席状況および発言状況
当事業年度に係る社外役員の報酬等の総額
連結計算書類
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