第3号議案 取締役に対する株式報酬制度改定の件

1. 提案の理由及びこれを相当とする理由

当社は、2017年6月29日開催の第84回定時株主総会において当社の執行役員を兼務する取締役及び執行役員を対象とした株式報酬制度「株式給付信託(BBT(=Board Benefit Trust))」(以下、「BBT」といいます。)の導入についてご承認いただき、その後、2021年6月29日開催の第88回定時株主総会において、BBTの一部改定をご承認いただき、現在に至っております(以下、上記株主総会における決議を「原決議」といいます。)。

今般、現行の株式報酬制度の一部を見直し、国内に居住する取締役に給付する株式に退任までの間の譲渡制限を付す「譲渡制限付株式給付信託(BBT-RS(=Board Benefit Trust-Restricted Stock))」(以下、「BBT-RS」といい、BBTとBBT-RSを併せて「本制度」といいます。)へ改定すると共に、取締役の報酬総額に占める株式報酬等の割合を引き上げることについて、ご承認をお願いするものであります。なお、海外に居住する取締役については、引き続き、BBTを適用することといたします。

本議案は、BBT導入当初の目的に加え、取締役が、在任中においても譲渡制限付株式報酬制度により給付される株式に係る議決権の行使や配当の権利等、株主の皆様と同様の権利を有することによって、より一層株主の皆様に近い目線での価値を共有し、経営に当たることが期待できること、また、取締役の報酬総額に占める株式報酬等の割合を引き上げることにより、中長期的な企業価値の増大に貢献する意欲を更に高めることを目的としており、独立社外取締役が過半数を占める指名報酬委員会及び取締役会は、本議案の内容は相当であるものと考えております。

また、本議案をご承認いただくことを前提に、当社の取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針の一部変更について、本総会終結直後の取締役会において決議を予定しております(本議案をご承認いただいた場合の方針案を末尾に参考として載せてございます。)。当該方針とも合致していることから、本議案の内容は相当であるものと考えております。

本議案は、2011年6月29日開催の第78回定時株主総会及び2019年6月27日開催の第86回定時株主総会においてご承認をいただきました取締役の報酬等の総額(年額400百万円以内、うち社外取締役分は年額70百万円以内。ただし、使用人分給与は含まない。)とは別枠とし、本制度に基づく報酬を当社の取締役に対して支給するため、報酬等の額の具体的な算定方法及び具体的な内容についてのご承認をお願いするものです。なお、本制度の詳細につきましては、下記2.の枠内で、取締役会にご一任頂きたいと存じます。

なお、第1号議案が原案どおり承認可決されますと、本制度の対象となる取締役の員数は9名(うち社外取締役4名)となります。

2. 本制度に係る報酬等の額の具体的な算定方法及び具体的な内容

(1) 本制度の概要

本制度は、当社が拠出する金銭を原資として当社株式が信託(以下、本制度に基づき設定される信託を「本信託」といいます。)を通じて取得され、取締役に対して、当社が定める役員株式給付規程に従って、当社株式及び当社株式の一定割合について時価で換算した金額相当の金銭(以下、「当社株式等」といいます。)が本信託を通じて給付される株式報酬制度です。なお、BBT-RSに基づき、取締役が当社株式の給付を受ける時期は、原則として毎年一定の時期とし、取締役が当社株式を時価で換算した金額相当の金銭の給付を受ける時期は、原則として取締役の退任時とします。また、本制度への改定に伴い、現行BBT制度において国内に居住する取締役に付与済みのポイントについては、本議案の承認可決を条件に、本定時株主総会後、当社が別途定める時期にその一部について当社株式として給付し、残部は当該取締役の退任時に当社株式を時価で換算した金額相当の金銭として給付いたします。また、今後、海外に居住する取締役が国内に居住することとなった場合にも、BBTにおいて付与済みのポイントについて、BBT-RSにおけるポイントに移行することといたします。

取締役が在任中に当社株式の給付を受ける場合、取締役は、当社株式の給付に先立ち、当社との間で下記3.のとおり、譲渡制限契約を締結することとします。これにより、取締役が在任中に給付を受けた当社株式については、当該取締役の退任までの間、譲渡等による処分が制限されることとなります。

なお、BBTに基づき、取締役が当社株式等の給付を受ける時期は、現行どおり原則として取締役の退任時とします。

(2) 本制度の対象者

取締役(監査役は、本制度の対象外とします。)

(注)上記のほか、取締役を兼務しない執行役員についても本制度の対象としております。

(以下、取締役と取締役を兼務しない執行役員を併せて「役員」といいます。)

(3) 信託期間

2017年8月から本信託が終了するまでとします(なお、本信託の信託期間について、特定の終了期日は定めず、本制度が継続する限り本信託は継続します。本制度は、当社株式の上場廃止、役員株式報酬規程の廃止等により終了します。)。

(4) 取締役に給付される当社株式等の数の上限

取締役には、各事業年度に関して、役員株式給付規程に基づき定まる数のポイントが付与されます。取締役に付与される1事業年度当たりのポイント数の合計の上限を、現行の35,000ポイント(うち社外取締役分として5,000ポイント)から55,000ポイント(うち社外取締役分として8,000ポイント)に改定します。これは、現行の役員報酬の支給水準とそれに占める株式報酬等の割合、役員の員数の動向と今後の見込み等を総合的に考慮して決定したものであり、本制度への改定後も相当であるものと判断しております。なお、取締役を兼務しない執行役員を含めた役員に付与されるポイント数の合計の上限は、1事業年度当たり110,000ポイントとします。

取締役に付与されるポイントは、下記(7)の当社株式等の給付に際し、1ポイント当たり当社普通株式1株に換算されます(ただし、本議案をご承認いただいた後において、当社株式について、株式分割、株式無償割当又は株式併合等が行われた場合には、その比率等に応じて、ポイント数の上限及び付与済みのポイント数又は換算比率について合理的な調整を行います。)。

下記(7)の当社株式等の給付に当たり基準となる取締役のポイント数は、原則として、下記(7)の受益権確定時までに当該取締役に付与されたポイント数とします(以下、このようにして算出されたポイントを、「確定ポイント数」といいます。)。

(5) 信託金額

当社は、原決議においてご承認を得た範囲内において、BBTに基づき、株式給付を行うために必要となることが合理的に見込まれる数の株式を本信託が一定期間分先行して取得するために必要となる資金を拠出し、本信託を設定しております。当社は、2017年8月から本信託を設定し、2022年3月末日で終了した事業年度から2024年3月末日で終了した事業年度までの3事業年度(以下、「現対象期間」といいます。)に関し、BBTに基づく取締役への給付を行うための株式の取得資金を追加拠出し、本信託は、当該金銭を原資として当社株式を取得いたしました。本信託は、本議案による改定後は、本制度に基づく信託として存続するものといたします。

また、本議案のご承認の後も、本制度が終了するまでの間、当社は、原則として3事業年度ごとに、以後の3事業年度(以下、「対象期間」といいます。)に関し、本制度に基づく取締役への給付を行うために必要な株式数を合理的に見込み、本信託が先行して取得するために必要と認める資金を、本信託に追加拠出することとします。本制度に基づき取締役に付与されるポイントの上限数は、上記(4)のとおり1事業年度当たり合計55,000ポイントであるため、追加拠出時には、直前の東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値を考慮して、165,000株を上限として取得するために必要と合理的に見込まれる資金を本信託に拠出いたします。なお、ご参考として、2024年5月14日の終値2,298円を適用した場合、上記の必要資金は、約379百万円となります。ただし、かかる追加拠出を行う場合において、信託財産内に残存する当社株式(直前までの各対象期間に関して取締役に付与されたポイント数に相当する当社株式で、取締役に対する給付が未了であるものを除きます。)及び金銭(以下、「残存株式等」といいます。)があるときは、残存株式等は以降の対象期間における本制度に基づく給付の原資に充当することとし、残存株式等を勘案した上で、追加拠出額を算出するものとします。当社が追加拠出を決定したときは、適時適切に開示いたします。

(注1)当社が実際に本信託へ拠出する金額は、上記の取締役への当社株式等の給付を行うための必要資金のほか、取締役を兼務しない執行役員への当社株式等の給付を行うための必要資金を合わせた金額となります。

(注2)上記の当社株式数の上限は、取締役への当社株式等の給付を行うための必要資金により取得する当社株式数の上限です。本信託が実際に取得する当社株式数は、上記(注1)のとおり取締役を兼務しない執行役員への当社株式等の給付を行うために拠出する必要資金により取得する株式数を加算した数となります。

(6) 本信託による当社株式の取得方法

本信託による当社株式の取得は、上記(5)により拠出された資金を原資として、取引所市場を通じて又は当社の自己株式処分を引き受ける方法によりこれを実施することとします。
本信託による当社株式の取得につき、その詳細は、適時適切に開示いたします。

(7) 当社株式等の給付及び報酬等の額の具体的な算定方法

受益者要件を満たした取締役は、所定の受益者確定手続を行うことにより、原則として上記(4)に記載のところに従って定められる「確定ポイント数」に応じた数の当社株式について、原則として毎年一定の時期に本信託から給付を受けます。ただし、役員株式給付規程に定める要件を満たす場合は、一定割合について、当社株式の給付に代えて、原則として取締役退任時に当社株式の時価相当の金銭給付を受けます。金銭給付を行うために、本信託により当社株式を売却する場合があります。

本議案の決議による株式報酬制度の改定に伴い、BBT-RSに移行することとなる国内に居住する取締役に対して、これまでBBTにおいて付与済みのポイントについては、本議案の承認可決を条件として、BBT-RSにおけるポイントに移行します。当該移行の対象となる取締役は、本定時株主総会終結後、当社が定める所定の時期に、当該移行後のポイントに基づき、当社株式の給付を受けます。

なお、取締役が在任中に当社株式の給付を受ける場合、取締役は、当社株式の給付に先立ち、当社との間で下記3.のとおり、譲渡制限契約を締結することとします。これにより、取締役が在任中に給付を受けた当社株式については、当該取締役の退任までの間、譲渡等による処分が制限されることとなります。

また、ポイントの付与を受けた取締役であっても、株主総会において解任の決議をされた場合、在任中に一定の非違行為があったことに起因して退任した場合又は在任中に当社に損害が及ぶような不適切行為等があった場合は、当該取締役は、給付を受ける権利を取得できない場合があります。

取締役が受ける報酬等の額は、ポイント付与時において、取締役に付与されるポイント数の合計に本信託の有する当社株式の1株当たりの帳簿価額を乗じた金額(ただし、当社株式について、株式分割、株式無償割当又は株式併合等が行われた場合には、その比率等に応じて合理的な調整を行います。)を基礎とします。また、役員株式給付規程の定めに従って例外的に金銭が給付される場合において相当と認められるときは、当該金額を加算した金額とします。

(8) 議決権行使

本信託勘定内の当社株式に係る議決権は、信託管理人の指図に基づき、一律に行使しないこととします。かかる方法によることで、本信託勘定内の当社株式に係る議決権の行使について、当社経営への中立性を確保することを企図しています。

(9) 配当の取扱い

本信託勘定内の当社株式に係る配当は、本信託が受領し、当社株式の取得代金や本信託に係る受託者の信託報酬等に充てられます。なお、本信託が終了する場合において、本信託内に残存する配当金等は、役員株式給付規程の定めに従って、その時点で在任する取締役に対して、各々が保有するポイント数に応じて、按分して給付されることになります。

(10)信託終了時の取扱い

本信託は、当社株式の上場廃止、役員株式給付規程の廃止等の事由が発生した場合に終了します。本信託終了時における本信託の残余財産のうち当社株式については、全て当社が無償で取得した上で、取締役会決議により消却することを予定しています。本信託終了時における本信託の残余財産のうち、金銭については、上記(9)により取締役に給付される金銭を除いた残額が当社に給付されます。

3. 取締役に給付される当社株式に係る譲渡制限契約の概要

取締役が在任中に当社株式の給付を受ける場合、取締役は、当社株式の給付に先立ち、当社との間で、概要として、以下の内容を含む譲渡制限契約(以下、「本譲渡制限契約」といいます。)を締結するものとします(取締役は、本譲渡制限契約を締結することを条件として、当社株式の給付を受けるものとします。)。ただし、株式給付時点において取締役が既に退任している場合等においては、本譲渡制限契約を締結せずに当社株式を給付することがあります。

①譲渡制限の内容

取締役は、当社株式の給付を受けた日から当社における役員たる地位の全てを退任する日までの間、給付を受けた当社株式の譲渡、担保権の設定その他の処分をすることができないこと

②当社による無償取得

一定の非違行為等があった場合や下記③の譲渡制限の解除の要件を充足しない場合には、当社が当該株式を無償で取得すること

③譲渡制限の解除

取締役が、当社における役員たる地位の全てを正当な理由により退任し又は死亡により退任した場合、当該時点において譲渡制限を解除すること

④組織再編等における取扱い

譲渡制限期間中に当社が消滅会社となる合併契約その他組織再編等に関する事項が当社の株主総会等で承認された場合、当社の取締役会の決議により、当該組織再編等の効力発生日の前営業日の直前時をもって、譲渡制限を解除すること


なお、本譲渡制限契約による譲渡制限の対象とする当社株式は、譲渡制限期間中の譲渡、担保権の設定その他の処分をすることができないよう、譲渡制限期間中は、当社が指定する証券会社に対象となる取締役が開設する専用口座で管理される予定です。

また、上記のほか、本譲渡制限契約における意思表示及び通知の方法、本譲渡制限契約の改定の方法、その他取締役会で定める事項を本譲渡制限契約の内容といたします。

<ご参考:本制度の仕組み>

【ご参考】

本議案をご承認いただいた場合、以下の方針【案】について、本総会直後の取締役会において決議することを予定しています。

取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針【案】


Ⅰ.基本方針

当社の取締役の報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして十分に機能するよう会社業績や中長期的な企業価値との連動性を確保し、個々の取締役の報酬の決定に際しては各職責と成果を踏まえた適正な水準とすることを基本方針とする。具体的には業務執行取締役の報酬は、経常報酬及び変動報酬、企業価値向上をより意識するためのインセンティブとして株式給付信託(非金銭報酬)による株式報酬で構成する。なお、業務執行を兼務しない取締役については、変動報酬は支給しない。


Ⅱ.経常報酬(金銭報酬)の個人別の報酬の額の決定に関する方針

当社の取締役の経常報酬は、月例の固定報酬とし、役位、職責に応じて他社水準、当社の業績、従業員給与の水準を考慮しながら、総合的に勘案して決定するものとする。


Ⅲ.変動報酬(金銭報酬)の内容及び額又は数の算定方法の決定に関する方針

(報酬を与える時期又は条件の決定に関する方針を含む)

変動報酬は、事業年度ごとの業績向上に対するインセンティブを高めるため、経営環境、前事業年度の会社業績ならびに業務執行取締役個人の業績への貢献度を勘案して算出された額を12等分して経常報酬に合算し、支給する。目標となる会社業績や指標は、中期経営計画を踏まえた連結経常利益や各業務執行取締役の職責に応じた適切な指標などを経営環境に応じて計画策定時に設定し、適宜、環境の変化に応じて独立社外取締役が過半数を占める指名報酬委員会の答申を踏まえた見直しを行うものとする。


Ⅳ.非金銭報酬等の内容及び額又は数の算定方法の決定に関する方針

(報酬を与える時期又は条件の決定に関する方針を含む)

非金銭報酬は中長期的な企業価値向上との連動性を確保した報酬制度とするため、株式給付信託による株式報酬とし、「役員株式給付規程」により支給する。具体的には、役位に基づくポイント制とし、毎年一定の時期にテーブルに基づくポイントを付与する。また、支給時期は役員任期終了後、任期中に獲得したポイント数1ポイントを1株として換算し、退任時に支給する。なお、取締役在任中に株式を支給する場合は、譲渡制限契約を締結することにより、当該取締役の退任までの間、譲渡等による処分が制限されることとする。また、取締役に一定の非違行為や不適切行為があった場合には、当該対象者は当社株式等の給付を受ける権利を取得できないものとする。


Ⅴ.金銭報酬等の額又は非金銭報酬等の額の取締役の個人別の報酬等の額に対する割合の決定に関する方針

取締役の報酬種類別の割合については、当社と同程度の事業規模や関連する業種・業態に属する企業群を参考とする報酬水準を踏まえ、上位の役位ほど会社業績や企業価値との連動性を高めた構成とし、指名報酬委員会において検討を行う。取締役会は指名報酬委員会の答申内容を尊重し、当該答申で示された種類別の報酬割合について決定することとする。


Ⅵ.取締役の個人別の報酬の内容についての決定に関する事項

個人別の報酬額については取締役会決議に基づき代表取締役会長兼CEOがその具体的内容について委任を受けるものとし、その権限の内容は各取締役の経常報酬の額及び各取締役の業績評価を踏まえた変動報酬の額の決定とする。取締役会は当該権限が代表取締役会長兼CEOによって適切に行使されるよう、代表取締役会長兼CEOが作成した原案を指名報酬委員会に諮問し、代表取締役会長兼CEOは当該答申の内容に従って決定をしなければならないこととする。

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