株主総会参考書類

議案

第1号議案 
剰余金の処分の件

 剰余金の処分につきましては、以下のとおりといたしたいと存じます。

期末配当金に関する事項

 当社は、株主の皆さまへの利益還元を経営の重要事項と認識しており、財務面の健全性を維持しつつ、安定的な配当を継続していくことを会社の基本方針とし、第35期(2018年度)までの中期経営計画においては、持続的な成長への投資を勘案しながら、連結配当性向35%超を維持する方針としておりました。
 当事業年度の期末配当金につきましては、将来の業績向上に向けた事業展開等を総合的に勘案し、以下のとおりとさせていただきたいと存じます。

(1)配当財産の種類
金銭

(2)配当財産の割当てに関する事項及びその総額
当社普通株式1株につき………………
55.00円
配当総額…………………
129,545,548,000円

(3)剰余金の配当が効力を生じる日
2019年6月20日

(ご参考)

1株当たり配当金の推移(単位:円)

ご参考

(注)

  • 第18期から第31期までの年間配当額は、すべて便宜的に以下の株式分割後の値に直して記載しております。
    • 2012年10月1日付にて普通株式1株につき100株の割合
    • 2013年4月1日付にて普通株式1株につき2株の割合
    • 2015年4月1日付にて普通株式1株につき3株の割合
  • 第18期から第31期までは日本会計基準に、第32期以降は国際財務報告基準(IFRS)に基づく数値を記載しております。
  • 第18期については、当期純損失を計上したため、配当性向を記載しておりません。
  • 配当性向については、第19期から第22期までは単体ベース、第23期以降は連結ベースの数値を記載しております。
  • 第35期の1株当たり配当金及び配当性向は、第1号議案が原案どおり承認可決されることを前提とした数値を記載しております。
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第2号議案 
取締役14名選任の件

 取締役全員(14名)は本総会終結の時をもって任期満了となりますので、取締役14名の選任をお願いいたしたいと存じます。取締役候補者は次のとおりであります。

  • 田中(たなか) 孝司(たかし)

    再任

    生年月日 1957年2月26日
    所有する当社株式数 62,500株
    潜在株式数 20,381株
    選任の理由等 田中 孝司氏は、2010年に代表取締役社長に就任して以来、株主の皆さまの負託に応え、当社経営の舵取りを担い、当社グループの企業価値向上に取り組みました。2018年からは会長として主に政財界、産官学等に向けた対外活動を行い、取締役会の議長を務めております。このような経営者としての幅広い経験から、引き続き取締役候補者としました。
    略歴、当社における地位、担当、重要な兼職の状況
    2003年4月
    当社執行役員
    2007年6月
    当社取締役執行役員常務
    2010年6月
    当社代表取締役執行役員専務
    2010年12月
    当社代表取締役社長
    2018年4月
    当社代表取締役会長、現在に至る
    特別な利害関係 田中 孝司氏と当社との間には、特別な利害関係はありません。
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  • 両角(もろずみ) 寛文(ひろふみ)

    再任

    生年月日 1956年5月2日
    所有する当社株式数 28,800株
    潜在株式数 12,737株
    選任の理由等 両角 寛文氏は、経営管理を中心としたコーポレート部門における豊富な経験を有しております。また、事業部門の経験もある他、2010年より副社長を務め、当社の最高財務責任者として経営全般やIR活動に取り組み、2018年からは副会長として主に政財界、産官学等に向けた対外活動を行っております。このような経営者としての幅広い経験から、引き続き取締役候補者としました。
    略歴、当社における地位、担当、重要な兼職の状況
    1995年6月
    当社取締役
    2001年6月
    当社執行役員
    2003年4月
    当社執行役員常務
    2003年6月
    当社取締役執行役員常務
    2007年6月
    当社取締役執行役員専務
    2010年6月
    当社代表取締役執行役員副社長
    2018年4月
    当社代表取締役副会長、現在に至る
    特別な利害関係 両角 寛文氏と当社との間には、特別な利害関係はありません。
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  • 髙橋(たかはし) (まこと)

    再任

    生年月日 1961年10月24日
    所有する当社株式数 27,300株
    潜在株式数 12,010株
    選任の理由等 髙橋 誠氏は、様々な業種との連携やM&Aを通じて、新たなビジネスやサービスの開発をリードする等、新規ビジネスにおける豊富な経験を有しております。また、2016年より副社長を務め、当社の新たな成長に向けて、新規ビジネスやau経済圏の拡大に取り組みました。2018年4月より当社の社長として、中期経営計画(2019-21年度)を策定し、事業の拡大を推進していることから、引き続き取締役候補者としました。
    略歴、当社における地位、担当、重要な兼職の状況
    2003年4月
    当社執行役員
    2007年6月
    当社取締役執行役員常務
    2010年6月
    当社代表取締役執行役員専務
    2016年6月
    当社代表取締役執行役員副社長
    2018年4月
    当社代表取締役社長、現在に至る
    2019年4月
    当社渉外・コミュニケーション統括本部長、現在に至る
    特別な利害関係 髙橋 誠氏と当社との間には、特別な利害関係はありません。
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  • 内田(うちだ) 義昭(よしあき)

    再任

    生年月日 1956年9月14日
    所有する当社株式数 16,700株
    潜在株式数 9,887株
    選任の理由等 内田 義昭氏は、技術全般における豊富な経験を有しております。通信事業の基盤となるネットワークの構築・運用をはじめ、技術に関わる多様なオペレーションを着実に遂行する等、通信事業の安定運営、ネットワークの高度化に必要な識見を有していることから、引き続き取締役候補者としました。
    略歴、当社における地位、担当、重要な兼職の状況
    2013年4月
    当社執行役員
    2014年4月
    当社執行役員常務
    2014年6月
    当社取締役執行役員常務
    2016年4月
    当社技術統括本部長、現在に至る
    2016年6月
    当社取締役執行役員専務
    2018年6月
    当社代表取締役執行役員副社長、現在に至る
    特別な利害関係 内田 義昭氏と当社との間には、特別な利害関係はありません。
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  • 東海林(しょうじ) (たかし)

    再任

    生年月日 1958年9月26日
    所有する当社株式数 11,400株
    潜在株式数 7,791株
    選任の理由等 東海林 崇氏は、法人向けビジネスにおける豊富な経験を有しております。ソリューション事業本部長としての事業環境に応じた組織改革やサービス拡充の実績に加え、本年4月からはコンシューマ事業本部長の職責を担う等、通信事業の持続的成長に必要な優れた識見を有していることから、引き続き取締役候補者としました。
    略歴、当社における地位、担当、重要な兼職の状況
    2010年10月
    当社執行役員
    2014年4月
    当社執行役員常務
    2016年6月
    当社取締役執行役員常務
    2018年6月
    当社取締役執行役員専務、現在に至る
    2019年4月
    当社コンシューマ事業本部長 兼 グローバルコンシューマ事業本部担当 兼 商品・CS統括本部長、現在に至る
    特別な利害関係 東海林 崇氏と当社との間には、特別な利害関係はありません。
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  • 村本(むらもと) 伸一(しんいち)

    再任

    生年月日 1960年3月2日
    所有する当社株式数 9,100株
    潜在株式数 7,396株
    選任の理由等 村本 伸一氏は、コーポレート部門における豊富な経験を有しております。企業理念の浸透やダイバーシティ推進、コーポレートガバナンス体制の強化等に取り組んだ実績があり、当社の持続的成長の基盤となる人事戦略・財務戦略等の推進に関する優れた識見を有していることから、引き続き取締役候補者としました。
    略歴、当社における地位、担当、重要な兼職の状況
    2010年10月
    当社執行役員
    2016年4月
    当社執行役員常務
    2016年6月
    当社取締役執行役員常務
    2018年4月
    当社コーポレート統括本部長、現在に至る
    2018年6月
    当社取締役執行役員専務、現在に至る
    特別な利害関係 村本 伸一氏と当社との間には、特別な利害関係はありません。
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  • (もり) 敬一(けいいち)

    再任

    生年月日 1960年2月2日
    所有する当社株式数 11,100株
    潜在株式数 4,576株
    選任の理由等 森 敬一氏は、車載向け通信モジュールや電力スマートメーターをはじめとする法人向けIoTサービスの開発・販売に関する豊富な経験を有しております。本年4月からはソリューション事業本部長の職責を担っており、今後一層の拡大が見込まれる国内外でのソリューション事業全般の運営に優れた識見を有していることから、引き続き取締役候補者としました。
    略歴、当社における地位、担当、重要な兼職の状況
    2014年10月
    当社執行役員
    2017年4月
    当社執行役員常務
    2017年6月
    当社取締役執行役員常務、現在に至る
    2019年4月
    当社ソリューション事業本部長、現在に至る
    特別な利害関係 森 敬一氏と当社との間には、特別な利害関係はありません。
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  • 森田(もりた) (けい)

    再任

    生年月日 1961年11月15日
    所有する当社株式数 11,800株
    潜在株式数 5,299株
    選任の理由等 森田 圭氏は、事業部門および経営戦略部門における豊富な経験を有しております。ライフデザイン事業本部長として、当社の新たな成長にとって重要なライフデザイン分野の事業拡大を推進するための優れた識見を有していることから、引き続き取締役候補者としました。
    略歴、当社における地位、担当、重要な兼職の状況
    2015年4月
    当社執行役員
    2017年4月
    当社ライフデザイン事業本部長、現在に至る
    2018年4月
    当社執行役員常務
    2018年6月
    当社取締役執行役員常務、現在に至る
    特別な利害関係 森田 圭氏と当社との間には、特別な利害関係はありません。
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  • 雨宮(あまみや) 俊武(としたけ)

    新任

    生年月日 1960年6月26日
    所有する当社株式数 36,800株
    潜在株式数 0株
    選任の理由等 雨宮 俊武氏は、現在のライフデザイン分野につながる新たなビジネスやサービスの開発をリードし、KDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.のCEO等グローバル事業における豊富な経験も有しております。また本年4月より当社の主要な事業であるコンシューマ向け通信事業の副事業本部長として、当社の通信事業の持続的な成長を推進していることから、取締役候補者としました。
    略歴、当社における地位、担当、重要な兼職の状況
    2012年4月
    当社執行役員
    2019年4月
    当社執行役員常務、現在に至る
    当社コンシューマ事業本部 副事業本部長 兼 コンシューマ事業企画本部長、現在に至る
    特別な利害関係 雨宮 俊武氏と当社との間には、特別な利害関係はありません。
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  • 山口(やまぐち) 悟郎(ごろう)

    再任

    社外取締役

    生年月日 1956年1月21日
    所有する当社株式数 4,500株
    潜在株式数 ― 株
    取締役在任年数 2年
    取締役会出席状況 12/12回(100%)
    選任の理由等 山口 悟郎氏は、世界有数の電子部品・電子機器関連メーカーの代表取締役社長として培われた豊富な企業経営経験及び優れた識見を有しております。取締役会においては、経営管理や事業運営等について、中長期的な視点から大局的なご意見を数多く頂戴しており、当社の企業価値向上に寄与いただけると判断したことから、引き続き社外取締役候補者としました。
    略歴、当社における地位、担当、重要な兼職の状況
    2009年6月
    京セラ株式会社取締役 兼 執行役員常務
    2013年4月
    同社代表取締役社長 兼 執行役員社長
    2017年4月
    同社代表取締役会長、現在に至る
    2017年6月
    当社社外取締役、現在に至る
    特別な利害関係 山口 悟郎氏は、京セラ株式会社の代表取締役会長であり、当社は同社と商取引関係があります。取引額は、当社単体の営業収益及び営業費用の5%未満です。
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  • 山本(やまもと) 圭司(けいじ)

    新任

    社外取締役

    生年月日 1961年3月28日
    所有する当社株式数 0株
    潜在株式数 ― 株
    選任の理由等 山本 圭司氏は、世界有数の自動車メーカーのIT開発や電子技術部門において培われた優れた識見に加えて、同社マネジメントとしての豊富な経営経験を有しております。当社における5G/IoT戦略の推進等に、中長期的な視点から大局的なご意見をいただくことで当社の企業価値向上に寄与いただけると判断し、社外取締役候補者としました。
    略歴、当社における地位、担当、重要な兼職の状況
    2016年4月
    トヨタ自動車株式会社常務理事
    2017年4月
    同社常務役員
    同社コネクティッドカンパニー Executive Vice President、現在に至る
    特別な利害関係 山本 圭司氏は、トヨタ自動車株式会社のコネクティッドカンパニー Executive Vice Presidentであり、当社は同社と商取引関係があります。取引額は、当社単体の営業収益及び営業費用の5%未満です。
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  • 根元(ねもと) 義章(よしあき)

    再任

    社外取締役

    独立役員

    生年月日 1945年12月2日
    所有する当社株式数 1,500株
    潜在株式数 ― 株
    取締役在任年数 3年
    取締役会出席状況 12/12回(100%)
    選任の理由等 根元 義章氏は、当社事業と関連性の高い、通信・ネットワーク工学及び情報処理や、事業運営上重要な耐災害に関する優れた専門的知見を有しております。取締役会においては、当社経営陣とは独立した立場から、社会インフラを担う情報通信事業者としての運営方針について、中長期的な視点を踏まえ、専門的なご意見を数多く頂戴しており、今後も当社の企業価値向上に寄与いただけると判断したことから、引き続き社外取締役候補者としました。また、ご経歴から、一般株主と利益相反が生じるおそれはないと判断し、引き続き独立役員として指定します。
    略歴、当社における地位、担当、重要な兼職の状況
    1995年4月
    東北大学大学院情報科学研究科 教授
    2000年4月
    東北大学情報シナジーセンター長
    2004年4月
    東北大学教育研究評議会評議員
    2008年4月
    東北大学理事
    2012年4月
    独立行政法人情報通信研究機構 耐災害ICT研究センター長
    2016年6月
    当社社外取締役、現在に至る
    特別な利害関係 根元 義章氏と当社との間には、特別な利害関係はありません。
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  • 大八木(おおやぎ) 成男(しげお)

    再任

    社外取締役

    独立役員

    生年月日 1947年5月17日
    所有する当社株式数 700株
    潜在株式数 ― 株
    取締役在任年数 1年
    取締役会出席状況 9/10回(90%)
    選任の理由等 大八木 成男氏は、世界有数の合成繊維、化成品、医薬医療、流通・リテイル分野の企業の代表取締役社長として培われた豊富な企業経営経験及び優れた識見を有しております。当社が今後推進していくライフデザイン事業分野やグローバル戦略及びM&Aを中心に、中長期的な視点から大局的なご意見を数多く頂戴しており、当社の企業価値向上に寄与いただけると判断したことから、引き続き社外取締役候補者としました。また、ご経歴から、一般株主と利益相反が生じるおそれはないと判断し、引き続き独立役員として指定します。
    略歴、当社における地位、担当、重要な兼職の状況
    2005年6月
    帝人株式会社常務取締役
    2006年6月
    同社専務取締役
    2008年6月
    同社代表取締役社長
    2014年4月
    同社取締役会長
    2014年6月
    JFEホールディングス株式会社社外監査役、現在に至る
    2018年4月
    帝人株式会社取締役相談役
    2018年6月
    同社相談役、現在に至る
    当社社外取締役、現在に至る
    株式会社三菱UFJ銀行社外取締役監査等委員、現在に至る
    特別な利害関係 大八木 成男氏は、帝人株式会社の相談役であり、当社と同社との間に電気通信事業におけるサービス提供等の商取引関係がありますが、当社単体の営業収益に占める同社との取引額は0.1%未満です。なお、当社連結営業収益に占める比率は、当社の単体営業収益が連結営業収益に占める比率、同社の事業内容の関連性等から、単体における比率と大きく乖離することはないと考えております。したがいまして、社外取締役の独立性に影響を及ぼすものではありません。
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  • 加野(かの) 理代(りよ)

    新任

    社外取締役

    独立役員

    生年月日 1966年5月11日
    所有する当社株式数 0株
    潜在株式数 ― 株
    選任の理由等 加野 理代氏は、法律事務所パートナーや政府系の諸委員会の委員として培われた豊富な経験と優れた専門的知見を有しております。取締役会においては、当社経営陣とは独立した立場から、法的リスクマネジメントについて、中長期的な視点を踏まえ、専門的なご意見をいただくことで当社の企業価値向上に寄与いただけると判断し、社外取締役候補者としました。また、ご経歴から、一般株主と利益相反が生じるおそれはないと判断し、独立役員として指定します。
    略歴、当社における地位、担当、重要な兼職の状況
    1993年4月
    弁護士登録
    2005年1月
    田辺総合法律事務所パートナー就任、現在に至る
    2014年8月
    内閣府障害者政策委員会委員、現在に至る
    2015年6月
    株式会社山梨中央銀行社外取締役、現在に至る
    2017年2月
    厚生労働省援護審査会委員、現在に至る
    特別な利害関係 加野 理代氏は、田辺総合法律事務所パートナーであり、当社と同法律事務所との間に商取引関係がありますが、取引額は1,000万円未満であり、社外取締役の独立性に影響を及ぼすものではありません。
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(注)各候補者が所有する当社株式の数は、2019年3月末時点の株式数を記載しております。
また、潜在株式数については、信託を活用した株式報酬制度における2019年3月末時点の権利確定済みポイント相当数を記載しております。

(ご参考)コーポレートガバナンス・コードの原則に係る参考情報

中期経営計画(2019-21年度)の策定について

独立社外取締役 田辺邦子

 第35期(2018年度)は、第33期(2016年度)から始まった中期経営計画の最終年度であり、新しい中期経営計画の策定が進められてまいりました。
 その過程では、社外取締役、社外監査役も含めた入念な議論が行われてきましたので、中期経営計画の策定への社外役員の関与について、その概要を株主の皆さまへご説明申し上げます。
 中期経営計画(2019-21年度)の策定については、取締役・監査役全員による自由な意見交換が重ねられてきました。
 この1年間で4回のディスカッションが開催されましたが、テーマ別に分けて論点が絞られ、説明内容も丁寧でわかりやすく、各回とも多様な角度から活発な意見交換が行われました。第1回は環境想定と人材育成、第2回は環境分析を踏まえた事業戦略の方向性、第3回は具体的な事業戦略、第4回は全体フレームについて、突っ込んだ議論が実施されました。これにより、経営陣がどのような環境想定の下で、どのような課題認識を持ち、どのような戦略で解決するのか、KDDIが目指す姿は何なのか、といった中長期的な経営戦略や企業文化の議論に、社外役員も適切に参加することができたと実感しております。
 過去に実施された取締役会の実効性評価においては「中長期の経営戦略に関する議論の更なる充実」を図ることが課題として掲げられておりましたが、その趣旨を踏まえ、十分に議論がなされたものと考えます。
 厳しい競争環境ではありますが、多様な専門性と識見を有する経営陣・社外役員それぞれの幅広い知見を活かし、全社一丸となって策定された中期経営計画を完遂し、KDDIが持続的に成長していくことを確信しております。

■ コーポレート・ガバナンスに関する考え方・基本方針

 当社は、社会インフラを担う情報通信事業者として、24時間365日いかなる状況でも、安定した通信サービスを提供し続けるという重要な社会的使命を担っています。また、情報通信事業は、電波等の国民共有の貴重な財産をお借りすることで成り立っており、社会が抱える様々な課題について、情報通信事業を通じて解決していく社会的責任があると認識しています。
 この社会的使命、社会的責任を果たすため、持続的な成長と中長期的な企業価値向上が必要不可欠であり、お客さま、株主さま、取引先さま、従業員、地域社会等、当社を取り巻く全てのステークホルダーとの対話、共創を通じて社会的課題に積極的に取り組むことで、安心・安全でかつ豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献していきたいと考えています。
 コーポレート・ガバナンスの強化は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のための重要な課題であると認識しており、金融商品取引所の定める「コーポレートガバナンス・コード」の趣旨に賛同し、透明性・公正性を担保しつつ、迅速・果断な意思決定を行う仕組みの充実に努めています。また、当社は、社是・企業理念に加えて、役員・従業員が共有すべき考え方・価値観として「KDDIフィロソフィ」を制定し、グループ全体での浸透活動を推進しています。
 「コーポレートガバナンス・コード」の遵守と「KDDIフィロソフィ」の実践を、会社経営上の基本として積極的に取り組むことにより、子会社等を含むグループ全体でのコーポレート・ガバナンスの強化を進め、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現していきます。

「企業理念」「KDDIフィロソフィ」は、下記アドレス(当社ウェブサイト)からご覧いただけます。

https://www.kddi.com/corporate/kddi/philosophy/

■ 取締役会が取締役・監査役候補者の指名を行うにあたっての方針と手続

■ 取締役会の知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方

 人財の多様性を受け入れ、一人ひとりの多様な知識や経験、スキルを生かすことは、「通信とライフデザインの融合」を目指す当社にとって重要な成長ドライバーであり、取締役会においても多様性を確保することがより良い経営判断につながると考えています。
 取締役会の構成は、経営上の重要な事項を含む判断や、法律で求められる監督を行うに際して、取締役会全体として高度な専門的知見と多様な観点を確保するため、性別、年齢、国籍の区別なく以下の基準を満たす人物を選任します。

指名・選任基準

両候補共通:
私心なく、高い倫理観を持ち、役員として相応しい人格であること
取締役候補:
以下のいずれか又は複数の基準を満たすこと
  • 各事業分野における専門的知見と経験を有すること
  • 監督者に相応しい経営上の知見又は専門的な知見を有すること
  • 高度な独立性を有すること
監査役候補:
取締役とは独立の立場から、経営全般の監視と、より一層適正な監査を実現し得る豊富な経験と幅広い識見を有していること

取締役の指名・選任手続

  • ①上記の基準に基づき、候補者を選定
  • ②指名諮問委員会で審議
  • ③取締役会で承認
  • ④株主総会で選任

監査役の指名・選任手続

  • ①上記の基準に基づき、候補者を選定
  • ②監査役会で議論し、候補者について同意を得る
  • ③指名諮問委員会で審議
  • ④取締役会で承認
  • ⑤株主総会で選任

指名諮問委員会の構成

  • 議 長:上田 達郎(社外取締役)
  • 副議長:山口 悟郎(社外取締役)
  • 委 員:田辺 邦子(社外取締役)、根元 義章(社外取締役)、大八木 成男(社外取締役)、田中 孝司、髙橋 誠

■ 社外役員の独立性に関する判断基準

 会社法上の社外役員の要件及び金融商品取引所が定める独立性基準に加えて、当社の連結売上又は発注額に占める割合が1%以上の取引先さまの出身者は、一律、独立性がないものとして扱っています。

■ 取締役及び監査役の報酬を決定するにあたっての方針と手続

 当社は、経営陣の報酬と業績及び株式価値との連動性を明確にし、中長期的な業績向上と企業価値向上への貢献意欲を高めることを目的として、2015年より業績連動型の株式報酬制度を導入しております。
 2018年6月開催の第34期定時株主総会において制度を一部改定し、報酬全体に占める業績連動型報酬の比率は45%(※)となりました。

(※)固定報酬である基本報酬と業績に応じて変動する賞与及び株式報酬の比率を、業績達成度が100%であった場合を前提として算出した数値

 また、中期経営計画の達成に向けたインセンティブとするため、株式報酬の対象期間と中期経営計画の期間を合わせております。
 なお、賞与・株式報酬の算定式は、以下のとおりです。

 監査役の報酬は、監査役の協議にて決定しており、当社の業績により変動することのない定額報酬のみを支給することにしています。
 なお、役員報酬の体系及び水準について、その透明性、公正性を確保するため、取締役会の諮問に基づき審議を行い、助言する機関として、報酬諮問委員会を設置しています。本委員会は、議長・副議長及び半数以上の委員を社外取締役で構成しています。

報酬諮問委員会の構成

  • 議 長:山口 悟郎(社外取締役)
  • 副議長:上田 達郎(社外取締役)
  • 委 員:田辺 邦子(社外取締役)、根元 義章(社外取締役)、大八木 成男(社外取締役)、田中 孝司、髙橋 誠

■ 関連当事者間の取引に対する方針

 当社では、取締役の競業取引・利益相反取引について、会社法を遵守し、取締役会で承認・報告することとしています。
 主要株主との個別取引については、「KDDI行動指針」における基本原則のひとつである「IX 適切な経理処理・契約書遵守」に基づき、特別な基準を設けることなく、他の一般的な取引と同様の基準により、稟議で決裁しています。なお、稟議については監査役もチェックしています。
 主要株主である京セラ株式会社の取締役が社外取締役として就任しているため、取締役会の包括承認、報告と個別取引の稟議決裁の両方によりガバナンスを確保しています。

■ 取締役会の実効性に関する分析・評価

■ 取締役会評価の実施目的

 当社は、取締役会の現状を正しく理解し、継続的な改善に取り組むため、毎年定期的に取締役会の自己評価を行います。

■ 評価プロセスの概要

 当社は、全取締役・監査役による取締役会の評価を基に、その実効性を確認しています。評価手法はアンケート形式であり、4段階評価と自由記述を組み合わせることで、定量的評価と定性的評価の2つの側面から、取り組みの効果検証と改善点の発見に取り組んでいます。
 評価対象期間は直近1年間とし、毎年定期的に実施しています。評価結果は取締役会で報告し、今後の対応策等を検討しています。
 主な評価項目は以下のとおりです。

  • 取締役会運営  (メンバー構成、資料・説明、情報提供等)
  • 経営陣の監督  (利益相反、リスク管理、子会社管理等)
  • 中長期的な議論 (中期経営計画の検討、計画執行のモニタリング等)

■ 評価結果の概要

【総括】
 当社取締役会は適切に運営されており、実効的に機能していると評価されました。
 特に、以下の2点が高く評価されています。

  • 経営者、弁護士、公認会計士、情報工学の専門家等、多様なバックグラウンドを持つ社外役員から、有意義な質問や意見が活発に出され、各議案に対して十分な検証がなされていること
  • 社外役員が役割を果たすために、会社からの情報提供に加え、社外取締役・監査役・会計監査人が連携し、会社の課題等についての情報を共有していること

【前回からの改善点】
 2018年度においては、次期中期経営計画に関するディスカッションを、テーマ別に4回に分けて開催しました。各回とも多様な角度から活発な意見交換が行われ、課題認識や重要戦略の議論がより深まり、前回の評価において課題として指摘された、「中長期の経営戦略に関する議論の更なる充実」がなされたことを確認しました。

【今後の課題】
 以下の2点を重点課題として継続的な改善に取り組み、持続的な企業価値向上を目指してまいります。

  • 通信事業を中心として異業種・異分野に展開する中で、今後、当社がどのような会社を目指していくか等、当社の社会的使命や経営戦略に関し、様々な視点から議論すること
  • 拡大するグループ会社の事業成長と、ガバナンス面の強化のために、子会社の経営状況や、運営基盤体制について、取締役会にて適時にモニタリングすること

■ 社外役員のサポート体制・連携等

 社外取締役及び社外監査役に対しては、取締役会の開催日程及び議題について予め連絡することに加え、事前に議案資料を配付することで、案件への理解を促進し、取締役会における議論の活性化を図っています。
 また、事前質問を受け付けており、その内容を踏まえて取締役会当日の説明内容を充実させることで、より実質的な審議の深化に努めています。
 さらに、社外取締役及び社外監査役に対しては、業界動向及び当社の組織、各事業、技術の内容及び今後の戦略について、各分野の責任者による研修の機会を設け、当社事業への理解を深めることで、取締役会における議論の活性化を図っています。加えて、社外取締役のみで実施する会合、社外取締役と監査役の会合等、社外役員を中心とした会合を毎月開催しており、経営層、監査役、社外取締役それぞれの情報共有と円滑な連携を促進しています。
 さらに、会計監査人の決算レビューを社外取締役・監査役間で共有し、意見交換の機会を設けております。これにより、社外取締役と監査役、会計監査人という、経営陣から独立した機関の連携を促進することで、ガバナンスの総合力が大きく向上すると考えております。
 なお、社外監査役を含む全ての監査役を補佐する部門として、2006年4月1日付で監査役室を設置しています。

■ IR活動の基本方針

 当社にとって、株主・投資家の皆さまは、事業継続への良き理解者・強力なサポーターであり、特に重要なステークホルダーであると認識しております。従って当社は、株主・投資家の皆さまとの信頼関係の構築を経営の最重点事項と位置付け、企業価値経営の実践、積極的な情報開示、コミュニケーションの充実をお約束いたします。
 例えば、四半期決算開示に伴い、年4回、アナリスト・機関投資家向けに決算説明会を開催しています。当日の内容はライブ配信・オンデマンド配信にて閲覧いただくことが可能です。
 また、四半期決算ごとに、取締役等が国内及び欧米・アジア等の機関投資家を訪問し、当社の財務状況、今後の戦略等について説明を実施しています。2018年度は、海外での証券会社主催のカンファレンス参加5回を含むのべ12回の海外ロードショー等、国内外の機関投資家との面談をのべ約800回実施しました。
 さらに、個人投資家向けにも説明会を積極的に開催・参加し、コンタクトの機会を増やすよう努力しています。2018年度は、マネジメント等による説明会やオンライン説明会を実施し、約1,200名の投資家の皆さまにご参加・ご視聴いただきました。説明会資料や説明会動画は当社ホームページに掲載しています。

個人投資家の皆さまへの情報は、下記アドレス(当社ウェブサイト)からご覧いただけます。

https://www.kddi.com/corporate/ir/individual/

(ご参考)コーポレートガバナンス・コードの
原則に係る参考情報
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