第5号議案 自己株式取得の件

(1)議案の要領

会社法第156条第1項の規定に基づき、本定時株主総会終結の時から1年以内に、貴社普通株式を、株式総数5,000,000株、取得価額の総額金4,000,000,000円を限度として、金銭の交付をもって取得することとする。

(2)提案の理由

当社は、2021年11月18日の取締役会決議において、2021年11月19日から2022年6月30日までの期間に発行済株式総数(自己株式を除く)の2.92%、1,500,000株を上限とし、取得価額の総額の上限を12億円とする自己株式の取得を決議し、これに基づき、2021年11月19日から2022年1月14日までに、自己株式1,500,000株を取得価額の総額10億5358万1288円で取得し、また、2022年3月24日の取締役会において3,000,000株の自己株式を消却することを決議しており、当社が株主還元の拡充および資本効率の向上に向けた対策を実施している点は一定の評価が出来るものです。当社の株価は2022年3月以降緩やかな上昇傾向にありますが、市場は当社の対策が不十分であると評価しているものと言えます。そこで、更なる当社の株主還元の拡充および資本効率の向上を図るため、当社が発行済株式総数(自己株式を除く)の約10%を自己株式として取得し、会社法第178条に基づき消却する施策を採用すべきと考えます。

当社は、1944年の創業以来、「顧客の創造と信頼の確保」、「社会への貢献」、「未来への挑戦」の3つの経営理念に基づき、コア事業である断熱工事・技術を通じて70年以上にわたりエネルギーの有効利用に貢献してまいりました。こうしたなか、近年重要なテーマとなっております地球温暖化の防止や化石燃料に代わる新たなエネルギーの普及に向けての取り組みが世界規模で進められております。

当社は、2021年5月7日に公表いたしました中期経営計画(2021~2023年度)において「新たなステージへの挑戦」のスローガンのもと、脱炭素社会に向けた工法・技術開発等、持続的な成長戦略を掲げており、生産能力の向上と営業基盤の強化を目指す設備投資を行うとともに、既存事業との親和性のある新たな領域へ積極的に事業を展開し、断熱事業に続く次の柱となる事業領域の育成等を、M&Aも視野に入れながら進めております。また、デジタル技術の活用による営業力の強化、企業力の強化を目的とした人材の確保・育成にも注力しています。これらにより、中期経営計画の最終年度である2024年3月期には売上高550億円、当期純利益46億円を計画しており、2023年3月期においては既に売上高558億円、当期純利益46億円を計上しております。

また、当社は財務体質の健全性と強化に努めながら、株主の皆様へ安定的に利益還元することを経営上の重要な施策の一つとして位置付けており、利益配当につきましては、業績の動向に関わらず安定的かつ継続的に実施しております。本年4月25日に公表いたしました「配当方針の変更に関するお知らせ」において、基本方針を、「安定的配当である1株当たり12円または業績に対応するものとして配当性向が30%程度の何れか高い方とすること」から「安定的配当である1株当たり20円または業績に対応するものとして配当性向が30%から40%程度の何れか高い方とすること」に変更したことは、株主の皆様のご理解を得られるものであると存じます。

自己株式の取得に関しましても、2007年度から2021年度まで12回にわたり総額約65.4億円、17,130,200株(2007年度における発行済株式総数の25.8%)の取得を行い、当該期間中に1,000万株を消却するなど、株主の皆様への利益還元の充実及び資本効率の向上に向けた施策を実行しました。

当社といたしましては、株主の皆様への利益還元及び自己株式の取得等資本政策の重要性は十分認識しておりますが、本定時株主総会において株主提案が求める、1年以内に総額40億円の自己株式取得を決議することは、当社の成長投資の財源を損なわせ、また、当社の財務体質の悪化につながることで、中長期的成長と企業価値の持続的な向上が停滞するおそれがあり、現在の経営戦略に照らして適切ではないと判断いたします。

今後も自己株式の取得については、当社の中期経営計画や資本政策、業績、事業投資や財務状況、当社株式の取引状況や株価水準など、取り巻く環境を総合的に勘案して実施してまいりたいと考えております。

以上の理由により、当社取締役会としては本株主提案に反対いたします。

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