事業報告(2018年4月1日から2019年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

(ご参考)業績ハイライト

モバイル通信料収入及び端末販売収入が減少したものの、「au経済圏」の最大化に向けエネルギー事業、株式会社イーオンホールディングス(以下「イーオンHD」)のグループ化、「Wowma!」及び「au WALLET Market」、決済事業などのライフデザイン事業の拡大による収入の増加、株式会社エナリス(以下「エナリス社」)の新規連結子会社化、ミャンマー通信事業の収入の増加等により、増収となりました。

エネルギー事業、「Wowma!」及び「au WALLET Market」、決済事業における費用の増加があったものの、売上高の増加等により、増益となりました。

営業利益の増加等により、増益となりました。

全般の状況

業界動向と当社の状況

 日本の情報通信市場は、通信事業者が提供するサービス等の同質化やMVNO※1各社による格安SIMサービス等の普及、新規通信事業者の参入決定等、競争が激化しており、通信事業者は新たな収益の確保に向けて通信以外のサービスへ事業領域を拡大しています。さらに、IoT※2や人工知能(AI)等のテクノロジーの発展もあり、情報通信市場の事業環境は大きく変化しています。
 このような状況の下、当社は、第35期(2018年度)までの中期経営計画で、「お客さま体験価値を提供するビジネスへの変革」を掲げ、通信サービスを中心に、様々なライフデザインサービスを連携しながら拡充することで、「通信とライフデザインの融合」による、新しい価値提案を積極的に進めています。
 国内では、通信領域においてスマートフォン・タブレットの普及やIoTに対する取り組みの強化、様々なデバイスの連携による新たな体験価値の創造等への取り組みに加え、お客さまによりご満足いただけるよう、データ通信のご利用方法に応じた料金プランの提供により、「auお客さま数(ID)×ARPA※3」の最大化による国内通信事業の持続的成長を目指してきました。また、「au」に加え、グループ会社によるMVNO事業の推進により、当社グループの「モバイルID数」の拡大を図っています。
 また、大企業から中小企業まで幅広い法人のお客さまを対象に、モバイル端末の提供や、ネットワーク・アプリケーション・クラウド型サービス等の多様なソリューションを提供しており、法人のお客さまのビジネスの発展・拡大に一層貢献し、お客さまから真の事業パートナーとしてお選びいただけることを目指しています。
 さらに、今後本格化する5G(第5世代移動通信システム)/IoT、AI・ビッグデータ等をはじめとする様々なテクノロジーを積極的に活用し、新しい利用シーンの提案に注力しています。特に5Gについては、本年9月のトライアルサービス開始に向けて、幅広いパートナー企業と連携し、技術検証の加速と5Gを活用した新たなサービスの創造を推進しています。
 非通信領域においては、コマース・金融・エネルギー・エンターテインメント・教育等のライフデザインサービスを拡充することで、お客さまへの新しい価値提案と「au経済圏」の流通総額の拡大に向けた取り組みを積極的に進めています。
 海外における通信事業として、連結子会社のKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.がミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)と共同で行っているミャンマー通信事業と、モンゴル国内の総合通信事業者MobiCom Corporation LLCは、それぞれLTEサービスの本格展開を進め、さらなる成長を目指しています。これらの事業に加え、欧州中心のデータセンターをはじめとした法人向けICTビジネスにおいても、継続して収益力の強化を行い、グローバル事業の拡大を図っています。
 これらの取り組みにより、営業利益は1兆円、au経済圏流通総額は2.5兆円を突破しました。

  • ※1 Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)の略。無線通信インフラを他携帯電話事業者等から借り受けてサービスを提供している事業者。
  • ※2 Internet of Things(モノのインターネット)の略。あらゆるモノが通信機能を持ってネットワークにつながり、センサーが収集したデータを送信したり、クラウド上のデータを活用したり、またはそれらのデータをもとに自動制御を行ったりすること。
  • ※3 Average Revenue Per Accountの略。モバイル契約者(プリペイド・MVNO除く)1人当たりの月間売上高。
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事業別概況

パーソナル

個人向けの通信サービス(au・MVNO携帯電話、FTTH、CATV)及びエネルギー・教育サービス等の提供

TOPICS

お客さまのニーズに応じた新料金/サービス

 お客さまにご好評いただいている、データ通信のご利用方法に応じた料金プラン「auピタットプラン」「auフラットプラン」の提供の他、新料金プランとして昨年8月よりコンテンツ利用料金とauスマートフォンの通信料金をセットにした「auフラットプラン25 Netflixパック」の提供を開始しました。また、お客さま基盤の拡大としてモバイルと固定のセット割サービス「auスマートバリュー」に加え、グループ会社によるMVNO事業の推進により、「ID数」の拡大に努めています。なお、「auピタットプラン」「auフラットプラン」の契約数は、本年3月に1,300万契約を突破しました。

お客さま満足度向上への取り組み

 昨年9月に株式会社J.D. パワー アジア・パシフィックによる「2018年携帯電話サービス顧客満足度調査」において2016年、2017年に続き、3年連続「総合満足度第1位」を受賞しました。おトクな料金をはじめ、auの各サービスについて、より多くのお客さまにご満足いただけるよう、さらなるお客さま体験価値の向上に努めていきます。

  • ※ 出典:J.D. パワー 2016-2018年携帯電話サービス顧客満足度調査。
    japan.jdpower.com
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ライフデザイン

個人向けのコマース・金融・決済・エンターテインメントサービス等の提供

※ 第36期(2019年度)より、「パーソナルセグメント」に統合します。

TOPICS

「通信とライフデザインの融合」の推進

 コマース事業では、本年1月よりECサイト「Wowma!」での購入で通信料金を割引くサービスを開始しました。また、昨年10月に発表した楽天株式会社との提携によって、「Wowma!」における物流サービスの提供及び新たな決済サービス「au PAY」での加盟店開拓を推進しています。
 また金融事業では、本年2月に、金融持株会社※1の設立と「スマートマネー構想」の始動を発表しました。その他、株式会社カカクコムとの資本業務提携によるサービス・メディア事業の高度化、エナリス社の連結子会社化によるエネルギー事業の強化にも取り組んでいます。

5G時代に向けた新しい体験価値を提供

 5G(第5世代移動通信システム)時代の新たな体験価値創造に向けて、xR技術※2を活用した新たなスポーツ観戦体験を提供しました。
 また、こども達の生きる力を育むための学びの機会と5G/IoT等の先端技術を融合し、こどもの成長における新しい体験価値の共創を図るべく、「キッザニア」を運営するKCJ GROUP株式会社と包括的パートナーシップを構築しました。

  • ※1 本年4月1日付で「auフィナンシャルホールディングス株式会社」に商号変更。
  • ※2 AR(拡張現実)・MR(複合現実)・VR(仮想現実)などの技術の総称。
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ビジネス

企業向けの通信サービス及びICTソリューション・データセンターサービス等の提供

TOPICS

KDDI「IoT世界基盤」を推進しグローバル企業のビジネス変革に貢献

 様々なIoT機器の通信接続からデータ活用サービス、各国の法規制等に係る手続きまでワンストップにて提供するKDDI「IoT世界基盤」※1の商用トライアル受付を本年5月より開始することを本年3月に発表しました。この提供にあたり、株式会社日立製作所が提供するデジタルイノベーションを加速する「Lumada」※2で蓄積した豊富な各種ユースケース・ソリューションを活用し、お客さまのIoTデータの価値化を支援します。今後も連携パートナーを拡大していく予定で、企業のIoTビジネスのグローバル展開における課題を解決し、お客さまのビジネス変革と事業拡大を強力にサポートしていきます。

  • ※1 車や産業機械など様々なモノの通信接続において、国ごとに仕様が異なるIoT通信接続をグローバルで共通化し、IoTの通信接続からサービス展開、データ分析までサポートするプラットフォーム。
  • ※2 お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、株式会社日立製作所の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称。

お客さま満足度向上への取り組み

 当社のサービスを通じてお客さまの本業の発展に貢献することに注力した結果、株式会社J.D. パワー アジア・パシフィックによる「2018年法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査<大企業・中堅企業市場セグメント>」※3では3年連続で、「2018年法人向けIP電話・直収電話サービス顧客満足度調査」※4では6年連続で「総合満足度第1位」を受賞しました。今後もより一層お客さまにご満足いただけるよう、さらに質の高い商品・サービスの提供に取り組んでいきます。

  • ※3 出典:J.D. パワー 2016-2018年法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査。
  • ※4 出典:J.D. パワー 2013-2018年法人向けIP電話・直収電話サービス顧客満足度調査。
    japan.jdpower.com
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グローバル

海外での個人・企業向けの通信サービス及びICTソリューション・データセンターサービス等の提供

※ 第36期(2019年度)より、個人向けは「パーソナルセグメント」・企業向けは「ビジネスセグメント」に統合します。

TOPICS

海外における個人向け事業の拡大

 ミャンマーにおいては、リテンション強化を目的としたポイントプログラム「MPTクラブ」(提携企業との相互ポイント付与プログラム)を昨年5月に開始しました。また、映像・音楽・ゲーム・電子書籍等のエンターテインメントサービスの提供を推進し、付加価値ARPU向上に積極的に取り組みました。
 また、モンゴルにおいては、昨年10月にMobiComが提供する電子マネーCandyのロイヤリティプログラムも利用できるVISAデビットカードの発行を開始しました。MobiComは、QRコード決済に対応する「Candy Pay」も提供する等、フィンテックに注力しています。また、データ容量が追加されたお得なチャージ型プリペイドカードや、SNS・ゲーム・ビデオ・音楽の使い放題、聞き放題の料金パッケージの提供を開始する等、様々なデータ通信需要にお応えする取り組みを進めました。

  • ※ Average Revenue per Unitの略。1回線あたりの月間売上高を表す数値。

ICTソリューション事業の拡大

 昨年5月よりRPA(Robotic Process Automation)ソフトウェアのリーディングカンパニーUiPath社と、RPAプラットフォームのリセラー契約を締結し、グローバルで提供する体制が整いました。海外で活躍する多くの企業の業務効率化に貢献しています。
 また、本年1月に東南アジアの法人のお客さま向けに、KDDIシンガポールが、ネットワーク・セキュリティ・RPA・IoTなどのソリューションを一元的に提供する「KDDI GX Platform」を開始しました。

<Candy Pay>
<デビットカード>
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新技術への取り組み

国内初、5G等を活用した遠隔監視型自動運転の実証実験

 当社は本年2月、国内で初めて一般公道において5G(第5世代移動通信システム)を活用した遠隔監視型自動運転の実証実験を行いました。
 高齢運転者の増加や免許証返納等による移動手段の減少といった多くの社会課題が顕在化しつつあります。将来の移動手段を確保するために自動運転技術やICTの利活用を通じて、買い物難民解消やバス・タクシー運転手不足に対する市民の移動手段の確保、観光促進や自動車産業振興にもつながることが期待されています。

5Gを活用した、建設機械の遠隔操作による連携作業に成功

 当社と株式会社大林組、日本電気株式会社は、昨年12月に大阪府茨木市にて建設中の安威川ダムの施工エリアの一部を使用して、5Gを活用し、2台の建設機械を遠隔操作により連携させる作業を実施し、成功しました。
 災害時において、社会インフラの迅速な復旧が急務である一方、土砂崩れなどの2次災害のリスクがあるため、作業現場の安全を確保する観点から建設機械を遠隔で操作する遠隔操作システムの活用が期待されています。

ベンチャー企業との事業共創

 当社は、KDDI Open Innovation Fund※1を通じて、国内外の有望なベンチャー企業に出資を行っており、5G時代に向けてKDDI Open Innovation Fund 3号を設立しています。昨年6月にIoTデバイスマネジメントプラットフォームを提供するResin.io Limited(現Balena(バレナ))、昨年9月に最大5,000名が同時接続できるバーチャルイベントプラットフォームを提供するクラスター株式会社に出資しました。さらに、昨年12月には大規模データ統合、解析プラットフォームを開発するGeoSpock Ltd(ジオスポック)、また、本年3月には保育ICT化支援事業を行うKidsDiary株式会社やVR会議などVRコラボレーションサービスを提供する株式会社Synamon等へ出資しました。当社の持つ多くの企業との幅広いネットワーク・マーケティングスキル・各種サービスとの連携に加え、豊富なベンチャー支援経験を持つグローバル・ブレイン株式会社の事業運営支援によりパートナーとして投資先企業の成長を強力に推進します。

  • ※1 KDDIとグローバル・ブレインにより、ベンチャー企業に投資を行うコーポレートベンチャーキャピタル。
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持続的な企業価値向上に向けた取り組み

サステナビリティへの対応

 当社は、コーポレート・ガバナンス、健康と安全、汚職防止、気候変動といったESG(E:環境、S:社会、G:ガバナンス)テーマへの取り組みが高く評価され、世界の代表的な社会的責任投資指数である「FTSE4Good Index Series」及び「MSCI ESG Leaders indexes」に選定されました(昨年6月時点)。
 さらに、当社は「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が採用している「ESG指数」のうち国内株式を対象とした4つのESG指数※2すべてに採用されています。
 また次の3か年に向けた「中期経営計画(2019-21年度)」において、国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に向けた具体的目標を設定しました。全社でサステナビリティ活動を推進することで、社会とともに持続的な成長とさらなる企業価値の向上を目指していきます。

  • ※2 ESG総合型2つ(「FTSE Blossom Japan Index」、「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ」)及びテーマ型2つ(「MSCI日本株女性活躍指数(通称WIN)」、「S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数」)。

地方創生への貢献

 当社は、離島地域の活性化に向けた離島応援「しまものプロジェクト」や、全国の地方自治体・地元企業との連携を通じて、5Gを見据えたICTをはじめとする双方の資源を有効に活用することにより、社会課題の解決や地域経済活性化の取り組みを実施しています。昨年12月には長崎県平戸市と子供の職業体験イベントを活用し地域活性化を図ることを目的とした協定を締結しました。この協定に基づき本年3月に当社グループ企業であるKCJ GROUP株式会社の監修のもと、キッザニアの街を飛び出して、農業・林業・自然体験・商品開発など、実際の仕事現場を知ることができる、よりリアルな体験を追求したプログラム「Kidsジョブチャレンジ2019in平戸~アウトオブキッザニア~」を開催しました。今後も当社グループをあげて地方創生に取り組んでいきます。

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