第5号議案 株主提案 剰余金処分の件
1. 提案の内容
2024年4月期の期末配当を1株あたりの純利益の30%相当である55円とする
(1)配当財産の種類
金銭
(2)配当財産の割当に関する事項
第28回定時株主総会において当社取締役会が提案した剰余金処分に係る議案が可決された場合には、55円から、同株主総会において可決された剰余金処分に係る議案に基づく普通株式1株当たり配当金額(以下「会社提案配当金額」という。)を控除した普通株式1株当たり配当金額を、会社提案配当金額に加えて配当する。また、第28回株主総会以前に取締役会において決議し配当を支払済みの場合においては、55円よりその金額を控除した普通株式1株当たり配当金額を配当する。なお配当総額は上記の普通株式1株あたりの配当金額に、当社の第28回定時株主総会の議決権の基準日現在の配当の対象となる株式数を乗じた金額となる。
(3)剰余金の配当が効力を生ずる日
令和6年7月開催予定の株主総会の翌日
2. 提案理由
2024年4月期において、ギガプライズ社の配当金は30円となっており、前期の12.5円から大幅に増加しています。我々はそのこと自体は感謝をしております。しかし、配当額が大幅に増加したからといって、我々の求める水準には全く達していないとことも事実です。
ギガプライズが所属する情報通信セクターの直近の決算期における平均配当性向は35.9%(営業利益10億以上 無配、特損・特益などでの異常値を除く177社の平均)となっています。また、同セクターで、ギガプライズと同程度の純資産額(50億~100億)で、自己資本比率が50%以上で安定的な収益を出している会社50社を抽出し、客観性を確保するために高低上位3社を除外して、平均配当性向を算出したところ、36.8%となっています。
前回の株主提案でも述べたとおり、ギガプライズ社は前期に自己資本比率が50%を超えて、直近の決算では58.7%まで改善しています。また売上のうちストック売上の比率は約7割で、景気変動のリスクも低く、スイッチングコストも高いために盤石な経営基盤を有しています。また純資産についても、着々と積み上がっており、直近の決算では80億を超過しています。2024年7月期のギガプライズ社の1株あたりの利益は184円で、配当性向は16.3%となっており、依然として業界平均よりもはるかに低い配当性向は不十分であると考えます。
前回の剰余金の処分における株主提案において、会社側の反対意見としては、内部留保が重要である、との回答に留まっております。
しかし、直近の第三四半期時点では現金と売掛金を合算した金額は約76億で、すべての負債額約56億を差し引いても約20億の超過となっています。また過去三年のフリーキャッシュフロー(営業CF-投資CF)は大幅にプラス(3期合計47.3億)となっており、なぜこれ以上内部留保を大幅に積み上げなければならないのか理解できません。また、競合のファイバーゲート社は来期より利益の3分の1を株主の還元に充てると明確な基準を設定しています。ギガプライズ社はファイバーゲート社よりも、財務内容も自己資本比率もシェアも優位な状況にあるにもかかわらず、ファイバーゲート社に比べて低い配当性向は合理的ではありません。
当社の安定した収益構造、また財務基盤を考えれば、業界平均以上の配当性向であっても十分に持続可能とは思いますが、今期は自社株買いも実施していることを考慮して、2024年4月期の1株あたりの利益184円に30%を乗じた55円を剰余金の処分として提案いたします。
最後に、前回の株主提案における議決結果は賛成率約20%強で全ての議案が否決となっておりますが、親会社の議決を除けば75~80%の賛成率となっております。親会社のフリービットは、ギガプライズの少数株主の大多数の意見を無視することなく、上場企業の最上位であるプライム企業に相応しい行動をするようお願いいたします。
(会社注)以上は、提案株主から提出された株主提案書の該当部分を、原文のまま掲載したものです。
◇第5号議案に対する取締役会の意見
当社取締役会としては、本議案に反対いたします。
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要な施策の一つと考えており、各期の経営成績及び今後の事業成長に備えるための内部留保の充実を勘案し、安定した配当を継続していくことを基本方針としています。かかる基本方針のもと、当社を取り巻く経営環境は、社会経済活動のデジタル化による国内データ通信量の急増、これに伴うデジタル社会の基盤となる新機軸の通信インフラの継続的な整備、増強等、流動的で先行きが不透明な状況にあります。このような状況下において、当社グループの企業価値の向上を図りつつ、今後も安定的かつ継続的な株主還元施策を実行していくためには、内部留保の確保の重要性はますます高まっております。
また、景気変動による影響に左右されにくい強固な財務基盤の構築、将来にわたっての企業体質強化及び将来的な成長戦略のためにも、内部留保の確保は必要であって、こうした財務基盤の構築を通じて、当社競争力の維持及び強化を図ることができるものと考えております。
当社といたしましては、株主の皆様に対する安定的かつ継続的な配当と、当社の競争力の維持強化実現のため内部留保を確保しておくことが、中長期的に当社の企業価値を向上させ、ひいては株主の皆様の利益に資するものと考えており、かかる観点から、2024年4月期の剰余金の配当としては、当社取締役会が2024年6月14日開催の取締役会において決議した普通株式1株当たり金30.00円とすることが適切であると考えております。
以上のとおり、本議案に基づく剰余金の配当の増額は必要なく、当社取締役会としては、本議案に反対いたします。