第7号議案 取締役(監査等委員である取締役を除く)1名選任の件

<株主提案(第7号議案)>

第7号議案は、株主である池田有希子様からのご提案によるものであります。

本株主提案に対する当社取締役会の意見

当社取締役会は、株主提案(第7号議案)に反対いたします。

本株主提案に対する反対の理由


当社取締役会としては、以下の理由により、本株主提案の議案に反対します。


2023年10月18日付けをもって公表したとおり、池田有希子氏においては、過年度における不適切な経費使用が認められたことから、これを受けた当社取締役会は、同氏が代表取締役社長として経営に関与することが健全なガバナンス体制の維持を最優先とする当社の経営にとって望ましくないとの判断に至り、代表取締役としての同氏の解職を決議しております。

次年度における経営体制の検討において、当社が全社一丸となって企業価値の向上を目指すにあたって、上記の経緯及びこれまでの実績を踏まえて検討したところ、必要な経営能力を有しているとは判断できず、当社は、池田有希子氏は取締役候補者として適切ではないとの結論に至ったことから同氏を取締役候補者としておりません。


なお、池田有希子氏が株主提案において述べる理由はいずれも合理性を欠く内容であるとともに、健全なコーポレートガバナンスの維持・強化を最優先とする当社の経営方針に照らし、同氏が取締役候補者として適任であるか否かの判断を左右するものではないことから、これらについて逐一反論するものではありませんが、明らかに事実に反し、株主の皆様に誤解を生じさせてしまうおそれのある事項についてのみ、以下のとおり当社の見解を補足させていただきます。


1.代表取締役の解職


代表取締役の解職については、理由の如何を問わず取締役会において決定することができる専権事項であり、池田有希子氏が述べる提案理由の中にも手続上の具体的な問題点の指摘がないことからも明らかなとおり、その手続に何らの不正又は不足のない有効なものです。


そもそも、当社が行った調査は、不適切な経費の使用・精算があったのか否か、また、使用経費の返還を請求するべき場合における金額を確定することを目的としたものであって、代表取締役としての適否を判断するために行ったものではありません。


上記のとおり、代表取締役の解職は取締役会の専権事項であることから、調査の進捗や結果によって影響を受けるものではありませんが、解職決議が行われる以前において、既に不適切な経費使用があったことは確定しており、その後に行われた調査は、かかる経費の総額を確定するために継続されたものに過ぎません。


2.過去実績


当社取締役会は、池田有希子氏が成果として列挙する事項のほとんどが、同氏ではなく、故池田均氏が主導又は実践したことによる結果であると考えております。


他方、池田有希子氏が取締役となった2009年3月以降、株主資本(連結)は2008年12月期が8,660百万円に対して、代表取締役となった2013年12月期が6,504百万円、2022年12月期には4,370百万円と大きく毀損しました。特に2022年は株式会社クレアリアにおいて1,099百万円、濱野皮革工藝株式会社において1,086百万円の減損を実施しております。


また、2023年12月期には拓莉司国際有限公司等においても減損が実施され、当社においては減資を実施せざるを得ない状況となっていることなど、池田有希子氏の取締役在任時の成果としては、ネガティブな結果の方が強調されるべきと考えています。

提案を受けた議案の要領及び提案の理由は、原文のまま記載しております。

(1)議案の要領及び提案の理由

ア 議案の要領

取締役の候補者は、次のとおりであります。

  • 池田(いけだ)有希子(ゆきこ)

    生年月日 1973年5月8日生
    所有する当社株式の数 905,300株
    略歴、当社における地位及び担当(重要な兼職の状況)
    2004年5月
    当社入社
    2006年12月
    当社総務部長
    2007年12月
    当社執行役員
    2009年3月
    当社取締役(現任)
    2013年1月
    当社取締役副社長
    2013年12月
    当社代表取締役副社長
    2021年10月
    当社代表取締役社長
    (重要な兼職の状況)
    TRIIS INTERNATIONAL AMERICA INC.代表取締役社長
    拓莉司国際有限公司 代表取締役社長
    濱野皮革工藪㈱ 取締役
    ㈱クレアリア取締役
    略歴を開く閉じる

イ 提案の理由


(ア)(代表)取締役としての実績

私(池田有希子)は、2004年5月に株式会社トライアイズ(以下、「当社」といいます)に入社し、2009年3月からは取締役として、2013年12月からは代表取締役副社長として、2021年10月からは代表取締役社長として、当社の業績向上を図るべく、業務遂行に邁進してまいりました。

その結果として、これまでの間、当社の業績向上、さらには株主の皆様への利益還元の実現という成果に繋げることができているものと自負しております。その具体例としては、以下のとおりであり、私が引き続き当社取締役としてトライアイズグループの事業活動を遂行していくことが適切であると考えるため、本提案を行う次第です。


a 東京ブラウス株式会社に関する成果について

2007年1月に純粋持株会社に移行した当社が2008年11月に子会社化した東京ブラウス株式会社(当時。2018年7月に濱野皮革工藝株式会社との吸収合併により解散。以下、「東京ブラウス」といいます)は、ファッションブランド事業を営んでおり、ブランドCLATHASの商標権を保有するとともに、当該商標権に係る商標ライセンス契約を、複数の会社(以下、「各ライセンシー」といいます)との間で締結し、各ライセンシーからロイヤルティを得ていました。一方で、東京ブラウスは別の事業者(以下、「委託先業者」といいます)に対し商標ライセンス契約に係る管理や広告宣伝等、上記商標ライセンス契約に関する東京ブラウスの事業の円滑な運営を支援する業務を委託し、当該業務委託の対価として、各ライセンシーから得るロイヤルティの約3割~約4割に相当する額の報酬を委託先業者に支払っておりました。

この業務委託の契約関係は、各ライセンシーとの商標ライセンス契約が存続する限り同内容で存続するというものであり、東京ブラウスとしての売上額にも相当程度大きな影響を与えるものでした。しかし、委託先業者は、受託していた管理 広告宣伝等の業務を十分に果たしていませんでした。このような状況は、東京ブラウスの売上額を圧迫する要因となるばかりでなく、親会社である当社の業績にも影響を及ぼしていました。

そのため、私は、ブランドCLATHASのライセンス付与による収益が当社グループに適切に還元される方法はないか試行錯誤を重ね、2011年11月、当社がブランドCLATHASの商標権を東京ブラウスから譲り受けた上で、当社が各ライセンシーとの間で直接商標ライセンス契約を締結し、東京ブラウスと前記委託先業者との契約関係を解消するという結果を実現させました。

これによって、委託先業者へ支払われていた報酬も含め、各ライセンシーからのロイヤルティが当社の売上となって当社の業績が改善されました。更に株主の皆様への利益還元としての配当原資も確保することができ、結果、当社においては、以下のとおり、第17期(2011年12月期)までは無配となっていたところ、第18期(2012年12月期)からは11期連続で、1株当たり10円(2013年7月の株式分割以前は1株当たり100円)以上の配当の実現という成果に結び付けることができました。

b 株式会社クレアリアに関する成果について

当社が2010年6月に完全子会社化した株式会社クレアリア(旧 株式会社アイ エヌエー)は、建設コンサルタント事業を営んでおりますが、当社の完全子会社となった当時、遊休不動産を複数保有し、売却にも困難を伴う状況にありました。そのため、私は、こうした遊休不動産を、収益を生み出す物件に転換させて売上・業績の向上を図るべく、観光・ビジネス等で日本に滞在する外国人向けの賃貸物件とするためにリノベーションを実施するなど、これらの遊休不動産の具体的な活用策を模索しました。

その結果、埼玉県戸田市の不動産(戸田笹目寮)については、外国人向けの賃貸物件として貸し出されることとなり、2015年10月以降、毎月110万円の賃料収入をもたらす‘収益物件’へと生まれ変わらせることができました。そして、この物件は、収益還元利回りが功を奏し、2017年11月に245百万円で売却するに至りました。


c TRIIS INTERNATIONAL AMERICA INC. に関する成果について

当社は2016年1月、米国にTRIIS INTERNATIONAL AMERICA INC.(以下、「TIA」といいます)を設立し、ハワイでの不動産投資事業に携わってまいりました。

ハワイで不動産投資事業を展開するには、現地ブローカー等との信頼関係が重要であり、私は、最適なブローカーの選定や、選定したブローカーとの信頼関係の構築・維持に努めてまいりました。

そして、TIAが2020年2月に取得したマウイ島の物件Wailea Beach Villasについては、私がベストなタイミングでの売却を判断し、2022年に上昇率171.69%の状態で売却することができ、TIAの収益、ひいては当社の業績向上に繋げることができました。これは、誰の判断でもなく私自身が決断・実行したものです。

また、TIAが2018年6月に取得した物件である、オアフ島の911 Middle St.については、入居テナントであるハワイの老舗LOVE'S BAKERYの家賃滞納(コロナの影響によるもの)やchapter11といった事情も相俟って、別の入居テナントを探すか、または売却するかを判断しなければならない状況となりました。この対応には時間も要し、難航しましたが、現地ブローカーを通じて当該物件の現況を把握するなどした上で、私の判断のもと、2022年10月に売却を行い、売却益確保の成果に結び付けることができました。また、当該物件への投資に係る長期借入金につき、池田均・元当社代表取締役社長が設定していたファースト・ハワイアン・バンクとの金利スワップ契約についても、私自身がその解約のタイミングを見極めて判断した結果、解約に伴う違約金の支払いを回避でき、更にファースト・ハワイアン・バンクから522,800ドルの支払いを得るという成果に繋げることができました。

これらの成果は、当社第28期有価証券報告書10頁においても、「固定資産売却益896百万円」、「金利スワップ」の「解約益77百万円」の特別利益計上という形でお示ししております。

私としては、当社において現在進行している沖縄リゾート開発事業よりも、TIAにおけるハワイの不動産投資事業を継続・拡大する方が、当社の業績向上、及び株主の皆様への利益還元に大きく資するものと考えております。


(イ)代表取締役の解職手続について

当社からは、2023年10月18日付けのプレスリリース「代表取締役の異動に関するお知らせ」(以下、「本件プレスリリース」といいます)にて、同日開催の取締役会において私を当社代表取締役から解職することを決議したと公表され、本件プレスリリースでは、池田均・元当社代表取締役社長と私が、「海外出張経費の使用等」に関して「複数回にわたり社内規程を逸脱した経費の使用が発覚」したとされ、「当社取締役会において調査結果を慎重に検討した結果」として上記解職決議が行われた旨が記載されています。

しかし、「当社取締役会」がその「結果」を「慎重に検討した」としている「調査」において、私から「調査」の実施者に対し、当社が問題とする事実関係及び関連資料の開示を求めましたが、十分な開示を受けることができませんでした。弁明や意見陳述の機会も十分に与えられませんでした。このように、「調査」は適切かつ十分なものとは言えません。

また、解職決議にも、手続や内容の正当性は認められません。すなわち、仮に代表取締役において「社内規程を逸脱した経費の使用」があったというのであれば、代表取締役を解職させるかどうかを検討・判断するには、当該「逸脱」に該当する具体的な金額を精査し、確定することは、当然必要です。しかしながら、代理人弁護士らを通じて私が当社代表取締役社長東郷薫氏に関連資料の開示を求めたところ、東郷薫氏からは、「出張経費等の調査」は「完了したものではなく、調査が継続している状況」との回答が行われました。つまり本件プレスリリースの記載と異なり、実際には「調査」の「結果」が出ていない段階で、代表取締役の解職決議が行われ、本件プレスリリースによる公表が行われたということです。さらに、当社は私が代理人弁護士らを通じて関連資料の開示を求めた後になって、海外出張に係る航空費等の内訳に関する資料の収集に着手していたようです。

なお確かに「海外出張経費」に関する「社内規程」は当社に存在します。しかし、当該「社内規程」は、航空費や宿泊費等に関して`絶対的`な`上限`を定めているものではありません。あくまで支出の経済的な合理性や必要性をも考慮し、「経費の使用」としての可否・許否を判断するという趣旨・目的を含む規程です。池田均・元代表取締役社長と私は、限られたスケジュールの中、出張先で万全の体調で各種の業務に対応し、また出張先での商談等を行う相手方(すなわち当社の将来の取引先となる可能性がある相手方)の地位や立場等にも十分配慮した場所で、失礼のないように対応し、当社の新たな事業展開と収益に繋げるために、渡航の手段や宿泊先を選んでいました。決して「社内規程を逸脱した経費の使用」を行っていたものではありません。

現に、これまでの当社定時株主総会において、株主の皆様には、「取締役の職務の執行に関する不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実は認められません」などとする監査結果が示された監査等委員会作成の監査報告書や、無限定適正意見が記載された会計監査人作成の会計監査報告書等を御高覧頂いております。

加えてこれまで当社の監査役や監査等委員、会計監査人、コンプライアンス委員会等から、社内規程を逸脱した経費の使用があるというご指摘を受けたことは一度もございません。

以上のとおり、私を代表取締役から解職する旨の当社取締役会決議は、その手続や内容の正当性を欠くものであると言わざるを得ません。なお、海外出張での対応も含めて当社の業績向上に邁進してきた結果として、上記(ア)で挙げたような、株主の皆様への利益還元の実現という成果にも繋げてきたということを改めて申し添えます。

なお、私が代表取締役社長を務めているTIAについてですが、私が代表取締役社長である中で、2023年12月15日も取締役会が開催されている(議事録についても私が「議長 代表取締役社長」として記名捺印を行っております)ところ、同社名義の預金口座を開設しているファースト・ハワイアン・バンクから、2024年1月23日に、私が2023年12月7日にTIAの代表取締役社長を退任した旨の議事録が提出された、との連絡がありました。しかしながら、私が自らTIAの代表取締役社長を退任(辞任)する手続をとったものではありませんし、私をTIAの代表取締役社長から解任(解職)する手続が行われたことも全く承知しておりません。そもそも、当社の職務権限決裁表では、TIAを含めた「関係会社」の「役員等の重要人事」の「決定、変更」については、当社「取締役会」で「審議 決裁」しなければならないとしています。それにも拘わらず、本提案権行使書の作成時点(2024年1月29日)までに、当社では、TIAの代表取締役社長を私から別の人物に変更する旨の「役員」「変更」を行うことを決定する取締役会決議は行われておりません。

本件プレスリリースでは、「当社の経営」において「健全なガバナンス体制の維持を最優先」としているとも記載されておりますが、私をトライアイズグループの経営から排除しようとする意図・目的の下で、当社自身で定めている職務権限決裁表に反する運用や手続が行われているのであれば、それは「健全なガバナンス体制」とは言えませんし、当然、「取締役の職務の執行に関する不正の行為」がないかを監査・監督する権限・義務を負っている監査等委員において、そのような運用や手続があれば遅滞なく取締役会に報告するなどして是正が図られる、というのが「健全なガバナンス体制」であるはずです。

株主の皆様には、当社の「健全なガバナンス体制の維持」を図るためには、誰を(引き続き)取締役として選任するのが相応しいか、という点についても十分に御賢察の上、御判断頂きたいと存じます。

トップへ戻る