株主の皆様へ

 株主の皆様には日頃より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、平成28年度(2016年度)の事業報告をご覧いただくにあたり、ご挨拶を申し上げます。

 当期の世界経済は、概ね昨年後半より勢いを増す傾向となりました。米国は拡大基調を維持し、欧州も緩やかながら安定的な成長が続きました。中国は減速の一服から回復に転じました。国内経済は、景気回復の足踏み状況が続きましたが、足下では伸び悩んでいた個人消費等で持ち直しの兆しも見られました。
 海運市況は、ドライバルク船市況が記録的低水準を脱し、概ね回復基調を維持しました。タンカー部門のうち、原油船市況は、通期平均では前期を下回ったものの堅調でした。コンテナ船は、スポット運賃市況の回復は見られましたが、厳しい事業環境が継続しました。
 当社は、当期単年度の経営計画を策定し、ドライバルク船事業及びコンテナ船事業での構造改革を断行しました。その結果、当期連結営業利益は増益となり、親会社株主に帰属する当期純損益も黒字を確保しました。配当につきましては、当期の収益、及び今後の成長への投資に向けた内部留保の確保を勘案し、遺憾ながら期末配当を無配とし、1株当たりの年間配当金を前期比3円減となる2円(中間配当としてお支払済み)とする予定です。
 次期平成29年度(2017年度)の連結業績は、構造改革で実現したコスト競争力を基盤に収益の積上げを図り、売上高1兆6,100億円、営業利益90億円、経常利益220億円、親会社株主に帰属する当期純利益100億円を計画しております。この利益計画に基づき、次期の年間配当は1株当たり2円(うち中間配当1円)を予定しております。
 当社は、平成29年4月にスタートする新経営計画「ローリングプラン2017」を策定しました。従来の3年毎の中期経営計画とは異なり、長期的視野に立って「商船三井グループが競争力No.1の事業の集合体となること」を10年後の「ありたい姿」と定め、その実現に向けた方向性を示しました。安定利益を重視しつつ、競争優位にある事業分野への選択と集中を更に進めるとともに、環境・エミッションフリー事業など当社グループの知見・ノウハウを生かせる新たな事業への参画を図り、ビジネスポートフォリオの変革を進めます。また、海技力強化、ICT利活用、技術開発等を通じた他社との差別化、競争基盤の確立や、その担い手となる役職員が生き生きと働ける企業風土を構築し、人的競争力No.1を目指す働き方改革にも取り組みます。
 定期コンテナ船事業については、平成28年10月の日本郵船株式会社、川崎汽船株式会社との統合合意に基づき、平成30年4月の統合新会社による円滑な営業開始に向け協議・準備を進めるとともに、統合新会社の収益基盤確立のためにも、同事業の損益の回復に努めます。
 一方、安全運航とコンプライアンスの徹底、トータルリスクコントロールの強化、及びグループ一体となった営業力強化を引き続き推進してまいります。株主の皆様には引き続き一層のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

代表取締役 社長執行役員
池田 潤一郎