第6号議案 社外取締役の員数に関する定款変更の件
(1)議案の要領
(2)提案の理由
コーポレートガバナンス・コード原則4-8は、「独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、プライム市場上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも3分の1以上選任すべきである。また、上記にかかわらず、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、過半数の独立社外取締役を選任することが必要と考えるプライム市場上場会社は、十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである。」と規定しています。また、コーポレートガバナンス・コード原則4ー7は、独立社外取締役の役割・責務の一つとして、「経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること」を挙げています。
当社は、取締役10名のうち社外取締役は3名となっており、3分の1以上の要件も充たしていないものの、より積極的に取締役の過半数を社外取締役とすることで、資本効率を上げ、株主還元を図り、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に寄与するガバナンス体制を整えることができると考えます。
また、社外取締役の人数のみならず、社外取締役の資質についても、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に寄与することができる人材が必要であり、この点、高度の経験とスキルを有するアナリストの登用を検討すべきと考えます。
「アナリストとして高い経験とスキルを持つ人材」の登用は、外部投資家・株主の目線を取締役会にもたらすと同時に、健全なリスクテイクを通じた企業価値向上に資する効果的な手段と考えます。本来、上場企業の取締役会と投資家・株主は企業価値の長期的な向上という同じ目標を共有しながら、不幸にも日本においては両者が対立的な構図でとらえられることも少なくありません。上述の経験・スキルを持つ取締役が取締役会の議論・意思決定に参画することは、健全なリスクテイクと資本配分、そして市場とのより良いコミュニケーションを通じて取締役会と株式市場の関係を本来の建設的なものにすると考えます。しばしば銀行出身者や会計士が取締役のスキルマトリックスのファイナンス部分を担うと説明されますが、「健全なリスクテイク」を促す観点からは会計や負債市場の専門性だけでは不十分であり、そこにエクイティ市場の専門家を登用する意義があるものと考えます。
当社は、2015年6月より監査等委員会設置会社に移行し、社外役員全員が監査等委員である取締役に就任することで、取締役会の監査・監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンスの一層の充実を図っております。
また、取締役の指名・報酬等に関する手続きの公正性・透明性・客観性を強化するために、取締役会の任意の諮問委員会として独立社外取締役が過半数を占める指名・報酬委員会を設置しております。取締役候補者につきましては、同委員会からの提言・助言を踏まえ取締役会において決定しており、本定時株主総会に上程する取締役候補者についても同様の決定プロセスを踏んでおります。
本定時株主総会において、当社が提案する取締役選任議案(監査等委員である取締役を含みます。)が可決された場合、当社取締役9名中3名が独立社外取締役となります。なお、当社としては継続的にコーポレート・ガバナンス体制の充実に取り組んでおり、2021年6月総会時点での当社取締役会に占める独立社外取締役の比率は20%でしたが、2022年6月総会時点では新たに1名の独立社外取締役を選任したことで同比率が30%となり、本定時株主総会後には同比率が33%となる予定です。引き続き、独立した指名・報酬委員会などにより、取締役会が中長期的な企業価値の向上に寄与するようにコーポレート・ガバナンス体制を充実させてまいります。
なお、本定時株主総会の取締役候補者(監査等委員である取締役を除きます。)である5名はいずれも当社事業に精通しており、企業経営・経営戦略はもとよりそれぞれ工事・技術・研究開発の知識・経験を持ち専門性を有しております。また、監査等委員である取締役は4名であり、うち3名が独立社外取締役です。独立社外取締役は、それぞれ専門知識を有し、取締役会に対してもその見地から企業経営全般にわたる意見を表明し、取締役会の意思決定の妥当性・適正性を確保するための提言・助言を行っております。
当社取締役会は、当社が提案する取締役候補者から構成される取締役会は十分な独立性が保たれているとともに、当社の経営理念の実践及び中期経営計画の達成に向けた経営の執行及び監督を実施するにあたり多様性を有する最適な構成であり、既に当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するガバナンス体制の構築は図られ、株主の皆様の利益に資するものと判断しております。
もっとも、本株主提案において指摘・示唆されているような社外取締役の比率の増加等の観点については、指名・報酬委員会の議論も踏まえ、今後も継続的に検討してまいる所存です。
一方で、本株主提案のような規定を定款に設けることは、却って、取締役候補者の選択範囲を制限し、取締役会のあるべき姿の議論やその時々の経営戦略に基づいて機動的に検討すべき取締役会構成の妨げになると判断いたします。
以上の理由により、当社取締役会としては本株主提案に反対いたします。