第6号議案 株主提案 剰余金処分の件

1. 提案の内容

2023年3月期の期末配当を1株あたりの純利益の30%相当である33円とする

(1) 配当財産の種類
金銭

(2) 配当財産の割当に関する事項
第27回定時株主総会において当社取締役会が提案した剰余金処分に係る議案が可決された場合には、33円から、同株主総会において可決された剰余金処分に係る議案に基づく普通株式1株当たり配当金額(以下「会社提案配当金額」という。)を控除した普通株式1株当たり配当金額を、会社提案配当金額に加えて配当する。また、第27回株主総会以前に取締役会において決議し配当を支払済みの場合においては、33円よりその金額を控除した普通株式1株当たり配当金額を配当する。なお配当総額は上記の普通株式1株あたりの配当金額に、当社の第27回定時株主総会の議決権の基準日現在の配当の対象となる株式数を乗じた金額となる。

(3) 剰余金の配当が効力を生ずる日
令和5年6月開催予定の株主総会の翌日


2. 提案理由

当社は自己資本比率50%を超えており、財務諸表を見ても手元の現金保有額が有利子負債額(リース負債含む)を超過しており、実質無借金経営を実現しています。また、ビジネスモデルにおいても、継続的な収入(ストック収入)が売り上げ全体に占める割合は約70%となっています。景気変動の影響を受けにくく、契約年数が複数年(概ね6年)となる契約が主体であり、スイッチングコストも高く、盤石の経営基盤を有していると言えます。

このように、すでに株主に対して十分に利益を還元する環境は整っています。

現在、当社は第二創業期と位置づけ、様々な新しい取り組みの最中であり、成長のために内部留保が一定程度必要なことは我々株主も承知しております。しかし、キャッシュフロー計算書を見ますと、前期の営業CFが13億50百万に対して、投資CFは53百万、今期第二四半期時点での営業CFが14億53百万に対して、投資CFが71百万しかなく、獲得したキャッシュの金額に対して投資金額は非常に少ないものにとどまっています。

このような実状を踏まえますと、利益の約90%もの金額を内部留保に充てている現状は合理的ではなく説得力がありません。今期の第三四半期以降、不動産の取得や設備投資に投資していることは認識していますが、いずれも継続的に必要な投資案件ではありません。

当社が所属している情報・通信セクターにおいて、上場している一定規模の企業(営業利益10億以上)223社の配当性向は2022年の実績で平均33.4%となっています。これを考慮すると当社の配当性向は異常ともいえる低さであり、上記のガバナンスの点も含めて親会社の意図が強く反映されているのではと疑念を持っているわけです。

昨年、完全子会社化し上場廃止となったフルスピードも、自己資本比率は50%を超えていましたが、配当性向は約10%程度でした。これらの状況を鑑みると、親会社が少数株主への株主還元を抑制するために、多くの役員を送り込んでいるのではないかと疑われても仕方がない状況です。我々株主としては、上場企業として疑われることのないガバナンス体制の構築と株主還元を実行するべきと考えます。

よって2023年3月期の剰余金の処分として、会社予想の1株あたりの純利益109.89円の30%に相当する33円とすることを提案いたします。


(会社注)以上は、提案株主から提出された株主提案書の該当部分を、原文のまま掲載したものです。

◇第6号議案に対する取締役会の意見

当社取締役会としては、本議案に反対いたします。

当社は、株主の皆様に対する利益還元を重要な施策の一つと考えており、安定した配当を継続していくことを基本方針としています。かかる基本方針のもと、当社を取り巻く経営環境は、社会経済活動のデジタル化による国内データ通信量の急増、これに伴うデジタル社会の基盤となる新機軸の通信インフラの継続的な整備、増強等、流動的で先行きが不透明な状況にあります。このような状況下において、当社グループの企業価値の向上を図りつつ、今後も安定的かつ継続的な株主還元施策を実行していくためには、内部留保の確保の重要性はますます高まっております。

また、景気変動による影響に左右されにくい強固な財務基盤の構築、将来にわたっての企業体質強化及び将来的な成長戦略のためにも、内部留保の確保は必要であって、こうした財務基盤の構築を通じて、当社競争力の維持及び強化を図ることができるものと考えております。

当社といたしましては、株主の皆様に対する安定的かつ継続的な配当と、当社の競争力の維持強化実現のため内部留保を確保しておくことが、中長期的に当社の企業価値を向上させ、ひいては株主の皆様の利益に資するものと考えており、かかる観点から、2023年3月期の剰余金の配当としては、当社取締役会が2023年5月10日開催の取締役会において決議した普通株式1株当たり金12.50円とすることが適切であると考えております。

以上のとおり、本議案に基づく剰余金の配当の増額は必要なく、当社取締役会としては、本議案に反対いたします。

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